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見聞録▼182−1 ペシャワール会医療サービス病院移転は半年延期 既存水路の救済が焦眉
発行日時: 2007/12/11━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 隔日刊 心が元気になる オンリーワン見聞録 』
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発 行 (有) 新規事業開発 代表 肝 付 博 昭
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2007年12月11日(火)
給油新法は本当に必要だろうか? いよいよ参議院外交防衛委員会で補給支援特
別措置法案の審議が始まった。 なぜ給油が必要なのかの議論が薄れ、一部には
政局の話題となっているが、現在のアフガニスタンの実情はどうなっているのだ
ろうか。
先週のCS局、朝日ニュースター「愛川欽也 パックイン・ジャーナル」で、東
京外大教授伊勢崎賢治氏が、アフガニスタンの実情を報告されていた。 同氏は
日本政府の支援活動の一環として、アフガニスタン北部同盟の武装解除に関わっ
ておられるが、その立場でも、「原爆の被害を乗り越えた日本はアフガニスタン
人に最も信頼されている。 アフガンの政情常安定に、現政府とタリバンを融和
させる事を、世界に高らかに宣言すべき」と、訴えていた。
ISAF(国際治安支援部隊)は既にに7000人を越える死者を出していると
いう。 ヨーロッパのNGOや国連職員にも犠牲者が出ている。 ところが日本
人は誰一人として命を落としていない。 その代表格としてアフガンに根を降ろ
し現地の人の厚い信頼を得ている「ペシャワール会」の中村哲医師と、そのス
タッフは、20年間今だに無傷である。
アフガニスタンの人々は、軍隊を派遣していない日本の復興支援を期待している
のだが、日本の人々は、この事をどこまで知っているのだろうか。
本稿では中村哲医師の活動を、数回取り上げているので、読者諸氏はこの実情を
把握されていると思うが、今週は昨日届いたばかりの「ペシャワール会報」を取
り上げたい。 直近のアフガニスタンのレポートから、今何が日本のとるべき支
援なのか・・・を考えていただくよすがにして頂きたい。 (同氏のニュアンス
を100%伝えるために、今回は原文通り記載)
先に、中村哲医師のプロフイールを、紹介しておきたい。
中村哲 (なかむらてつ)
九州大学医学部卒。 専門=神経内科(現地では内科・外科もこなす)。 国内
の病院勤務を経て1984年パキスタン北西
辺境州の州都ペシャワールに赴任。 以来23年にわたりハンセン病コントロー
ル計画を柱にした、貧民層の診療にたずさわる。 1986年からはアフガン難
民のための事業を開始、アフガン北東山岳部に三つの診療所を設立。 1989
年には基地病院PMSをペシャワールに建設。 また病院・診療所で患者を待つ
だけでなく、パキスタン北部山岳地帯の診療所を拠点に巡回
診療も行っている。
2000年以降は、アフガニスタンを襲った大旱魅対策のための水源確保(井戸
掘り・カレーズの復旧。 作業地1400ケ所以上)事業を実践。 更に200
2年春からアフガン東部山村での長期的復興計画「緑の大地計画」を継続、 2
003年3月からは灌漑水利計画に着手、2007年3月第一期工事完成。 年
間診療数約8万人(2006年度)。
引用資料
ペシャワール会報 No91(12月5日)
■182 アフガニスタンに迫りくる大凶作 進まぬ復興 給油新法の不毛の
議論
▼182−1 ペシャワール会医療サービス病院移転は半年延期 既存水路の救
済が焦眉
みなさん、お元気でしょうか。
パキスタン、アフガニスタン共に、現地は混乱の修羅場が遠からず予測され、必
死の作業が続けられています。 先ずパキスタン・ペシャワール側では、先日か
らPMS(ペシャワール会医療サービス)基地病院の移転が問題になり、会員の
皆様から心配の声が多く寄せられています。
その後の経過を結論から言えば、移転は半年延期されました。 これは、パキス
タン政情の大混乱で行政機能が円滑に動かぬようになった事、アフガン難民強制
