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21世紀の中国 2004/11/21号
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◇◇【今日の一覧】◇◇
◆[新華タイムズ網北京発]◆
●CBCSD企業社会責任ハイレベル会議に出席
15日、中国企業連合会持続的発展商工委員会CBCSDと世界企業連合会の共催で企
業社会責任ハイレベル会議が開催され、筆者も午前中に出席した。会議では、企業
の社会責任として、環境保全、貧困支援、労働環境保全、職員健康管理、情報公開
等が挙げられ、ヴェオリア、BP、ファラージ、ダウケミカルなどの多国籍企業、
ILO、EU、世銀等の国際機関、国家発改委、太原鋼鉄、清華紫光、中国石油等の中国
企業や政府機関などから多数の参加があった。日本からはソニー関係者と私が参加
していた。
●国際対地観測技術応用展覧会を見学
11月16日から3日間、科技部と宇宙局の主催、国家リモセンセンター、中国スペー
ス技術研究院等の実行により、国際対地観測技術応用展覧会が開催され、著者も18
日に見学した。会場には国土資源部、地震局、気象局、海洋局、測絵局等の観測に
関わる国家機関のほか、リモートセンシング、GIS、GPS方面の研究機関や企業が多
数参加、海外からも英国国家スペースセンター、欧州スペース局、米国国家海洋大
気局やアルゼンチン、タイ、ノルウェイ等の関係機関が出展していた。日本からも
宇宙航空研究開発機構、東京大学工学部、トプコム社が出展していた。
(大野木)
◆[現代中国ライブラリィ]◆
●「市場原理主義」と「イスラム原理主義」の間
9月11日、唯一の超大国の威信が一瞬のテロによって吹き飛んだ。ウォール街は半
壊し、再開後のNY株価は大幅下落となった。世界恐慌と戦争への危機が叫ばれ始め
た。これがポスト湾岸・冷戦の、米国覇権の10年間の結末である。
一極集中のグローバリズムを追求した米国型市場原理主義は、国家と民族と文明を
引き裂いた。その過激な異議申し立てがイスラム原理主義の膨張となってあらわれて
いる。2つの原理主義の果てなき戦いが始まった。しかし、原理主義では何も解決し
ない。いま必要なのは重層的で修正的な世界観の構築である。
マネーゲームの果てのウォール街半壊
雪降る厳寒のアフガンの山岳地帯に泥沼の10年戦争が始まるのだろうか。かつてソ
連が犯した過ちを、あるいは自身がベトナムで犯した過ちを、またもや米国は繰り返
すのだろうか。
確かに、ブッシュは父親の湾岸戦争に倣って、戦争準備に向けて周到な外交工作を
行っているようにみえる。NATO同盟国の結束、ロシアと中国への根回し、パキス
タンを恫喝しての領空通過と国境閉鎖要求など、準備に余念がない。
一方、ビンラディンをかくまうタリバーンは窮地に立っている。敵は強大な米国の
軍事力だけではない。育ての親のパキスタンには見放されたかたちとなった。司令官
のマスードを爆殺された反タリバーンの北部連盟は、米軍に呼応して反撃を開始する
のは必至だ。米国の敵イランも呼応して国境封鎖するだろう。さらに、アフガン民衆
のタリバーン離反も進んでいる。
しかし、周辺各国はしたたかに計算している。ロシアと中国はチェチェンや新疆で
分離運動を抱えており、あわよくば米国がイスラム原理主義者に打撃を与えてくれる
ことを内心期待している。米国の勝利による中央、南アジアでの覇権は断固として望
まないが、しかし、ロ、中はそのことの困難さも熟知している。やりたければやれば
いい、というロシアの突き放した姿勢はその証左だ。
タリバーンを毛嫌いしているイランは、武力行使に反対しつつも、タリバーン退治
と米国への間接協力で、制裁解除の道も開け一石二鳥だ。一方で、内部に親タリバー
ンを抱えるパキスタンのムシャラフ大統領は命がけの賭けに出た。米国に便宜を図る
ことで、敵対政策を改めさせ、カシミールや核問題で見返りを期待する。
周辺国の協力が得られれば、米国はタリバーン潰し、カブール占領も可能だ。しか
