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■■ Japan On the Globe(461)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■
The Globe Now: 中国反日外交の迷走
中国の靖国反日外交は迷走を続けつつ、国際
社会にその無理無体をさらけ出してきた。
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■1.燃え上がった「日本の常任理事国入り反対」■
2005(平成17)年3月21日、国連のアナン事務総長は、国
連安全保障理事会の常任理事国増員に関して、「アジアに予定
されている2議席のうち1議席は日本へ行くだろう」と発言し
た。この発言が伝えられた翌日、北京時間の23日から、中国
の3大ポータルサイトにおいて、日本の常任理事国入り反対の
ネット署名が開始された。署名数は29日までに1千万の大台
を超えた。
掲示板では、様々な反対の声の書き込みがなされた。「日本
という豚1匹を常任理事会に入れてはならない。そこは人の集
まる場所だから」「日本に常任理事会入りを許したら、小日本
は必ずや第3次世界大戦を引き起こすに違いない」「そもそも
日本人はこの地球から出ていくべき人種なのだ」「恐れること
は何もない。中国は原子爆弾を持っているではないか。いざと
いう時、一つ使えば良いのだ」
3月24日、中国外交部(外務省にあたる)の劉建超報道官
は定例の記者会見で、署名活動についてコメントした。曰く
「反日感情(の問題)ではなく、日本に対して歴史問題で正確
かつ責任ある態度を求めているもの」 中国政府としては、日
本の常任理事国入りに反対だったが、表だって言うわけにはい
かないので、「民意」を表に立てる戦術をとったのである。
■2.「責任は中国側にはない」■
このコメントは、中国国内では、政府の署名活動に対する容
認と受け止められ、全国の都市や大学で、様々な形の反対運動
が一斉に始まった。「広州市街地で1万人署名、日本の常任理
事国入り反対」「鄭州市中心部1万人集まる」などと中国各地
の新聞やネットニュースが報道した。
こうした運動がエスカレートして、暴動に発展していった。
成都では、4月2日の夕方、数千人の若者たちが、日本の常任
理事国入り反対のデモを繰り広げてから、イトーヨーカドーの
前に集まり、「日本製品ボイコット」と叫びながら、石やパイ
プを使って、店のショーウインドウーを打ち壊した。
翌3日には、広東省の深センで2千人がデモ行進をし、その
一部がジャスコの看板や休憩コーナーを壊して、気勢をあげた。
9日、北京で1万人以上という最大規模のデモが発生、日本
大使館に投石を行った。
10日、中国外交部の秦剛副報道官は、反日デモは、歴史問
題などでの日本の態度と行動を不満とした「自発的行動」と擁
護し、北京の日本大使館などに対する「破壊行為」については
「責任は中国側にはない」とコメントした。
12日の定例記者会見では、秦剛副報道官は再び「今回の抗
議行動は一部の群衆が、歴史問題などに関する日本の誤った見
方への不満から自発的に行ったものだ」との認識を示し、「こ
のような局面に至ったことは日本側に原因があることは明らか
で、(日本は)真剣に反省する必要がある」と述べた。
■3.「火遊び」外交の結果は■
同日、インドを訪問していた温家宝首相は、「アジア人民の
強烈な反応で、日本政府も深く反省するはずだ」と、述べた。
その翌日から、「温首相は我々の良き理解者だ」「温首相万歳」
との書き込みがネット上に殺到した。
4月10日、各地区での反日行動に刺激を受けたように、上
海の南に位置する浙江省東陽の村で化学工場の公害問題をめぐ
り農民ら3−4万人が暴徒化し、治安当局と激しく衝突、多数
の負傷者が出た事件が起こった。[2]
中国政府は反日行動がこうした農民暴動に火をつけたら手に
負えなくなると警戒し、さらに開放経済のショー・ウインドウ
である上海で暴動が起きては、国家の対面に関わると心配しだ
したのだろう。15日には無許可デモを禁止し、違法行為につ
いては厳しく法的責任を追及すると警告、とくに上海市公安当
