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Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

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JOG-mel No.461 中国反日外交の迷走

発行日: 2006/9/3

■■ Japan On the Globe(461)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

             The Globe Now: 中国反日外交の迷走
    
                 中国の靖国反日外交は迷走を続けつつ、国際
                社会にその無理無体をさらけ出してきた。
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 「東アジア共同体」という絵空事(『Voice』掲載)、 
 「1都6府20県」制のススメ(『諸君!』掲載)、
 そして伊勢雅臣との対談「独立国家とコモン・センス」など、、、
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■1.燃え上がった「日本の常任理事国入り反対」■

     2005(平成17)年3月21日、国連のアナン事務総長は、国
    連安全保障理事会の常任理事国増員に関して、「アジアに予定
    されている2議席のうち1議席は日本へ行くだろう」と発言し
    た。この発言が伝えられた翌日、北京時間の23日から、中国
    の3大ポータルサイトにおいて、日本の常任理事国入り反対の
    ネット署名が開始された。署名数は29日までに1千万の大台
    を超えた。

     掲示板では、様々な反対の声の書き込みがなされた。「日本
    という豚1匹を常任理事会に入れてはならない。そこは人の集
    まる場所だから」「日本に常任理事会入りを許したら、小日本
    は必ずや第3次世界大戦を引き起こすに違いない」「そもそも
    日本人はこの地球から出ていくべき人種なのだ」「恐れること
    は何もない。中国は原子爆弾を持っているではないか。いざと
    いう時、一つ使えば良いのだ」

     3月24日、中国外交部(外務省にあたる)の劉建超報道官
    は定例の記者会見で、署名活動についてコメントした。曰く
    「反日感情(の問題)ではなく、日本に対して歴史問題で正確
    かつ責任ある態度を求めているもの」 中国政府としては、日
    本の常任理事国入りに反対だったが、表だって言うわけにはい
    かないので、「民意」を表に立てる戦術をとったのである。

■2.「責任は中国側にはない」■

     このコメントは、中国国内では、政府の署名活動に対する容
    認と受け止められ、全国の都市や大学で、様々な形の反対運動
    が一斉に始まった。「広州市街地で1万人署名、日本の常任理
    事国入り反対」「鄭州市中心部1万人集まる」などと中国各地
    の新聞やネットニュースが報道した。

     こうした運動がエスカレートして、暴動に発展していった。
    成都では、4月2日の夕方、数千人の若者たちが、日本の常任
    理事国入り反対のデモを繰り広げてから、イトーヨーカドーの
    前に集まり、「日本製品ボイコット」と叫びながら、石やパイ
    プを使って、店のショーウインドウーを打ち壊した。

     翌3日には、広東省の深センで2千人がデモ行進をし、その
    一部がジャスコの看板や休憩コーナーを壊して、気勢をあげた。

     9日、北京で1万人以上という最大規模のデモが発生、日本
    大使館に投石を行った。

     10日、中国外交部の秦剛副報道官は、反日デモは、歴史問
    題などでの日本の態度と行動を不満とした「自発的行動」と擁
    護し、北京の日本大使館などに対する「破壊行為」については
    「責任は中国側にはない」とコメントした。

     12日の定例記者会見では、秦剛副報道官は再び「今回の抗
    議行動は一部の群衆が、歴史問題などに関する日本の誤った見
    方への不満から自発的に行ったものだ」との認識を示し、「こ
    のような局面に至ったことは日本側に原因があることは明らか
    で、(日本は)真剣に反省する必要がある」と述べた。

■3.「火遊び」外交の結果は■

     同日、インドを訪問していた温家宝首相は、「アジア人民の
    強烈な反応で、日本政府も深く反省するはずだ」と、述べた。
    その翌日から、「温首相は我々の良き理解者だ」「温首相万歳」
    との書き込みがネット上に殺到した。

     4月10日、各地区での反日行動に刺激を受けたように、上
    海の南に位置する浙江省東陽の村で化学工場の公害問題をめぐ
    り農民ら3−4万人が暴徒化し、治安当局と激しく衝突、多数
    の負傷者が出た事件が起こった。[2]

     中国政府は反日行動がこうした農民暴動に火をつけたら手に
    負えなくなると警戒し、さらに開放経済のショー・ウインドウ
    である上海で暴動が起きては、国家の対面に関わると心配しだ
    したのだろう。15日には無許可デモを禁止し、違法行為につ
    いては厳しく法的責任を追及すると警告、とくに上海市公安当
    局は市民にメールで警告文書を流していた[3]。

