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先生、頑張って! 指示や依頼の要諦・ポイント

発行日: 2004/6/20

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メールマガジン【先生、頑張って!】
 2004年6月20日:第9号
      今回の項目
      ■指示や依頼の要諦・ポイント
      ■率先垂範ができない状況
      ■依頼時点の心構え
      ■依頼後・仕事完了前の場合
      ■仕事終了時

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 今回は、人に動いてもらうための指示や依頼の要諦・ポイントについて、
考えてみたいと思います。教育指導などにも必要とされる考え方と思います。

■指示や依頼の要諦・ポイント
 人、特に誇り高い先生方に、動いてもらう場合の依頼・指示の要諦・ポイ
ントは、どういうことになるでしょうか?
皆さんの、自分なりに考えたポイントはどういうものでしょうか?

 現在まで人生の先輩の方々に、この点をおうかがいしても、その人なりに
体系的に即答していただけた経験が、残念ながら少なかった記憶があります。
忙しすぎて、じっくり考える時間も無かったのか、と思います。

 ほめて指導しなさいとか、叱り方に気をつけなさい等々の話は、よく聞い
たのではないでしょうか。
また、管理職の方の場合は、元帥・山本五十六の、“やってみて、言って聞か
せて、させてみて、ほめてやらずば、人は動かず”、という言葉を引用される
ことが多かったように思います。

 もっともなことで、異論がある方はいないのではないでしょうか。
ですが、いざ実行の段階になると、このようにはいかないことを日々経験して
いるのは私だけではないでしょう。重要な最初の段階・率先垂範を実行するに
は、難しい場合が多いように思います。
 
 顧客の所にうかがう営業マンや店舗に来た顧客に個々に対応する販売員さん達
と異なり、圧倒的多数(40対1)のお客さん(生徒)がいつも張り付いている教
師・担任にとっては、顧客・生徒相手ばかりではなく、マニュアルも無い日常業
務もこなすために、各自個別の課題で、忙しい時間を送っており、他の先生に率
先垂範などしている場合がないのではないでしょうか。
比較的時間の余裕がある教育管理職でさえ、教師に率先垂範をしたのを見た事は
ありませんでした。

        誤解をさけるために、蛇足ながら述べますが、教育管理職が比
       較的に時間的な余裕があることを批判的に皮肉っているのでは
       ありません。組織論的に言っても、管理職は非常時待機の責務も
       ありますので、いざ、という時に責任者として責任ある行動をと
       るために、時間的余裕が必要であるべきことは十分承知してい
       ます。ここで指摘しているのは、客観的事実としても率先垂範が
       できる場合は少なく難しい、いうことを言うために、例として出
       しました。

■率先垂範ができない状況
 率先垂範ができない状況であることが前提で、先生方に、動いてもらう場合の依
頼・指示する時に心掛けていることを次に記したいと思います。文化祭活動などの
生徒への指導にも、ここに記した内容を心掛けています。

 企業のような上下関係や指揮命令系統が、組織的に整備ならびに周知されてい
ない学校組織では、先生方は依頼や指示に慣れていません。それぞれが一国一城
の城主のような誇りをもっていますので、一度でも失敗するとお互いの人間関係
の修復が困難になる場合が多いため、細心の注意が必要です。

 下記の内容の前段階として、たとえ年下・後輩でも、同じ分掌内の仕事上の業
務であっても、相手にお願い拝み倒すくらいの心構えで、腰を低くしてお願い口
調で言う必要があると考えています。

        主幹や教頭・副校長になってさえもこの方法ができない方は、
       多くの人を心から率いることはできないではないでしょうか。
       現在も反発を受けている管理職の方はこの点も考えて、自らの姿
       勢を振り返られると良いのではないでしょうか。小学校や中学校
       と比較して、多数の教職員による共同作業体験が少ない高校教師
       の場合、共同作業や日々の相互のコミュニケーションが少ないた
       めに、学校全体への視点がない一国一城の“城主先生”が多い。
       このため、感情的な受け取り方をされる場合が多く、感情を害
       され、反発され、より一層困難になるでしょう。

■依頼時点の心構え
 私にとって依頼時点の心構えは、以下の如くです。
参考になる部分がありましたら、ご活用下さい。

1.手順書・作業マニュアルを提供するか、それに近い段階的かつ詳細な具体的
 指示をする。
    段取りを書いた文書かメモを渡す。

2.理想としての目標、最高目標を言うが、可能ならば、という前提であることを
 伝える。
    教師は、他の職業と比べて、異常に失敗を恐れる体質のため、高い目標を
   示すと失敗を恐れて、本能的に拒絶する人が多い。年配者や”成績優秀な”
   一流大学出身者、あるいは問題が無い優良高校勤務経験者は、特にこの傾向
   がありますので、注意が必要です。

