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■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第65号(第3巻第14号) 2007年(平成19年)3月15日
Vol.3-No.14 (No.65) Date: March 15, 2007
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いいたします。
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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。
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■「第65号」目次
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●アフリカ
1.エチオピア:研究から示されるセックスワーカーとHIV/AIDSの困難な課題
●アジア
1.韓流スター「ピ(Rain)」がワールド・ビジョンのHIV/AIDS大使に
マレーシアでエイズ啓発キャンペーン
2.中国:雲南省でメタドンによる薬物代替療法を行う診療所が22箇所開設
●北米
1.カナダ:HIV陽性者の性行為の犯罪化に関する裁判が進行中
●オピニオン
1.WHOの疫学専門家がUNAIDSとエイズ活動家を批判する書籍を刊行
「世界の多くの地域でHIV/AIDSは全人口に対する脅威にはならない」
●国際機関・NGO活動
1.世界エイズユース連盟:世界レベルの若者の陽性者ネットワーク
「Living positively」を立ち上げ
2.WHO新事務局長がタイのエイズ治療薬への強制実施権発動に警戒感表明
エイズに関わる市民社会からは事務局長に不信の声も
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★エチオピア:研究から示されるセックスワーカーとHIV/AIDSの困難な課題
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性交渉はHIV感染拡大の大きな要因の一つである。アフリカ北東部のエチオピアでは、これまで、この分野におけるエイズ対策のための研究はもっぱら、男性の地理的移動と、男性とセックスワーカーとの接触を対象に行われてきた。
英国のブリュネル大学 Brunel University は、女性のセックスワーカーの移動に焦点をあて、エチオピアの首都アディス・アベバと、通商の要地であるナズレット Nazret(別名Nazareth)で若い女性セックスワーカー60人の生活の分析を行った。この調査は、セックスワーカーを支援する団体のスタッフが、グループディスカッションやインタビューの形式をとって実施したものである。分析の結果、下記のようなことがわかった。
・セックスワーカーには地方の貧しい地域からの出身者が多い。
・女性セックスワーカーの地理的移動の動機は、生活レベル向上のため、冒険・刺激をもとめるため、HIVに感染したことを隠すため、など多岐に渡る。
・女性セックスワーカーはパートナー又は客に対して、コンドームの使用を要請することが難しい。
・地域を移動する女性たちは、NGOの提供するプログラムに長期的に参加することが困難である。
・歓楽街やバーで働いている女性たちは、雇用主に借金があり、労働時間が長くなる傾向があり、他の地域に出かけることが少ない。
・また、雇用主がNGOに対し不信感・嫌悪感を抱いていることがあるため、これらの女性たちは、NGOのサービスを受けることが難しい。
この調査によって、セックスワーカーの移動によって3つの現象が引き起こされていることが結論づけられた。つまり、移動によってセックスワーカー自身のHIV感染リスクが高まる、HIVに感染した場合には多くの人々へ感染させてしまう、継続的な治療プログラムサービスや情報へのアクセスが制限される、ということである。研究者たちは、エチオピア政府に対して、彼女たちが地理的に移動することを想定してHIV予防戦略をたてるべきであると主張し、以下の4点を具体的対策として提案した。
・治療・ケアサービスを提供するアクター間の情報の共有を促進するため全国規模の情報ネットワークを構築する。
・各団体がエイズ教育の方法などで連携をとり、写真入りのリーフレットなどを提供するなどして、より教育の効果を高める。
・国民の時期に伴う地理的移動にあわせて、仮設・移動式ヘルスケアサービスセンターを設置する。
・セックスワーカーの地理的移動を防ぐために、貯蓄・借金返済のためのトレーニングを行う。
これらの点を視野にいれたエイズ予防戦略をエチオピア政府が実行できるのかどうかが、今年のエチオピア政府のエイズ対策の新しい課題となりそうだ。
