小学校中退で大学卒業の創作舞踊家・花柳幻舟と仲間たちが、日常の出来事から内外の政治、経済、教育等々の小さな疑問や大きな矛盾について、自由でユニークな観点であれこれ考え語るメッセージマガジン。
- 最新号:2008-10-10
- 発行周期:月2回(10日、25日)
- 読んでる人:105人
- 創刊日:2004-02-26
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- コメント数 : 0
- メルマガID:111008
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花柳幻舟さんとあれこれ考えてみる(2005.3.10号)
発行日: 2005/3/10<城下町の憂鬱(ゆううつ)> 先日、地方のある城下町を訪れる機会があった。1時間も歩けば町じゅうを見 て歩けるくらいの小さな町で、町並みのあちこちに17世紀はじめから6万石の城 下町として栄えた名残を残していた。 小高い山の上に城があり、山の麓(ふもと)には城を仰ぎ見るような形で武家 屋敷跡が残っている。そのエリアには洒落(しゃれ)た喫茶店がいくつかあった。 多くが旧家らしい屋敷の一部を改造したもので、店内では小物や工芸品なども扱 っており、芝居やミニ・コンサートのチラシが置いてあることもある。そして、 美しく装った上品そうな女主人が上品そうに微笑みながら客を迎える。都市部の 高級住宅地でよく見かけるレストランや喫茶店の城下町バージョン。 コーヒー好きの私は、喫茶店を素通りするということができない。当然このと きも、いそいそと最初に目に入った店へ。しかし、1軒目、2軒目、そして3軒 目も同じパターンであると知って、さすがに3軒目は回れ右をして出てきてしま った。 すべて私の勝手な想像なのだけれど、彼女たちは、いかにもその出自を誇らし く思っているように見えた。何ら自らが成し遂げたものではない、生まれという 偶然の状況に多大な価値を置き、周囲もまたそのことに同じ価値を見出すはずと 思い込んでいるようでもあった。屋敷を背負った女主人たちの笑顔が痛ましく無 惨に思えて、コーヒーを味わうどころではなかったのだ。 考えてみると、私は古都と呼ばれる地でくつろげたことがない。町並みや建造 物、美術品の見事さに目をみはりはする。歴史を感じもする。しかし、それが見 事であればあるほど、その見事さを享受していたごく少数の人たちと、食うや食 わずの生活でその見事さを実際に創り上げていた圧倒的多数の人たち、そしてそ の見事さのために費やされた膨大なエネルギーに思いが飛び、気が沈み、息苦し くなってしまう。問題は多々あれども、20世紀に生まれたわが身の幸運を思う。 【嶋田ゆかり】 <あとがき> □熊本からのうれしいお知らせです。 2月26日、熊本市産業文化会館で、熊本市教育委員会、熊本市人権啓発市民協 議会、熊本市PTA協議会などの主催、後援による『第7回熊本市人権フェステ ィバル』が開かれ、この中で、昨年6月、幻舟さんが講演で訪れた湧心館高校の 女生徒さんが、幻舟さんの講演を聞いた感想を「意見発表」して、会場を埋めた 約700人の参加者から大きな拍手が送られたとのことでした。 「意見発表」のタイトルもズバリ『花柳幻舟さんと出会って』。 この生徒さんは、学校でも家庭でも辛い思いを抱えていて、学校も休みがちの 子です。「幻舟さんがこの学校に講演に来るから、話を聞きに来ないか?」と、 先生に誘われ、勇気を出して学校に来たのだそうです。 ここで彼女は、幻舟さんのこれまでの生い立ちや人生観などの話を聞いて、自分 の生い立ちと多くの部分が重なることを知り、自らの弱さがわかったといいます。 学校での講演の日、一緒に給食を食べながら、「いつもこんなにおいしい給食を 食べてるの? 刑務所では視察の“お客さん”が来るときは、特別な食事が出る ように、今日は特別な給食なんじゃないの?」という冗談交じりの幻舟さんの問 いかけに、「いつもと同じだよ。おいしいんだよ」と答えた楽しいエピソードも。 幻舟さんの温かな人柄に接して、幻舟さんに出会って学校へ行く勇気が湧いて きた。これからは卒業を目指してがんばります。幻舟さんありがとうございまし た、という内容の「意見発表」だったそうです。 湧心館高校の先生からも、「彼女も学校に来るようになり、やったらできると いう勇気をもらいました。感謝の言葉もありません」と、幻舟さんへのお礼状が 届いたそうです。 幻舟さんはこのお手紙を読んで、 「私との出会いが彼女のこれからの人生に少しでもプラスになれば、こんなうれ しいことはない。むしろ私のほうが勇気と元気をもらった」と、私に話してくれ ました。 “蒔(ま)かぬ種は生(は)えぬ”といいますが、幻舟さんが自らの体験を子ど もたちに伝えたいと、各地を回りながら、深い思いを込めて蒔いた種は、ここに もひとつ、見事に芽を出したのです。春の訪れにふさわしい、本当にうれしいお 知らせでした。 □うれしいお知らせがもうひとつ。 株式会社健学社(TEL:03-3222-0557)から毎月発行されている『学校健康フ ォーラム』という雑誌に、この5月号から一年間に渡って幻舟さんがコラムを連 載することになりました。 