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見聞録▼181−3 スピード+ユニークな仮説を導き出すモノの見方=インサイト、が戦略に命を吹き込む(FIN)

発行日時: 2007/12/9

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      『 隔日刊 心が元気になる オンリーワン見聞録 』  
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2007年12月9日(日)

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」という武田邦彦氏の著書が、25万部
のベストセラーだとか。 更に反論も加えた同名の(2)も出たばかりである。
 この手の刺激的なタイトルだけで買い人も多いのではないだろうか。 しかし
その内容は、必ずしも温暖化そのものを否定しているものではない。 むしろ京
都議定書に基づく様な規制では、全く効果が薄いという指摘でる。

その中で、不思議に「6」がやたら目立つ」という面白い記述がある。

「京都議定書は国際条約なので、締結した国の60%以上が批准すれば効力を持
つ事にしている。 2005年2月に京都議定書は発効した。 そして5番目
に、数値目標は1990年に出している二酸化炭素量の6%削減である。 すべ
て数字は6。それが5回出てくる。

地球温暖化の寄与率は温暖化ガスが60%、温暖化ガスのうち二酸化炭素が60
%、全世界のうち先進国が排出している割合が60%、そして議定書を締結した
国のうち60%が批准すれば成立し、そして最後に平均目標が6%削減である。
 不思議なことに全部「6」という数字が付く。

60%は0.6だから、0.6×0.6×0.6×0.6×0.6=0.00777と
いう数字になる。 つまり、地球温暖化という点では全く効果が薄い事がわか
る。 なぜかというと、概念的には京都議定書がなければ1度上がるところを、
0.7%だけ抑制されるので、0.993度の上昇に留まるというわけだ。 日本
国民の多くは京都議定書を守ることで地球温暖化が改善されると信じているが、
それも程度問題である。 0.993度上がるというのではどうにもならないで
はないか。 つまり、残念ながら京都議定書というのは地球温暖化にはほとんど
何の影響もない。  京都議定書を守るのが大切だ、環境を守るフリをしていれ
ば良い」と言っている様なものである」

ダジャレ的にいえば、六でもない規制だ・・という事になる。

武田邦彦:著環境問題はなぜウソがまかり通るのか(2)
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4513873%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f12118982%2f

二酸化炭素により地球温暖化が進む・・という、この仮説が正しいかった時に受
けるリスクは、考えるに値する事である。 この仮説が正しければ、それを防ぐ
ために世界中のあらゆる国が、同一のテーブルの上で議論する事は、真っ当な事
である。 JAXAが打ち上げた「かぐや」から送られた月から見る「地球の
出」の画面を見る時、戦争や宗教の争いはともかく、宇宙の星の中で唯一かもし
れない、かけがえのない地球を守るという共通のリスク対策の取り組みは、心が
救われる思いではないだろうか。 地球人が一つになるという意味では、アメリ
カや中国などの態度が好ましくはないが。

個人、ビジネスを問わず、「万が一、起こってしまったら・・」というリスク回
避を考える事は、意味のある仮説→対策の思考法である。

さて、今週は、BCGコンサルテイングのエッセンスに焦点をあてるべく、前半
はその入門編、内田氏が平易に解説した問題発見・解決の発想法をまとめた「仮
説思考」、そして最終の今回は、BCG流戦略発想の核心に迫る御立尚資氏の著
書「戦略脳を鍛える」から、「スピード+ユニーク仮説を導き出すモノの見方=
インサイトが戦略に命を吹き込む」を取り上げて締めとしたい。

今日の引用資料

御立尚資:著 戦略「脳」を鍛える
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f1614488%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f11209782%2f

■181 BCG流 問題発見・開発・戦略脳

▼181−3 スピード+ユニーク仮説を導き出すモノの見方=「インサイト」
が戦略に命を吹き込む(FIN)

戦略論を勉強するだけでは「勝てる戦略」はできない。 「勝てる戦略」を作る
ためには、アカデミックな勉強だけでなく、ある種の「頭の使い方」を身につけ
る訓練が不可欠である。

多くの戦略論は、企業の勝ちパターンを定量的に分析し、何らかの枠組みとして
提示したものである。 従ってその枠組みは、囲碁や将棋の初心者が、定石・定
跡から学び始めるのと同じ様に「定石」として学ぶ事が多い。 定石・定跡を学
ぶだけでプロになれない様に、経営戦略にも同じ事が言える。

戦略論の殆どは、過去に成功した企業の勝ちパターンをベースにしており、ここ
からは将来の勝ちパターンが自動的に導きだされるわけではない。 どこかが成
功パターンを見つけると多くの企業のモノマネされて差別化ができなくなる。 
実は、戦略論の知識がある事と、勝てる戦略を構築できることの間には大きな隔
たり=ギャップがある。

このキャップを埋めるものは、戦略論という定石を知った上で新たな戦い方をつ
くり上げるプラスアルファの能力=戦略脳である。 戦略脳を鍛えて、その能力
を身につけた者だけが、自らを差別化し、競合優位に立つことができる。

つまり、戦略論という定石を知った上で、新たな戦い方を作り上げる「プラスア
ルファの能力」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競合優位に立つ事がで
きるのである。 この能力を、ボストン・コンサルティング・グループ(BC
G)では、「インサイト」と呼び、それは「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い
方、ならびにその結果として得られるユニークな視座」の事である。 すなわ
ち、「ユニークな戦略」を生み出すには、戦略論の「定石」に加えて「インサイ
ト」が必要になるわけだ。

