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ユーラシア・ウォッチ 第127号【秋野豊ユーラシア基金】

発行日時: 2008/3/5

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 第127号                         2008年3月5日
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             ◇Contents◇

   ・基金ホームページ、秋野豊メモリアルコンサートとリンク
   ・秋野豊賞、ただいま募集中です!
   ・訳書を語る
     メアリー・カルドー『グローバル市民社会論』(宮脇昇)
   ・文献紹介
   ・イベント情報
     公開報告会「ロシア国家の本質と求められる対露戦略」
     (3月19日:東京)   
                             ほか
            
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■ホームページ更新情報■

 7月19日(土)、つくばノバホールで開催される、秋野豊メモリアルコンサ
ート公式ウェブサイト (http://www.akinomemorial.com/)とのリンクを貼りま
した。同サイトでは、コンサートの趣旨や会場などについての情報に加え、コ
ラムが定期的に更新されています。
 是非基金ホームページ(http://www.akinoyutaka.org)よりご覧ください。

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■第10回秋野豊賞、募集中■

  このほど第10回秋野豊賞の募集要項が発表されました。「秋野豊賞」は、
欧州からアジアまでユーラシア大陸のいずれかの紛争や安全保障の問題につい
て、調査・研究を行う意欲を持った方に対する助成制度です。応募の締め切り
は2008年5月9日(金曜)ですので、奮ってご応募下さい。詳細は基金ホーム
ページをご覧下さい。   http://www.akinoyutaka.org

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[訳書を語る]

  メアリー・カルドー著 (山本武彦、宮脇昇、木村真紀、大西崇介訳)
  『グローバル市民社会論:戦争へのひとつの回答』
     法政大学出版局、2007年11月刊(税込¥2,940)

                宮脇 昇(立命館大学政策科学部准教授)

 国際政治学者、特に新自由主義制度論者が「古き良き10年」とでも形容しそ
うな1990年代に流行した「グローバル」と「市民社会」という概念を、21世紀
初頭にいる我々が問い直さねばならないほど、90年代とポスト90年代には、大
きな断絶がある。9.11やイラク戦争は、グローバル市民社会(GCS)の脆弱
さと限界を浮き彫りにした。いや、もともとグローバル市民社会とはその程度
のものでしかなく、現時点で期待を過剰にもってはいけなかったのかもしれな
い。
 しかし、GCSが生まれてきたこと自体は、世界史的な転換点として注目さ
れるべきだ。「戦争によって縁取られていた」「国家の領域的境界に規定され
る市民社会」(本書より、以下同じ)が、冷戦の終結とグローバル化によって、
復活を遂げたのである。カルドーの言葉でいえば市民社会の「再創造」であっ
た。
 本書で紹介されているとおり、市民社会という言葉は、1989年以降、多種多
様な組織や状況で使われるようになった。「だが、この言葉の共通に合意され
た定義はない。実際、不明確さはこの言葉の魅力であるといえよう」。魔法の
ように、市民社会という言葉に群がる人々は、市民社会とは何かという議論を
し、市民社会論の文献体系を復活させた。
 本書では、1989年の東欧革命の潜在的な原動力となったヘルシンキプロセス
において、人権か平和か、ではなく、人権も平和も、というパラダイムチェン
ジが、欧州における市民社会論の復活をもたらし、冷戦を下から弱めていった
ことを語る。
 そして冷戦後に、公共空間のNGO化(NGOization) が進む世界で、頻発する紛
争や対テロ戦争にみられる新たな暴力の連鎖を、どのように市民社会アクター
が抑止できるかが語られている。
 本書の副題が「戦争への回答」となっているのは、「市民社会の概念が、社
会関係における暴力を最小化する観念に結びつき、人間の営為を恐怖と不安に
もとづく服従やイデオロギーと迷信に代わって、人間的営為を管理する方法と
して理性を広く用いることに、つねに結びついてきたからである」。
 この副題がつけられたのは、イラク戦争前である。本書の最後には、日本語
版発刊にあわせて、イラク戦争と2005年7月7日のロンドンのテロ後をふまえた
カルドーの最新のGCS論が「あとがき」で記される。「見せ物的な戦争とネ
ットワーク戦争の血みどろの交錯」に対して、GCSは回答を与えることがで
きるであろうか。気になるカルドーの答えは、ぜひ本書を手にとってご覧あれ。

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◆新刊書・論文紹介
 冒頭の「○」は単行本や雑誌、「・」は雑誌に掲載された論文を意味します。
 価格は原則として総額表示としております。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜《ロシア・CIS諸国》〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○宇山智彦編『講座スラブ・ユーラシア学第2巻 地域認識論−多民族空間の構
 造と表象』講談社、2008年2月刊(¥2,310)
 ・木村暁「中央アジアとイラン:史料に見る地域認識」
 ・福間加容「ロシア的風景の発見:風景画のトポス」
 ・沼野充義「現代中欧文学と地域アイデンティティ:〈中(東)欧意識〉再検
  討の試み」
 ・塚崎今日子「北ロシアのフォークロア:シュリクンの異称から見る多民族
  文化接触」
 ・高倉浩樹「生業文化類型と地域表象:シベリア地域研究における人類学の
  方法と視座」
 ・荒井幸康、井上岳彦「カルムイク人とブリヤート人の民族意識:『モンゴ
  ル』認識と『独自の道』」
 ・野田仁「露清関係とカザフ草原:帝国支配と外交の中の地域認識」
 ・長縄宣博「ロシア帝国のムスリムにとっての制度・地域・越境:タタール
  人の場合」
 ・小森宏美「ヨーロッパ人になろう!:『祖国』としてのエストニアと地域
  認識」
   ・・・などを収録。

