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ほろびゆく日本語を憂ひて

発行日: 2005/11/1

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                 新・ ほろびゆく日本語を憂ひて(01号)

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 みなさま、大変ご無沙汰いたしております。<充電>どころか<無為>
に時を過ごし、行方定まらぬまま彷徨しておりました。今までのメルマガ
をすべて再読いたしまして、今更ながら、みなさまから多くの激励をいた
だいていたことに深く恥じ入り(合掌)、ならぬまでもやはり続けようと
決意いたした所でございます。題して<新・ ほろびゆく日本語を憂ひて>
を再開いたします。
ところで、最近日本語に関するTV番組が増えてきましたよね。とっても良い
ことだと思います。この前も、「浮き足立つ」の真の意味を問うクイズあり
ました。正解は<不安・恐怖などで逃げ出したくなる・逃げ腰になるさま>
だそうですね。でもクイズにするのはどうかと思いました。これでは単なる
「ひけらかし」の感が強く、またぞろ俗っぽいモノになるのを危惧いたして
おります。でもまあいいか。これがきっかけになり日本語の美しさを再認識
することにつながれば。今回は<いとことふりにたれど>ですが、漱石氏の
「草枕」のあの有名な冒頭の一節から筆を起して参りたいと思います。
久しぶりに読んで、年を重ねるごとに思うんですが、やはり含蓄のある名文
だと思うからです。それと、軽いジャブから始めるほうが何かと(私が)楽
だからです。(あはは)

            「草枕」

 山路を登りながら、かう考へた。
智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい。
   (筆者注=同感です!)
住みにくさが高(かう)じると、安い所へ引越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
矢張り向ふ三軒両隣りにちらちらする唯(ただ)の人である。
   (筆者注=そうなんですよね!なんで苦しむんやろ?)
唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
   (筆者注=山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう...)
あれば人でなしの国へ行く許(ばかり)だ。
人でなしの国は人の世よりも猶(なほ)住みにくからう。
    (筆者注=まさにその通り! だと思います)
越すことのならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、
寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人といふ職が出来て、ここに画家といふ使命が降(くだ)る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、
人の心を豊かにするが故に尊(たっと)い。
住みにくき世から、住みにくき煩(わづら)ひを引き抜いて、
有難(ありがた)い世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。
あるは音楽と彫刻である。こまかに云へば写さないでもよい。
只まのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も湧(わ)く。

 <次からは筆者が知らない語がありますので書き添えます>

着想を紙に落とさぬとも<きゅうそう>の音(おん)
胸裏(きょうり)に起こる。
      * きゅうそう→漢字変換できません。
            =玉や金属が触れ合って鳴り響くさま
丹!)(たんせい)は画架に向かつて塗抹(とまつ)せんでも
  * 丹!)=赤の絵の具になる石と、青の絵の具になる土
五彩の絢爛(けんらん)は自(おのづ)ずから心眼に映る。
只おのが住む世を、かく観じ得て、霊台方寸のカメラに
<ぎょうきこんだく>の俗界を清くうららかに収め得れば足る。
  ・ぎょうき→漢字変換できません。
       =道徳の薄れた人情軽薄な末の世
  ・こんだく→漢字変換できません。
       =世の中が乱れて穢れること
この故に夢声の詩人には一句なく、無色の画家には<せきけん>なきも
  ・せきけん→漢字変換できません。
       =(せっけん)ほんの小さな画作
かく人世を観じ得るの点に於て、かく煩悩を解脱するの点に於て、
かく清浄界(しやうじゃうかい)に出入し得るの点に於て、
又この不同不二(ふどうふじ)の乾坤(けんこん)を建立(こんりふ)
し得るの点に於て、我利私慾の羈絆(きはん)を掃蕩するの点に於て、
      * 乾坤=天と地・人の世・太陽と月・天下
      * 羈絆=足手まといになること・ほだし・きずな
      * 掃蕩(そうとう)=掃討
 ━千金の子よりも、万乗(ばんじょう)の君よりも、
      * 万乗の君=天下を治める君主
あらゆる俗界の寵児よりも幸福である。
   (筆者注=ものすごく難しくおっしゃってますが、要するに
    自然体で生きろってことかなあ? そこまで悟られへんわ。
    (.o.) ここは引用しなければ良かった!)


 世に住むこと二十年にして、住むに甲斐(かひ)ある世と知った。
二十五年にして明暗は表裏の如く、
日のあたる所には吃度(きつと)陰がさすと悟った。
三十の今日はかう思ふて居る。━━喜びの深きとき憂(うれひ)愈
(いよいよ)深く、楽の大いなる程苦しみも大きい。
之を切り放さうとすると身が持てぬ。
片付けやうとするとすれば世が立たぬ。
金は大事だ、大事なものが殖(ふ)へれば寝る間も心配だらう。
恋はうれしい、嬉しい恋が積もれば、恋をせぬ昔がかへって恋しからう。
閣僚の肩は数百万人の足を支へて居る。
背中には重い天下がおぶさつて居る。
うまい物も喰はねば惜しい。少し食へば飽き足らぬ。
存分食へばあとが不愉快だ。........

 ある30代の女性にこれを読ませて、「どう? 含蓄のある文やろ?」
と言いましたら、「ガンチクって何ですか?」と言われました!
 活字離れがひどくなったと言われますが、もはや憂いている段階では
ありません! 小学校の低学年には<読み聞かせの時間>を、高学年に
は<読書の時間>を授業に取り入れよ!と警鐘を鳴らして第一回の新・
メルマガを終わります。(あはは)またメールください。


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◆岩切良信の【ほろびゆく日本語を憂ひて】叙情歌・愛唱歌から古典への誘ひ

◆発行:トランスワールド 大阪市中央区南船場1-13-15

◆お問い合わせ・質問・感想等は E-mail:ivakiri@yahoo.co.jp

http://www.geocities.jp/ganchan316/ [ほろびゆく日本語を憂ひて]

http://www.geocities.jp/ivakiri/ [めだかの学校奮戦記]

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