風のまがりかど その62
発行日時: 2008/1/27
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風のまがりかど
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− その62 −
これから
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まだユーロが使われる前、ヨーロッパではエキュという通貨が使われていた。
そのころのEUはまだECと呼ばれていて、その中で国同士で使われていた
通貨制度らしいのだけれど、そのアジア版でアキュ(ACU)という通貨制
度を検討している、という話をずっと以前に新聞で読んだ記憶がある。
ところが、それ以後ずっとその文字を見たことはなかったので、あれは夢物
語だったのだろうと思っていた。ところが、昨年末だったか新聞でその研究
が続いていて、実現に向けて進んでいるという記事を見つけた。ああ、あれ
は終わっていなかったんだと思って、なにか「偽」の文字が乱れ飛ぶ紙面に
少し明るさを見つけたような気がした。
なんでこんな日経新聞のような話題を出してきたかというと、2008年に
なって、ますます世界は小さくなってきたかのように私には思われるからだ。
ずっと以前から書き続けているように、第二次大戦後、国が民族や地域ごと
に分割されて増えていくことはあっても、統合されたりすることはあり得な
かった。つまり世界は細分化される一方であったのだ。
そうなれば、必然的に色々な交渉ごとは難しくなり、手続きは煩雑さを増す
ことになる。例えば国連に加盟している国が30くらいだとしよう。どれほ
ど議事進行は楽になることだろう。今調べたところでは、国連の昨年11月
の加盟国数は192ヵ国にのぼっているという。こんな多くの国になれば、
利害の対立が複雑になるのは当然の理だ。
そこに逆のベクトルを示したのがヨーロッパだ。欧州連合という新しい枠組
みは、それまでの細分化の方向とまったく反対を示していた。それはもはや
戦争を繰り返さないという反省の元に出てきたもので、長年にわたり焦土と
なることを繰り返してきた独仏が中心となってすすめられてきた。
ただし道のりは決して楽ではなかったし、現在もまだトルコの加盟をはじめ
様々な問題を抱えている。EU憲法も成立はしなかったが、その後修正を経
て新たなかたちで実現に向かっている。問題は常に抱えている。しかし、そ
れを解決するためにいつも粘り強く論議を尽くしていく。こういう過程を経
ながら、EUは前に向かっている。
長くなったけれど、ずっと遠い国々ではなく、このアジアでも共通の通貨を
という発想が出てきたのには現実的な必然性があるからだろう。またアジア
の一部で共通に使える乗り物のカードを作ろうという話も出てきている。こ
ういう考え方の底には、日々多くの人々が飛行機で行ったり来たりしていて
その際に不便なことがたくさんあるからだろう。
私たちの身の回りにあるもので中国製は多い。かつてメイドインジャパンと
いう言葉が流行したけれど、今ではメイドインチャイナなのだ。そして中国
のみならずお隣の韓国、ベトナムやタイの製品も決して少なくない。経済的
にはもはやそれぞれの国々が密接に関連しており、部分的には相当依存した
関係にあるところもある。
私たち自身は毎日案外と狭い範囲で生活しているが、それを背後で支えてい
るのは実はグローバルな経済社会なのだ。この歯車が少し狂ってしまうと、
ガソリンや灯油だけでなく、スーパーの食品や百円ショップのほとんどが手
に入らなくなってしまう。加速度的に進む経済のグローバル化は非常な危う
さもはらんでいるわけだ。
新年早々といってももう一月も終わりに近いのだが、この今年初のメールマ
ガジンは少々筆が滑りすぎて、話が主題からそれてしまった。ただそれてし
まったのには訳があって、かねがね書きたかったことがどんどんと割り込ん
できてしまったからだ、と言える。この中にはまた改めて書き続けたいこと
がいくつも入っているので、いわばこれから書いていくことの土台、ベース
の部分とご承知いただいて、一応頭に入れておいていただきたいことを今回
は書いてきたと思って下さい。
本題に戻って、しかしながら経済は、つまりモノは動くが人はそう簡単には
国境を越えられない。EUは域内での自由な移動を認めているが、それには
またお互いの共通理解が前提として存在しなければならない。それを例えば
アジアで行うには、世界に適用するには、いくつも越えなければならない
ハードルが厳然として存在している。現実には、アメリカなどで9.11以
降は移動がより厳しくチェックされるようになっている。テロリスト対策の
ためだ。
そのような逆風もあるなかで、しかし世界は音楽やファッションなどの文化
で日々緊密な関係が築かれつつある。また半世紀前に、いや四半世紀前に比
べても、確実に世界はそのネットワークを作り上げつつある。文化と一緒に
知らない疫病を持ち込んだり、おかしな薬品を売ろうとする人間も出ては来
るが、それはいつの時代にもあるものだろう。
政治という世界は建前が前提である。国交を樹立する、という宣言をしなけ
れば、交流してはいけない。しかしかつての東欧のようになしくずしになっ
てしまう場合も出てくることをある。それは人々が望んだから、いやそうで
なければ生きていけないと思ったからだろう。ならば、国を越えても確かな
人間関係が築かれていくならば、その上に載った政治も新しい形態に移行
することになっていくと私は考える。
無論、その前にはとても多くの時間、長い歳月が必要だし、必ずそれに逆
行する動きが出てくる。ただし人々の好奇心は止むことがない。100年
後に世界はどのようになっているのか、きっと誰にもその予測は不可能だ
ろう。しかしはっきりしているのは、その時代の人々もまた好奇心旺盛で
知らない国へ行ってみたいに違いないということだ。
縮んでいく世界についてまだまだ書きたいことや話は展開させたいのだが
これ以上長くなると、読んでくださる方々の視力が低下したり肩が凝った
りするのではないかという危惧が強くなってきたので、今回はこのあたり
で終わらせていただきます。
新しいことがはじまるときはいつも不安がつきまとうものです。しかし、
それに負けない前向きな好奇心と知識欲が私たちを引っ張って行ってくれ
るのだと思っています。寒い冬の日、このテーマについてふと何かを思い
ついてもらえればうれしく思います。
>一年で一番寒いという季節だけあって、寒さが身にしみます。どうぞ、
風邪に気をつけてお過ごし下さい。
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■ 2008年1月27日(日曜)発行
□ 発行者:街角の風 mailto:meer@aug.email.ne.jp
■ バックナンバー http://www.asahi-net.or.jp/~fv2y-mrs/magarikado.htm
□ マガジンID 『まぐまぐ』:0000135635 & melma!:m0011841
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