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見聞録▼179−1 人間は、ゴリラやオランウータンと同じ霊長類ヒト科の一種

発行日時: 2007/11/12

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      『 隔日刊 心が元気になる オンリーワン見聞録 』  
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2007年11月12日(月)

10月28日、熊本県の「くまもと中央CC」で開けれた公式戦「日本シニア
オープン」で青木功プロが優勝した。 おまけに65歳2ヶ月で「65」のエイ
ジシュート達成でもある。 

青木功プロは、「AON時代」を築いた一人で、特に海外では78年に世界マッ
チプレイ選手権で優勝し、80年には全米オープンで、あのジャックニコラウス
と激戦を演じて2位になり、2004年にはゴルフの世界殿堂入りを果たしてい
るなど、正に大御所である。 

因みにエイジシュートとは、正規の18ホール1ラウンドを自分の年齢と同じ打
数か、それ以下で回る事を言う。

一方の大御所でもある杉原プロは、9月13日、日本プログランド・ゴールドシ
ニア選手権最終日(岐阜県谷汲CC)の68歳以上で争うゴールドの部で通算3
アンダーで優勝。 70歳で「69」のエイジシュート達成である。

更に杉原プロの凄いところは、1987年に腎臓の周囲に水が溜まる腎膿疱に襲
われ、1998年には前立腺ガンが発見された。 手術を受けずに現在も投薬治
療とホルモン注射、そして本人の講演で直接聞いた事だが、前立線ガンを自らの
筋力で抑え込みたいと「加圧トレーニング」にも励んでいる。

手術を受けると、その後のトーナメントに出場できない為に敢えてガンとの戦い
を宣言し、今もレギュラー、シニアの両ツアーで活躍、ついにゴルファーの永遠
の夢である「エージシュート」を達成したのである。

余談だが、その講演では、青木プロのマナーに苦言を呈していた杉原プロは、ゴ
ルファーのマナーには殊更に厳しいのには定評があるが、自分のゴルフ人生にも
厳しい課題を負わせての日々の様である。

さて、動物の世界では、生殖機能が終えた時点で自然と命がつきるのに、人間だ
けは不思議に「その後」も生きてゆけるのである。 前述のお二人の様にアグ
レッシブな生き方ができるわけだから、ヘボゴルファーながら「その後」も元気
に生きたい・・と願う身には手本の様な生きかたである。

人間はヒトとも書く。 ヒトと人間の違いはあるのだろうか。 ヒトと書くとイ
ヌやネコと同じ動物の範疇に入る様である。 しかし人間となるとヒトに留まら
ない。 「人間には文化がある、言語がある、思想がある」と言われているの
が、動物学界の大御所、日高敏隆氏である。  

そこで、今回は氏の10月6日(土)東京経済大学での学術講演会「人間はどう
いう動物か」というタイトルの講演と、氏の著書をもとに、「人間──この集団
で生き育つもの」と題し、人間はどこまで動物かを考えてみたい。

先ずは「人間は、ゴリラやオランウータンと同じ霊長類ヒト科の一種」から入り
たい。

引用資料

日高敏隆:著 「人間は遺伝か環境か?遺伝的プログラム論」
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f3722667%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f11568569%2f

■179 人間──この集団で生き育つもの
     
▼179−1 人間は、ゴリラやオランウータンと同じ霊長類ヒト科の一種

私達人間という種では、いったいどの様な遺伝的プログラムが組まれているのだ
ろうか。  私達は、自分自身の事を何か別格の存在であると思うのではなく、
数多くの動物達の中のひとつの種である事を改めて認識しする必要がある。 ど
の様な条件のとき自らの遺伝的プログラムをスムーズに具体化していけるのかを
考えなければならない筈なのに、この最も基本的な問題は、今まであまり問われ
た事はなかった。

子供から大人になっていく時に何をどの様に学習するのが正しいのか、何か人間
という種の動物に適したやり方なのかという事を、わからないまま勝手な解釈を
し、今日まで来てしまったように思われる。 その事が様々な問題を生んできた
のではないだろうか。
  