3.最もしてはいけないこと、しないで欲しいこと、致命的なマイナスを将来して
 しまうことを具体的に前もって言っておくこと。

    万が一、してはいけないことをしてしまった時に生ずることを具体的
   言う。この結果として起こる大変なことを具体的に言わないと、安易にし
   てしまう教師が多い。共同作業で鍛えられるサラリーマンの世界とは異
   なり、教科外の業務についての十分なマニュアルや過去の記録が十分整備
   されていない学校では、我流でマイペースでお手盛りで行う教師が多い
   ため、この点が特に重要です。

4.最低限度の達成要求事項。
    最低限に達成して欲しいものは、具体的に伝えること。
   一つだけを明示するよりも、できることなら、達成希望順に列挙しておく
   と良い。生徒に対しても同様ですが、最低限度の達成希望内容がより明確
   になるからです。

5.ミスからの回復の手順の例示。
    ミスしたと思った時点で、すぐに連絡して欲しいことと、連絡ができない
   場合は、仕事を停止するか、応急措置を前もって指示しておく。
   ここで重要なことは、ミスしてもいいし、誰しがもミスすることを伝えて、
   安心させる意味を含んでいます。また、“ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・
   相談)”の言葉は知っていても、身についていない教師は、ミスしても知ら
   せずに我流で押し進めて、大事件を起こしてから事後報告する場合が多いの
   で、それを防ぐ意味もあります。

6.途中経過報告時点と期限
    ミスが無かろうと、一定の時点で途中経過報告をしてもらうため、その時
   点を前もって具体的に明確に伝えておく。これは、前のものと同様に、“ホ
   ウ・レン・ソウ”が身についていない場合が多いためです。
    依頼した仕事の期限を明確に示さないと、我流でマイペースで行う教師    は、後回しにして直前で、やっつけ仕事をする場合が多いからです。

7.自分・依頼者への注意事項
    依頼者である自分の時間別の居所や連絡方法などの諸注意事項を前もって
   伝えておく。

■依頼後・仕事完了前の場合
 仕事を依頼し、相手が仕事をしている途中で重要なことは、依頼したという姿
勢を公に示すことです。例外的に公にできない仕事は別として、お願いしてやっ
てもらっているという姿勢を示すべきです。

 残念なことですが、この姿勢をきちんと公に示して人を動かしている教育管理
職の方はきわめて少ないように思います。私の体験では、ほとんど見た事もされ
たこともないです。この点が最も寂しいことことです。

 依頼を受けた相手は、与えられた仕事に自分なりの創意工夫を入れることは
しないでしょう。最低限度のことを最低レベルの心がけで単に処理をするだけで
しょう。人に名誉を与え、ミスしても許されるという環境の下で、思い切り挑戦
的に創意工夫を凝らしてやってみてください、というのが、潜在能力を発揮させ
る指導・依頼の仕方と思います。

       コーチングと同様ですが、この方法は、相手にすべてを任せて
      しまう自由放任・丸投げではありません。上記に示した留意点(経
      過報告など)以外でも、途中で声をかけることもします。ただし、
      他の先生方がいない時を選びます。どうしても同席教師を避けられ
      ないときは、頑張ってやってくれているね、という雰囲気にしま
      す。あくまでも本人自身の創意工夫で完成した、という形にしま
      す。ただし、個別ではなく委員会や分掌などのチーム・グループに
      依頼する場合は、この限りではありません。

■仕事終了時
 依頼仕事あるいは指導にコミットメントした以上は、先輩教師・依頼者として
後輩教師・被依頼者に対する場合には、最後の責任を取ることが最も重要なこと
だと思います。

        単に仕事にかかわるという日本社会的な意訳がされています
       が、コミットメントとは結果最終責任をとることを前提にして
       仕事にかかわることです。すくなくとも、日産自動車のゴーン
       社長は、その意味で使っていますし、私も米国のMBA経営大
       学院エグゼクテイブプログラムでは、このように教えられまし
       た。

 失敗した時が、最も依頼者の人間としての器が測られています。このことに
気づかずに、部下や後輩を責めている上司・管理職を多く見てきました。
指示や依頼の手続きが完璧ならば、ミスも無く、最低限の達成目標は達成される
はずで、それができなかったならば、指示した自分の方法が悪かったのではない
でしょうか。心がけとして、必要な考えではないでしょうか。

 たとえ、相手が不器用でも、指示方法を高度化する機会が与えられたと考えれ
ばいいと思います。その姿勢を周囲の人が見ていて、この人の指示の下で動いて
も大丈夫かを考えています。生徒も同様です。信頼できるかどうか、を見てい
ます。

        安定的収入のために教師になった人はいるでしょうが、より多
       くの収入を稼ぐために教師になる人は皆無でしょう。教師はより
       多くの収入のためよりも、名誉・世間体を重視します。このこと
       を十分理解して欲しいと思います。すでにお気づきの方もいらっ
       しゃると思いますが、以前のメルマガで触れた、手柄を取らせ
       て、名誉を与えて動かす、ということは、このことに配慮した
       方法です。学校の世界では特に有効です。世間では当然のように
       使われているにもかかわらず、学校社会、特に教師間ではほとん
       ど使われていません。教師は、相手が誰であろうとも、人育ての
       専門家でありたいものです。

 先生、頑張って!

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■発行者: 福沢吉明
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