送還の動きがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に牽制された事にありま
す。 また性急な移転は現在PMSにとっても不利が多く、動きがつかない事が
あります。
当方としては十分な準備期間を取らねば、アフガン側でも診療ができない状態に
あります。 西野医師、藤田看護師、アフガン人古参職員のジア医師らを中心
に、じっくりと情勢を読み、移転と新態勢の建設が着実に進められようとしてい
ます。
パキスタン北西辺境州では、先月のワジリスタンでの大規模な反乱の後、今度は
スワト渓谷で反乱の火の手が上がって国軍兵士200名以上が捕虜となり、タリ
バーン勢力の支配下に入りました。 11月24日現在、米軍に押されたパキス
タン国軍1万数千人が同渓谷を包囲、大規模な軍事作戦が計画されていると伝え
られています。
一方、アフガニスタン側では、南部・東部諸州を中心にタリバーン勢力の面の実
効支配地が既に全土の半分を超え、首都が着実に包囲されていると伝えられ、欧
米軍との間で戦闘規模が拡大しています。 おそらく米国の擁立する現政府は、
タリバーン勢力との妥協なしに存続する事は不可能です。
首都カーブルの人口は500万人を超え、大半がその日の食にこと欠く避難民だ
と見られます。 一部区域の華美な風俗と余りに対照的、革命前夜を想起させ、
一触即発の状態に誰もが不安を感じています。
この背景をなす大きな出来事は、外国軍の無用な軍事行動と共に、今年9月から
東部では雨が一滴も降らず、記録的な河の異常低水位か続いている事です。 ク
ナール河沿いでは、既に8月から初冬並みの水位となり、チャガサライからジャ
ララバードに至るまで殆どの取水口が干上がりました。
この結果、川沿いの村々は既にコメ、トウモロコシの収穫が全滅、冬小麦も危う
く、大凶作が確実視されています。 灌漑省(かんがいしょう)によれば、私た
ちの建設したマルワリード用水路(通称、Japan CanaL)のみが生き残り、現在
これだけでシェイワ郡、シギ郡の全域(推定約2500町歩)を奇跡的に潤して
いる状態です。 かつて安定した水供給で知られたジャララバード郊外のベスー
ド用水路(推定約3000町歩)も涸れ、住民たちの間に絶望的な雰囲気が広が
りました。
私達の用水路は第2期工事を急ぎ、11月末までに3.2km地点(N1区域=
取水口から16.3km)を完成、シギ郡に大量送水を可能にしようとしていま
す。 これと併行してベスード用水路の取水工事を住民と一体になって進めてい
ます。 間もなくベスード用水路が復活する見通しです。 直ちに連続してシェ
イワ用水路の斜め堰と取水門の建設、対岸のカシコート村用水路の復活が手がけ
られます。
堰上げ工事に必要な石材の大量輸送態勢を整え、来春予想される大混乱を前に、
空前の規模で計画が動き始めました。 河と戦ってきたこれまでの経験を生か
し、「ともかく各村の食糧自給を絶やさぬよう、各村の農民と一体化し、手がけ
うる全ての取水口復旧に全力を尽くせ。 2年分の予算を使っても構わない」と
異例の方針を指示しました。
かつて水路工事に携わった元日本人ワーカーたち、鈴木祐治、鈴木学、紺野、石
橋らも非常招集で続々と現地入りを始めました。 試験農場の進藤も十二月から
救援に駆けつけます。
・進まぬ復興、不毛な議論
遅々として進まぬ復興、実のない内外の議論、外国軍の横暴に対して、もはや忍
耐は限界を超えました。 これは緊急事態であり、吾々の戦であります。 いた
ずらに農民を殺戮する外国軍の「対テロ戦争」と対決し、一人でも多くの命を守
る戦いであります。
もちろん日本人ワーカー達の安全には極力配慮し、ギリギリまで留まって私達の
「命を守る平和の戦い」を完遂し、日本人の
心意気を示したいと存じます。日本にあって、平和を祈り、命が脅かされる現地
の実情に心痛める多くの良心、その絶大な支援に衷心から感謝申し上げます。
どうぞ、寒風の中で餓えに苦しむ多くの人々のため、彼らと命運を共にするPM
Sの現地職員のため、お祈り下さい。 よきクリスマスと正月をお迎え下さい。
ペシャワール会のホームページ
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/
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