     そうした努力にも関わらず、16日にはデモは上海に飛び火
    し、暴徒たちは日本領事館に石やペットボトルを投げて、窓ガ
    ラス十数枚を割り、外壁をペンキで汚した。同時に上海市内で
    も暴動が発生し、日本料理店やコンビニなど10軒以上の日系
    店舗が壊された。

     体面を失った中国政府は、全国各地の新聞やテレビを動員し
    て「解放時代の愛国主義には理性が必要」「日中友好は両国人
    民のためになる」などと宣伝キャンペーンに乗りだし、また反
    日運動の中心的人物らの拘束を行った。

     反日運動に火をつけて日本に対する政治カードにしようとい
    う中国政府の「火遊び」外交によって、自分自身の服にも火が
    燃え移り、慌てて消し止めたという形である。この迷走の結果、
    中国政府は外国領事館と外国人を守るという国際義務を平気で
    放棄しかねない国だ、という国際社会の信用失墜を招いた。

■4.小泉首相との会談を「ドタキャン」した呉儀副首相■

    「火遊び」の失敗に懲りたのか、その後、中国政府は対日関係
    改善に方針転換した。4月23日、ジャカルタで開かれた「ア
    ジア・アフリカ会議」で、胡錦濤主席は小泉首相との首脳会談
    に応じた。この会談において「21世紀に向けての日中友好協
    力関係の発展」を主旨とする提案が胡錦濤主席からなされた。
    その後、京都での日中外相会談が開かれ、5月22日には北京
    を訪問した武部自民党幹事長と胡錦濤主席との会談が行われた。
    ワンランク下の相手に対し、日曜日であるにも関わらず会談に
    応ずるという異例の厚遇ぶりであった。

     しかし、その翌日、万博の関係で日本を訪れていた呉儀副首
    相が予定していた小泉首相との会談を当日になってキャンセル
    して、そのまま帰国していまう、という事件が起こった。一国
    の首相に対して、国際外交儀礼を無視した異常な行動である。

     当日の夕方、中国外交部は「重要な緊急公務を処理するため」
    との報道官談話を出した。しかし、帰国した呉副首相は大連に
    一泊した後、そのまま予定されていたモンゴル訪問に出発した
    ことから、「緊急公務」云々はウソであったことが明らかとなっ
    た。すぐにバレるようなウソをつく所に、中国側のドタバタぶ
    りが現れている。

     その日に開かれた定例記者会見において、孔泉報道局長は一
    転して、「緊急公務」という虚偽の理由を撤回して、「日本の
    首相や指導者の最近の言論によって、会談に必要な雰囲気がな
    くなったためだ」と指摘した。その理由の一つとして、小泉首
    相が16日に「靖国参拝について他国がとやかく言うべきでは
    ない」と国会で答弁した事実を挙げているが、それが事実なら、
    中国外交部報道官が19日の定例会見で、呉副首相と小泉首相
    の会談を日中関係の発展に「極めて重要」と発言していた事の
    説明がつかない。

■5.王毅駐日大使、幕引きを要請■

     呉副首相の突然の「ドタキャン」の真相はいまだ謎に包まれ
    ているが、有力な説として、軍部を中心とする反日強硬派が小
    泉首相発言を理由に呉副首相の即刻帰国を要求したという見方
    がある[4]。反日強硬派をなだめるために、胡錦濤主席以下が、
    ここまでの決断に追い込まれたとすれば、中国外交は国内の権
    力争いの結果によってどう転ぶか分からない状況にある、とい
    う事になる。

     理由はどうあれ、中国政府は国際外交儀礼を平気で破る国だ
    という事を、露呈してしまったのである。

     5月25日、王毅駐日大使は外務省の谷内正太郎外務事務次
    官を訪ね、「これ以上、問題をエスカレートさせるのは両国関
    係にとってよくない」と述べ、日本側に幕引きを要請した。
    「中国側は、非難の応酬を続ければ国際的に自分たちが不利に
    なると判断したのではないか」との見方も政府関係者から出た。
    [5]

