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強化書143 日本はアングロ・サクソンの意のままに! その4 

発行日時: 2006/12/22

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2006年12月22日(金)

今週のテーマは、関岡英之氏の著書「拒否できない日本」。 そして本稿の掲げた
タイトルは、「日本はアングロ・サクソンの意のままに!」としている。

初回は「独禁法強化」、2回目は、「アメリカが要求する司法制度の改革」、そし
て3回目は、NHKの番組「クローズアップ現代から“なぜ高い? 医療機器の値
段”」を取り上げた。

これらの日常のビジネスや身近な生活につながる事から入ったが、今更ながらアメ
リカの対日政策が、一貫した流れの元で行われてきた事に、気付かされる事にな
る。

現在、表面化した「年次改革要望書」(現在の正式和訳=「日米規制改革および競
争政策イニシアティブに基づく 日本国政府への米国政府要望書」) というものが
毎年定期的に出される様になったのは「クリントン政権時代の1994年の事であ
る。 

しかし実は、そのルーツは、昨日記述した1985年、日本が遅れている医療機器
分野に焦点を絞り、市場開放を迫ったアメリカとの貿易交渉(MOSS協議)、更
にもっと古く迄、遡る事ができる。 

それは、日本とアメリカの関係、あるいはアメリカという国の本質にもかかわる問
題をはらんでいる。 クリントン民主党政権と現ブッシュ共和党政権が共にに使っ
ている「イニシアティブ」という言葉がキーワードなのである。 この言葉の意図
するものは、どうやらもっと深い奥がありそうである。

今回は、「年次改革要望書」のルーツを辿る意味で「関岡英之氏の“日本の社会構
造そのものを変えるアメリカ”」を取り上げたい。

引用資料
関岡英之:著 拒否できない日本
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■143 日本はアングロ・サクソンの意のままに! その4 

▼143−4 関岡英之氏の“日本の社会構造そのものを変えるアメリカ”  

アメリカは、1970年代のニクソン政権の頃から、対日貿易赤字の原因は日本側
にあると非難してきた。 そしてGATTの関税交渉、繊維、自動車、半導体、牛
肉、オレンジなどの個別分野をターゲットとした2国間通商交渉や円高圧力等々、
アメリカは様々な戦略を駆使して日本に挑んできたが、結局どれも対日貿易赤字を
解決する事はできなかった。

その過程でアメリカは、日本の閉鎖的な市場や民間の不公正な取引慣行、そして経
済・社会構造そのものに次第に目を向ける様になり、ついには欧米とは異質な日本
独特の価値観や思考・行動様式そのものに問題がある、とまで考えるに至ったので
ある。

特に1980年代の後半に、対日政策の見直しを主張したチャルマーズ・ジョンソ
ン、ローラ・タイソン、ジェームズ・ファローズなどのリビジョニストといわれる
ジャーナリストや日本研究者が唱えた「日本異質論」がその理論的根拠とされた。

1987年に、アメリカの対日貿易戦略基礎理論編集委員会によってまとめられた
「菊と刀〜貿易戦争篇」というレポートがある。 執筆者名や詳しい内容は公表さ
れていないが、アメリカ・サイドから一部がリークされ、その日本語訳が出版され
ている(「公式日本人論」弘文堂)。

この調査研究の目的は、日本に外圧を加える事を理論的に正当化する事だった。 
そして結論として、外圧によって日本の思考・行動様式そのものを変形あるいは破
壊する事が日米双方の為であり、日本がアメリカと同じルールを覚える迄それを続
けるほかはない、と断定している。

つまり、自由貿易を維持するという大義名分の為には、内政干渉してでもアメリカ
のルールを日本に受入れさせる必要がある、と主張しているのである。

このレポートの執筆者の一人ではないかと推測されるジェームズ・ファローズは
「日本封じ込め」(TBSブリタニカ)というエッセイの中で「叫ぶのをやめて、
ルールを変えよう」という有名なセリフを吐いた。 こうした声が、アメリカの
ルールを強制的に日本に受け入れさせる事、もっと露骨に言えばアメリカの内政干
渉によって日本を改造するという、禁じ手の戦略を正当化する事になったのであ
る。

