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JOG-mel No.549 子供を伸ばす家庭教育
発行日: 2008/5/25■■ Japan On the Globe(549)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■
Common Sense: 子供を伸ばす家庭教育
子どもを健やかに伸ばすには、親の観察力
と愛情が決め手。
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★★本日★★ 弊誌・編集長 伊勢雅臣 講演会
テーマ: 「国際社会と日本の国柄」参加費無料。
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■1.「頭が良い」とは■
「カリスマ家庭教師」として、数百人の子供を一流高校・大学
に送り込んだ松永暢史(のぶふみ)氏は、「頭がいい子」とは
次のような能力を持った子どもだ、と言う。
・どんなことでも的確に判断できる判断力がある
・他人と上手にコミュニケーションがとれる
・好奇心の対象を常に見つけることができ、自己表現がで
きる
・どんなことをやる場合でも、最短距離で習得し、常に自
分が成長し続ける習慣がついている
こういう能力があれば、どんな職業についても、責任ある仕
事をしていけるようになるだろうし、同時に良き伴侶を見つけ、
立派な家庭を作っていくことができるだろう。
氏の言う「頭がよい」とは、単に学校で良い成績をとるとか、
一流校に合格する、というのではない事に注意しよう。一流大
学を出て一流会社に就職しても、適切な判断ができない、とか、
人とのコミュニケーションが不得手で、良い仕事ができない、
という人も少なくない。
逆に学歴はなくとも「頭の良い子」が一流の職人となり、周
囲に頼りにされる充実した一生を送るというケースもよくある。
家庭教師として、松永氏は多くの家庭を見てきた。そして子
供を伸ばす家庭では、いくつかの共通点がある事を発見してき
た。今回はその一部を紹介しよう。
■2.小学校就学前の幼児を伸ばすには■
まず小学校就学前の幼児段階を考えてみよう。たとえば、早
いうちから幼児教室に通わせて、読み書きや英会話を教えた方
が良いのだろうか?
松永氏はそれに反対する。「子どもが何かを習得するには、
必ず最適な時期というものがあります」と言うのである。
室町時代初期に世阿弥(ぜあみ)が残した能の理論書『風姿
花伝』には、次のような一節がある。
この芸において、大方七歳をもて初めとす。このころの
能の稽古、必ずその者自然とし出すことに、得たる風体あ
るべし。
(能は7歳ごろに始めるのがよい。しかしそれは人に言わ
れたのではなく、自分で「ふと」やり始めたことに風情が
ある。
ふとし出さんかかりを、うちまかせて心のままにさすべ
し。さのみ、よき・悪しきとは教ふべからず。あまりにい
たく諫むれば、童は気を失ひて、能ものぐさくなり立ちぬ
れば、やがて能は止まるなり。
(ふとやり始めた時に、その子のやりたいようにやらせる
べきで、あまり、ここがいい、そこがダメなどと教えては
いけない。あまりに厳しく注意すると。子どもはやる気を
失って、能がいやになり、進歩が止まってしまう)
■3.子どもは夢中になって遊んでいる時に伸びていく■
子どもの能力はさまざまな段階を経て、伸びていく。それに
伴って興味の対象も広がっていく。7歳頃になると、親が能を
演ずるのを見て、ふと自分もやってみたいと思い、真似をして
遊ぶ。その遊びの中で、さらに能力と興味が伸びていく。
その段階に達する前に、無理矢理、教え込もうとしても、子
どもには苦痛であり、逆に興味を失って、伸びる機会を奪って
しまう。
文字の習得でも、7歳頃はすんなりと覚えるが、それ以前だ
と苦労する。だから、「小学校就学前に字が書けるようになっ
