トップ > ニュース&情報 > 社会・社会学 > 花柳幻舟さんとあれこれ考えてみる

小学校中退で大学卒業の創作舞踊家・花柳幻舟と仲間たちが、日常の出来事から内外の政治、経済、教育等々の小さな疑問や大きな矛盾について、自由でユニークな観点であれこれ考え語るメッセージマガジン。

  • 最新号:2008-10-10
  • 発行周期:月2回(10日、25日)
  • 読んでる人:105人
  • 創刊日:2004-02-26
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  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
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花柳幻舟さんとあれこれ考えてみる(2005.11.10号)

発行日: 2005/11/10

<K君の思い出>  かれこれ8年前のことである。  私の住む市では、それまで不定期に開いていた地元の小学生を対象と したサッカー教室を、社会教育の一環として通年の教室として新たに開 校することになった。  学生時代にサッカーの経験があった私は、知人に誘われ、市が募集す る指導員の一員に名乗りを上げ、初年度は小学6年生の指導を担当する ことになった。  そのとき入ってきた、○△サッカー教室第1期生のひとりがK君であ る。  私たちの教室には市内4つの小学校から子どもたちが参加していた。 K君も他校の仲間と一緒になってボールを蹴(け)り走り回る、元気な 少年だった。  K君は県大会にも出場した。私たちのチームは1回戦で負けてしまっ たが、そんなことにはまるで動じることもなく、ピクニックの帰り道の ように、バスの車中で他校の子らとK君はいきいきと少年そのものの活 発さを見せてはしゃぎ回り、「君たちは負けて悔しくないのか」と、私 たち指導員らに笑いながら怒られたこともあったりした。  私の拙(つたな)いプレーにも「すげえー」といいながら、「先生、 教えて! 教えて!」と、仲間と競って練習をしていたK君の思い出も ある。  そんなK君がいわゆる“不登校児”であったことを私が知ったのは、 K君がこのサッカー教室を卒業してから半年後だった。  ある日、街でK君と同じ小学校に通い、市のサッカー教室にも一緒に 通っていたY君のお母さんに偶然出会った。 「Y君、元気でやっていますか?」  と私が聞くと、Y君のお母さんは、 「ハイ、部活動で毎日夜遅くまでやっています。教室で一緒だったK君 たちもサッカーを続けているんですよ」 「そうですか、それは良かった」   私の喜ぶ声を聞いて、 「K君のお母さんも、K君が毎日学校に行くようになったと喜んでねえ」  と、Y君のお母さんはこう続けた。 「え?」  私が怪訝(けげん)な顔をすると、 「先生はご存知なかったと思いますが、K君、あのとき小学校には、ほ とんど行っていなかったんですよ」 「そうだったんですか。ぜんぜん知らなくて‥‥」  Y君のお母さんはそれ以上、K君の家のことは言わなかった。私も立 ち入ることはしなかった。 「それじゃあ、Y君に部活、がんばるように伝えてください」  といって、私はY君のお母さんと別れた。  そのあとで私は当時のことを色々と思い巡らせてみた。  グラウンドで見せるK君の無邪気(むじゃき)な笑顔と歯を食いしば ってボールを追いかけている姿を思い出すと、K君が“不登校児”だっ たということが、私にはとても信じられなかった。  K君が再び学校に行くようになったきっかけはわからない。  しかし、K君がサッカー教室卒業までの1年のあいだ、K君が“不登 校”であろうがなかろうがまったく関係なく、一緒にサッカーに打ち興 (きょう)じてくれた仲間がいた。これがK君の最大の幸運だったよう に私は思う。  サッカー教室に参加しているK君のクラスメイトは、K君が“不登校 児”であることを知っていた。けれど、私はK君の抱えていた悩みや苦 しみをまったく気づかず“指導者”の役割を果たしていたことに、いま 恥じ入るばかりだ。  K君とK君の仲間との絆(きずな)は私が知らなかっただけで、とて も強いものがあったと推察できる。  K君は中学入学と同時に、環境も変わり、毎日登校するようになった。  K君が中学でも、サッカーをやっているという話を聞いて、このサッ カー教室が、K君が再び学校に行くきっかけを、わずかながら作り、役 に立ったように私には思える。  K君たち1期生は、1年間それも週1回の練習ということもあって、 技術を教えることよりもサッカーという競技の面白さを伝えることしか できなかった気がする。  