地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。
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66号(Global AIDS Update)
発行日: 2007/3/29
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第66号(第3巻第15号) 2007年(平成19年)3月29日
Vol.3-No.15 (No.66) Date: 29th March, 2007
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。
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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。
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■「第66号」目次
●国際機関
1.世界エイズ・結核・マラリア対策基金、第7回新規案件募集を開始
●アフリカ
1.ルワンダ:携帯電話は地方で働く医療従事者の強い味方になるか?
●アジア
1.マレーシア:急速なHIV拡大・性感染も広がる
●中南米・カリブ海
南太平洋:キリバスで増加する韓国人漁船乗組員による買春=HIV感染拡大も懸念
●治療薬アクセス
元スイス大統領もノバルティス社にインドでの訴訟取り下げを要求
●予防対策
1.マイクロビサイドの有力候補の治験が停止される
2.マイクロビサイド治験停止に関するエイズ活動家・団体の声明
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世界エイズ・結核・マラリア対策基金、第7回新規案件募集を開始
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世界エイズ・結核・マラリア対策基金は、2002年の発足から数えて7回目となる新規案件募集を、2007年3月1日をもって開始した。新規案件の応募のための書式および書式作成のための案内文書は、現在、国連公用語6カ国語で公開されており、以下のウェブサイトから入手することができる。
○世界エイズ・結核・マラリア対策基金(www.theglobalfund.org/en/apply/call7)
新規案件募集の申し込みの締め切り日は、2007年7月4日となっている。
世界基金は、途上国におけるエイズ、結核、マラリアの三大感染症対策に迅速に資金を拠出するために2002年に設置された基金である。世界基金の資金拠出案件は、第1期が2年、第2期が3年の5年間で構成されており、資金が適切に使われ、定められた成果を挙げることができれば、世界基金から5年間の資金拠出を受けることができる。
新規案件募集に応じて案件提案書(プロポーザル)を提出すると、プロポーザルは、専門家でつくる独立審査機関である「技術審査パネル」(Technical Review Panel)によって審査され、資金拠出相当と判断された場合には、案件は理事会によって承認される。その後、案件の資金受入責任機関(Principal Recipient:世界基金から資金を受け取り、案件を実施する責任団体)と世界基金事務局とで契約書を締結することによって、資金の拠出、案件の実施にこぎつけることになる。今回の案件募集に応募した案件を承認する理事会は第15回理事会(2007年11月14日〜16日、中国にて開催予定)であり、その後、事務局との契約書締結のための折衝に、一般的に6〜8カ月がかかる。その結果として、資金の実際の拠出開始はおおむね2008年半ばごろになる予定である。
第7回新規案件募集の応募に際して、注意すべき点として、以下のことが指摘されている。
○前回(第6回)の新規案件募集に提出され、承認されなかった提案を改善して提出する場合には、提案者は、技術審査パネルが第6回案件募集の講評として発表した文書・コメントをよく検討する必要がある。
○前回までの案件募集で承認された案件と、中心的なサービスが共通する提案を提出するケースについては、まだ既承認案件において当該サービスに関する支出がなされていない場合は、提案者は、新規提案案件において当該サービスを含む理由について説明する必要がある。
○提案案件の資金受入責任機関となる団体が、以前の案件でも資金受入責任機関を務め、その案件で業務上何らかの問題があったことを指摘されている場合、提案者は、資金受入責任機関が新規案件において当該問題にどう取り組み、解決するつもりであるかについて説明する必要がある。
○提案者は、予算について、よりわかりやすい、複雑さのない説明を行う必要がある。
「グローバル・ファンド・オブザーバー」というニュースマガジンを発行し、世界基金に関する情報を世界に発信している独立したNGO、「エイズパン」(AIDSPAN)は、新規案件募集に関するガイダンスとして、「世界基金第7回申込に関するエイズパン・ガイド」(The Aidspan Guide to Round 7 Applications to the Global Fund)を同団体のウェブサイトに掲載する。(URLはwww.aidspan.org/guides。英語・スペイン語・フランス語で掲載予定)。
原題:Global Fund Issues Seventh Call for Proposals
日付:1 March 2007
出典:[Global Fund Observer] Issue 72
URL: http://www.aidspan.org/index.php?issue=72&article=1
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★ルワンダ:携帯電話は地方で働く医療従事者の強い味方になるか?