局は市民にメールで警告文書を流していた[3]。
そうした努力にも関わらず、16日にはデモは上海に飛び火
し、暴徒たちは日本領事館に石やペットボトルを投げて、窓ガ
ラス十数枚を割り、外壁をペンキで汚した。同時に上海市内で
も暴動が発生し、日本料理店やコンビニなど10軒以上の日系
店舗が壊された。
体面を失った中国政府は、全国各地の新聞やテレビを動員し
て「解放時代の愛国主義には理性が必要」「日中友好は両国人
民のためになる」などと宣伝キャンペーンに乗りだし、また反
日運動の中心的人物らの拘束を行った。
反日運動に火をつけて日本に対する政治カードにしようとい
う中国政府の「火遊び」外交によって、自分自身の服にも火が
燃え移り、慌てて消し止めたという形である。この迷走の結果、
中国政府は外国領事館と外国人を守るという国際義務を平気で
放棄しかねない国だ、という国際社会の信用失墜を招いた。
■4.小泉首相との会談を「ドタキャン」した呉儀副首相■
「火遊び」の失敗に懲りたのか、その後、中国政府は対日関係
改善に方針転換した。4月23日、ジャカルタで開かれた「ア
ジア・アフリカ会議」で、胡錦濤主席は小泉首相との首脳会談
に応じた。この会談において「21世紀に向けての日中友好協
力関係の発展」を主旨とする提案が胡錦濤主席からなされた。
その後、京都での日中外相会談が開かれ、5月22日には北京
を訪問した武部自民党幹事長と胡錦濤主席との会談が行われた。
ワンランク下の相手に対し、日曜日であるにも関わらず会談に
応ずるという異例の厚遇ぶりであった。
しかし、その翌日、万博の関係で日本を訪れていた呉儀副首
相が予定していた小泉首相との会談を当日になってキャンセル
して、そのまま帰国していまう、という事件が起こった。一国
の首相に対して、国際外交儀礼を無視した異常な行動である。
当日の夕方、中国外交部は「重要な緊急公務を処理するため」
との報道官談話を出した。しかし、帰国した呉副首相は大連に
一泊した後、そのまま予定されていたモンゴル訪問に出発した
ことから、「緊急公務」云々はウソであったことが明らかとなっ
た。すぐにバレるようなウソをつく所に、中国側のドタバタぶ
りが現れている。
その日に開かれた定例記者会見において、孔泉報道局長は一
転して、「緊急公務」という虚偽の理由を撤回して、「日本の
首相や指導者の最近の言論によって、会談に必要な雰囲気がな
くなったためだ」と指摘した。その理由の一つとして、小泉首
相が16日に「靖国参拝について他国がとやかく言うべきでは
ない」と国会で答弁した事実を挙げているが、それが事実なら、
中国外交部報道官が19日の定例会見で、呉副首相と小泉首相
の会談を日中関係の発展に「極めて重要」と発言していた事の
説明がつかない。
■5.王毅駐日大使、幕引きを要請■
呉副首相の突然の「ドタキャン」の真相はいまだ謎に包まれ
ているが、有力な説として、軍部を中心とする反日強硬派が小
泉首相発言を理由に呉副首相の即刻帰国を要求したという見方
がある[4]。反日強硬派をなだめるために、胡錦濤主席以下が、
ここまでの決断に追い込まれたとすれば、中国外交は国内の権
力争いの結果によってどう転ぶか分からない状況にある、とい
う事になる。
理由はどうあれ、中国政府は国際外交儀礼を平気で破る国だ
という事を、露呈してしまったのである。
5月25日、王毅駐日大使は外務省の谷内正太郎外務事務次
官を訪ね、「これ以上、問題をエスカレートさせるのは両国関
係にとってよくない」と述べ、日本側に幕引きを要請した。
「中国側は、非難の応酬を続ければ国際的に自分たちが不利に
なると判断したのではないか」との見方も政府関係者から出た。
[5]
■6.靖国問題を「国際問題化」する戦術■
12月、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中
韓)の「東アジアサミット」がクアラルンプールで開催された。
9日にはASEAN諸国と中国による外相会議が開催され、中
国の李外相は、靖国問題をとりあげ、対日批判を行った。2日
後の11日にも、李外相は記者会見で靖国問題を取り上げ、
「責任は完全に、日本の個別の指導者の一人にある」と、もう