このインサイトは、「スピード」と「レンズ」の2つの要素から成り立ってい
る。 思考のスピードを最大限にアップし、定石を加工、応用して仮説を立てる
「仮説思考」。 更にその仮説の有効性を検証する。 それが競争相手の数倍、
数十倍のスピードでできれば、相手が考えついていない戦略で戦いに臨める。 
これが「スピード」である。

一方「レンズ」とは、ユニークな仮説を作り出すための「モノの見方」の事であ
る。 定石を加工、応用していく時、どこかで発想を飛躍させられれば、よりユ
ニークな戦略を立てる事ができる。 この「スピード」と「レンズ」の使い方を
身につければ、ユニークな戦略に到達できるのである。

インサイトの基盤となる思考のスピード=(パターン認識+グラフ発想)×シャ
ドウボクシング

棋士でいえば「パターン認識」とは、過去の定石・定跡を覚えて使いこなす事。
 「グラフ発想」は、盤面を右脳で映像的に捉えて指し手のアイデアを考え出す
事。 そして「シャドウボクシング」は、右脳と左脳で指し手の仮説と検証を繰
り返す事に当たる。

スピード思考ができる戦略脳の鍛え方では、なぜ思考のスピードアップに「パ
ターン認識」が必要なのか? それは論理をゼロから積み重ねる事なしに、定石
をスピーディーに組み合わせる事が可能になるからである。 過去の戦略をベー
スに別の戦略を組み合わせたり、別の見方をする事によって、ユニークな戦略を
生み出す事ができる。

だが、その際に、過去の戦略をしらみつぶしに当たり、「ああでもない、こうで
もない」と組み合わせを考えていたのでは、途方もなく時間がかかる。 そこ
で、最初のステップとして、戦略論のエッセンスをパターン認識化する。 そし
て、ある事態が起こった時に、「この場合はAパターンが使えるのではないか」
などと当てはめて考える。 そうすれば、短い時間で思考を進めていく事ができ
る。 そのパターンを記憶し、必要な時に複数のパターンを組み合わせたりする
事で、より速く戦略の仮説が立てられる様になる。

しかし、人間の頭は全ての事象を詳しく記憶する事ができないため、より多くの
戦略パターンを記憶するには、戦略のエッセンスを何らかの「コンセプトワー
ド」として覚え、記憶の引き出しとして用いるのがコツである。 つまり、一旦
定石をパターン認識化してコンセプトワードでインデックスづけしておけば、戦
略策定能力はどんどん高まっていく。 もしコンセプトワードが頭に入っていな
ければ、記事を読んでもすぐに忘れてしまうだろう。

更にもう一段、戦略仮説の立案・進化のスピードを速める頭の使い方が「グラフ
発想」である。 将棋の名人は右脳をフル活用して読みのスピードアップを行う
が、経営戦略を考える際も、グラフ、すなわちビジュアルイメージで思考する事
で右脳がフル活用でき、スピードが速まるのである。

こうして、パターン認識とグラフ発想によって様々なアイデアや仮説を出してい
くが、出てきたものが全て良いものであるはずがない。 実際に使える様にする
には、何らかの形で検証し、質の高いものに進化させなければならない。 この
機能を担うのが「シャドウボクシング」である。

仮想の敵を想定してパンチを繰り出すシャドウボクシングのように、仮説をあら
ゆる方向から批判的に検討する。 検証のために必要ならば現場に出てデータを
集めてみる。 こうした作業の繰り返しが仮説をレベルアップさせる。

インサイトのもう1つの重要な要素は、事象を捉える「レンズ」、すなわちユ
ニークな戦略を具現化するために必要な「モノの見方」である。 人は誰でも無
意識に、決まったレンズでモノを見てしまう。 だがレンズをかけ替えれば、今
まで見えていなかった事象も見えてくる。 ユニークな視点をもたらすレンズに
は、次の3種類がある。

・視野を広げる「拡散レンズ」
・狭く、深く見る「フォーカスレンズ」
・思考をジャンプさせる「ヒネリレンズ」

「拡散レンズ」とは、例えば、自分が市場だと思っていないところも商売する場
だと定義し直して、アイデアを発想する癖をつける事である。

「フォーカスレンズ」のモノの見方とは、例えば「ユーザーになりきる」ことで
ある。 実際に現場に行って、具体的な事実を経験し観察する。 事実を把握
し、それをデータ化して、調べ直す。 こうした作業の繰り返しで、今まで気が
つかなかった事が見えてくる。

「ヒネリレンズ」は、「人と逆の事を考える」「特異なユーザーに着目する」
等、正に「ヒネリ」を入れるのである。

この3種類のレンズは、ユニークなアイデアを考える為の重要な武器となる。 
実際に戦略を立てる際は、6つの「インサイトの構成要素素」「パターン認識」
「グラフ発想」「シャドウボクシング」という「スピードの3要素」、そして
「拡散、「フォーカス」「ヒネリ」という「レンズの3要素」を組み合わせた
り、同時に使ったりする。 そして、自分で複数の要素を使う体験を重ねていく
事が、勝てる戦略を作る能力を向上させる決め手となるのである。

御立尚資  (みたち たかし)
ボストン・コンサルティング・グループヴァイスプレジデント。 京都大学文学
部卒業。 ハーバード大学経営学修士。 日本航空株式会社を経て現在に至る。
 金融、消費財、流通業界を中心に幅広い業界に対して、事業戦略、グループ経
営、イノベーション、プライシング、M&A等のプロジェクトを数多く手掛けて
いる。 BCG Worldwideの金融および消費財・流通に関するエキス
パートグループのコアメンバー。

 
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