そしてそこから導き出されたアメリカの政策こそ、「日米構造協議」と呼ばれた日
本改造プログラムに他ならない。

「日米構造協議」とは、1989年のアルシュ・サミットの際に行われた日米首脳
会談の席上でブッシュ・シニア大統領が提案し、宇野首相が受け入れたものであ
る。 わずか20分間の会談で決まったという。

その後、官僚レベルでの協議の場でアメリカ側が、日本に突きつけてきた様々な要
求は、日本側の官僚が思いもよらないテーマばかりだったという。 農作物など具
体的な品目を対象としたそれ以前の通商交渉とは全く様相が異なり、「土地問題」
とか「価格メカニズム」といった抽象的なテーマばかりが採り上げられた。

分野横断的なテーマは、縦割り行政の壁に分断された日本の官僚が最も不得手とす
るところだった。 アメリカは「系列」や「談合」といった日本独特の商習慣は外
国企業を差別する「非関税」障壁で、自由な競争を阻害していると非難して、ただ
ちに撤廃するよう要求した。 アメリカは、特に談合を厳しく非難し、公正取引委
員会による取締りの強化や独占禁止法の運用強化など、日本の制度や政策の詳細に
立ち入って具体的な要求を突きつけた。

またアメリカは、日本の「不合理な流通システム」などが内外価格差を生んでいる
と主張して規制緩和を要求し、「これは日本の消費者のた為にもなる」と恩着せが
ましく言いふくめた。 アメリカの要求は、いわば日本という国の改造計画という
に等しいものであり、主権国家に対する要求としては例を見ない程、ぶしつけで厚
かましいものだった。

NHK取材班による「日米の衝突ドキュメント構造協議」(NHK)には、アメリ
カの要求リストを見た日本政府関係者の一人が「まさしくこれはアメリカの第2の
占領政策だ。 これが漏れれば大変な事になる」と呟いたというエピソードが紹介
されている。  

実際に当時の外務省は、提案の内容が漏れるのを怖れるあまり、担当者が直接関係
各省庁を訪れて、その省庁に関係する部分のみを口頭で相手に伝え、回答案の作成
を依頼して回ったという。

そんな小手先の策を講じたところで、アメリカは満を持して日本を丸ごと外科手術
にかけてやろうと鳴り物入りで乗り込んできているのだから、それを世間に隠し通
せるはずもなかった。 ほどなくアメリカの要求内容が明らかになるにつれ、財界
や業界関係者から、これは内政干渉だと憤激する声が高まった。 

しかし、この時も「アメリカの指摘は族議員、監督官庁、業界団体が三位一体と
なった不透明で腐敗した日本の構造問題を鋭く抉り出して、日本国民の前に明らか
にしてくれた」という、歓迎の意見が出始め、アメリカこそ健全野党だと賛美した
のである。

アメリカ政府が、日本の国民の利益を強調する時、それは目的を実現する為の戦略
に基づく方便に過ぎない事に、日本国民ははもっと注意深くなるべきである。 

アメリカ政府の目的は、一貫してアメリカ自身の国益の追求、すなわちアメリカの
選挙民やスポンサー企業にとってのビジネス・チャンスの拡大にある。 これは、
日米構造協議のと時に限らず、今日でも様々な局面においてあてはまる真理であ
る。

関岡英之(せきおかひでゆき)
1961年、東京生まれ。1984年、慶鷹義塾大学法学部卒業後、東京銀行(現
・東京三菱UFJ銀行)に入行。 証券投資部、北京駐在員事務所、国際協力銀行
出向などを経て、14年間勤務の後に退職する。 1999年、早稲田大学大学院
理工学研究科に入学。 2001年、同修士課程を修了。「なんじ自身のために泣
け」(河出書房新社、2002年)で第7回蓮如賞を受賞する。

註:文責は、関岡英之氏の著書「拒否できない日本」から、編集記述した発行者に
あります

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 発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭 
        (有) 新規事業開発 代表
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