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ほぼ日刊 オンリーワン起業 見聞録 160−4
発行日時: 2007/5/25━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭
(有) 新規事業開発 代表
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2007年5月25日(金)
サトウキビやトウモロコシ、木材など植物からつくるバイオエタノールを混ぜた「バイオガソリン」の試験販売が先月27日から首都圏で始まった。 世界規模で温暖化が進む中で、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出を抑える取り組みとして注目されている。 ただ、バイオエタノールの世界的な需要増を背景に食料品が値上がりする事態も招いており、本格的な普及までに乗り越えなければならない課題は少なくない。(5月17日の産経)
深刻なのは、トウモロコシ等を主食とする最貧国への打撃は、富める国のエゴ、として南北格差を助長させる事になる。 環境問題と装って、新しいビジネスの矛先が向かうのが、貧しい国々となるのは、嘆かわしい。
24日のNHK「クロ−ズアップ現代」で、来日した地球環境問題の第一人者、レスター・ブラウン博士は、穀物高騰という負の問題を引き起こしているバイオ燃料を、温暖化対策の切り札とする事に、異を唱えている。 そして太陽光発電システム等でで先行する日本に、先進国のリーダーとしての知恵に期待する旨の提言をされていた。
その太陽電池は、結晶系と薄膜系に分れるが、現在は結晶系シリコン太陽電池が主流である。 そのTOPメーカーはシャープである。
今回取り上げている「液晶AQUOS」を支える人々は、1981年太陽電池が専門だったイギリス・ダンディ大学のスペア教授が、おまけの様に言った「アモルファスシリコンを使うと良いTFTができると」いう話を耳にした人達であるという。
1981に年シャープに入社した片山新社長が、新入社員として与えられた最初のテーマが薄膜系の「アモルフアスシリコンの太陽電池」である。 今、液晶AQUOSの開発で世界TOPレベルにまで昇華させたのが、この研究チームのメンバーが多いと言う。
40年近くも前に太陽電池に取り組んだシャープの先見性は、液晶と太陽電池の両キーデバイスで、花開いた事になる。 この長期スパンで取り組むDNAを引き継いだ人々の代表が、次のシャープを任された片山新社長である。
今週は、宮本惇夫:著「シャープ独創の秘密」から、「液晶AQUOS その独創と秘伝のタレ」を取り上げているが、 今回は、「ブラウン管に代わるディスプレイ 薄膜トランジスタを使った液晶TFT液晶への挑戦」を取り上げたい。
参考資料
宮本惇夫:著 シャープ独創の秘密
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4303793%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f12009888%2f
■160 液晶AQUOS その独創と秘伝のタレ その4
▼160−4 ブラウン管に代わるディスプレイ薄膜トランジスタを使った液晶TFT液晶への挑戦
TFT(薄膜トランジスタ)を液晶に応用したTFT液晶の概念は、前述の米RCAの技術者によって提唱されたもので、画面を構成する画素一つひとつにトランジスタを付加することによって形成される。 しかし画素一つひとつにトランジスタを埋め込むというTFT液晶は、極めて難しい技術である。 仮に三インチのTFT液晶をつくろうとすれば、画素数だけでもI〇万個弱に達する。 その一つひとつにトランジスタを一個としてミスすることなく、埋め込むというのは、当初は神業に近い技術ともいえた。
それでもシャープの技術陣は、「ブラウン管に代わるディスプレイ」を求めてその超難物に挑戦をする。1970年代の半ば、中央研究所の中で数名の技術者により細々と研究が始まり、1980年代に入って本格化した。
実はこの頃、シャープはTFT液晶の研究を大きくブレイクスルーする場面に出合い、前進する。 それは1981(昭和56)年のこと。 当時、技術本部で、イギリス・ダンディ大学のスペア教授を招き講演会を催したのである。 スペア教授は太陽電池が専門だったが、当時、太陽電他用の新半導体材料として脚光を浴びていた、アモルファスシリコン薄膜を用いて初めてTFTを試作し、良好な特性を得られたとの論文を発表、液晶研究者の間でひそかな注目を集めていた。