K君に限らず、私がサッカー教室の子どもたちに願うことは、せっか くサッカーが好きで始めたのだから、たとえ何らかの理由で途中で競技 をやめることになっても、仲間とともにボールを追って力の限り全身の 筋力を使って走り回ったその感動は忘れないでほしい。  団体競技のスポーツという体験は、そののちの、オーバーにいうと人 生観にも大きく影響をあたえることと私には思える。人と人との関わり なくして人生は成り立たないのだから。  K君はサッカーという団体競技の中で、無意識のうちに仲間との関わ りに自信を持てたのかもしれない。  私はサッカーをしてきたおかげで、K君らと出会えた。  そして団体競技の持つ、“助け合う”という心を、私は新(あら)た に再確認した思いだ。  私たち指導者のあいだで、近い将来、卒業生や保護者をみんな集めて 大サッカー大会をやろうという話がある。そのときには大人になったK 君たちの顔をぜひ見たいと願っている。       【自転車操業インターナショナル連合会・略称『自操連』                       事務総長・中森明彦】   ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆            お  知  ら  せ         『花柳幻舟さん 映画と講演の集い』  日 時:2005年12月16日(金)      5時30分会場、6時開演  場 所:熊本市民会館  入場料:前売り 1800円、当日 2000円      大学生以下は500円  後 援:熊本県、熊本県教育委員会、熊本市、熊本市教育委員会、      朝日新聞、西日本新聞、熊本朝日放送(KAB)、エフ      エム・クマモト(FMK)、熊本シティエフエム(FM      791)<11月10日現在>              (その他メディア等にも後援予定あり)  ※当日は保育室の準備もしております。お預かり料は500円(保険 料込み)。受付にお申し込みください。  ※講演終了後、幻舟さんの2冊の新著、『14歳の死刑囚』(現代 書館)、『ウソつきは、人間の始まり』(健学社)のサイン会 も行います。  問合せ: 「花柳幻舟さん 映画と講演の集い」を成功させる実行委員会事務局              熊本市京町1−12−2 京町会館1階                     ドリームカンパニー44内                 電話・096−325−7544                         担当・今村哲雄 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ <あとがき> □幻舟さんの2冊の新著『14歳の死刑囚』(現代書館)と、『ウソつき は、人間の始まり』(健学社)の発売まであともう少しです。 『14歳の死刑囚』は、一部の突出した少年犯罪を、マスコミを用いてセ ンセーショナルに取り上げ、あたかも“凶悪”な少年犯罪が激増してい るかのような印象を与えている今日(こんにち)。 メディアにより国民を煽(あお)り、国が推(お)し進めている少年 犯罪に対する厳罰化。幻舟さんはそれを危惧(きぐ)し、なんとか少年 少女たちの未来が摘(つ)み取られることのないようにという願いから 書かれた、熱情を込められた著書です。 また『ウソつきは、人間の始まり』は、幻舟さんの苦闘の半生の中か ら体感し生まれた、勇気と愛と元気の出る100の言葉からなる寸言集で す。 幻舟さんが出会い、そして感じたさまざまな言葉は、悩みや迷いを抱 えながら生きている多くの方たちにとって、きっとヒントになることで しょう。両著とも幻舟さんの渾身(こんしん)の力作です。 なお、読者の皆さんから発売日に関するお問い合わせなどをたくさん いただいておりますが、発売日や価格なども含めて、次号では詳細をお 知らせできると思います。どうぞもう少しお待ちください。 □前号、「自転車操業インターナショナル連合会」副総裁・水平線世之 介さんの<忘れてもらっては困る>の文中において、「自転車操業イン ターナショナル総連合会」と誤って表記してしまいました。 正しくは「自転車操業インターナショナル連合会」です。 筆者の水平線世之介さんはじめ「自転車操業インターナショナル連合 会」永世総裁、名誉顧問、事務総長、また読者の皆様方には大変失礼い たしました。謹んでお詫び申し上げ、訂正させていただきます。 □このメールマガジンに対するご感想などは  genshu-h@mail.goo.ne.jpまでどうぞ。   【へんしゅう・昇】

 
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