し、そこから先が見えない。山岳地帯のアフガンでは、対テロ特殊部隊のデルタ・
フォースといえども、テロの拠点撲滅という所期の目的を達成するのは不可能に近
い。中央アジアから、中東から、ロシアや中国から死をも恐れぬ原理主義者たちが参
戦してくる。戦場は一つではない。米本土で、世界各地で米国の権益が攻撃にさらさ
れるだろう。
10余年間のマネーゲームに飽きた米国民は、その富の象徴ウォール街の攻撃に対し
て、星条旗の下に団結し、久しぶりの愛国心を高揚させている。しかし、その先に
待っているのは泥沼の戦争か報復合戦である。拝金主義に浸ってきたいまの米国民
に、果たしてそうした忍耐力はあるのだろうか。
原理主義と原理主義の戦い
米国の根本的な過ちは冷戦後、湾岸後の世界を読み違えたことにある。「歴史の終
わり」では米欧型の価値観の優位を過信し、「文明の衝突」では複雑で錯綜した現代
世界を単純化してしまった。「ニューエコノミー」では、米国経済は永遠に繁栄する
と錯覚した。それらは全て短絡的な思い込みに過ぎなかった。
米国一極集中を加速させたのが米国型市場原理主義である。冷戦の勝利で、米国は
軍事関連技術を経済活動に取り込み、ITと金融取引で優位に立ち、世界経済の基本
的枠組みを主導した。世界最大の債務国でありながら、基軸通貨ドルを世界に循環さ
せることで、IT産業の資金需要にこたえ、これが米国株価を急騰させ、あくなき国
民の消費欲を高めることで成長を引っ張り、一国繁栄を謳歌した。
世界経済はIT化によって瞬時に巨額の資金の移動が可能になり、その結果、アジ
アや南米などの新興・途上国市場の通貨や財政を直撃した。そして、米国一国の繁栄
のなかで、米国のドル支配、軍事支配、文化支配への不満が途上国、貧困国に鬱積し
た。
米国型市場主義がもたらしたものは勝者と敗者の明確化である。豊かな国はますま
す豊かになり、貧しい国はますます貧しくなる。「貧しい者は努力が足りないから
だ」と、学生時代に平然と言ってのけたというブッシュは、まさに市場原理主義の申
し子であり、勝者の力を背景にミサイル防衛、核軍縮、環境などでユニラテラリズム
(単独行動主義)に走ったのは当然だといえよう。そして、繁栄に取り残された人々
は、自国一国の利益しか追求しなくなった米国への不満を強める。
こうした怒りや危機感がサミット、IMF、WTOなどを標的とする世界レベルで
の市民、若者による反グローバリズム運動につながった。貧しい国は怒った。南アフ
リカの人種差別撤廃会議での過去の奴隷貿易に対する米欧への苛烈な責任追及は象徴
的である。
その米国一極集中の矛盾と不平等に対する怒りが、より過激化なかたちとなったの
がイスラム原理主義だといえる。
イスラム原理主義者たちが米国の市場原理主義に対して攻撃を仕掛けたのは、じつ
に象徴的である。どちらも、文明や経済や国家社会システムに対して、その多様性を
認めず、原理主義的であることでは共通している。
いわば、今回の同時多発テロは、「原理主義対原理主義の戦い」なのである。原理
主義は変化する世界の新しい課題に対して、柔軟的多元的に対応できない。自らの原
理を守るためには妥協しないし、立ち止まって考えることもしない。両者の戦いは報
復が報復を呼ぶ泥沼への道しかない。
米国は威信回復のため、武力報復とともに自国主導の世界経済システムの再構築に
向かうだろう。しかし、再開後のNY株価は、FRBの緊急利下げにもかかわらず大
幅下落となった。「株安はテロへの屈服」(ブッシュ)が現実のものになるのだろう
か。
世界はポスト冷戦、ポスト湾岸戦争の10年間を再考すべきときにきている。一極集
中的なグローバリズムではなく、世界経済の多極化、多様な価値観を認め合う文明間
の対話、南北間の共存を推し進めることが必要である。そうでなければ、この10年間
は世界史レベルでの「失われた10年」になるだろう。(『政策フロンティア』2001年
10月号)
(木原)
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