強化書144 「記憶に残る“2006”オンリーワンの人」 その2
発行日時: 2006/12/26━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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2006年12月26日(火)
今年の2月始め、石毛宏典氏の「四国アイランドリーグの挑戦」を拝聴する機会に
恵まれた。 野球界へ一石を投じる挑戦へほとばしる情熱は、会場の参加者を圧倒
した。 1994年規定のコースと思われた西武ライオンズの監督を辞退し、福
岡ダイエーホ−クスに移り、球団職員としてメジャーリーグにコーチ修行に出かけ
た。 そこで、アメリカの1Aから3A迄のマイナーリーグや、中南米各地の独立
リーグ等、メジャーを志す若者達が夢を追いかける場が、何階層にも構成存在して
いる事を見聞、「野球に挑戦する若者の受け皿を作りたい」という思いが、具体化
へと一歩進んだ。
この四国アイランドリーグの運営に想像以上の苦闘と、それが故に、日本のプロ野
球を地域から支えたいと挑戦する熱意が、僅か45分のトークだったが聞く人に大
きな感動を与えた。
日本発の野球独立リーグ、日本プロ野球機構への挑戦、採算不透明、何より出資者
・選手・管理者の確保・球場の確保、等の問題とどれをとってもリスクを伴う前人
未到の新規事業である。 この石毛宏典氏の挑戦は、Jリーグを立上げ、サッ
カーを新規事業として成功させた川渕三郎氏を想起させるが、四国を起点に70年
の歴史に改革の一石を投じる事業である事に大きな違いがある。 「創業は易く、
守成は難し」である。
そして、四国アイランドリーグの設立にこぎつけたのが2004年の9月。 そし
てこの独立リーグから、今年ドラフトで千葉ロッテ、巨人、ヤクルトに3人の選手
が指名された。 石毛宏典氏の念願の一歩が実現したのである。 しかし、4チー
ムで運営する四国アイランドリーグは未だ赤字。 それでも彼の挑戦は、地元四国
企業とフアンに支えられて、次なる挑戦へと続く。
元々、本稿の趣旨であるところの「自己実現を目指す生き方」は、その志、その動
機にある。 正に、石毛宏典氏の挑戦は「記憶に残る“2006”オンリーワンの
人」なのだ。
■144 「記憶に残る“2006”オンリーワンの人」 その2
▼144−2 四国アイランドリーグを率いる石毛宏典氏の挑戦
1931年(昭和6年)日米野球が催され、メジャーリーグのスター選手がが来日
した。 それもベーブルースが来た事で、各地に大勢の人がおしかけた事で、プロ
野球設立の大きなきっかけになり、同年の大日本東京野球倶楽部(巨人の前身)設
立へつながった。 以来70年、いくつかの変遷を経て、今日のプロ野球がある。
しかし松坂、井川、岩村と日本のスター選手がメジャーリーグへと、新たな課題
も生まれ プロ野球が大きな壁を迎えた事は否めない。
社団法人日本プロ野球機構が、その守成なるが故に、改革が進まないいらだちの
中、行動で「風穴」を開け様としているのが石毛宏典氏である。 日本野球機構に
「直接参入する」という発想ではなく、アメリカの独立リーグの方式で、NPBに
選手を送り込む事で、底辺の拡大に一石を投じるという考えである。
石毛宏典氏は、1956年9月22日生まれ。 千葉県出身。 駒澤大で首位打
者、ベストナイン6回。 卒業後プリンスホテルで活躍。 1981年年、ドラフ
ト1位で西武ライオンズに入団。 走攻守三拍子揃ったプレーヤーとして、西武
ライオンズ主将もつとめ、黄金時代の牽引役となって活躍した、超がつくかどうか
は、異論があるだろうがが、一流の上位にランクされる選手である事は、疑う余地
はない。 監督としての資質は廣岡氏、東尾氏などOBからは認められず、現実に
はオリックスでも成功していない。
さて、「四国アイランドリーグ」の経営実態は厳しく、採算ベースに乗せる為の課
題は山積している。 経営者としての石毛宏典氏の力量が今、試されていると言っ
ても良い。
チーム構成は、村上水軍の由来からとった「愛媛マンダリングパイレーツ」 オ
リーブの産地と、がいなヤツという方言から「香川オリーブガイナーズ」 地場産
業で盛んな藍染「徳島インデイゴソックス」 闘犬で有名な初代チャンピオンと
なった「高知フアイテイングドッグス」と、各県に一つづつのチームがある。 各
チーム監督1名、コーチ2名、総てプロ選手OB、選手25名、トレーナー1名、
合計29名の陣容で、 半年間90試合で合計180ゲーム。 前期後期の2シ
−ズン制、試合日は金土日で原則3連戦の2カードで戦う。
2006年、1試合あたりの入場者数は806人で、前年の1068人を下回っ
た。 採算ラインと予想されている1試合あたりの入場者数1500人に届かな
い。 2006年は集客の多い金土日の3連戦を基本に日程を組み、また、香川の