■6.靖国問題を「国際問題化」する戦術■

     12月、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中
    韓)の「東アジアサミット」がクアラルンプールで開催された。
    9日にはASEAN諸国と中国による外相会議が開催され、中
    国の李外相は、靖国問題をとりあげ、対日批判を行った。2日
    後の11日にも、李外相は記者会見で靖国問題を取り上げ、
    「責任は完全に、日本の個別の指導者の一人にある」と、もう
    すぐ到着する予定の小泉首相に対して、先制攻撃を始めた。

     12日、温家宝首相がクアラルンプール入りすると、日中韓
    首脳会談が延期されたことに関して「主要な原因は日本の指導
    者が歴史に正しく対応していないことだ」と直接批判をした。
    さらに同日の韓国・盧武鉉大統領との会談でも、「日本の指導
    者が靖国参拝を繰り返し、日韓、日中関係に障害を作った」と
    非難した。

     小泉首相に対する4回もの先制攻撃は、東アジアサミットと
    いう舞台で、靖国問題を「国際問題化」しようとする中国側の
    戦術だった。かつて、日本から侵略を受けた東南アジア諸国の
    支持を得て、日本を孤立化させようとする狙いである。

■7.小泉首相の逆襲■

     ところが、この戦術は、小泉首相からの激しい反撃にあった。
    東南アジア諸国連合との首脳会談で、小泉首相は靖国参拝につ
    いて「戦争を美化するものでなく、二度と戦争を起こさないこ
    とを誓うもので、戦没者に哀悼の意を示すものだ」と説明。そ
    の上で、「(靖国参拝という)一つの問題で中国は会わないと
    言っているが、(これを理由に)首脳会談ができないのは理解
    できない」と、中国を名指しで批判した。

     この批判に対して、中国外交部の劉建超報道官は「中国政府
    の立場は非常に明確であり、変化はない」とコメントしたが、
    小泉首相の名指しの逆襲に対する反論としては、あまりに無力
    であった。

     サミット後の14日に開かれた記者会見においても、小泉首
    相は「一人の国民である内閣総理大臣が自分の国の一施設に、
    平和への祈りと哀悼の意を示すこと、これを批判する気持ちが
    分からない」と述べ、中国を改めて批判した。

     温家宝首相は現地にいたが、二度と靖国問題に言及すること
    なく、そのまま帰国してしまった。靖国問題を「国際問題化」
    しようという戦術は、小泉首相の逆襲により完全な失敗に終わっ
    たのである。

     結果として残されたのは、中国側がサミット前に靖国問題を
    騒ぎ立てたが、小泉首相の正論に何の反論もできずに、尻尾を
    巻いて逃げ帰った、という失態だけであった。

■8.小泉首相と前原代表に挟み撃ちにされた中国■

     実は、この時、小泉首相には予期せぬ方角から強力な援護射
    撃があった。訪中していた民主党の前原誠司代表からである。

     前原代表は、中国の軍事力増強について「空軍力、海軍力、
    そしてミサイル能力を中心として、(中国軍の)能力が飛躍的
    に向上していることに、私は率直に脅威を感じている」との発
    言を行った。中国外交部は「中国の一体どこが脅威なのか」と
    強く反発するとともに、「日本の政治家は日中友好関係に役立
    つ言動をすべきだ」と批判した。日中友好のためには、中国へ
    の批判は一切、許されない、という事らしい。

     結局、前原代表は要望していた胡錦濤主席との会談は許され
    ず、会談相手になったのは外務次官という数段下のレベルであっ
    た。わずか一週間前に北京を訪れた福島・社民党党首に、ナン
    バー5の曽慶紅・国家副主席が会談したのに比べれば、異例の
    冷遇である。

     堪忍袋の切れた前原代表は、中国訪問の最終日13日、「自
    分たちに都合の悪いことを言う国会議員には会わないという姿
    勢なら、仮に靖国の問題が解決したとしても、日中間の問題は
    永遠に解決されない」と、中国側の姿勢を強く批判した。

     前原代表は「A級戦犯が合祀されている靖国神社へは参拝す
    べきでない」と明言して、靖国問題では中国側に同調していた。
    それでも「中国脅威論」を述べる前原代表に会わない、という
    ことは、「靖国問題さえ中国の言うことを聞けば、後の日中関
    係はうまく行く」という観測が完全にウソであったことを事実
    で示してしまった事になる。

     この日は、奇しくも、小泉首相がクアラルンプールで、「一
    つの問題で、首脳会談ができないのは理解できない」と、逆襲
    した日でもあった。小泉首相と前原代表の挟み撃ちにあって、
    温家宝首相は、黙って帰国するしかなかったのである。