この本は、「子どもの生きる力を育(はぐく)む」ことを中心テーマに、保健 体育の先生や養護学級の先生など、学校教育に携わる人を主な対象として発行さ れている月刊誌です。 このような連載を受け持つようになったということは、とりもなおさず、昨年 出版された『小学校中退、大学卒業』(明石書店)や『逃げたらあかん!』(K Kロングセラーズ)といった幻舟さんの著書が、教育関係者などからも高い評価 を受けているということの表れでもありましょう。 幻舟さんは、自分自身、学校の先生たちによって心に傷を負わされてきた人間 だから、子ども側の言葉でしか書けない。こういう言葉に子どもは傷つくとか、 先生にこう接して欲しかったとか、「不登校」の責任を子どもたちだけに押し付 けてしまうのではなくて、いろんな原因があるんだということを、子どもの側に 立って、子どもの目線すなわち弱者の目線でこのコラムを書きたい。そしてそれ が先生たちへの何かしらのヒントになればいいなあと、連載を始めるにあたって の豊富を語っています。 子どもたちとの関わり方を模索している教育関係者だけでなく、保護者の方々 にとっても有益なコラムになるものと思います。 この本は定価700円で、一般の書店でもお買い求めになれます。ぜひご一読 ください。 また、これはまだ先のお話ですが、今秋、新たに2冊、幻舟さん書下ろしの単 行本が、2つの出版社から出ることが決まりました。 「多くの方に読んでいただくためにも、できるだけ安い値段で出して欲しい」と いうのが幻舟さんの第1の希望。これらを含めて具体的な話はこれからになりま すが、幻舟さんは「革命的な本になりそう」と、今から執筆意欲満々です。 この詳細については、決まり次第またお知らせします。どうぞご期待ください。 □幻舟さんの近況をもうひとつ。 2月末、関西での仕事に合わせて、幻舟さんは、これまでお世話になった方々 にご挨拶回りをしてきました。その時のお話です。 昨年、CD『残・曾根崎心中』(株・ブリッジ)の発売時に、オリジナル缶バ ッジの製作でお世話になったクラフトハウスの山崎さんのお住まいが、幻舟さん がまだ旅回りの役者さんだった頃に出演していた大阪の「JR天満駅」の横の『 天満座』という芝居小屋の近くだと知って、いつか「天満」に一緒に行きましょ うと山崎さんと以前から約束をしていたのだそうです。それがようやく先日実現 しました。 山崎さんに案内していただいて「天満」を訪れた幻舟さんですが、『天満座』 はすでに跡形もなく、そこは大マンションが建っていて、あまりの変わりように 幻舟さんもガックリ。 当時、『天満座』のボンボン(息子さん)に、幻舟さんは淡い恋心を抱いてい たそうです。しかし幻舟さんのお父さんから「旅芸人の娘が小屋主さんの息子さ んにあこがれても、それはかなわぬものや」と言い聞かされていた。ある日、そ のボンボンにデートに誘われた。舞台で疲れて約束を忘れてしまい、幼い幻舟さ んはコロッと楽屋で寝てしまった。 そして明くる日、そのボンボンから「お父さんに叱られて来れないのかと思っ て心配してたでー」と聞かされた。 そんななつかしい思い出話を語りながら、「本当に幼い恋心やねえ。この辺も こんなに変わってしまったし。やっぱり夢は夢ねえ」とつぶやく幻舟さんに、山 崎さんが「何年前の話ですか?」と尋たそうです。 芸人の幻舟さん、すかさず「そうねえ、私が13、4才のころだから、もう20年 も前の話かな」と一言。 負けじと山崎さん、「幻舟さんは計算が苦手ですから」と、大笑い。 「失礼ね、30から13か14引いたら、なんぼになります? そんなん、誰かてすぐ わかるわよ」と、これまた笑いながら答える幻舟さん。 ちょっぴり感傷にひたりながら、心やさしい皆さんと楽しい時間をすごし、久 しぶりにリフレッシュした幻舟さんでした。 ◇講演会のお知らせ 日 時:3月13日(日)開場午後1時、開演午後1時30分 講演テーマ:「人生、いつだってやり直しはできる」 〜疎外感、劣等感、自己否定の半生の中から、 真の勇気と解放をつかんだ。 この私の体験を、 私と同じおもいに苦しむ多くの人たちに語りたい〜 場 所:愛知県渥美町中央公民館 多目的ホール 入場は無料です。 主 催:渥美町、女性会議ウィットあつみ 問合せ:渥美町企画課企画調整係 電話 0531−33−1118 ※20数年前、渥美町在住のAさんが、ご自分で作られた詩に幻舟さんを通じて著 名な作曲家に曲をつけてもらい、幻舟さんの唄による『あつみ音頭』という歌が できました。 今回、渥美町での講演会を告知するチラシが全家庭に配られた際、この『あつ み音頭』をぜひまた聞きたいという電話が、この講演会を主催する渥美町役場の 担当者宛てにあったそうです。 もう20年も前の話なので、役場の若い担当者は曲の存在自体知らなかったよう ですが、Aさんが自費で作られた故郷の渥美を思う歌が、Aさんが亡くなられた 今でも、住民の方々の心に残っていたことを知って、幻舟さんもとても感激した そうです。当日の講演の中では、渥美町とのかかわりにも触れながら、久しぶり に『あつみ音頭』も唄うとか。楽しみな講演になりそうです。お近くの皆さん、 ぜひお出かけください。 このメールマガジンについてのご感想などは、genshu-h@mail.goo.ne.jpまで。 【へんしゅう・昇】
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