て欲しい」とか「英会話を学ばせたい」と思って幼児教室など
に通わせても、それは子どもの発達段階を無視した身勝手な望
みであって、子どもにははた迷惑でしかない。
そんなところに通う時間があったら、小さな子どもが集
まる公園に行き、友達同士で水遊びをしたり、砂場で遊ん
だり、泥団子づくりをするほうがよほど子どもの能力と知
能を伸ばしてくれるのです。[1,p185]
子どもは周りの声が聞こえなくなるほど、何かに熱中して、
ずっと遊んでいる時がある。そういう時は、子どもの脳が活性
化して、頭が良くなっている瞬間だ、と松永氏は言う。
親は子どもの言動をよく観察して、今はどのような発達段階
にあり、どんな事に興味を持っているのか、よく観察すること
が大切である。「子どもを伸ばすには、親の観察力が決め手」
というのが、「幼児教育の極意」であると松永氏は説く。
■4.子どもに読み書きへの興味を持たせるには■
それでは、7歳頃の子どもに、読み書きへの興味を持たせる
には、どうしたら良いのか。
もし子どもに文字や数字、あるいは英語などに対する興
味をもたせたいと思うなら、まず親が始めることです。
子どもの目の前でおばあちゃんに手紙を書く姿を見せて
もいいでしょう。英語を学んで、発声練習をする姿を見せ
てもいい。それで子どもが「僕もおばあちゃんに手紙を書
いてみたい」「私も英語で歌ってみたい」と言い出したと
き、初めて教えればいいのです。
弊誌546号[a]では、小学生に『論語』の素読を教える、とい
う伝統的な教育方法が今でも効果を上げている例を紹介したが、
読み書きを急速に習得しうる年頃に、大人と一緒に声を出して
リズムの良い文章を読むという素読は、子どもの発達段階にも
合致し、古典に対する興味を刺激するという意味で、すぐれた
教育方法なのだろう。
また弊誌320号[b]では、就学前の幼児にゲーム感覚で漢字を
教えると、知能が飛躍的に伸びるという教育方法を紹介したが、
これも幼児の図形認識に関する能力が発達しつつある段階に、
複雑な図形からなる漢字に興味を抱かせるからであろう。
■5.学力の基礎は国語力■
次に小学校に入ってから、子どもはいろいろな科目を学ぶが、
頭の良い子に育てるには、それらをどう学ばせたら良いのだろ
うか。松永氏は、こう語る。
親として、まずしっかりと認識してほしいのは、「すべ
ての学力は、国語力が基盤となっている」ということ。
これは、少し想像すればすぐにわかることです。日本で
試験を受ける限り、ごく一部の例外を除いて、問題文は日
本語で書かれています。算数の問題も、理科の問題もそう
だし、英語の問題だって、日本語で書かれています。
すなわち、子どもにとって最も大切な勉強は、国語とい
うことになります。[1,p147]
子どもが算数が分からなくなるきっかけは、文章題を理解で
きないケースが多い、と松永氏は指摘する。したがって算数を
伸ばすためにも、まずは国語力を鍛えねばならないのである。
冒頭にあげた「判断力」にせよ「コミュニケーション能力」
にせよ、国語力が基盤である。人の話を正確に理解できない人
や、自分の考えを簡潔に表現できない人が、立派な判断力やコ
ミュニケーション能力を持てるわけがない。自己表現をしたり、
新しい分野の知識や技術を習得するにしても、同じ事である。
したがって、子どもを伸ばすには、まず国語力から鍛えなけ
ればならない。
■6.国語力は読書から■
それでは国語力はどうやって身につけたら良いのか。
これは決まっています。本をよく読むことです。しかも
押しつけられるのではなく、自分からおもしろがって本を
読むように仕向け、本を読むことが習慣化される必要があ
ります。[1,p148]
読書を習慣づけするには、どうしたら良いのか。小さい頃は
絵本をよく読むものだが、高学年向きの本にステップアップす
ることに失敗して、本を読まなくなってしまう子どもはとても
多い、と松永氏は指摘する。絵本からやや高学年向きの本にス
テップアップさせるには、どのような本を読ませたら良いか?
