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ほぼ日刊 オンリーワン起業 見聞録 160−6
発行日時: 2007/5/27━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 ほぼ日刊 オンリーワン起業 見聞録 』
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発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭
(有) 新規事業開発 代表
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(36文字 自動改行で作成し再発行致します)
2007年5月27日(日)
25日、JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の、新しい会長にシャー
プ(株)の町田会長が就任した。
『 町田氏がシャープの会長ということで、記者からの質問はテレビ関係の事項
に集中した。 テレビ市場について同氏は、全世界のテレビの売り上げのうち、
薄型液晶テレビは30%程度にとどまっており、まだまだこれからであるとし
た。現在、地域によって画面サイズの需要が異なっており、たとえば米国や中国
は51インチ以上、日本や欧州は20インチクラスが売れ筋だという。しかし、
壁掛け型など薄型テレビの形態が変わってくれば、現在考える以上により大きい
サイズのテレビの需要が増える可能性もあり、そのあたりが難しい、と語った。
海外の液晶テレビ製造メーカーについては「裏の事情はわかりませんが」と前置
きした上で「台湾勢と比較して、韓国が弱くなり始めている」と指摘。 韓国
メーカーが部材などを台湾メーカーから購入しているが、今後はパネル製造の競
争から、装置、部材の競争に変わっていく。 装置や部品の製造が、国の産業と
して育っていく事が重要だ。 有機ELディスプレーについては、液晶ディプ
レーと比較し製造面では、お好み焼きの上に「イカ」を乗せるか「ブタ」を乗せ
るかぐらいの違いだ、とし設備投資はほとんど変わらない。 但し、製品寿命の
問題などがあり、準備はしてるものの「しばらくはやる気はない」と語った 』
(以上は25日 http://ascii.jp/elem/000/000/037/37702/ デジタルライフ
より)
関係団体の要職就任に距離をおいていたシャープも、固辞しきれないと言うほど
に、液晶AQUOSの評価は高いという事である。
余談だが新工場建設に関連した興味深い記事が、月刊誌「文芸春秋」4月号でみ
つかった。 以下はその抜粋である。
『 液晶テレビと同じ薄型で、キャノンと東芝が共同開発・生産する予定だった
SED(表面電界ディスプレー)の工場建設予定地だ。 キャノンと東芝は、折
半出資子会社「SED」を設立、同社が東芝の姫路工場に生産ラインを建設して
量産する計画だったが、競合する液晶テレビやプラズマテレビの価格が予想以上
に下落。 これから売り出しても採算が取れない為、東芝は計画を大幅に後退さ
せた。 「SED」はキャノンの全額出資子会社となり、姫路工場での量産は白
紙に。 キヤノンは平塚にある研究開発ラインで少量生産し、それを両社がそれ
ぞれのブランドで発売する』
兵庫県と姫路市は、SEDの量産予定地に、液晶パネルエ場を誘致したい思惑だ
が、薄型テレビ市場の栄光と没落を象徴するような話である。
今週は、宮本惇夫:著「シャープ独創の秘密」から引用しているが、今回は「プ
ラズマとのすみわけから一転、競争へ転換」を取り上げて、今週の締めとした
い。
参考資料
宮本惇夫:著 シャープ独創の秘密
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4303793%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f12009888%2f
■160 液晶AQUOS その独創と秘伝のタレ その6(FIN)
▼160−6 プラズマとのすみわけから一転、プラズマとの戦いへ転換した
シャープ
1998年、6月、シャープの向こう10年を担って、4代目の社長に就任した
町田勝彦氏は、「2005年迄に、国内で販売するTVを、ブラウン管から、液
晶に置き換える」と、衝撃的な宣言をした。 その宣言は2005年を待たず、
2004年中に達成したのである。 そしてその液晶時代の波を感じ取った町
田社長は、2005年1月、亀山第2工場の建設をし、その年の8月、65イン
チの液晶TVを商品化、大型市場への参入したのである。
町田社長に就任した1998年は、不況の真っ只中で、産業界にはリストラの嵐
が吹きまくっていた。 新聞には「日本長期信用銀行国有化」「日本債券信用
銀行国有化」「日経平均24000円割れ!」「大倉商事自己破産」と、連日
ショッキングな記事が紙面に躍った。 シャープの1998年3月期の決算も、
売上高こそ1兆7905億円と前年比横ばいに止まったものの、純利益が48.
