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強化書144 「記憶に残る“2006”オンリーワンの人」 その4

発行日時: 2006/12/28

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2006年12月28日(木)

清宮克幸氏が早大ラグビー部の監督に就任した5年前には、関東大学対抗戦でいき
なり優勝、 2003年1月には 再び大学選手権で優勝、 同12月には史上初
となる関東大学対抗戦全勝優勝、2006年1月の大学選手権では31年ぶりの連
覇。 同年2月、日本選手権では18年ぶりに社会人トップレベルのトヨタを破っ
ている。 そして今春、その手腕を期待されて、サントリー・サンゴリアスの監督
就任である。 

勝敗の分かれ目は「ほんの少しの差」であり、「最後の5センチへの拘り」「最後
の一歩の拘り」は、大試合では往々にして、これで勝負が決まる。 そういう「最
後の拘り」や、「何か」は、理不尽な練習から生まれるという。 セオリーとは
「勝つための掟」の様なもの、言い換えると「監督」の哲学である。

ラグビー元日本代表監督・宿沢広郎氏が6月逝去された。 55歳の若さだった。
 三井住友銀行でのTOPを嘱望された人であり、日本ラグビー界の重鎮としても
第一人者であった。 その宿沢広郎氏の遺志を引き継ぐリーダーとして、清宮克幸
氏への期待も大きい。

今年7月、東京丸の内の慶応夕学五十講での清宮新監督の講演と、ご本人の著書
「最強のコーチング」「究極の勝利」を元に、「サントリーをラグビー日本一に 
清宮克幸氏のトライ」と題し、記憶に残る“2006”オンリーワンの人として、
日本一請負人とも言える清宮新監督に迫りたい。

引用資料
・清宮克幸:著 最強のコーチング
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f3994036%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f11802288%2f
・清宮克幸:著 究極の勝利
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/01f81932.ddccc361.02a700c9.da2dd44b/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f3738281%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f11576310%2f

■144 「記憶に残る“2006”オンリーワンの人」 その4

▼144−4 サントリーをラグビー日本一に 清宮克幸氏のトライ

1980(昭和55)年創部されたサントリー・サンゴリアス。 1989年度に
東日本社会人リーグ初優勝。 1995年度に全国社会人大会、日本選手権初V。
 2001年度にはウェールズ代表に日本チームで初勝利するなど公式戦全勝。 
日本選手権優勝3度、全国社会人大会優勝3度。 しかし2002年度全国社会人
大会優勝を最後にタイトルから遠ざかり、昨季は社会人トップリーグチーム(T
L)6位と低迷した名門の再建の切り札として、早大からサントリーに戻ったの
は、清宮克幸氏である。

名門サントリーを復活できるのか。
サントリーでも、社会人トップリーグチームで即結果を出す為には、昨季3冠の常
勝軍団・東芝の打倒を新たなターゲットに絞り込んだ。 果たして清宮マジック
は、再び低迷する名門社会人チーム「サントリー・サンゴリアス」を見事に立てな
おせるか。 

さて、何故、早稲田のラグビーが強くなったのか。 「全ての差は、ほんの少しず
つの積み重ねであり、一人ひとりの総和が、チーム全体で大きな差になってくると
いう。 そこにリーダーの力がある」と清宮克幸氏は語っている。

以下、清宮マジックの中から、2つかを紹介したい。

▼「次を予測する能力」が高まるのは「周辺視」から
試合では、状況は刻々と変化する。 一人の選手があるプレーを選んだときに、他
の選手全員がそのプレーの意味を理解する事が大切だ。 彼がなぜそう動いたか、
フォローしながら瞬時に頭のなかで説明を加え、次の合理的な展開の解答を導き出
す。 つまり、選手達全員が、ラグビー解説者になれるよう心がけなければならな
い。