すぐ到着する予定の小泉首相に対して、先制攻撃を始めた。
12日、温家宝首相がクアラルンプール入りすると、日中韓
首脳会談が延期されたことに関して「主要な原因は日本の指導
者が歴史に正しく対応していないことだ」と直接批判をした。
さらに同日の韓国・盧武鉉大統領との会談でも、「日本の指導
者が靖国参拝を繰り返し、日韓、日中関係に障害を作った」と
非難した。
小泉首相に対する4回もの先制攻撃は、東アジアサミットと
いう舞台で、靖国問題を「国際問題化」しようとする中国側の
戦術だった。かつて、日本から侵略を受けた東南アジア諸国の
支持を得て、日本を孤立化させようとする狙いである。
■7.小泉首相の逆襲■
ところが、この戦術は、小泉首相からの激しい反撃にあった。
東南アジア諸国連合との首脳会談で、小泉首相は靖国参拝につ
いて「戦争を美化するものでなく、二度と戦争を起こさないこ
とを誓うもので、戦没者に哀悼の意を示すものだ」と説明。そ
の上で、「(靖国参拝という)一つの問題で中国は会わないと
言っているが、(これを理由に)首脳会談ができないのは理解
できない」と、中国を名指しで批判した。
この批判に対して、中国外交部の劉建超報道官は「中国政府
の立場は非常に明確であり、変化はない」とコメントしたが、
小泉首相の名指しの逆襲に対する反論としては、あまりに無力
であった。
サミット後の14日に開かれた記者会見においても、小泉首
相は「一人の国民である内閣総理大臣が自分の国の一施設に、
平和への祈りと哀悼の意を示すこと、これを批判する気持ちが
分からない」と述べ、中国を改めて批判した。
温家宝首相は現地にいたが、二度と靖国問題に言及すること
なく、そのまま帰国してしまった。靖国問題を「国際問題化」
しようという戦術は、小泉首相の逆襲により完全な失敗に終わっ
たのである。
結果として残されたのは、中国側がサミット前に靖国問題を
騒ぎ立てたが、小泉首相の正論に何の反論もできずに、尻尾を
巻いて逃げ帰った、という失態だけであった。
■8.小泉首相と前原代表に挟み撃ちにされた中国■
実は、この時、小泉首相には予期せぬ方角から強力な援護射
撃があった。訪中していた民主党の前原誠司代表からである。
前原代表は、中国の軍事力増強について「空軍力、海軍力、
そしてミサイル能力を中心として、(中国軍の)能力が飛躍的
に向上していることに、私は率直に脅威を感じている」との発
言を行った。中国外交部は「中国の一体どこが脅威なのか」と
強く反発するとともに、「日本の政治家は日中友好関係に役立
つ言動をすべきだ」と批判した。日中友好のためには、中国へ
の批判は一切、許されない、という事らしい。
結局、前原代表は要望していた胡錦濤主席との会談は許され
ず、会談相手になったのは外務次官という数段下のレベルであっ
た。わずか一週間前に北京を訪れた福島・社民党党首に、ナン
バー5の曽慶紅・国家副主席が会談したのに比べれば、異例の
冷遇である。
堪忍袋の切れた前原代表は、中国訪問の最終日13日、「自
分たちに都合の悪いことを言う国会議員には会わないという姿
勢なら、仮に靖国の問題が解決したとしても、日中間の問題は
永遠に解決されない」と、中国側の姿勢を強く批判した。
前原代表は「A級戦犯が合祀されている靖国神社へは参拝す
べきでない」と明言して、靖国問題では中国側に同調していた。
それでも「中国脅威論」を述べる前原代表に会わない、という
ことは、「靖国問題さえ中国の言うことを聞けば、後の日中関
係はうまく行く」という観測が完全にウソであったことを事実
で示してしまった事になる。
この日は、奇しくも、小泉首相がクアラルンプールで、「一
つの問題で、首脳会談ができないのは理解できない」と、逆襲
した日でもあった。小泉首相と前原代表の挟み撃ちにあって、
温家宝首相は、黙って帰国するしかなかったのである。
■9.そろそろ「大人のつきあい」を■
この8月15日、小泉首相は靖国神社を参拝した。昨年10
月の参拝時には、中国政府は「(中国の)世論を侮るな」「持
ち上げた石で自分の足を打つ結果になる」と小泉首相への憎悪
をむき出しにした外務省声明を発表していた。
それに比べれば、今回は首相への非難の一方で、「あらゆる
日本の政治家、国民とともに『歴史を鑑(かがみ)に未来に向
