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弁護士が教える男と女の法律戦略

発行日: 2006/7/28

‐‐‐‐弁護士が教える男と女の法律戦略‐‐‐‐


 
▼▼▼ 交渉術 その2 ▼▼▼


 こんにちは。

 弁護士の荘司雅彦(しょうじ まさひこ)です。

 
 先般、日経新聞で「モラル・ハラスメント」
 を取り上げていただいたおかげで、

 かなりの反響をいただいています。

 モラル・ハラスメントの概説書は、

 提唱者であるイルゴイエンヌ先生の著書の訳本がありますが、

 あの本は、はっきり言って「まとまり」に欠ける部分が多く、
 読破するのはかなり大変です。

 私の書いた小説「離婚裁判」は概説書ではありませんが、
 巻末に熊谷さんの書いた一般論が書かれています。

 手っ取り早く概略を知るのには、ちょうどいいと思います。

 勿論、小説の方も、
 先般、毎日放送でラジオ・ドラマ化されましたので、
 面白くて一気に読めるようにしております。

 思いっきり宣伝になりましたが、
 何卒宜しくお願い申し上げます。


 
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 さて、前回は

「交渉の場」に相手をつかせる方法を書いてみました。


 では、「交渉の場」についたとして、

 あくまで「1対1」という前提で、

 交渉が成立する最大の要件は何でしょう?



 それは、

 双方にとってのギリギリの線の範囲内で
 話がまとまることです。


 例えば、鈴木さんは
 100万円なら自家用車を売ってもいいとおもっており、

 相手の佐藤さんが
 その車に出せる金額の限度が120万円だとしたら、

 100万円と120万円の間で
 「交渉」が成立することが多いでしょう。


 そうでなく、

 佐藤さんがその車に出せる金額の限度を
 90万円と考えていれば、

 鈴木さんも佐藤さんも、
 「損をしてまで交渉を成立させたい」と思わない、
 と考えるのが合理的ですので、
 「交渉不成立」となる可能性が大です。



 余談ですが、
 「ことが多い」とか「可能性が大」という表現を用いたのには、
 きちんとした理由があります。

 卑近な例として、ネット・オークションで熱くなる人は、

 買ってしまってから、
「こんなに出すはずじゃなかったのに・・・・・」
 と、後悔することがあるのではないでしょうか?


 人間は、常に合理的に行動するとは限らないのです。


 さて「交渉成立」の可能性が高い場合、

 つまり、双方の満足値が重なっているような場合でも

 その状況にあるかどうかは、
 相手の心が読めない限り双方ともわかりません。


 そういう状況では、現に行っている交渉が、

 「駆け引き」を許すものかどうか?ということが、

 まず大事になってきます。


 海外のみやげ物を売る市場などでは、

 「駆け引き」が慣例というか楽しみの一つにもなっています。

 逆に、アップル・ストアーで「iPod」を買うのに、

 「駆け引き」をしようとする人はいないでしょう?


 「駆け引き」が許される交渉なら、

 拙書「男と女の法律戦略」で書いた
 アンカリング戦略などが役立ちます。

 最初に大きく出て少しづつ譲歩していくやり方です。


 しかし、一般的なビジネス交渉では
 「駆け引き」はあまりお勧めしません。

 「もっと譲歩できるはずだ」
 と相手の思われてしまうと、

 まとまる話もまとまらなくなってしまうからです。


 私自身、弁護士として、素人の相手方に提示する場合は、

 ほとんど「駆け引きなし」の金額を提示していました。

 それで応じていただけなければ、
 裁判所の判断に委ねるということで・・・。

 このように「背水の陣」を敷くと、
 脅されようが泣かれようが、
 提示額を変えることは出来ません。


 相手方に「駆け引き」をしていないと信用していただければ、
 
 他の関連問題も信頼関係を持って協議できるようになります。

 時間的なロスも少なくて済みます。


 ビジネスの場でも、「駆け引きなし」で通す方が、

 有能視されることが多いようです。


 上司と相談して出直すというのが
 従来のわが国の慣例でしたが、

 これは、少なくとも欧米のビジネスマンからは
 軽蔑の目で見られるようです。

 決断が出来ず、自分たちの時間をロスさせる
 無能なヤツと思われるのでしょう。



 もちろん、

 一番いいのは、
 相手の「駆け引きなし」の提示を
 最初に引き出すことでしょう。

 これがわかれば、
 当方の限度額より有利な点で「交渉」がまとまることが
 多いからです。

 こればっかりは、断然、後攻め有利です。


 先に手持ちカードを見せざるを得ないのは、
 大抵、力関係の弱い方ですね。

 ですから、当方が力関係が強いと思ったら、
 相手に先にカードを出させ、

 「駆け引き」なしかどうかを、
 しっかり見極めましょう。


 もし、「駆け引き」のそぶりが見えたら、

 「わが社相手に「駆け引き」をされるのは心外です。
  信頼関係をもてない相手とは、
  誠意を持ったお話は無理ですね」

 と、ぶちかましましょう。


 ちなみに、

 神聖な裁判所は、
 実は「駆け引き」を堂々とやれる場所なのです。

 意外かもしれませんが、

 調停や和解では、
 間に調停委員や裁判官が入りますので、

 「調停委員に説得されてやむなく・・・」

 という論法が通るからです。



 今回は、合理的に「交渉成立」が可能なケースを扱いました。

 次回は、利害が重ならなかった場合の対処法について書く予定です。




_______________________


■■■■■■□  発行者 弁護士 荘司雅彦(しょうじ まさひこ)


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        「父と娘の中学受験奮戦記」 http://blog.livedoor.jp/justice7711/

                「弁護士荘司雅彦のひとりごと」http://justice7711.iza.ne.jp/blog/
             

 
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