原題:Sex work and mobility: a new challenge for Ethiopian AIDS policy
出典:id21
URL: http://www.id21.org/zinter/id21zinter.exe?a=1&i=h5lvb1g1&u=45d0b5fe
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★韓流スター「ピ(Rain)」が国際NGOのHIV/AIDS大使に:マレーシアでエイズ啓発キャンペーン
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韓国の歌手・俳優で日本でも人気のピ(日本では「Rain」で活動。本名は、ジョン・ジフンJong JI-Hoon)が、国際的NGOであるワールド・ビジョンの韓国親善大使に就任した。ピ氏は、日本、韓国に限らず世界で人気があり、現在ワールドツアー中である。1月27日には、マレーシアの国立競技場であるブキット・ジャリル競技場 Bukit Jalilでコンサートを開き、大使の活動の一環としてワールド・ビジョンのHIV/AIDSの活動をPRした。
ピ氏は、「毎日8,000人の、そして毎年1400万人の子どもたちがHIV/AIDSで親を亡くしている。1990年代にエイズがアフリカにもたらした苦しみは、今僕たちが何かをしなければアジアでも繰り返される。」と話し、エイズ遺児に向けて作ったという「Friends」を歌った。
コンサートチケットの売上げの一部は、アジアのHIV/AIDS対策プロジェクトに寄付されるという。また、会場で販売されたリストバンド等のグッズの利益は全額ワールド・ビジョンのHIV/AIDS関連基金であるホープ・ファンドHOPE Fund に寄付される。
原題:Korean Superstar `Rain' to Promote HIV/AIDS Awareness in Malaysia
日付:2007年1月27日
出典:CRISTIAN TODAY
URL:http://www.christiantoday.com/article/korean.superstar.rain.to.promote.hivaids.awareness.in.malaysia/9279.htm
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★中国:雲南省でメタドンによる薬物代替療法を行う診療所が22箇所開設
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薬物使用者の増加やHIV感染の拡大への対策として、メタドン薬物治療法が中国で注目を集めている。メタドン薬物代替療法とはヘロインを常用する薬物使用者に対して、より害の少ないメタドンを代用させて行う治療のことである。メタドン治療プログラムは、中国では2003年に導入された新しいプログラムであるにも関わらず、現在では本土の省、自治区、地方自治体の約3分の2で実施されている。現在、中国全域で確認されている麻薬使用者は100万人であるが、中国政府は2007年末までに、500人以上の麻薬使用者が確認されている全ての省に、現在の307箇所に加えて195箇所のメタドン薬物治療所を新設したいと考えているという。
2007年1月、中国南西部の雲南省にも、メタドンによる薬物代替治療を行う診療所が22箇所増設され、省内の診療所は合計75箇所になった。雲南省は、ラオス、ミャンマー、ベトナムを含む「黄金の三角地帯」と呼ばれる麻薬大量生産地域と隣接しているため、近年、省民のヘロイン中毒に苦しんできた。そこで、2004年の4月中旬、ゲジュ市に省内初のメタドン薬物療法診療所が開設されたのだが、2005年には確認されているヘロイン中毒者のうちの30%以下、2600人しかメタドン薬物治療プログラムを受けておらず、雲南省薬物乱用問題対策協会 the Yunnan Provincial Institute for Drug Abuseの副代表ツァン・ルイミンZhang Ruimin は悲嘆の声をもらしている。
また、薬物使用者間で注射針の回し射ちが頻繁に行われるようになると、血液感染によりHIV/AIDS患者が著しく増加してしまうことが懸念される。雲南省では、昨年の9月の終わりまでのHIV陽性者数が中国国内の感染者数の4分の1に相当する4万7000人に達し、省政府はこの状況を「墓場のようだ」と表現した。そして、昨年12月には未婚のカップルを対象とした無料のHIV検査を義務化する計画に乗り出し、ようやく積極的なエイズ対策に乗り出すことを発表した。
原題: Drug-ravaged province to open 22 new methadone clinics in southwest
China