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携帯電話業界が、アフリカの医療従事者によるHIV陽性者への質の高いサービスの提供を支援するために、新たに1千万米ドル(約12億円)規模のプロジェクトを実施することを発表した。この、「医療のための携帯電話プロジェクト」という名称のプロジェクトは、2月13日に開始され、アフリカの地方部で活動する医療従事者に、情報交換のための携帯電話やソフトウェアが配布された。ソフトウェアを設計した米国ヴォクシヴァ社Voxiva会長のポール・マイヤー氏 Paul Meyer は、このソフトウェアで、医療従事者は治療薬のオーダーをしたり、ニュースを受け取ったり、治療ガイドラインやトレーニングのためのコンテンツをダウンロードすることも可能になると語る。
ルワンダ国家統計局 the National Institute of Statistics of Rwanda(NISR) によると、地方部の医療従事者は、HIV感染の広がりに関する情報など、各種の総合的な情報を紙媒体の情報によって入手しているが、しばしばそれらの情報はアップデートされていない古い内容のこともあるという。また、データの収集や治療薬を集めるための輸送手段も行き届いていない。
この新しいプロジェクトでは、新たな情報流通を容易にすることを目指している。医療従事者たちは、高速ネットワークやテキスト・メッセージを介して患者の情報を記録し、携帯電話を使って中央の情報データベースに送ることができる。また、政府の保健省職員はその情報を受け取り、利用できるとともに、現場の医療関係者にテキスト・メッセージを送ることも可能である。
ルワンダでこのプロジェクトがうまくいけば、他のアフリカ諸国やアジアにも広げられるだろう。また、結核やマラリアのような他の疾患にも用いられるだろう。このプロジェクトは、携帯電話事業者の業界団体GSM協会(the Global System for Mobile Communications Association :GSMA)と米国の大統領エイズ救済緊急計画 the US President's Emergency Plan for AIDS Relief(PEPFER) 、アクセンチュア開発パートナーシップthe Accenture Development Partnership、および携帯電話オペレーターの連携によって主導されている。
政府が国民の健康を高めるために、いかにモバイル・インフラを活用してゆけるかということを、このソフトウェアが提示したと、GSMAの運営責任者のロブ・コンウェイ氏 Rob Conway は言う。GSMAによると、アフリカの携帯電話利用可能範囲が2010年までに85%にまで達する見込みである。
原題:Rwanda: Mobile Phones to Help Africa's Health Workers Deliver
日付:February 15, 2007
出典:All Africa.com
URL: http://allafrica.com/stories/200702150957.html
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★マレーシア:急速なHIV拡大・性感染も広がる
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2015年までにマレーシアでのHIV陽性者数が、現在の4倍以上の30万人に達することが見込まれると、保健省の高官が2007年2月11日にクアラルンプールで発表した。HIVウィルスが感染可能性の高いグループから一般の人々にまで急速に広がっているためであるという。保健省の公衆衛生担当の副主任であるラムリー・ラーマット氏Ramlee Rahmat によると、HIVの感染が薬物使用者だけでなく、女性や漁師、トラック運転手、工員などにも急速に広がっているという。マレーシアの公式の統計では、現在の7万3千人の陽性者のうち、75%が麻薬の静脈注射使用者で、7%は女性であるという。
こうした状況を受け、2006年にマレーシア政府は、より積極的なHIV対策として5カ年の国家戦略計画を打ち出した。これは、薬物使用者のための薬物代替療法や注射針の交換プログラム、政府の医療機関での女性や子どもを対象にした、抗レトロウイルス薬の無料配布などを含んだ内容となっている。
マレーシアは昨年、国連合同エイズ計画 (UNAIDS) から、政府による薬物使用者へのHIV感染対策が不十分なアジア太平洋の国々の一つにあげられていた。マレーシア保健省によると、国内で1日に3人がエイズ関連の病気で亡くなっているという。こうしたHIV/AIDSの感染の拡大は、この50年間の開発の成果を台無しにし、マレーシア経済を荒廃させる可能性があると、同省は警告を発している。
原題:HIV Spreading Rapidly in Malaysia
日付:February 11, 2007
出典:physorg.com
URL: http://www.physorg.com/news90408134.html
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★南太平洋:キリバスで増加する韓国人漁船乗組員による買春=HIV感染拡大も懸念
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南太平洋諸島のキリバス共和国の国家青少年委員会 National Youth Commission の調査団は、2月23日、韓国の遠洋漁船の乗組員らが依然としてキリバスの女性に対して買春を行っていることが明らかになったと発表した。調査によると、24人のキリバス人女性が、韓国人男性を相手に売春していたという。そのうち7人は18歳未満、1人は14歳であり、事態は児童売買春の問題に広がっている。ユニセフの南太平洋セクションも去年12月に「韓国漁民の買春」に対する批判を発表した。