主催試合ではシャトルバスを運行するなど利便性の向上に努めた。 しかし、リー
グ創設からのコアなファン以外は球場に足を運ぶ人は少ない。 4チーム総当りの
リーグ戦のため対戦カードが乏しく、マンネリ化に拍車をかけている。 今後、入
場者数を増やすには、選手のプレーの質を上げ、レベルの高い試合を行い、地元
ファンに愛されるチームを作る事が不可欠であり、今後リーグを存続していく上で
の課題である。
選手は、2005年時点では、1年契約で月給12万とし年俸144万、シーズン
半年間60万プラスして、年間支給額合計204万(2005年)。 これを多い
と見るか、少ないと見るか。 しかし給料がもらえて、プロ選手OB野球の親身な
指導と併せれば、練習と実践漬けの「プロ野球選手への登竜門」としては妥当では
ないだろうか。
この年俸を払う為に経費は詰めなければならない。 移動は一番遠距離の徳島から
松山までの日帰り3時間も含めて総てバスを利用。 ナイトゲームを開催できる球
場は愛媛県の坊っちゃんスタジアムと香川県のオリーブスタジアムの2ヶ所しかな
く、夏場のデーゲームをどう解消するか、当初の4球場全てのナイター設備は未だ
実現していない。
リーグ全体一法人で、選手100名、監督、コーチ12名含む130名の人件費、
その他運営費いれて月の経費は約7億強。 チーム平均は1.7億円と2億にも満
たない。 他方、サッカーのJリークでは、J1のトッププクラブでも年間50億
円。 J1の平均約26億円。 J2になれば5億円に満たない運営資金で活動し
ているチームもあるが、「四国アイランドリーグ」は、更にその下を行く。
対してプロ野球機構では年間平均70億円、トップクラスは200億円を越えてい
る。 サッカーは、強くなればJリークにまで登れる仕組みに対し、プロ野球では
この仕組みがない事が致命的とされる。 「四国アイランドリーグ」は、仕組み
のない中での船出である事を考えれば、石毛宏典氏の無謀な挑戦ともいえるのだが
・・。
最後に、講演会での石毛氏の言葉を、以下に再現したい。
「四国に来て、二つ感じた事がある。 一つはチャレンジする事の大事さ。 47
歳でオリックスの監督を首になって初めて気付いた事だ。 『こんな事をやりたい
という夢を持っている』と大きな声で叫んだ。 知恵は広い処から集めよう。 そ
して知恵は皆で出そう。 出来る事をできる範囲でやれば、四国の街は活気づくな
と思った。 皆が元気を出して響き合わせよう。共鳴し合おう。 夢を語って挑戦
しようと『野球に挑戦したい若者達にその場を提供する』この事業に取り組んだ。
ビジネスを考えると人は動いてくれない。 ビジネスで事をはからずに考え行動す
ると人は動いてくれる。 その結果、ありがたいお金が生まれる。 このお金は感
謝、お布施、浄財という金で廻ってくる。 これが、将来事業となる。 この『四
国アイランドリーグ』を始めるにあたっても、いろいろ障害があった。 ある人
が『石毛よ、そんなものはできる筈がないじゃないか』と。 この言葉を受け入れ
てしまえば、他人の思い込みに負けてしまい、私の夢や構想は消えてしまう。
二つ目は、『言い出しっぺの情熱』である。 プロの時代は、自分だけ考えればで
良かった。 チームの為にという言葉は社交辞令。 『自分だけでよい』『自分の
為に』というのは、簡単に自分に妥協できるという事だ。 『若者達の為に、野球
界の為に、四国の為にと取り組む』という理念を持って取り組むと、人が集まり、
その集まりが大きいほど、成果も大きものとなる。 経営とは何か、事業とは何
か、解らなかったが、この事に気付かされた。 自ら宣言する事で、思いや構想の
実現に、一歩踏み出せた。
実は、新潟アルビレックスに呼ばれ、観客満員で有名な『新潟ビックスワン』も見
学し、四国でも満員の感動を興したい。 平均800人は恥ずかしい。 今、地元
の大学生が頑張ってくれているので、可能性はあると思う。 昨年は四国の人に感
動を少しは与えられたと思う。 今後も経営と財務の基盤の強化にも奔走したい」
「四国アイランドリーグ」運営における想像以上の苦闘物語と、野球を通じて若者
達を地域に根付かせて「野球を通じて四国を日本を元気にしたい」という、そして
プロ野球の改革の端緒となる壮大な事業の成功に、挑戦する石毛宏典氏のほとばし
る情熱が、花開く事を願わざるを得ない。
参考サイト
・四国アイランドリーグ 公式サイト
http://www.iblj.co.jp/
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発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭
(有) 新規事業開発 代表
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