あなたなら次のどれを選ぶだろうか?
1) 書店に行き、「学校推薦図書」「文部科学省推薦図書」
と銘打ってあるものを目安に買えば間違いない。「○
年生向け」は当然チェックする。
2) どんな本が読みたいのかは、自分にしかわからないも
のだから、子どもに任せる。書店や図書館で子どもが
自分で選び、読めばいい。
3) そのとき子どもが最も興味をもっていることについて
書かれた本を、さまざまなジャンルから選んで与える。
■7.読書の習慣をつけるには■
松永氏はこう勧める。
最も効果的なのは、子どもが興味を持っていることが書
かれている本を選ぶことです。
野球が好きな子なら、『バッテリー』(あさのあつこ著)
を与えてみる。動物が好きな子なら、『シートン動物記』
を与えてみるなど、短くても手頃なものから始め、徐々に
手ごたえのある厚さと内容のある本を与えてみるなどは、
とてもよい方法です。
子どもが「これっておもしろそうだね」と興味を示した
本や事柄があったら、少なくとも次の日までに手に入れて
子どもに渡すことも重要です。どんな場合でも、子どもが
興味を示したときが最大のチャンスなのですから。[1,p92]
したがって、(3)を選ぶのが、子どもを伸ばす親である。(1)
の「推薦図書」は良書の目安ではあるが、子どもに興味のない
本を無理矢理読ませることで、本嫌いにしてしまう危険性があ
る。また(2)の「子どもまかせ」はあまりにも手抜きである。
これでは子どもがどのような事に興味を持っているか、親自身
が知ることができない。
松永氏は、家族揃って、月に一度、書店に行って、全員が自
分の読みたい本を買うことを勧める。そして、買ってきた本を
リビングなど家族の集まる場所に置いておく。すると、子ども
との間で「この本面白かった?」「こういう本が好きなら、次
はこれがお勧めよ」などと会話が増えていく。また子どもが親
の読んでいる本に興味を示す可能性もある。
■8.ゲームばかりやっていると変な顔になる■
そうは言っても、読書よりもテレビ・ゲームの方に興味を持っ
てしまう子どもは多いだろう。子どもがゲームに興味を示した
ら、ゲームをやらせればよいのか?
松永氏は、パソコン・ゲームや携帯ゲームなどを長時間やら
せる事に反対する。子どもの健全な成長にとって「意味のある
遊び」かどうか、という点から考えなければならない、という。
「意味がある遊びかどうか」を見分けるには、子どもの表
情をよく観察することです。目がキラキラと輝いていたり、
見たこともないような真剣な顔をしていたら、それは続け
させるべきでしょう。[1,p121]
逆にゲーム中毒の子は、変な顔になると言う。
それに、私が観察したところ、ゲームに夢中になってい
る子どもというのは、全体的にどんよりした雰囲気になる、
目つきが悪くなるなど、どこかおかしな顔つきになる傾向
が強いものです。
私が指導している子どもたちに「クラスでゲームに夢中
になっている子の顔を思い浮かべてごらん。みんないい顔
しているかな?」と聞くと、ほぼ全員が「変な顔をしてい
る」と答えることからも明らかです。
だから松永氏は子どもたちに「ゲームはいいものか悪いもの
か、わからないけれど、少なくとも変な顔になるよりは、やら
ないほうがいいんじゃない?」と聞くと、ほとんどの子どもは
納得してくれるという。
心の有り様は、自ずから顔つきに表れる。「好奇心の対象を
常に見つけることができ」「常に自分が成長し続ける習慣がつ
いている」ような人は、活き活きとした顔つきになるものだ。
リンカーンは「40歳になったら人は自分の顔に責任を持たねば
ならない」と言った。
■9.家庭教育こそ国を興す基■
「伝説のカリスマ家庭教師」として、数百人の子どもを一流高
校、大学に送り込んだという松永氏の勧める内容が、単に受験
術のテクニックではなく、子どもの健全な発達をベースにして
いる、という点が興味深い。そしてそれは『風姿花伝』や素読
など、日本の伝統的な教育思想に通ずるものがある。
周りの声が聞こえなくなるほど遊びに熱中したり、自分の興
味ある分野でどんどん本を読んでいくような子どもが、勉強に
向かえば、一流校に入れるような学力も身につくのだろう。
逆に、だらだらとテレビ・ゲームを長時間やっているような
子どもに、いくら塾に通わせ、家庭教師をつけて、受験のテク
ニックを教えこんでも、真に頭のよい子には育たない。一流校
を卒業し、一流企業に就職できても、「適切な状況判断ができ