日付: Sat Jan 13, 2007 3:55 am (PST)
出典: People's Daily Online website
URL: http://english.people.com.cn/200701/11/eng20070111_340323.html
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★カナダ:HIV陽性者の性行為の犯罪化に関する裁判が進行中
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カナダ中西部のサスカチュワン州リジャイナ市 Regina の地方裁判所で、HIV陽性者がその事実をパートナーに告げずに、無防備な性行為をしたことに対して、刑事責任を問えるかどうかを争う裁判が行われている。
被告は、サスカチュワン州のフットボールチーム、ラフライダーズRoughridersの元選手で現在30歳になるトレビス・スミス氏Trevis Smithである。彼は、2人のパートナーに対して、HIVに感染しているという事実を告げずに、感染可能性のある性行為を行ったことについて、2つの「加重された性的暴行罪」 aggravated sexual assault に問われている。被告が2003年11月26日にHIV検査を受け、HIV陽性と診断された事実について争いはない。
公判において、看護師のスーザン・ナセウィッチ氏Suzanne Nasewichは、HIV陽性の診断が出る少し前に被告に初めて面会し、HIV陽性者の女性と性行為をもったことについて相談を受けたと述べた。被告のHIV陽性の事実が確認された後、スーザンは被告に対して、州公衆衛生法によって、関係のあったすべてのパートナーにこの事実を告げることと、今後はコンドームの使用が義務付けられていることをアドバイスし、被告も同意したと証言した。
また、別の看護師のナンシー・コット氏Nancy Kotは、被告の診断から約1年後に、「恋人の部屋でHIVに関するパンフレットを発見した」と、泣きながら訴える女性からの電話があったと証言した。この電話の女性はトレビスによる2人目の被害者であり、検察側証人として出廷する予定になっている。
被告側弁護士マリーエレン・ジルーMarie Helene Girouxは、「トレビスが州の公衆衛生法に従ったかどうかは問題ではない。彼への求刑は、加重された性的暴行罪という刑法上の犯罪である。カナダの刑法では、HIV感染の事実を打ち明ける義務を課してはいない。」と主張している。一方、検事のビル・バージBill Burgeは、「保健師たちの証言は、被告が何をいつ知ったかという証拠を示している。」と述べ、保健師たちの証言に別の妥当性を見出している。ケン・ベローズKenn Bellerose判事によるこの裁判は、2週間で判決が言い渡される見込みである(編集部注)。
注)その後、トレビスには5年半の実刑判決が下されたが、これに対し弁護側は控訴している。
原題:Smith didn't tell girlfriend he had HIV, court hears
日付:2007年1月30日
出典:CBC News
URL:http://www.cbc.ca/canada/saskatchewan/story/2007/01/30/smith-trevis.html
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★WHOの疫学専門家がUNAIDSとエイズ活動家を批判する書籍を刊行:
「世界の多くの地域では、HIV/AIDSは全人口に対する脅威にはならない」
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前に世界保健機関WHOのエイズ疫学責任者を務めたカリフォルニア大学の疫学教授、ジェームス・チン氏 James Chin が「国連合同エイズ計画 UNAIDSとエイズ活動家たちが、エイズの拡大について誤解を撒き散らしている。」と主張する本を2月に出版した。
本のタイトルは、「エイズの拡大:疫学と政治的正当性の衝突 The AIDS Pandemic: the collision of epidemiology with political correctness」。同書では、(1)エイズの拡大は、その国や地域の行動によってまちまちであるから、現在、主流を占めている国民全体に対して啓発活動をするという方法よりも感染の可能性が高いグループに特化した対策をとったほうがいい場合がある、(2)公衆衛生の機関が発表しているHIV感染率・エイズ罹患率は、しばしば、疫学的統計よりも高いことがある、(3)HIV感染については、社会的要因よりも、性的行動や注射針を介した感染のほうが関連性が高いこと、などを挙げている。
