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見聞録▼189−4 「日本における柔道離れ、フランスでの柔道の隆盛は、なぜ?−後編」(FIN)

発行日時: 2008/2/12

2007月2月12日(火)

前回は、フランスでの柔道の隆盛に力をつくした「道上伯(みちがみ はく)
氏」を取り上げた。  読者諸氏の多くは、フランスの柔道の隆盛に、道上伯氏
なる人物が関わっているという事を初めて知ったのではないだろうか。

きしくもフランス国際柔道大会において、期待の井上康生氏が、フランスの選手
に敗れるというニュースが飛び込んだ。 大会2連覇を狙い3試合のうち2試合
で一本勝ちし、準決勝に進出。 準決勝では長身のリネールを攻めあぐね、延長
戦で背負い投げを返され、効果を奪われ敗退。 3位決定戦でも一本負けし、北
京の代表争いでは厳しい立場になった。

なぜ、この人には不運が付きまとうのか。 今年を「特別な一年」と言い、会場
には1月に結婚した亜希夫人も応援に駆け付けていたが、3位決定戦でも敗れ、
顔を覆いながら泣き崩れた。 シドニーオリンピックの王者は、道を切り開くこ
とができるだろうか。
 
同書から、フランスに遅れをとっている事について、千葉県の調査に基づく考察
の部分を、付け加えておきたい。

中学時代の部活に満足できず、高校では柔道を続けなかった者のうち、中学の柔
道部に「満足していない」と答えた者が24.2%、更にその中の35.9%がそ
の理由を「満足する試合結果が残せなかった」ためと答えており、ここでも多く
が「勝ち負け」に固執しでいる事が分かる。  

この例の様に「勝ち負け」だけを柔道の魅力とみなすならば、フランスで柔道が
愛好されている事の説明かつかない。 フランスでも、負けが込んだ者は脱落し
ていく筈である。 とすればフランスでは、柔道が、試合で負けただけで止めて
しまおうとは思わないだけの魅力を子供達に与えている事になる。

暴力的な少年犯罪が頻発していると報じられている昨今である。 わが子が力を
あり余らせている現実を見いる親世代は、柔道に対し、礼法や心身鍛錬を通じて
克己心や自制心、協調性を養う事を求めている。

一方、中学・高校の部活の指導者は、勝ち負けにこだわって指導している。 更
に、柔道は禁じ手の多さが武術として魅力を減じているという解釈もある。 そ
して生徒達は、試合での敗北から受ける精神的なダメージや他の魅力ある分野へ
の興味を乗り越えてまで、柔道をやりつづける意義を感じていない。

一方、フランスでは、柔道で体験される「道徳性」にが注目されている。 そし
て現在の日本のスポーツ行政が求めているものを先取りしているともいえる。

さて、最終回後編の今回は、ヨーロッパで柔道を普及させた道上伯氏をして、そ
の行動に駆り立てた大きな要因は何か?  松原隆一郎氏の著書「武道を生き
る」から、「明治から終戦までの柔道界と、戦後駐留したGHQの処置が、柔道
界に大きな影響を及ぼし現在に至っている」という指摘を取り上げて、今週の締
めとしたい。

ところで、今回引用している「武道を生きる」の著者である松原隆一郎氏は、東
大大学院で社会経済学を専攻する教授である。 そして同大学の「柔道部部長」
で、空手道三段の武人としての立場から、この著書のあとがきに注目したい。

さすがに社会経済学を専攻する教授らしく、講道館が標榜している「子供に教育
としての効果をもたらす柔道」の在り方から、「子供から中高年の年齢まで楽し
める柔道」を提唱されている。 要約すれば、「柔道を親しめれば、市場や企業
という世俗の利害を離れた社交の場ができる。 孤立しがちな現代人の間をつな
ぐ役割を果たすとすれば、それこそ柔道も有効な社会資本である」と。

松原隆一郎氏の著書「武道を生きる」は、奥が深い。 読者の思索に耐えうる一
冊である事はまちがいない。

引用資料
松原隆一郎:著  「武道を生きる」

http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4001493%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f11806927%2f

■189 グローバル化するスポーツビジネス

▼189−4 「日本における柔道離れ、フランスでの柔道の隆盛は、なぜ?−
後編」(FIN)

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発行者プロフィール

ペンネーム :

  • 定年後1年の再就職を経て2001年秋に独立。  経営の3大要素であるヒト・モノ・カネに無縁の「人を採用せず」「ものを仕入れず」「借金せず」の「インディペンデントコントラクター」として永年培った営業経験を元に「新規事業開発支援業務の受託」を専門に一人起業で法人化。 忙しいビジネスの合間に、日々人間として成長し続けるヒントを綴ったブログ「オンリーワン見聞録」を、隔日発行して「執筆する人生」を愉しむ。

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