私は外国語を教えていますが現在至るところに「カタカナ英語」が氾濫しており、このままだと美しい日本語が滅びてしまいます。もう一度古典などの日本語を見直し、先人の心の豊かさ・優しさを学びませんか。
- 最新号:2005-12-13
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ほろびゆく日本語を憂ひて
発行日: 2005/3/22***********************************
ほろびゆく日本語を憂ひて(52号)
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先週、作詞家の江間章子さんの訃報が伝えられました。ご承知のように
♪「夏がくれば 思い出す...」の「夏の思い出」を作詞された方ですね。
その頃になりましたらご紹介しようと思っていましたが、季節がら、私の
大好きな次の歌にします。実は、♪ 七色の谷を超えて...♪ 輪になって
輪になって... と歌ってみますと、たいていの方はご存知なんですが、
題名となると「さあ〜?」なんですね。色々調べていたら、なんと、江間
さんの作詞だったのです! 更に恥の上塗りになりますが、氏がつい最近
までご存命だったことも知りませんでした。素晴らしい歌を作って下さっ
たことに御礼申し上げますとともに、ご冥福をお祈りいたします。
作曲もあの<団 伊玖間>さんだったのですね!
「花の街」 昭和22年(1947年)
作詞 江間 章子
作曲 団 伊玖間
♪ 七色の谷を超えて
流れていく 風のりぼん
輪になって 輪になって
かけていったよ
春よ春よと かけていったよ
美しい海を見たよ
あふれていた 花の街よ
輪になって 輪になって
踊っていたよ
春よ春よと 踊っていたよ
すみれ色してた家で
泣いていたよ 街の窓で
輪になって 輪になって
春の夕暮れ
ひとりさびしく泣いていたよ
なんと心豊かな詩なんでしょう!前回言いました<耳に当たる風の音>
が響いてきます。思わず深呼吸したくなります。あの「夏の思い出」は
昭和24年、この曲が作られたのが私の生まれた翌年です。食べるものも
事欠く時代だったはずです。文化の力を改めて思い知らされます。
3番の「春の夕暮れ」。春宵はそれでなくても人恋しい気持ちにさせます
よね。もう1つ私の好きな「春の歌」。
「春の唄」 昭和12年(1937年)
作詞 喜志 邦三
作曲 内田 元
♪ ラララ 紅い花束
車に積んで
春が来た来た 丘から町へ
菫買いましょ あの花売りの
可愛い瞳に 春のゆめ
ラララ 青い野菜も
市場について
春が来た来た 村から町へ
朝の買い物 あの新妻の
篭にあふれた 春の色
ラララ 啼けよチロチロ
巣立ちの鳥よ
春が来た来た 森から町へ
姉と妹の あの小鳥屋の
店のさきにも 春の唄
ラララ 空はうららか
そよそよ風に
春が来た来た 町から町へ
ビルの窓々 みな開かれて
若い心に 春が来た
高校に入って最初に歌ったのがこの曲でした。音楽室の行き帰りに
ニセアカシアの木が立ち並び、その黄色い花が強烈な匂いを放っていま
した。あの頃は希望に輝いていました。今と違って、好きな娘(こ)の
姿を見るだけでときめいていました。そう,彼女はまだミッチーバンドを
していましたっけ。吉永小百合さんも。(あはは)
これも曲名が分からず苦労しました。春を歌った曲を、と言われれば、
私は1も2もなくこの「花の街」「春の唄」を挙げます。
♪ 七色の谷を超えて 流れていく 風のりぼん
♪ 可愛い瞳に 春のゆめ
篭にあふれた 春の色
店のさきにも 春の唄
若い心に 春が来た
どうしたらこんな言葉が生まれるのでしょう。天才です! 私はやはり
このような解りやすい詩の方が好きです。
徒然草 第十九段
折節の移りかはるこそ
ものごとにあはれなれ。
「もののあはれは秋こそまされ」と
人ごとに言ふめれど、
それもさるものにて、
今ひときは心も浮き立つものは
春の気色にこそあらめ。
鳥の声などもことのほかに春めきて、
のどやかなる日影に
垣根の草もえ出ずるころより、
やや春ふかく霞みわたりて、
花もやうやうけしきだつほどこそあれ、
折りしも雨風うちつづきて
心あわただしく散り過ぎぬ。
青葉になり行くまで、
よろづにただ心をのみぞ悩ます。
花橘は名こそおへれ........
古人は「鳥の声」「日影」「垣根の草」「春の嵐」に敏感に反応して
「初夏の青葉になり行くまで、よろづにただ心をのみぞ」悩んでいたの
です。豊かな感性に<コクド>も<ライブドアー>も<サンケイ>も霞み
わたってしまいます。勝っても負けても帰るべきは、結句、自然を愛で
得る豊かな心なのに。何故、人はかくも<遠回り>しようとするのか!
あの太閤秀吉さんでさえも、最後に言っているじゃないですか。
露と落ち露と消えにしわが身かな
浪花のことも夢の又夢
どこかで春が 大正12年(1923年)
作詞 吉田 宗次
作曲 草川 信
どこかで「春」が
生まれてる
どこかで水が
ながれ出す
どこかで雲雀が
啼いている
どこかで芽の出る
音がする
山の三月
東風(こち)吹いて
どこかで「春」が
生まれてる
つづく
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◆岩切良信の【ほろびゆく日本語を憂ひて】叙情歌・愛唱歌から古典への誘ひ
◆発行:トランスワールド 大阪市中央区南船場1-13-15
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