■9.そろそろ「大人のつきあい」を■

     この8月15日、小泉首相は靖国神社を参拝した。昨年10
    月の参拝時には、中国政府は「(中国の)世論を侮るな」「持
    ち上げた石で自分の足を打つ結果になる」と小泉首相への憎悪
    をむき出しにした外務省声明を発表していた。

     それに比べれば、今回は首相への非難の一方で、「あらゆる
    日本の政治家、国民とともに『歴史を鑑(かがみ)に未来に向
    かう』精神で両国の平和共存、友好、互恵協力、共同発展に取
    り組む」「日本各界の有識者が政治的障害を取り除き、中日関
    係を正常な発展軌道に戻す努力をすると信じる」などと、抽象
    的な表現で済ませた。[6]

     これは次期首相へのメッセージでもあるが、最有力候補であ
    る安倍晋三氏自身も靖国参拝を継続する可能性が大きいだけに、
    直接的な靖国反対の声をあげて、これ以上、面子をつぶされる
    のは、かなわない、という苦慮もにじんでいる。

     反日暴動での「火遊び」の末の「火消し」、呉儀副首相のド
    タキャン、そして東アジアサミットでの無様な退散と、中国の
    反日外交は迷走を続けつつ、国際社会に外交未熟ぶりをさらけ
    出してきた。その責任の一端は、今まで中国外交の無理無体を
    受け入れてきた日本側にもある。

     これを「ジャイアン(中国)によるのび太(日本)いじめ」
    と見事な例えで示したのが、「国際派時事コラム『商社マンに
    技あり!』の泉幸男氏であった[7]。のび太が成長して、理不
    尽ないじめに屈しなくなれば、ジャイアンもいつまでも子どもっ
    ぽいいじめを続ける事はできないと悟るだろう。

     二人とも、そろそろ「子どもの関係」を脱して、「大人のつ
    きあい」を始めるべき年頃である。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(241) 龍の仮面で綱渡り
    強面(こわもて)の中国外交の仮面の裏は?佐々木敏の「龍
   の仮面(ペルソナ)」から。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog241.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 石平『日中宿命』★★★、扶桑社、H18
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594051596/japanontheg01-22%22
2. 産経新聞、「中国・浙江省で農民4万人暴動 『反日』と連鎖
   の恐れ」、H17.04.13 東京朝刊 3頁
3. 産経新聞、「【主張】反日デモ暴徒化 なぜ暴挙を制止しないか」
   H17.04.17 東京朝刊
4. 産経新聞、「【緯度 経度】指導部に対日政策めぐる確執」、
   H17.06.04 大阪朝刊
5. 産経新聞、「中国副首相 緊急帰国 王大使『収束』要請 国
   際的に不利判断か」、H17.05.27 大阪朝刊
6. 産経新聞、「靖国参拝 中国、次期首相見据えた抗議」
   H18.08.16 東京朝刊 1頁
7. 泉幸男、国際派時事コラム「商社マンに技あり!」
   第151号、H17.12.21
   http://blog.mag2.com/m/log/0000063858/106772004.html?page=2

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■前号「広田弘毅 〜 黙して逝った『A級戦犯』」に寄せられた
  おたより

                                                 悦子さんより
     以前から、広田大臣の絞首刑の不条理さを感じていましたが、
    広田氏について、外務大臣として最大の努力を続けられた方と
    教えていただき、ありがとうござしました。

     マスコミや評論家が、A級戦犯と軽々しく言うときに、いつ
    も怒りがこみ上げます。どの立場に立って、このようなおぞま
    しい言葉を使うのでしょうか。今回のこのような読み物で、真
    実が知らされていくことこそが、不当な裁判で、見せしめとし
    て処刑された方々への慰霊になると思います。
    
■ 編集長・伊勢雅臣より

     広田弘毅の言動も知らずに、「A級戦犯」などと中国の口車
    に乗って言う輩に、知性の衰弱を感じます。

     読者からのご意見をお待ちします。以下の投稿欄または本誌
    への返信として、お送り下さい。
     掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
    http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_res.htm

============================================================
Mail: nihon@mvh.biglobe.ne.jp または本メールへの返信で
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
姉妹誌「国際派日本人のための情報ファイル」JOG Wing
             http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm
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