次を予測する能力が高くなれば、チームの総合力は格段にレベル・アップするこれ
が、まさに会社の総合力と合致するのではなかろうか。 この考え方は、「周辺を
見よ」という言葉にも凝縮されていると思う。 「周辺を見よ」とはどういう事
か。 たとえば、タックルミスをして相手に抜かれたとしよう。 この時この選手
の動きの失敗だけを指摘してもだめなのである。 選手、あるいはチームに質さな
ければならないのは、以下の様な点である。

「タックルするためにどの位置からスタートしたのか」
「周辺の選手はどのポジションにいたのか」
「周辺の選手はどのような動きをしたのか」
「タックルにいくためにスタートを切るときにどこを見ていたのか」
大事な事は、ミスの結果だけに注目するのではなく、その周辺を見る事なのであ
る。

指導者が試合のビデオを見る時も、ボールの近くばかりに注目するのではなく、視
野をできるだけ広くしなければならない。 選手が試合中に気を配っているのは、
せいぜい自分の周辺、半径15メートルくらいだからである。

選手はどこからスタートを切ったのか、どんなコースを取って、どれくらいのス
ピードで走ってボールにたどり着いたのか。 指導者はボールから離れた「周辺」
をよく見て指摘し、なぜそのプレーが生まれたかを選手に考えさせなければならな
い。

オフェンスで相手チームのマークする選手を抜く事ができた時も、抜いた瞬間のス
ピードや動き、ステップはもちろん重要ではあるが、いちばん注目しなければなら
ないのは、やはり「周辺」なのである。

「周辺」を理解するためには、ボールが動き出すスタート位置から追っていくのが
いちばんわかりやすいだろう。 たとえば、スクラムハーフが上手にボールをスタ
ンドオフに供給し、きれいなライン攻撃でトライを奪ったとする。 

このシーンで、仮にスクラムハーフがボールを一歩持ち過ぎてからパスしていたら
どうなっていたか? こう考えてみるのだ。 一歩持ち過ぎれば、当然相手のディ
フェンスも一歩前に出る。 そうなればスタンドオフに投げる角度も変わってくる
だろう。 

角度が変われば、その後の展開は別のものになり、トライを決めたウイングもトイ
面を抜き去る事はできなかったかもしれない。

この「周辺視」で、ラグビーのプレーを見ていると、「何故その確度になげるの
か」「何故そのタイミングでボールを出すのか」何故その角度に走りこんだのか」
といった事を考える様になる。 煎じ詰めればこの「何故」を選手に考えさせる事
である。

▼「なぜ?」がすべての出発点
指導の鉄則は、選手が失敗した時には、その原因が突き止めてから指摘するという
事である。  例えば、敵がボールを持っている時に、早稲田の選手がディフェン
スの為タックルに行き、はずされてしまったとする。  ほとんどのコーチは、その
選手の動きの悪いところを指摘するだろう。  踏み込めていたか、相手との間合
いはとれていたか、相手をしっかりバインドできていたか。 そういう直接的な
タックルミスの原因に時間をかけて指導するはずだ。

しかし私の場合は、その選手がどの地点からスタートしたか、彼の周りにいた味方
プレーヤーはどの位置に立っていたか、といったポイントを重視する。  先述した
「周辺視」である。  タックルに失敗した選手は、やらなければならない事がたく
さんあったはずだ。 コーリングしているか、味方プレーヤーとの位置関係を把握
しているか、相手プレーヤーとの間合いはどうなっているか。 
そういう仕事をしっかりした上で、タックルを行ったかどうかが大事なのである。
 それができていれば、例えタックルをはずされても、別の選手がすかさずタック
ルを決める事ができる筈だ。 一事が万事、この様に指導していかなければならな
いのである。

何かをゼロから立ち上げようとする創成期には、常にこの「なぜ」という言葉がつ
きまとう。 「なぜこの練習をするのか」「なぜこの動きをするのか」「なぜこの
選手を使うのか」「なぜ」を考えながらつくり上げていった人間は、チームのセオ
リーや戦術、選手のスキルといった基本の部分が、どう変化していったかを間近で
見る事になる。  サントリーのどん底と頂点を経験してよかったと思っているの
は、正にこの変化を見る事ができたからである。 