9%減少するなど、5期ぶりの大幅減益決算だった。
液晶事業は売上高の2割を占める部門にまで育ってきてはいたが、液晶市況の変
動で、価格はフ1年で4割も下がり、1998年3月期には赤字に陥っていた。
4代目の社長として、向こう10年シャープをどう再生させるか、重い課題を
背負っての登板だったわけである。
そこで考え出した、歴代の経営者が継承してきた経営理念に立ち、「世の中にな
い独自の技術と新しい商品で新たな需要を創造してゆくというオンリーワン経営
である。 オンリーワンの積み重ねの結果がナンバーワンになれば良いのではな
いか」
そして生まれてきたのが、2001年11月発売になった業界初の30インチの
液晶テレビ「LC−30BV3」。BSデジタルチューナー内蔵のデジタルハイ
ビジョンテレビだった。
当時、社長の町田は「ブラウン管テレビの場合、29インチが家庭のスタンダー
ドサイズ。 それに匹敵するものをつくれば、ブラウン管から液晶に置き換わ
る」と踏み、30インチを家庭用液晶テレビのメイン商品と位置づけていた。
そして30インチ以上はPDPの領域というのが、当時、町田社長が考えていた
薄型テレビの棲み分け戦略であった。 その根底にあったのは液晶パネル生産の
難しさである。
液晶パネルというのは大きなマザーガラスを使ってつくる。 製造工程のなか
で、表面に小さなゴミが一つでも付着すれば、良品にはならない。 それほど繊
細さが要求されるため、マザーガラスが大きくなればなるほど歩留まりが悪くな
り、それ故、液晶パネルの生産効率は悪くなる。 こうした事から、大きなマ
ザーガラスが必要とされる30インチ以上は液晶では難しい」といわれていたの
である。
2002年、日韓共催のワールドカップで、各社は大型PDPパネル、液晶パネ
ルヘの投資が顕著になり始めていた。 しかし、大型液晶パネル生産の難しさを
知っていたシャープは慎重だった。 そこで販売店側の要望に応えるため、翌2
002年には37インチの液晶テレビを投入し、更ににそれ以上の大型について
はPDPを充てる対応策を打ち出す。
他社と手を結び43インチ、50インチのPDPパネル供給を受けそれを組み立
ててPDPを、商品ラインナップの一群に加えたわけである。 (発行者:註
この頃、松下の中村社長とシャープ町田社長との接近があった。 ただそれはほ
んのわずかな期間だった)
シャープの技術陣は、より大きなものを液晶でつくる事に挑戦し、ついにそれを
ものにするこ事に成功したのである。 大型液晶の可能性を信じ、第6世代パネ
ル工場建設を決意させた中心人物は、当時の片山専務、今年4月五代目の社長に
就任したその人である。
当時のマザーガラスからは30インチパネルが2枚、37インチパネルが一枚し
か取れなかった。 これでは生産性が悪い。 もっと大きなガラスを使って多面
取りができる方法はないか。 畳ほどの大きさのガラスを使って液晶をつくるの
ですから、製造装置はもちろん材料も全部新しくやり直さなければならない。
関連する装置や部材メーカーの力を借りなければできない
幸い、三重県にはシャープの多気工場がある関係もあって液晶関連のメーカーが
多数集まっており、相談するには便利だった。 同じ頃、三重県の北川知事(当
時)は2000年に「クリスタルバレー構想」を打ち出している。 三重県を液
晶をはじめとするフラットパネルディスプレイ関連産業の一大集積地帯にしよう
という構想である。
当時の片山専務が、極秘プロジェクトにめどをつけた頃、多気工場を訪れた町田
社長をつかまえ、30インチ以上の大型液晶テレビ分野への本格的な進出を進言
したのである。
町田社長は、畳大のマザーガラスを眺めながら「30インチ以上の液晶を大量
に、しかも安く生産できたらすごい。夢みたいだ」と喜んだが、ただ30インチ
以上のパネルを量産するのには、新しい工場が必要だった。
翌2002年2月、町田社長は三重県亀山市にパネルからテレビまで一貫生産す
る「亀山工場」の建設計画を打ち出す。 それは第6世代のマザーガラスを使
い、主に37インチ、32インチの液晶テレビ生産を狙った工場だった。 第6
世代というのは横1.5メートル×縦1.8メートル大のガラスで、37インチの
パネルなら6枚、32インチなら8枚のパネルが取れる。 当時、液晶パネル生
産に第6世代を使用しているメーカーはなく「圧倒的なり一位」を目指したので
ある。
「こんな時代に国内投資だなんて、シャープは大丈夫だろうか」といぶかる向き
もあれば、「産業空洞化時代の救世主だ」「デフレ不況のカンフル剤だ」と拍手
喝采をする人達も多かった。 時代に抗うかのようにシャープが国内投資に踏
み切った理由は何か。 その一つは日本の生産技術の空洞化への懸念。 一つは
最先端のモノづくりは日本でしかできない。町田社長はこの二つの理由を挙げて
いるのである。
安易に海外に工場を移転しても技術の進化は望めない。 危機感をバネに国内で
のモノづくりに徹底的に拘る町田社長は、当時の三重県北川知事に、「熱く語る
町田社長に、ものすごいオーラがあった」とまで、言わしめているのである。
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
宮本惇夫 (みやもと・あつお)
1943年生まれ。 茨城県出身。 1967年早稲田大学第2政経学部卒業。
経済誌や総合誌などの編集者を経て、1977年にフリージャーナリストとじ
独立。 主に産業、ビジネス分野をフィールドに企業ドキュメントや人物論、人
物評伝等を執筆。
主な著書に「決断力」(日本工業新聞社編、扶桑社)、「安岡正篤と伊藤肇=師
と弟子」(致知出版社)「躍進シャープ」(日本能率協会メジメントセンター)
「コカ・コーラヘの道」(かのう書房)、「企業市民」(日本能串協会)、
(野村証券5人の社長」(日本実業出版社)、「TDK人間教育道場}(講談
社)、(哲学なき企業は滅ぶ」(産業能率大学出版部)など。
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