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強化書141 超・格差社会の米国と、格差病社会の日本 その6

発行日時: 2006/12/10

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2006年12月10日(日)

アメリカ社会は、全ての人に対して「経済的に成功する」事を期待し、自由を尊重
する。 しかし、その事によって、貧富の格差、社会の絆の弱さなどの問題が生じ
ている必然性にある。 従ってアメリカ型の競争社会は、「階層社会の徹底化」と
「階層相互の隔離」によって維持されている。

米国型の市場資本主義が世界に広がれば、この様な社会構造が拡大し、世界中で富
裕層と貧困層の住み分けが進むことになるだろうというのが、スタンフォード大学
のMBAを持ち、ウォール街初の日本人証券エコノミストとなった著者が、渡米し
て現在迄26年、米国金融業界に実を置く小林由美の見解である。

ここで二つ、触れておきたい。 一つは、今週テーマを「格差」に絞って取り上げ
たが、「超・格差社会アメリカの真実」から、再度取り上げたい事がある。 アメ
リカの政策目標作成のメカニズムとグローバリゼーションの関係—シンクタンクの
エリート達がつくり、政治家が国民に説明するカラクリ。 そして、アメリカは、
能力ある人にとっては魅力的な国である事。 コストの高い基礎教育を母国で済ま
せ、移民として働く事は教育費を払わずに成果だけを手に入れれるというアメリ
カ。 その人達にとって何故、アメリカ社会は「心地よい」のか—クリエイティビ
ティが次々と事業化されてくる秘密について、後日取り上げたい。

二つ目には、この格差社会、階層社会をアメリカが、我々日本人社会に、「グロー
バルスタンダード」を浸透させている事である。  この「日本改造」が進んでい
る実態を「拒否できない日本」というタイトルで、既に報じれている「年次改革要
望書」に基づいて著しているのが関岡英之氏である。 

好むと好まざるに関わらず、アメリカの影響下にある、日本。 この「拒否できな
い日本」も、是非取り上げたい。

自由・平等・民主主義を標榜し、自由競争で活発な市場経済を誇るアメリカだが、
そこにあるのは、超・格差社会である。 一見矛盾するこの2つの側面をどう理解
し、そこから何を学べばよいのだろうか。

今週の最後は、「アメリカ社会の本質とその行方」で締めとしたい

引用資料
加藤諦三:著 格差病社会
http://item.rakuten.co.jp/book/4132241/

小林由美:著 超・格差社会アメリカの真実
http://item.rakuten.co.jp/book/4136824/

■141 超・格差社会の米国と、格差病社会の日本 その6(FIN)

▼141−6 アメリカ社会の本質とその行方

アメリカ社会は、全ての人に経済的に成功する事を期待し、その期待に応えて初め
て責任を果たした事になり、人間としての価値を証明できる。 日本をはじめ多く
の伝統的な社会は、周囲と協調し、同じ様な人生を歩む事を暗黙のうちに期待し合
うから、人生の選択肢は比較的狭い。

逆にアメリカ社会は、自由で何をしてもいい。 とはいえ、経済的に自立しなけれ
ば落ちこぼれる。 この責任と切迫感が、行動を抑制する一方で、常軌を逸脱して
極端に走らせる力にもなる。 アメリカのビジネスは、個人の本能的な欲求をある
がままに受け入れ、それをよりよく満たそうとする事から出発している。 そし
て、それを実現するべく真剣な努力をしている。 だから、提供されるものにはパ
ワフルな魅力があり、全世界を席巻するのである。

だが、買い手個人の主観的価値だけを基準にした市場メカニズムは、社会の価値基
準とズレがある。 軍需品など国家の安全保障に関わる分野、あるいは環境・医療
・教育を含む社会サービスやコミュニティの崩壊等は、市場メカニズムでは解決で
きない種類の問題である。

競争は、基本的に個人戦だから、熱が入れば周囲に対する配慮はおろそかになる。
 貧富の格差や社会の絆の弱さなどはその一面である。 それを是正しようとする
努力も行われているが、勝者の自己満足の色彩が強い。 どこまでいっても、皆の
幸せにつながらないのなら、この期待される人間像は望ましい選択肢とは言い難
い。

ある程度の生活水準に達するまでは、所得の上昇は幸福に直結する。 その水準を
超えると、所得に代わって重要になるのが「精神的な満足」である。

この段階に達したと自覚した人には、ライフスタイルを変える2つの選択肢があ
る。
第1は、都会の喧騒を離れ、自然の中の小さなコミュニティで、のんびり平和に暮
らす方法である。 気候が温暖で生活費が低い内陸地方には、リタイアメント・コ
ミュニティが数多く開発されている。 イエローストーン国立公園で有名なワイオ
ミング州の人口密度は、1平方キロ当たりわずか2人にすぎない。 そんな一角で
過ごす人達には、大都会の喧騒はまるで別世界である。

第2は、自分にとっで快適な社会で暮らし、そこで生き甲斐を見いだす事である。
 アメリカには、慌しい商業地区から隔離された高級住宅地が各地にある。 電車
などの公共交通機関は一切通さず、アクセスを困難にして、地域の安全を守ってい
るところも多い。 この様な地域に埋没すれば、社会の諸問題に煩わされずに暮ら
せる。

アメリカ型の競争社会は、こうした階層社会の徹底化と相互の隔離によって維持さ
れ得る。 アメリカ型の市場資本主義が世界に広がれば、この様な社会構造が拡大
して、富裕層が住む地域、貧困層が住む地域など、世界中で住み分けが進む事にな
るだろう。 そして、どこに住めるのか、選択肢を決める最大の要因は、資本の分
布と教育水準という事になる。

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 発 行 インディペンデント・コントラクター(IC) 肝 付 博 昭 
        (有) 新規事業開発 代表
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