かう』精神で両国の平和共存、友好、互恵協力、共同発展に取
り組む」「日本各界の有識者が政治的障害を取り除き、中日関
係を正常な発展軌道に戻す努力をすると信じる」などと、抽象
的な表現で済ませた。[6]
これは次期首相へのメッセージでもあるが、最有力候補であ
る安倍晋三氏自身も靖国参拝を継続する可能性が大きいだけに、
直接的な靖国反対の声をあげて、これ以上、面子をつぶされる
のは、かなわない、という苦慮もにじんでいる。
反日暴動での「火遊び」の末の「火消し」、呉儀副首相のド
タキャン、そして東アジアサミットでの無様な退散と、中国の
反日外交は迷走を続けつつ、国際社会に外交未熟ぶりをさらけ
出してきた。その責任の一端は、今まで中国外交の無理無体を
受け入れてきた日本側にもある。
これを「ジャイアン(中国)によるのび太(日本)いじめ」
と見事な例えで示したのが、「国際派時事コラム『商社マンに
技あり!』の泉幸男氏であった[7]。のび太が成長して、理不
尽ないじめに屈しなくなれば、ジャイアンもいつまでも子どもっ
ぽいいじめを続ける事はできないと悟るだろう。
二人とも、そろそろ「子どもの関係」を脱して、「大人のつ
きあい」を始めるべき年頃である。
(文責:伊勢雅臣)
■リンク■
a. JOG(241) 龍の仮面で綱渡り
強面(こわもて)の中国外交の仮面の裏は?佐々木敏の「龍
の仮面(ペルソナ)」から。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog241.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
1. 石平『日中宿命』★★★、扶桑社、H18
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594051596/japanontheg01-22%22
2. 産経新聞、「中国・浙江省で農民4万人暴動 『反日』と連鎖
の恐れ」、H17.04.13 東京朝刊 3頁
3. 産経新聞、「【主張】反日デモ暴徒化 なぜ暴挙を制止しないか」
H17.04.17 東京朝刊
4. 産経新聞、「【緯度 経度】指導部に対日政策めぐる確執」、
H17.06.04 大阪朝刊
5. 産経新聞、「中国副首相 緊急帰国 王大使『収束』要請 国
際的に不利判断か」、H17.05.27 大阪朝刊
6. 産経新聞、「靖国参拝 中国、次期首相見据えた抗議」
H18.08.16 東京朝刊 1頁
7. 泉幸男、国際派時事コラム「商社マンに技あり!」
第151号、H17.12.21
http://blog.mag2.com/m/log/0000063858/106772004.html?page=2
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■前号「広田弘毅 〜 黙して逝った『A級戦犯』」に寄せられた
おたより
悦子さんより
以前から、広田大臣の絞首刑の不条理さを感じていましたが、
広田氏について、外務大臣として最大の努力を続けられた方と
教えていただき、ありがとうござしました。
マスコミや評論家が、A級戦犯と軽々しく言うときに、いつ
も怒りがこみ上げます。どの立場に立って、このようなおぞま
しい言葉を使うのでしょうか。今回のこのような読み物で、真
実が知らされていくことこそが、不当な裁判で、見せしめとし
て処刑された方々への慰霊になると思います。
■ 編集長・伊勢雅臣より
広田弘毅の言動も知らずに、「A級戦犯」などと中国の口車
に乗って言う輩に、知性の衰弱を感じます。
読者からのご意見をお待ちします。以下の投稿欄または本誌
への返信として、お送り下さい。
掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_res.htm
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Mail: nihon@mvh.biglobe.ne.jp または本メールへの返信で
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