ない」とか、「人とのコミュニケーションが苦手だ」では、立
派な仕事ができるはずもない。
学校の成績や学歴は、子どもの健全な成長の結果としてつい
てくるものである。そして子どもを健やかに伸ばすには、何よ
りも親の観察力と愛情が必要であり、それは教室で多人数を教
える学校教師に任せられない事である。
こういう家庭教育が広がっていけば、活き活きとした顔つき
の日本人が輩出しよう。家庭教育こそ国を興す基である。
(文責:伊勢雅臣)
■リンク■
a. JOG(546) 『論語』が深めた日本の国柄
〜 岩越豊雄著『子供と声を出して読みたい「論語」百章』
『論語』の説く「まごころからの思いやり」は、我が国の国柄
を深めてきた。
http://archive.mag2.com/0000000699/20080504000000000.html
b. JOG(320) 子どもを伸ばす漢字教育
幼稚園児たちは喜んで漢字を覚え、知能指数も高まり、情操
も豊かになっていった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h15/jog320.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
1. 松永暢史『親がお手伝いをさせた子どもは、絶対に頭がよくなる!』★★★、
アスコム、H19
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776204444/japanontheg01-22%22
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■前号「アインシュタインの見た日本」に寄せられたおたより
豊さんより
遅れて近代国家となったわが国では、欧米先進諸国に学ぶこ
とに非常に熱心でした。当然欧米諸国の学者に対しては極めて
尊敬の念が高く、アインシュタインを大歓迎した心理もその辺
りに理由があるのでしょう。それがいつの頃からか夜郎自大に
陥り、欧米を侮るようになり、結局明治時代の旧式な装備で太
平洋戦争を戦う破目になりました。その結果手ひどい惨敗を喫
し、その後遺症は現在まで尾を引いています。
1970年代から90年代初めのころマスコミを中心にもは
や我が国は欧米に学ぶものはないと言う論調が主流を占めた時
期がありました。当時私は重工業メーカーに勤務しておりまし
たが、我々のような実業に携わる人間でこのような考えに同調
する人間は皆無でした。それは我が国の基礎的な技術の殆どが
欧米との技術提携によって得たものであり彼我の技術力の差は
残念ながら画然としていたからです。
自動車や家電、コンピュータなど現在では世界一流と評価さ
れるものでも、それらの開発に携わっている人々で最早外国に
学ぶものはないなどとは考えている人はいないはずです。
現在の中国での過剰なナショナリズム(と言うよりはショー
ビニズムとよぶべきか)は行き着くところ中国は科学技術でも
世界一と云う誤った認識を国民に持たせ、米国と世界の覇権を
争うような事態になりかねません。中国の技術基盤の脆弱さは
我が国の比ではなく、張り子の虎もいいところです。国家が成
熟するまでには時間がかかりますが、それまでに中国が暴発し
なければ良いがと心配です。
■ 編集長・伊勢雅臣より
自信と謙虚さのバランスが、「頭の良い」人の特長ですね。
読者からのご意見をお待ちします。以下の投稿欄または本誌
への返信として、お送り下さい。
掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_res.htm
============================================================
Mail: nihon@mvh.biglobe.ne.jp または本メールへの返信で
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
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http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm
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