○エレーヌ・カレール=ダンコース (谷口侑訳)『未完のロシア:十世紀から現
 代まで』藤原書店、2008年2月刊(¥3,360)

○廣瀬陽子『強権と不安の超大国・ロシア:旧ソ連諸国から見た「光と影」』
   光文社新書、2008年2月刊(¥819)

○横手慎二、上野俊彦編『ロシアの市民意識と政治』慶應義塾大学出版会
   2008年1月刊(¥3,360)
 ・上野俊彦「ロシアの『政党法』と政党制:プーチン政権下における一党優
  位体制の制度的背景」
 ・大串敦「政府党体制の制度化:『統一ロシア』党の発展」
 ・五十嵐徳子「タタルスタンのジェンダーの状況」
 ・アレクセイ・レヴィンソン「ロシアの世論研究の歴史と現状:全ロシア世
  論センター(VTSIOM)を中心にして」
 ・津田憂子「ロシア『市民社会』の現代的位相」
 ・横手慎二「プーチン登場以降のロシアの『市民社会』:研究史の試み」
   ・・・などを収録。

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◆イベント情報

○財団法人日本国際フォーラム政策提言「ロシア国家の本質と求められる日本
 の対露戦略」公開報告会
  日時:2008年3月26日(水)18:30〜20:00
  会場:国際文化会館講堂
    (地下鉄麻布十番駅7番出口下車、電話:03-3470-4611)
    基調報告者:袴田茂樹(政策提言タスクフォース主査、青山学院大学教授)
    パネリスト:茂田 宏(元外務省国際情報局長、元駐イスラエル大使)
        布施 裕之(政策提言タスクフォース・メンバー、読売新聞
            東京本社調査研究本部主任研究員)
    司会者:村上 正泰(日本国際フォーラム所長代行研究主幹)
    資料代:2000円を当日受付にてお支払い下さい
     (ただし、日本国際フォーラム会員は無料)

 *詳細・申し込み方法などについて、
  http://www.jfir.or.jp/j/pdf/080326_pr.pdf を参照のこと。

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◆編集後記
 冒頭に紹介したメモリアルコンサートは、筑波大学の国際関係学類で秋野氏
から薫陶を受けた作曲家つね(Tsunenori "Lee" Abe)さんをはじめ、世界で活
躍されている音楽家の皆さんにより作られる場となりそうです。◆コンサート
の実行委員の一人であるMさんによると、つねさんは目下7月に向けて曲作り
のまっ最中とか。これらの新作の一部を披露するコンサートが、1月中旬、東
京・青山のライブハウスでありました。秋野基金事務局として、また、一研究
者としていくつかの宿題を抱えている私は、分野こそ違いますが、似たような
境遇にある「同志」の仕事に接したい一心で、青山の会場に出かけました。◆
ビルの地下にあるライブハウスは100名以上の盛況。コンサート後に別会場
で「同窓会」も企画されていたらしく、筑波大卒業生も多数駆けつけ、和やか
な雰囲気でした。会場からテーマを募ってその場で作品を作ったり、客席をパ
ートごとに分けて全員がコーラスを担当したり、まさに「生」の感覚があふれ
るコンサートでした。この一年を乗り切る「気」をもらったような思いで、家
路に着くことができました。◆さて、私達の基金も、秋野豊没後10年目にあ
たる7月に向け、いくつかの企画を構想中です。メモリアルコンサート前日の
7月18日(金)、早稲田大学・小野梓記念講堂で開催される記念シンポジウ
ムもその一つです。順調に準備が進んでおり、春ごろには皆さんにも概要をお
知らせをすることができると思います。コンサート同様、その場でしか味わう
ことのできない「生」の議論を通じ、秋野氏の業績をしのぶとともに、これか
ら「ユーラシアの平和構築」の実践・研究を担う若い世代との交流の場となれ
ば、と思っています。◆次回のメルマガ配信は3月15日頃を予定しています。
                               (湯浅)
**********************************************************************
ユーラシア・ウォッチ 第127号(2007年3月5日発行)
発行元:秋野豊ユーラシア基金(代表 秋野洋子)
    〒151-0061 渋谷区初台1-51-1 初台センタービル803
編集責任者:広瀬佳一・湯浅 剛
郵便振替02740−2−3000
★ご意見・ご感想はinfo@akinoyutaka.org までお寄せください。
★このメルマガはインターネットの本屋さん『まぐまぐ』(マガジンID:91758)
 および『メルマ!』(マガジンID:m00119358) の発行システムを利用していま
 す。送付先変更・配信解除は、下記のURLからいつでも可能です。
  http://www.akinoyutaka.org/mailmagazine/mailmagazine.html
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