私は外国語を教えていますが現在至るところに「カタカナ英語」が氾濫しており、このままだと美しい日本語が滅びてしまいます。もう一度古典などの日本語を見直し、先人の心の豊かさ・優しさを学びませんか。
- 最新号:2005-12-13
- 発行周期:週刊
- 読んでる人:49人
- 創刊日:2004-03-01
- Score!:-点
- コメント数 : 0
- メルマガID:111318
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
- >> 月間ランキング
ほろびゆく日本語を憂ひて
発行日: 2005/12/6***********************************
新・ ほろびゆく日本語を憂ひて(06号)
***********************************
<死ぬ覚悟をしたおはつは、世話になったお店の亭主夫婦へ、それとな
く 別れを告げ、店の者が寝静まったのを見計らって、出て行きます。
死に装束の白無垢の上に、黒小袖をひっかけて二階を降り、行燈の灯を消
し、縁の下に隠れて待っている徳兵衛と、手に手を取って店をこっそり出
て行きます。すでに夜もすっかりふけていました>
今回、掲げる「道行」の直前の段=「天満屋」の終わりの部分です。ここ
から「道行」の舞台へと、場面は進んでいきます。
解釈もさることながら、まずは「音」としての、日本語の言葉の美しさ
を味わってみましょう。
曽根崎心中・(徳兵衛・おはつ) 道行
この世の名残り夜も名残り、
死にに行く身をたとふれば、
あだしが原の道の霜、 * あだしが原=墓地・
一足づつに消えて行く、 * 消え=露の縁語
夢の夢こそあはれなれ。 * 夢の夢=夢の中でみる夢
(.o.) ここからワキ(=徳兵衛を受け持つ大夫)と
大夫(=お初を受け持つ大夫)との二人の掛け合いになります。
(ワキ)
あれ数ふれば暁の、
七つの時が六つ鳴りて、
残る一つが今生(こんじやう)の、
鐘の響きの聞きをさめ、
(大夫)寂滅為楽(じゃくめつゐらく)と
* 寂滅為楽=死んで安楽を得ること
(二人)響くなり。
鐘ばかりかは草も木も、
空も名残と見上ぐれば、
雲心なき水の音、
北斗は冴えて影映(うつ)る、
星の妹背の天の川、
梅田(むめだ)の橋を鵲(かささぎ)の橋と契りていつまでも、
われとそなたは女夫星(めおとぼし)、
かならず添ふとすがり寄り、
二人が中(なか)に降る涙、
川の水嵩(みかさ)もまさるべし。
向ふの二階は何屋とも、
おぼつか情(なさけ)最中(さいちゅう)にて、
まだ寝ぬ灯影ひかげ)声高く、
今年の心中よしあしの、
言の葉草や茂るらん。 * 言の葉草=言い草
(大夫)
聞くに心もくれはどり、
* くれはどり=呉機織(くれはたおり)の略。呉から輸入された職工。
心もくれ(呉)と掛けている。
あやなや昨日今日までも、 * あやなや=ふがいなくも
よそに言ひしが明日より、
われも噂の数に入り、
世に歌はれん、歌はば歌え、
歌ふを聞けば、
(歌二人)
「どうで女房にや持ちやさんすまい。 * どうで=どうせ
いらぬものぢやと思へども」 * いらぬもの=無益なこと
(大夫)
げに思へども嘆けども、
身も世も思ふままならず、
いつを今日とて今日が日まで、
心ののびし夜半もなく、
思はぬ色に苦しみに、 * 思はぬ色=思いもしなかった徳兵衛への恋
(歌)
「どうしたことの縁ぢややらら、=どういう因縁なのか
忘るるひまは無いわいな。
それに振り捨て行かうとは、
やりやしませぬぞ。 =行かせやしませんよ
てにかけて、
殺して置いて行(ゆ)かんせな。
放ちはやらじと泣きければ」
(大夫)
歌も多きにあの歌を、
時こそあれ今宵しも、
(ワキ)
歌ふは誰(た)そや、
聞くはわれ、
(二人)
過ぎにし人もわれわれも、
ひとつ思ひとすがりつき、
声も惜しまず泣きゐたり。
いつはさもあれこの夜半は、
* いつはさもあれ=いつもの夜ならばどうでもよいが
せめてしばしばは長からで、
心も夏の夜(よ)のならひ、
命を追はゆる鶏(とり)の声、 * 追はゆる=追い詰める
明けなば憂しや。
天神の、
森で死なんと手を引きて、
梅田堤(むめだつつみ)の小夜烏(さよがらす)、
明日(あす)はわが身を餌食(ゑじき)ぞや。
(大夫)
まことに今年はこなさまも、
二十五歳の厄(やく)の年、
わしも十九の厄年とて、
思ひ合うたる厄だたり、 =愛し合った者同士の厄がたたり、
縁の深さのしるしかや。
神や仏に掛け置きし、
現世(げんぜ)の願(ぐわん)を今ここで、
末来へ回向(ゑかう)し後(のち)の世も、
なほしも一つ蓮(はちす)ぞやと、 * 一つ蓮=一蓮托生
つまぐる数珠(じゅず)の百八に、
涙の玉の数添ひて、
尽きせぬあはれ尽きる道、
(二人)
心も空も影暗く、
風しんしんたる曽根崎の、
森にぞたどり着きにける。
この曽根崎の森にて二人が心中します。脇差で、徳兵衛が震える手で
お初の喉に....。
あまりに凄惨な描写なので、省かせていただきます。
**********************************************************************
◆岩切良信の【ほろびゆく日本語を憂ひて】叙情歌・愛唱歌から古典への誘ひ
◆発行:トランスワールド 大阪市中央区南船場1-13-15
◆お問い合わせ・質問・感想等は E-mail:ivakiri@yahoo.co.jp
◆http://www.geocities.jp/ganchan316/ [ほろびゆく日本語を憂ひて]
◆http://www.geocities.jp/ivakiri/ [めだかの学校奮戦記]
◆毎週火曜日発行 【無断転載禁止】
◆購読解除は上記ホームページよりお願いいたします。
まぐまぐ ID:127743
melma! ID:m00111318
melonpan ID:6266
**********************************************************************
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- 日本語教師・職員求人情報
- インターネット上の日本語教師・職員の求人情報を収集し、配信します。NIHON MURAに寄せられた求人情報はその内容を、他のホームページ上の情報はそ...
- 毎日読む英英辞典 〜英語で書かれた これなんだ?〜
- 英英辞典の説明文を毎日メルマガで。英語への苦手意識を克服しながら、単語の本当の意味がわかる。TOEIC,TOEFL, 英検、受験、ビジネス英語や日常...
- デイリーWebテク
- Webデザイン/Webサイト構築に役立つサイト情報やWeb関連のニュースを(ほぼ)デイリーでお届け。CSS、Web2.0、Ajax、Google、F...
- 日本語◎◎探偵団 〜知る・楽しむ・使える日本語〜
- いま話題の日本語の世界に、もっと気軽に親しめたらいいですよね。知っておきたい正しい用法、語源、死語、日本語関係情報etcを国語教員免許有の発行人(ク...
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/backnumber_article/melma_logo.gif)