もちろん当時の講演の主題となったのは太陽電池。 太陽電池は液晶と同じく、シャープが将来の夢をかけて力を入れている技術の一つである。 当時、その講演を熱心に聞いていたのが、TFT液晶の研究者のひとり、船田文明氏(現ディスプレイ技術開発本部技監)がいう。 「教授の話の大半は太陽電池の事だったが、最後にチラッと一枚のスライドを出して、アモルファスシリコンを使うと良いTFTができるという話をされた。 おまけの様な話だったが大変な刺激だった」
それまで研究グループがTFT液晶試作の為の半導体材料として使っていたのはテルル(Te)である。 ところがなかなか意図する様な結果が得られず、映像を映し出すのにはほど遠い現状だった。 そこで早速、研究グループはアモルファスシリコンを材料にしてTFTの試作を行なってみたところ、テルルを用いたTFTの特性をはるかに超す素晴らしい結果が出た。
以後は明確に目標を画像表示に絞ってTFT液晶の研究を進められた。
1981(昭和56)年に、東北大学の研究グループから、フルカラー化について基本概念が提案されていて、カラーフイルターを使えば白黒パネルのカラー化が可能である事が分っていたが、それでも試行錯誤の繰り返しが続く。
1983年には、ついにシャープ初、フルカラーのアモルファスシリコンTFT液晶パネルの試作品を完成させた。 その研究成果をみて佐伯社長は動いた。 応用商品イメージを小型のカラーテレビと明確化し、船田文明氏をチーフに20名の開発メンバーからなる「A190」緊急開発プロジェクトチームを結成し、3インチテレビ用TFTカラー液晶パネルの開発を命ずることになる。 翌1984年10月、そのクリーンルームを使ってでき上がった3.2インチ、255×240ドットのTFT液晶画面は、前年の液晶画面と比べ断線欠陥のない格段に鮮明な両面だった。 液晶がテレビに1歩近づいた日であった。
その後、A190プロジェクトチーームでの開発はますます加速化され、1985(昭和60)年秋のエレクトロニクスショーに、3.2インチインチ、360×240ドットのアモルファスシリコンTFT液晶を用いた初のポケッタブル液晶テレビの試作品を出品した。 それをクリスタルトロンと名付けた。
この試作品は早速、10月度の役員会に提議され、小型液晶カラーテレビ事業への進出案が討議された。 1985年11月、その事業化に向けて56名の選ばれた技術者からなる緊急開発プロジェクト「A208プロジェクト」が結成される。 このプロジェクトは大きく工場建設展開グルーープと量産プロセス開発グループからなっていた。 当初、液晶工場建設案は半導体工場である広島県の福山工場内につくることで計画が進められていた。 LSIの新工場が建設されたばかりだが、敷地にまだ十分余裕があった。
しかし佐伯社長は「液晶事業は研究開発要素のウエートが高い。 したがって研究所のある天理で行なうべきである」と、その案に反対だった。 この佐伯社長の英断によりシャープ初の液晶工場は、中央研究所がある天理事業所内につくられる事になる。 LSI工場一棟の約半分ほどのスペースを空けてもらい、そこに液晶パネルの製造ラインを設けた。
結局、生産規模は当初案の10倍、工場もLSI工場1棟の4分の1以下で済ませる予定が、半分を使う規模にまで拡大した。 当時としては壮大なスケールの工場だったそうだが、3年後には一棟全体を使う規模にまでなり、翌年には新棟建設になったというから、その成長のスピードがわかろうというものである。
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
宮本惇夫 (みやもと・あつお)
1943年生まれ。 茨城県出身。 1967年早稲田大学第2政経学部卒業。 経済誌や総合誌などの編集者を経て、1977年にフリージャーナリストとじ独立。 主に産業、ビジネス分野をフィールドに企業ドキュメントや人物論、人物評伝等を執筆。
主な著書に「決断力」(日本工業新聞社編、扶桑社)、「安岡正篤と伊藤肇=師と弟子」(致知出版社)「躍進シャープ」(日本能率協会メジメントセンター) 「コカ・コーラヘの道」(かのう書房)、「企業市民」(日本能串協会)、(野村証券5人の社長」(日本実業出版社)、「TDK人間教育道場}(講談社)、(哲学なき企業は滅ぶ」(産業能率大学出版部)など。
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