チームのセオリー、戦術といったものは初めから用意されているわけではない。 
自分達でつくる以外にないのだ。 途中で壁にぶつかったり、つまずいたりしなが
ら、前進していく事になるが、その前進の過程では、早稲田なら早稲田の「掟」と
いったものが生まれてくる。 そして、「サイン・プレーの時に注意するポイン
ト」などを決めていく事になるのだ。

この時に選手に見せなければならないものがある。 例えば「こうすれば相手の
ディフェンス・ラインは絶対に抜ける」という明確な理由を示した上で「サイン・
プレーの時に注意するポイント」を解説する事である。 ただ単に「これは決まり
だ」とだけいうのは愚の骨頂なのだ。 こうしていろいろな状況を考えながら物事
を決めていくと、抽象的だった「掟」が具体的に像を結び、勝つために必要な多く
の「セオリー」を発見する事ができる。 そして、それが時間とともに収敷(しゅ
うれん)され、チームの「伝統」に変化していく。

しかし、新しい人間が入ってくると、変化の過程や「なぜ」という部分を見る事な
く、形やスタイルだけを真似する様になる。 そこに大きな落とし穴があるのだ。
 なぜこのセオリーはできたのか、このプレーはなぜ考え出されたのか、そういっ
た「なぜ」の部分を省略していってしまうからである。 早稲田が13年間も日本
一から遠ざかっていたのも「なぜ」を忘れ、「時代遅れになりつつあるセオリー」
に固執し、「伝統」だけに頼っていたからであろう。 

さて、サントリー・サンゴリアスの新監督に就任した清宮克幸氏の考えは、アマ
チュアリズム」を根幹に、ラグビーを通じ、人間性を高めていく「指導力」にある
との印象が強い。 1967年生まれで現在、最も力の発揮できる39歳。 

講演会場でも、今後のラグビー界を担うべき期待が寄せれれた質問が多かった。 
思い起こせば1990年以前はラグビーの方が人気があったが、その人気は「川渕
三郎マジック」とも言えるJリーグが起ちあがると逆転した。 

サッカーW杯で惨敗した「ジーコジャパン」の責任を、川渕三郎会長は一身に浴び
「レッド・カード」を一部の心ないフアンから突きつけられているが、今や野球を
凌駕するほどの「スポーツビジネス」に、仕上げたのは川渕三郎会長の手腕が有っ
ての事である。

その川渕三郎会長が、JSLに専念したのが1989年53歳の時である。 清宮
氏はその年齢にはまだ、14年前後の時間がある。

世界的にもラグビーは、サッカーに比べ、アマチュアリズムがの残っている。 清
宮新監督は、その精神を大事にしながら、世界の歩みにあわせながら、ラグビーの
発展に尽くされるであろう。  サントリーの営業としての実業経験を活かし、ラ
グビーをいずれ「スポーツビジネス」として、Jリーグに拮抗する事業化を期待し
たい。

清宮克幸氏は、その著書「究極の勝利」の「あとがき」に、次の言葉を記載されて
いる。

1978年に来日したこともあるフランス代表の主将に、ジャンーピエール・リー
ブという人物がいる。 ブロンドの長髪をなびかせて次々と大男をタックルで仕留
めた、小柄なフランカーだった。 いま、リーブはフランスで最も注目されている
画家の一人である。 そのリーブが語った有名な言葉がある。

「ラグビーは少年を最も早く大人の男に育て上げ、そして最後まで少年の心を失わ
せないスポーツだ」

参考サイト
清宮克幸オフィシャルブログ
http://kiyomiya.cocolog-nifty.com/koufuku/

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 発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭 
        (有) 新規事業開発 代表
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