チェン氏はさらに、世界の多くの地域ではHIV感染率は低いといえるし、今後とも低く抑えることができると主張しており、それは現在のHIV感染予防プログラムの成果ではなく、単にHIV感染の可能性が高い行動がどれだけ普及しているかによるという。チン氏は、UNAIDSが発している、「HIV感染の可能性が高い行動は現に全人口がとりうるのであるから、全人口がHIV感染の可能性にさらされている」というメッセージは、疫学的な見地からみれば政治的で偏向していると指摘し、サハラ以南アフリカ以外の地域では、薬物使用者、男性とセックスをする男性MSM(men who have sex with men)以外の一般市民の間には顕著なHIV感染は広がっていないと主張している。
チン氏の議論は、論旨が明快である一方、挑発的な内容を含んでおり、エイズ活動家ら関係者の間に議論を巻き起こすことが予想される。
原題:"UNAIDS & AIDS activists spread HIV/AIDS myths" Former WHO Expert
日付:2007年2月3日
出典:AIDS_ASIA
URL:http://health.groups.yahoo.com/group/AIDS_ASIA/message/724
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★世界エイズユース連盟:世界レベルの若者の陽性者ネットワーク
「Living positively」を立ち上げ
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世界エイズユース連盟 Global Youth Coalition om HIV/AIDS (GYCA) は、世界の若年HIV陽性者 Youth living with HIV/AIDS: YLWHAのためのネットワーク、「Living positively(リビング・ポジティブリィ)」を立ち上げた。
これは、2006年11月、南部アフリカの内陸国 マラウィの最大都市 ブランタイア Blantyre において、世界保健機関 WHOと世界児童基金 UNICEFにより行われた会議「保健分野におけるケア、サポート、治療と若年HIV陽性者の予防に寄与するための地球規模コンサルテーション」 Global Consultation on Strengthening the Health Sector Contribution to Care, Support, Treatment and Prevention for YLWHA が契機となって、始まった。
このネットワークは、ウェブサイトやメーリングリストなどのIT技術によって形成されたものである。若年HIV陽性者や、若年HIV陽性者に関わる人々を対象にしたこのネットワークは、経験や、グッド・プラクティスなどを共有するためにのオンライン・スペースとなっている。また、メンバーは、近く起こるイベントの情報共有、陽性者として生きるための提言作成、若年陽性者が当事者として、自身の課題への参画の拡大(Greater Involvement of Young People living with AIDS)の方法を提示していく。ネットワークのウェブサイトのアドレスは以下の通りである。
Living Positively website(英語):
http://www.youthaidscoalition.org/living.html
このサイトには、HIV陽性であることを受け入れて生活を営んでいる若いリーダーたちが、ウェブサイトに紹介されている。これらのリーダーたちは、ウェブサイトで、HIVとともに生きるためのリソースや、疾病としてのエイズ、自分たちの権利、陽性者であることのカミング・アウト、差別偏見について、精神的課題、そして陽性者と予防について、語りかけている。
今日、1日に15歳から24歳までの若者6,000人が、新規HIVに感染し、そのほとんどが女性である。そして、世界に4,000万人以上いるといわれているHIV陽性者の3分の1が、25歳未満である。その大多数は、自分がHIVに感染しているか否かを知らない。
GYCAは、UNAIDS、国連人口基金(UNFPA)が支援する、100国以上、2,700人によって、構成される連合体で、国連経済社会理事会による協議資格を与えられている。本部は米国ニューヨーク。2006年、国連HIV/AIDSレビュー対策総会前に行われたユース・サミット、トロント国際会議の事前会合などを主催・共催した。
参考HP:
世界エイズユース連盟(英語): http://www.youthaidscoalition.org
Living Positively website(英語):
http://www.youthaidscoalition.org/living.html
原題:GYCA launches "Living Positively"
日付:Feb 7, 2007
