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見聞録▼193−2 生きものとしての「自分のゲノム」を考える
発行日時: 2008/3/62008年3月6日−木
今週は、2月4日(月)の夜、新国立劇場(中劇場)で催された「科学と音楽の
夕べ」で、お聞きした中村桂子氏に触発されて『中村桂子氏の「ゲノムを持って
生きてきたあなた」』を取り上げている。
前回は「糖尿病の遺伝子?・・そもそも遺伝子とはそういうものではない」でス
タートしたが、2回目の今回は「生きものとしての 自分のゲノム を考える」
と題して取り上げたい。 引き続き中村桂子・山岸敦:共著 「生きている」を
見つめる医療 から引用したい。
中村桂子氏の考えは、「我々は、ヒトであると同時に生きものである」という。
「19世紀に生物学の中で、生きもの全てが持っている特徴がわかってきた。
それは生物は進化し、細胞でできており、遺伝子を伝え、化学反応に支えられて
いる事である。 20世紀になると、細胞の中には必ずDNAが入っている事、
DNAが遺伝子の本体である事、DNAはRNAを通してタンパク質を作り、そ
れがはたらいて全ての生きものは生きているのだという事がわかった。
全ての生きものの中には、もちろんヒトも入っている。 現代の生命科学は、生
きものを知る事と人間を知る事が、分かちがたく結びついていることを示したの
である。
地球上の多様な生きものの一つ、ホモ・サピエンスとしてのヒトと、社会的存在
としての人間。 我々は、ヒトでも人間でもあるという両面を考え合わせること
が大事である」という、書き出しで始まっている。
「我々は、ヒトであると同時に生きものである」 こう考える事は、我々は日常
ではそれほどに意識していない。 この両面に思いをはせる事から、問いかけが
始まっているが、あらためて、「生きものとは何か、ヒトとは何か」を考え、そ
の中での「人間としての自分」を考えていかなければならない、という事に気づ
かされる。
更に、氏のライフワークとして、創発されているのが「生命誌」という考え方で
ある。 「科学」ではなく「誌」。 誌=ヒストリーは、歴史物語という意味を
持っていて、生きものの歴史や関係を知り、その中での人間の歴史や関係を考え
ていく。 (ヒストリーとくれば、「史」 と考えるのが、一般的だと思える
が、敢えて「誌」とされるところが、氏のこだわりと考えて良いのかもしれな
い)
さて、氏の記述によれば、「ゲノム」という言葉はドイツの生物学者ヴィンク
ラーが遺伝子と染色体からの造語と言われている、とある。
生命誌では、生きものを考える時、細脳内に入っている全DNAを、ひとまとま
りと考えてゲノムという。 ゲノムは、細胞の中にあるDNAの総体をさす。
ヒトの細胞にはヒトゲノム、大腸菌には大腸菌ゲノムがあり、そのはたらきがヒ
トをヒトとし、大腸菌を大腸菌とするのである。
ゲノムは、生きものそれぞれの特徴の基本を決めるもので、同じヒトでも一人一
人の持つゲノムにはそれぞれ特徴がある。 つまりゲノムを見ると、多様な生き
ものとつながりながらヒトという特徴を持ち、ヒトとして人類全てとつながりな
がら自分という特徴を特つ、個人が浮かび上がるのである。
更に「自分のゲノム」は、両親から受け継ぐものですから、それを遡れば人類の
歴史が見え、更には地球上に生命が誕生してから38億年の歴史が見えてくるの
である。
正に長い長い歴史と、とても多様な関係の中にある「自分」が浮かび上がる。
閉じた自分ではなく開いた自分。 ゲノムを切り口として考える意味はここにあ
る。
今日の引用資料
中村桂子・山岸敦:共著 「生きている」を見つめる医療
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4332893%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f12021914%2f
■193−中村桂子氏の「ゲノムを持って生きてきたあなた」
▼193−2 生きものとしての「自分のゲノム」を考える
本文はこちらから
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