韓国人乗組員らによる買春は以前から問題になっており、2005年には、キリバス政府が韓国漁船入港を一切禁止するという処置をとったこともある。ローマ・カトリックとプロテスタントの信者が多いキリバスでは、ローマ・カトリック教会の長の政治的発言力が強く、この問題が解決できなければ、アノテ・トン大統領Anote Tongの辞任を要請するという事態にまで発展していた。その後、2006年に韓国漁船への入港禁止令が解除された結果、売買春問題が再燃している。
キリバスの現場の活動家らは、「韓国人の乗組員を相手に売春する少女らは40〜50人と推定され、人数はかつてに比べて減ってはいるが年齢が低くなっている状況だ」と証言した、と青少年委員会は伝えている。
コンドームの使用に消極的な韓国人乗組員のため、3人が出産し、2人が現在妊娠中だという。
さらに、去年11月発行のパシフィック・マガジン Pacific Magazineによると、キリバスでのHIV発生率が上昇傾向にあるという。記事は、キリバスの首都タラワにある公立病院Tarawa General Hospital のHIV/AIDSクリニックでは、人口92,000人のキリバスで、43人がエイズを発症したと確認され、そのうちの26人が死亡したと伝えている。
国家青少年委員会は、この問題について乗組員に対して「予防教育」を行うこと以外は、効果的な対策は行っていない。
キリバスでは、「売春prostitution」のことを「コレコレア Korekorea」と表現するほど韓国人の漁船乗組員が植えつけたイメージが定着しているという。韓国の国内法では、海外での児童買春に関する刑法上の条項はなく、キリバスでも売春に関する法律は存在しない。
原題:On South Pacific island, Korean fishermen again looking to buy sex
日付:Feb. 24, 2007
出典:THE HANKYOREH
URL: http://english.hani.co.kr/arti/english_edition/e_international/192618.html
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★元スイス大統領もノバルティス社にインドでの訴訟取り下げを要求
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スイス連邦のルート・ドライフス Ruth Dreifuss 元大統領は2月15日、スイスの製薬会社ノバルティス社がインド政府を相手取って起こした訴訟が、世界中での必須医薬品の入手に及ぼす影響についての懸念を表明した。ノバルティス社は、インド政府に対してインド特許法を改正することを求める訴訟を行っているが、これに対して、世界で合計30万人以上の人々が、ノバルティス社に訴訟を取り下げるよう要求する署名を行なっている。デズモンド・ツツ Desmond Tutu 大司教や前国連事務総長アフリカHIV/エイズ問題特使であるスティーブン・ルイス Stephen Lewis 氏、世界エイズ・結核・マラリア対策基金事務局長ミシェル・カザツキン Dr Michel Kazatchkine 氏も署名している。オックスファム・インターナショナル、国境なき医師団(MSF)、およびスイスのNGOである「ベルン宣言」(The Berne Declaration)は、ノバルティス社が国民の利害を最優先とするインドの憲法を侵害していると訴えている。
ドライフス元大統領は「ドーハ宣言は、知的財産権と公衆衛生の均衡を保つことを強調している。これを実現するために各国がTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)に柔軟に対応しなければならない。インドの法律はまさにこれを実現している。ノバルティス社は、知的財産ばかりを強調して公衆衛生を軽視したために、システムそのものの崩壊の危機を招いている」と放している。
多くの途上国が、現在抗レトロウイルス薬などインドで生産される安価な医薬品に頼っている。インドは、2005年に特許法が改定されるまで、医薬品に関する物質特許(医薬品として精製する物質それ自体への特許権)の設定を認めておらず、安価な医薬品を生産し、海外に輸出することもできた。国境なき医師団は世界全体で8万人を超えるエイズ患者の治療を行っているが、その治療薬の多くは、インドで生産されるジェネリック薬である。
MSFのティド・フォン・シェーン・アンゲラー Dr. Schoen-Angerer局長は「高い医薬品では、途上国の人々に充分行き渡らないし、供給量も充分とはいえない」と訴える。
インドにおけるノバルティス社の訴訟が世界に影響を及ぼすことから、スイスの諸団体は、スイスのNGO「ベルン宣言」の主導の下に、同社のダニエル・バセラ Daniel Vasella 会長兼最高経営責任者に対して2006年10月に公開書簡を送り、訴訟取り下げを要請した。この書簡にはスイス対がん連合(Swiss Cancer League)やスイス・エイズ連盟(Swiss AIDS Federation」など20を超えるスイスの保健NGOや、ドライフス元大統領を含む国内のオピニオンリーダーが署名している。
「ノバルティス社の医薬品が特許を取得して、インドやその他の一部の富裕層に高額な医薬品を提供するという目的だけで途上国の人々の生命を救う安価な医薬品へのアクセスを、ノバルティスが狭めているのは受け入れがたいことだ。」と、「ベルン宣言」の衛生キャンペーンのディレクター、ジュリアン・ラインハルト Julien Reinhard 氏は述べる。