出典:世界エイズユース連盟 Global Youth Coalition on HIV/AIDS website
URL:http://www.youthaidscoalition.org/docs/living%20positively%20press%20release.pdf
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★WHO新事務局長がタイのエイズ治療薬への強制実施権発動に警戒感表明
エイズに関わる市民社会からは事務局長に不信の声も
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2006年11月にWHOの新事務局長に就任した、マーガレット・チャン氏 Dr. Margaret Chan による、巨大製薬企業を擁護するともとれる発言が波紋を広げている。
タイ政府は昨年、途上国で一般的に活用されている抗レトロウイルス薬の一種である「エファビレンツ」Efavirenz(商品名「ストックリン」stocrin:米メルク社が開発)の価格や流通に大きな問題が生じていることから、エファビレンツの自国内生産を目指して、世界貿易機関(WTO)の「貿易関連知的財産権協定」(TRIPs協定)について2001年に採択された「TRIPS協定と公衆衛生に関する宣言」(ドーハ宣言)で認められた形で強制実施権(編集部注)を発動することを決めた。
これについて、チャン氏は2月1日にタイの国家保健安全省(NHSO: National Health Security Office)を訪れた際に、「強制実施権(*注)の発動に関しては、(医薬品アクセスと知的財産権保護の)バランスを確保する必要があるということを強調したい。医薬品へのアクセスの問題で、質と量の両方を満たす完璧な解決策はない。」と述べ、安価なジェネリック薬を確保するための拙速な強制実施権の発動に対して警戒感を示した。
チャン氏はそれ以前にも、医療技術の開発が進められていない疾病のために必須な保健医療技術へのアクセスをテーマとした国際会議において、巨大製薬企業を賞賛する発言を行っていた。
こうしたチャン氏の発言に対して、タイの市民団体や人道支援団体は、途上国の抱える疾病や貧困が依然として厳しい状況にあるにもかかわらず、巨大製薬企業を擁護していると激しく非難している。さらに、途上国の保健衛生やジェネリック薬、抗エイズ薬などの問題に取り組む各組織も、今回の発言に対して、WHOは弱者を代表し、巨大製薬会社の圧力に立ち向かうべきであると激しく非難した。
チャン新事務局長の発言の背景には、タイ政府が新たにHIV/AIDSと心臓病の医薬品確保のため強制実施権発動の承認をしたことに対して、製薬産業や製薬企業の利益に同情的なメディアから強い反発を招いていることがある。タイのエイズや保健問題に取り組む活動家は、マーガレット・チャン氏の訪問が、タイ政府の安価な医薬品を提供する政策の後押しになると期待していただけに、今回の発言が引き起こした衝撃は計り知れない。
しかし、TRIPs協定に基づいて、加盟国は国家の緊急事態と認められる場合に、安価なジェネリック薬を確保するために強制実施権を付与することが認められている。
チャン氏の発言など最近のWTOの動きは、協定の柔軟な活用に反発する米国政府の圧力に屈し、巨大製薬企業側につくかのようにも見える。WHOが医薬品へのアクセスの問題を解決する上で中心的役割を担うべき機関である以上、チャン氏は、TRIPs協定の柔軟な活用を推奨し、加盟各国に働きかけることを求められている。
*注)一定の条件下において特許権者の許諾を得なくても医薬品などの特許発明を使用する権利を第三者に認めることができる権利のことである。
原題:WHO Chief's Stand on Generic Drugs Slammed
日付:2007年2月2日
出典:IPS News
URL: http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=3
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■□編集後記
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大学生編集員Oは、最近バイト漬けの毎日です。新宿西口のとあるレストランで働いているのですが、14日はホワイトデーということで大盛況でした。平日満席という偉業を成し遂げ、頑張った従業員たちに店長がクッキーをくださいました。それと同じくらい嬉しかったのは、お客様が、帰られる際に「今日はありがとう。」と笑顔で言ってくださることです。接客って楽しいなあ♪と思う今日この頃です。そのテンションを保ったまま、編集を行うと効率もアップです。一石三鳥ですね!!
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