ぶんぶん便 No.13
発行日時: 2000/11/1■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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■■■ 「ぶんぶん便」 2000/11/1 No.13
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作/者/か/ら
自分のアタマで考えるというシンプル手法を貫き、ぶんぶん頭をフル回転。
文職人JUNKOの職人芸を御賞味ください。
常識のウソ、社会の矛盾、笑いと元気と、ついでに自分も、発見しよう。
――C―o―n―t―e―n―t―s――――――――――――――――
1 JUNコラム『金太郎が好き』
2 ぶんぶん特急『兄妹の絆』
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■1 JUNコラム/金太郎が好き
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金太郎が好きだ。
浦島太郎や桃太郎のような物語性はなく、ただ、マサカリ担いで熊にまた
がり乗馬や相撲の稽古をしている。正義感とか勧善懲悪なんてコソバユイ
私には、元気の良い肥満児、金太郎が好ましい。
だからだろうか、安芸乃島が好きだ。親子愛だの兄弟喧嘩だの余計な物語
いっさい無しの裸の相撲取りである。二子山部屋の古株力士で、関脇から
前頭を行ったり来たりしている。一時は大関候補と噂されたが、今はもう
本人以外誰もそれを口にしない。本人+私と言いたいところだが、諦めた。
ファンとして肩入れし続けて早10年。こんなに肩透かしを食っては期待心
在庫切れ。「できるだけ長く現役でいてね」とハードルを下げ、近頃では
「引退後解説者として露出しないかな」と達観状態にある。
何故好きかというとまず顔である。薄い眉に長い線目。ヒトが普通、眠っ
ている時の顔だ。彼の感情は鼻からおでこにかけてのTゾーンに表れる。
あせると眉間が広がり、おでこにシワが走る。照れると眉間はさらに広が
り、眉は消えてしまう。…かわいい。
兎に角、相撲がいい。彼はマワシを下から取り、一気に攻める寄切り相撲
だ。飛んだり叩いたり無し。負け込んでもひたすらその取り口を目指す。
そして、逃げない。
当たりで逃げない。私が望む力士の条件だ。逃げて勝つより、前のめりで
負ける。いろいろ事情もあろうが、それは基本のように思う。
バッタリうつ伏せた安芸関の肢体を何度観ただろう。んもう、何やってる
のと腹立たしい。しかしあのぷくぷくした体がゆっくり立ち上がる頃には、
くやしさが感動に変わって、なにやら納得してしまう。
彼の力士としての特徴は最多金星にある。横綱キラーなんて言えばかっこ
いいが、ヒラ時代が長い、大関以上になっていないという証拠でもある。
33歳。大型化著しい相撲界では、彼の短い手足は致命傷だ。マワシを取っ
たら既に取られてる。ってこと。努力で手足は伸びない。昇進が目的だっ
たら、逃げて星を増やす手もあった。理想の型を追求する彼に、大関昇進
はおそらく叶わぬ夢だろう。
職人だなあと思う。職人はいいなあと思う。単純で、清清しい。前のめり
に倒れ、砂だらけで立ち上がる安芸関の後ろ姿は、そんな職人的生き方も
あるさと教えてくれる。
去年両国国技館に行った。どきどきの初観戦である。若貴兄弟は四股も見
事で、立ち姿も綺麗なお相撲さんだ。黄色い声がいっぱい飛んでいた。そ
んな中、砂かぶりや枡席ではなく後方から「あきのしまあ〜」と声がかか
る。いかにも相撲好きなオジサンらしい、しゃがれた声だ。会場では結構
人気者の安芸。わかる人にはわかる、通好みの金太郎なのだ。(ぶんぶん)
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■2 ぶんぶん特急/兄妹の絆
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「目をつぶってごらん。手を引いてあげるから」
幼い頃、近所に同い歳のヨーコちゃんがいた。彼女の家は幼稚園や保育園
に行かせない主義だった。「あそこの親は変わり者よね」と母は言うが、
いつもびっくりするような遊びを思い付くヨーコちゃんと遊ぶのが私は好
きだった。言われた通り目をつぶると、見えないのに赤くて、不思議な世
界になった。手を引かれて階段を昇ったり、大きな石を飛び越えたりする
のは、冒険的である。「そう、まっすぐまっすぐよ」というヨーコちゃん
の声に素直に従って、バキリ。その音を最後に後はよく覚えていない。
気が付くと布団に寝かされ、枕元で母がわあわあわめいていた。
「絶対文句言ってやる。ヒドイじゃないの!」
側で父がまあまあ、近所だし…と取りなしていた。
ヨーコちゃんは私をレンガの壁に激突させたらしい。血が流れたのか、腫
れたのか記憶に無いが、今でも私の額に傷が残っている。だから相当の怪
我だったのだろう。おでこの冷たいタオルの感触が気持ちよかった。
ぼんやりした頭で「ははあ、そういうゲームだったのか」と納得した。
やはり痛快だな、ヨーコちゃんは。と感心したものだ。
私には4歳上の全く似てない兄がいる。
学生時代、共通の友人がいたが、ふたりが兄妹と気付いていなかった。
「同じ名字だけど、まさかね」なかなか信じてもらえなかった。
兄はでかい。私は小さい。兄は線目。私は点目。兄の髪はライオンのよう
な剛毛。私は根性のない猫ッ毛だ。温厚な兄と勝ち気な妹。
ホントに血が繋がっているのか、疑わしい。
私が赤ん坊の頃。
兄は公園の砂場で遊んでいた。背後から「まーちゃん」と近所の子に呼ば
れ、振り返るとイキナリ拳骨大の石が額に投げ付けられた。兄は転倒し、
額は大きく腫れ上がった。幼い私を抱いた母の目前での出来事だ。その夜、
包帯でぐるぐる巻の兄を前に「絶対文句言ってやる」と母は激怒し、父が
まあまあ、と取りなしたと言う。
私と兄の共通項は額の傷である。しかも「友人にはめられた」という同じ
経緯を持つ。そういう遺伝子の型もあるのかもしれない。(ぶんぶん)
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以上「ぶんぶん便」No.13をお届けしました。いかがでしたか。
また次回お会いしましょう!
※「ぶんぶん便」創刊以前のコラムが、奥付の連係HP
『Kazu ILLUST GALLERY』文文コーナーの文文書庫で読めます。
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「ぶんぶん便」2000/11/1 No.13
執筆者●JUNKO: RXE01422@nifty.ne.jp
発行責任者● 吉永和夫: yoshinaga@mbe.nifty.com
連係HP●『Kazu ILLUST GALLERY』 http://homepage1.nifty.com/jyk/
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