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ユーラシア・ウォッチ 第79号【秋野豊ユーラシア基金】
発行日時: 2005/12/25======================================================================
◆◆ ユーラシア・ウォッチ ◆◆
Eurasia Watch
編集・発行:秋野豊ユーラシア基金
http://www.akinoyutaka.org
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第79号 2005年12月25日
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◇Contents◇
・エッセイ/ゆーらしあの風
あるウズベキスタン人大学院生の訪問(小尾美千代)
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■エッセイ/ゆーらしあの風■
あるウズベキスタン人大学院生の訪問
北九州市立大学外国語学部助教授
(秋野豊ユーラシア基金理事)
小尾美千代
11月に入ったある日、ウズベキスタンの大学院生Sさんが研究室を訪ねてき
ました。Sさんはウズベキスタン共和国タシケント国立東洋学大学国際経済学
部大学院(修士課程)の1年生で、大阪のりんくうポートにある国際交流基金関
西国際センターで9月から4ヶ月間の研修に参加しています。この研修では通常
は日本語の授業を中心とするプログラムが組まれていますが、研究のために各
地を訪問する期間が1週間設けられており、その期間を利用してSさんはまず
東京へ行き、その後、福岡までやってきたのです。私は大学では秋野ゼミでし
たが、大学院以降は日米経済摩擦を中心に経済のグローバル化と国家の関係な
ど、いわゆる国際政治経済学を専門としてきたことから、これまで「ユーラシ
ア」とはあまり縁がありませんでした。そんな私に9月下旬、Sさんから突然メー
ルが来ました。自分は大学院で日米自動車摩擦について研究したいので、相談
に行きたいというのです。
印象的だったのはメールがとてもきれいな日本語で書かれていたことです。
それでも、当初は研修先の誰かにチェックしてもらっているのかと思っていた
のですが、そうでもなさそうだということが、後に研究室に電話を頂いた時に
わかりました。同じ会話であっても、対面ではなく電話ですることはかなり難
しいと思いますが、Sさんはとても流ちょうな日本語を話していました。すっ
かり感心した私は、その後、遅まきながら外務省HPでウズベキスタンについて
調べてみました。それによると、1991年の独立以来、ウズベキスタンにおける
日本語教育の進展はめざましいものがあるそうです。当初はタシケントの大学
1校のみで開始されました日本語教育は、サマルカンド、フェルガナなどの大
学7校、初中等教育機関、日本センター等の一般向け機関に拡大しているそう
です。
研究室でお会いした際に聞いた話によると、Sさんは2年飛び級をしたので16
才で大学に入学し、そこで日本語を4年間勉強したそうです。大学時代に2ヶ月
ほど日本に滞在した経験があるそうですが、基本的に日本語は大学で習得した
そうです。やはり漢字を覚えるのがかなり大変だと言っていましたが、発音が
きれいで会話で使う語彙もとても自然なものでした。「私は日本人ですから。」
と笑顔で言ってしまうようなSさんは、その語学力を活かして、タシケントの
旅行会社で日本語ガイドのアルバイトをしているそうです。ちなみに、ウズベ
キスタンへの旅行については、タシケントに行くよりも直接サマルカンドなど
の観光地に行った方が効率的だし楽しいだろう、と言っていました。もっとも、
そんなルートはまだないし、そんなことになったらタシケントの人は大反対だ
ろうとも言っていましたが。
言語に関しては、ウズベキスタンでも独立後は学校で、ほとんどの人の母語
であるウズベク語を使うようになったため、若い世代ではロシア語を話せる人
が徐々に減少しているそうです。Sさんは共に大学教員であるご両親の方針で
ロシア語も勉強したので、「外国語」としてはロシア語が一番得意だそうです。
もちろん、英語も(日本語ほどではないそうですが)習得中だそうです。
Sさんは12月に帰国した後、上記のテーマで修士論文を執筆するために本格
的に研究を始める予定だそうです。そのため、今後も私とメールを通じたやり
とりが続きそうです。それにしても、ウズベキスタンの留学生が日米自動車摩
擦を研究テーマに選び、私の研究室を訪ねて来る、ということが起こるとは想
像したこともありませんでした。ちなみに私が日米自動車摩擦を研究テーマと
していることはインターネットで知ったそうです。これも情報化社会、グロー
バル化社会の現れといったところなのでしょうか。今回は残念ながらあまり深
く聞くことができなかったので、今度はそもそもSさんが日米経済関係に興味
を持った理由をじっくり聞いてみたいと思っています。 (おび みちよ)
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◆新刊書・論文紹介
冒頭の「○」は単行本や雑誌、「・」は雑誌に掲載された論文を意味します。
価格は原則として総額表示としております。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜《アジア》〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○ベネディクト・アンダーソン(糟谷啓介ほか訳)『比較の亡霊:ナショナリ
ズム・東南アジア・世界』作品社
2005年11月刊(5,800円+税)xiv+621頁
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜《ロシア・中央アジア諸国》〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○松戸清裕『歴史のなかのソ連』(世界史リブレット92)山川出版社
2005年12月刊(729円+税)90頁
・廣瀬陽子「未承認国家と地域の安定化の課題−ナゴルノ・カラバフ紛争を
事例に−」『國際法外交雑誌』第104巻第2号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜《ヨーロッパ》〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○松浦一悦『EU 通貨統合の新展開(Minerva現代経済学叢書80)』
ミネルヴァ書房
2005年12月刊(¥3360円)
・岩間陽子「ドイツ『新世代』政権の誕生とその将来」『海外事情』第53巻
第12号(2005年12月)
・澤江史子「トルコのEU加盟プロセスと民主化」『海外事情』第53巻第12号
(2005年12月)
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◆編集後記
年末恒例のベートーベンの第9交響曲演奏会に行ってきました。この時期は
各地で「第九」が演奏されていますが、ここ数年は躍進めざましい東京フィル
ハーモニー交響楽団に決めています。このオケは最近とても調子が良いようで
定期演奏会なども以前より聴衆が増え、その相乗効果もあってか演奏もスリリ
ングになったと感じられます。◆こうした充実振りの背景には、韓国の世界的
指揮者チョン・ミョンフンが実質的な音楽監督に就任したことが大きく影響し
ているように思います。チョン・ミョンフン率いる東京フィルは先月、韓国、
中国をまわるアジアツアーを敢行し、熱狂的な聴衆に迎えられたようです。◆
内閣府が24日付で発表した「外交に関する世論調査」によると、韓国に対して
「親しみを感じる」と答えた人は51.1%で、最高だった04年調査より5.6ポイ
ント下がったとのことです(10月実施、回答数1,756人)。96年以降、増加傾
向にあった「親しみを感じる」とする人がここに来て減少に転じたのは、やは
り「靖国」に代表される政治的イシューが要因のように思われます。◆いわゆ
る「韓流ブーム」に対しては表面的だとの批判はあるかと思いますが、前記の
東京フィルの例のような文化交流がソフトパワーとして政治的潮流に及ぼす影
響力は、決して軽視できないと感じます。そして少なくとも相互にソフトパワー
を行使・享受できる環境になったことには、素直に喜ぶべきではないかと思い
ます。◆本年最後のメルマガも予定より遅れてしまいました。皆様、どうぞ良
い年をお迎え下さい。次号は1月15日頃配信の予定です。 (広瀬)
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ユーラシア・ウォッチ 第79号(2005年12月25日発行)
発行元:秋野豊ユーラシア基金(代表 秋野洋子)
〒151-0061 渋谷区初台1-51-1 初台センタービル803
編集責任者:広瀬佳一
郵便振替02740−2−3000
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