ノバルティス社は、インドの特許認可の厳密な基準を規定したインド特許法の特定の条項に異議を申し立てている。これが実現すれば、安価な医薬品の生産が制限され、途上国での医薬品の供給に大きな打撃を与えることになる。今、約9千もの医薬品が特許出願され、審査を待っているが、その多くは既存の薬の改良にすぎず、新規性のないもので現行法では特許を取得できないとみられている。しかしインド特許法がが改正されれば、これらの医薬品が特許を取得して独占市場となり、これまでのような安価なジェネリック薬品の市場は廃止される。
「ノバルティス社は、一つの医薬品の知的財産について提訴しているように見えるが、実はこれはインドの国権への侵害にもつながる。ノバルティス社は何百万人という人々が依存する医薬品の供給を脅かすのではなく、新たな市場を開拓してはどうか」とオックスファムのフェアトレード局長のセリーヌ・シャルベリア Celine Charveriat 氏は語った。
詳しい情報は、国境なき医師団のウェブサイトでごらんいただけます。
http://www.msf.or.jp/2007/02/16/5735/post_65.php
原題:Former Swiss President Joins Call for Novartis to Drop its Case in India
日付:17 February 2007
出典:twnside
URL: http://www.twnside.org.sg/title2/health.info/twninfohealth077.htm
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★マイクロビサイドの有力候補の治験が停止される
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原題:Anti-AIDS gel studies in Africa, India halted
日時:2007年1月31日
出典:CNN
URL:http://www.cnn.com/2007/HEALTH/conditions/02/01/aids.microbicides.ap/index.html
アフリカとインドにおいて2つのマイクロビサイドの治験が中止された。使用されていた治験薬がHIV感染防止に逆効果をもたらすかもしれないというデータが得られたためである。世界保健機関 WHO は、マイクロビサイドは女性の有効なHIV感染防止方法となりうるとして期待を寄せていただけに、今回の治験データに驚きと落胆を隠せない様子だ。同機関は、今後のマイクロビサイド開発が遅れるとの懸念を表明している。
毎年、アフリカにおけて新しくエイズ感染する人々のうちの半分は女性であり、科学者や、ゲイツ財団など新規HIV/AIDS予防技術開発に取り組む団体は、多くの場合男性がコンドームなどのHIV感染予防方法を取らない状況において、女性が主体的にHIV感染防止できるようなHIV予防方法の開発に力を注いできていた。
中止された治験で使用されていたマイクロビサイドは、「ユーシャーセル Ushercell」
という名称で、スルホン酸セルロースを含む医薬品であり、カナダのトロントにあるポリデックス製薬 Polydex Pharmaceuticals によって開発されたものである。中止された一つめの治験は、アメリカのバージニア州にあるコンラッド CONRAD という保健研究所によって、南アフリカ、ベナン、ウガンダ、インドの1500人の女性参加者に対して行われていたものであったが、今年1月下旬、独立の治験監査機関はその治験の中止を決定した。というのも、治験薬を供与されている女性グループの感染率が同薬の供与を受けていないグループのそれを上回ったからである。今回の中止された治験のデータに対して、米国国際開発庁 USAID の研究主任であるジェフ・スピーラー Jeff Spieler 氏は懐疑的な態度を示しており、同治験のさらに入念なマイクロビサイドの治験データの解析を急ぐことを主張している。
中止されたもう一つの治験は、ナイジェリアにおいて1700人の女性参加者を対象にしていたものであった。同治験は、ファミリーヘルスインターナショナル Family Health International によって行われていたが、有効性を立証するデータを得られなかったために中止された。
これら中止された2つの治験で使用されていたユーシャーセルというマイクロビサイドは、過去にアメリカで行われた11つの治験では安全性と有効性がある程度立証されていたものであった。しかし、中止された二つ治験に使用されたマイクロビサイドの有効性を十分に分析するためには、他のマイクロビサイド治験の結果を待たなければならない。ニューヨークに本拠をおく人口評議会Population Counsilが行っている治験が今年3月に終了する予定である。この治験は、南アフリカにおいて6000人の女性参加者を対象にしており、使用されている治験薬は海草を原料にしている。同治験は今のところ順調に進んでいる様子だ。
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★マイクロビサイド治験停止に関するエイズ活動家・団体の声明
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原題:Leading advocates express support for microbicide research, despite disappointing clinical trial results.