そもそも私達人間という動物は、哺乳類の中の霊長類、つまりサルや類人猿の仲
間である。 人間は18世紀にスウェーデンの博物学者、カール・フォン・リン
ネによってほかの動物と同じように分類され、学名を「ホモ・サピエンス」と名
づけられた。

ホモというのは、ヒト属(人間属)であり、サピエンスというのが種名である。
 サピエンスという言葉は、ラテン語で「賢い」という意味だ。

さて、過ってダーウィンは、進化論の中で私達の祖先はサルであると言った。 
その事は人々の多大な反発を生んだが、たしかに人間はサルの一種である。 け
れども詳しく言うと、そのあたりの事情は少々複雑である。

サルは哺乳類の中の霊長類に属する動物であるが、現在生きている霊長類は、原
猿類(キツネザル亜目)と真猿類(サル亜目)という二つのグループに分けられ
ている。

キツネザルとメガネザルの仲間を含む原猿類は、名前にサルとついているが、お
よそサルらしくない動物である。 もうひとつのグループである真猿類は、本当
にサルらしいサルで、これには更に広鼻猿類(クモザル下目)と狭鼻猿類(サル
下目)という二つのグループがある。

広鼻猿類は、クモザル、ホエザル、オマキザルなどアメリカ大陸にいる新世界ザ
ルの仲間である。 これは人類には関係ない。 関係があるのは狭鼻猿類の方で
、こちらはユーラシア・アフリカ大陸に住むサルだが、これまたさらに有尾猿類
(オナガザル上科)と無尾猿類(ヒト上科)に分かれる。

有尾猿類は、しっぽのあるふつうのサルでニホンザル、タイワンザル、オナガザ
ル、コロブス、ヒヒなどはこの仲間に属する。 狭鼻猿類のもうひとつのグルー
プである無尾猿類は、名前のとうり全くしっぽがない。 

有尾猿類と無尾猿類というのは、どちらも同じ狭鼻猿類に属しながら、はるか
昔、何千万年か前に分かれてしまったグループである。 今、世界中で無尾猿類
がいるのは旧大陸だけ。 つまりアジア・ョーロッパとアフリカだけであって、
新大陸である南北アメリカ大陸とオーストラリア大陸にはいない。 そもそも
オーストラリア大陸には霊長類そのものがいないのである。

この無尾猿類というのが、人間を含むグループである。 ゴリラ、チンパン
ジー、オランウータン、それから今はボノボというピグミーチンパンジー、テナ
ガザル、そして人間、これらが無尾猿類の仲間である。 この無尾猿類は人間と
非常によく似ている。 それで分類学ではこの仲間を類人類、人間によく似てい
るグループというふうに呼ぶ。 類人猿という言葉も使われるが、学問的には類
人猿ではなくて、人間も含めた類人類というグループがあるのである。

ややこしい事に、類人類はさらに二つのグループに分けられる。 テナガザル科
とヒト科である。「科」というのは分類学上のグループのひとつで、例えば食肉
類(ネコ目)にイヌ科、ネコ科などがあるのと同じである。

テナガザル科には、何種類かのテナガザル類が含まれる。 そしてヒト科にはゴ
リラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータン、そして人間が含まれる。

つまり人間は、霊長類ヒト科の動物の一種なのである。 そして類人類の中でも
直接に人間につながる種類が、直立原人(ホモ・エレクトゥス)─あるいはもっ
と前のアウストラロピテクスなどから始まって、たくさんいる。 その中のひと
つで今日まで生き残っているのがホモ・サピエンスなのである。

日高敏隆 (ひだか としたか)
1930(昭和5)年、東京生れ。 東京大学理学部動物学科卒業。 東京農工
大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、現在は総合地球環境学研究所所
長。 主な著書に「チョウはなぜ飛ぶか」「人間は遺伝か環境か?」「ネコはど
うしてわがままか」「動物と人間の世界認識」など。 訳書に「利己的な遺伝
子」「ソロモンの指環」などがある。  2001(平成13)年「春の数えか
た」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

 
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