日付:2007年1月31日
出典:Medical News Today
URL:http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=62025
今年1月下旬にアフリカとインドにおけるスルホン酸セルロース・マイクロビサイドの治験の中止が発表された。一つめのアフリカにおいての治験結果はHIV感染リスクを増大させる可能性を示したために中止されたが、一方、ナイジェリアにおける別の治験結果からは、セルロース薬がHIV感染リスクを増大させるという確かなデータは得られなかった。しかし、二つめの治験を行ったファミリー・ヘルス・インターナショナルは最悪の事態を想定して中止を決定したのである。
このような残念な結果を受けながらも、HIV予防の重要性を訴える活動家・団体たちは、今後もHIV予防技術の研究を継続することの大切さを訴えているようだ。
マイクロビサイド国際キャンペーン Global Campaign for Microbicides (GCM) 代表のロリ・ヘイズ Lori Heise 氏は、「スルホン酸セルロース薬が有効ではないということを発見することは、同薬が有効である発見することと同様に重要なことである。今回のように参加者の人体の安全を最優先にした上での中止は、独立の治験監査機関が機能している証拠だ。」とこの事態を評価した。
逆に、アフリカ・マイクロビサイド・アドボカシー団体African Microbicide Advocacy Group (AMAG) においてコーディネータを勤めるマンジュ・チャタニ Manju Chatani 氏は、「(今回中止に追い込まれた治験で使用された)スルホン酸セルロース薬の安全性、有効性は当時入手可能なすべてのデータをもとに検証されたものであり、これらをもとに、今回中止された治験は、治験第3段階まで進んだものだったのです。」と説明している。チャタニ氏は、今回の治験中止はマイクロビサイド開発・実用を大きく後退させたとして、落胆している。しかし、現在の女性が主体的にHIV感染を予防できないという事実は変わらず、今後も継続的なHIV予防技術の開発・研究を急ぐことを主張している。
また、GCMとAMAGの両団体で理事を務めるキム・ディクソン Kim Dickson 内科医は、治験中にHIVに感染してしまった参加者のケアと治療は治験を行った両団体が行うべき最優先事項の一つであり、無料の抗エイズ薬の配布を含めて今後も継続的にケアと治療を充実させていかなければならないと述べている。エイズ・ワクチン・アドボカシー連盟AIDS Vaccine Advocacy Coalition (AVAC) 代表のミッシェル・ワレン Mitchell Warren 氏は、「研究とは積み重ねである。一つの研究結果では答えはでなく、さまざまな研究結果を集め分析することにより、本当にどのような薬が有効であるかを初めて知ることができるのである。」と、これからのHIV予防技術の開発・研究の大切を訴えている。
さらに、GCMのロリ・ヘイズ氏は、マイクロビサイド治験に参加する人々が、いかにマイクロビサイドのような新規HIV予防技術を必要としているかについて力説しており、中止された治験が行われた南アフリカ、ベナン、ウガンダや多くのアフリカ諸国においては女性の多くがHIVに感染しているという状況において、一日も早く有効な新規HIV予防技術が開発・実用化されることの必要性を説いている。
このようにHIV感染予防に関して、人命救済の迅速性をとるか安全面をとるかなど、活動家たちの立場や注目する観点は違うが、だれもがHIV感染予防分野の進展を望んでおり、このマイクロビサイド治験中止がそれに大きなインパクトを与えたことは事実のようである。
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■□編集後記
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編集員Wは、先週目黒川沿いの友人宅でお花見に参加してきました。気象庁の開花予想第一報を信じて、日取りを決めてしまったのです・・・。残念ながらまだつぼみしか見られなかったのですが、川沿いの通りには、すでにちょうちんが並べられていました。今から満開になる日が待ち遠しいです。
花がなくても楽しいのがお花見!食べて飲んで、気がついたら友達の友達の友達も自分の友達になっていたという、愉快なパーティーでした。
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