小学校中退で大学卒業の創作舞踊家・花柳幻舟と仲間たちが、日常の出来事から内外の政治、経済、教育等々の小さな疑問や大きな矛盾について、自由でユニークな観点であれこれ考え語るメッセージマガジン。
- 最新号:2008-10-10
- 発行周期:月2回(10日、25日)
- 読んでる人:105人
- 創刊日:2004-02-26
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花柳幻舟さんとあれこれ考えてみる(2004.6.25号)
発行日: 2004/6/25─────────── 幻舟の今日のひとりごと ─────────── 癒しのときは終わった! 私の、小学校中退で大学卒業したということが、メディアによって、広 く多くの方に伝わった。 全国各地から、まだ見ぬ人より、お祝いのお便り等々が届いている。 圧倒的に多いのは、自己批判を込めたりしながらも「小学校中退で大学 を卒業した幻舟さんに元気をいただきました!」というものだ。 その中のひとつを紹介しよう。 「小学校中退で、大学が卒業できるシステムは素晴らしいことです。そ ういうシステムがあるにもかかわらず、ほとんどの人が諦めています。そ して、『学歴がないから、こんな生活しか出来ない』って自分を卑下した り、やたら突っ張ってみたり……。 やれば出来る! 幻舟さんの努力、たくさんの人に知って欲しいです。 幻舟さんは特別な人ではありません。普通の女性です。小学校3年で学 校へ行かなくなった(行けなくなった)人が、大学を出ようと決心したと きの気持ち、私が想像する以上でしょう。私だったら、劣等感に負けてし まうかもしれません。(後略)」 『小学校中退、大学卒業』(明石書店)のキャンペーンを兼ねて、西日 本を旅し、2、3日前に東京に戻ってきた。 かれこれ10年ぶりの長旅と連続講演に、やや疲れたが、この10年間で、 出会う人たちが私に対して発する言葉に大きな変化が生まれていることに 驚いた。 「幻舟さん、頑張ってください!」というのが、10年前までの皆さんの 言葉だった。 すなわち、私に激励の意をこめての言葉である。しかし、今回の旅では、 上記のように発言する人はまったくいない。 「幻舟さん! 元気をありがとう!」 「幻舟さん! 勇気をいただきました」 と、キラキラとした眼差しを私におくり、颯爽(さっそう)と去って行 くのである。それも、女男を問わずであった。 たしかに私自身、大きく変化した。 誰にも話したことのない心の傷に、命を削って向きあい、自分と闘った。 叩き込まれた疎外感、劣等感を、私は私自身の全存在を賭けて闘い、真 の人間としての尊厳と、生きることの自信を奪い返した。 こういった私のエネルギーが、私と出会った多くの人たちに伝わったの だろう。だがそれだけではない。 癒しのときは終わったと私は感じている、いや、癒しの時代は終わった と断言できる。心を癒して、チンタラしている場合ではない。 元気を出して、自分で、前進しなければならないと、思い至った人たち。 ちょうどそのとき、タイミングよく私のような人間を前にし、元気倍増と いうことになったのだろう、うれしいことだ。 元気で勇敢な、いうなればある種のカリスマ性のある人間を敬愛し、く っついていった結果、ファシズムの台頭を許し、ファシズムの尖兵(せん ぺい)となった恐ろしい歴史のあることも忘れてはならない。 癒しの時代は終わった、だからこそ、自己の想像力を磨き、自己決定と 勇気をもって、自分の意思で前進しなければならないのでは、と、長旅で 疲れきった私の頭の中で、そのことだけは鮮明にわかる。 憲法を踏みにじり、国民のコンセンサスを無視して暴走する、権力の座 にすわる人らに、想像力と自己決定を、勇気を出して示すとき、それは、 目前に迫った参議院選挙ではないだろうか。 ◇『自転車操業インターナショナル連合会』(略称:自操連)◇ <滅びゆく美しさ> 私が印刷関係の仕事に就いたのは、40数年前のことである。はじめは、 デザイン(版下)から入り、企画・立案のプランニングをはじめ、校正校 了までの仕事をした。 現在は、ご存知のように印刷物を受注する仕事は激減、繁栄をきわめて いる得意先は少ない。良い所といえば不動産の広告、スーパー等の折込チ ラシを扱っているところとか、コンピューター関係の使用書等、一部にす ぎない。 文字についてのことを現在(いま)ここで書き出して自身の過去と照ら し合わせてみるのも一興であろう。 覚えたての頃は、印刷に活版印刷、オフセット印刷、タイプ印刷の三種 類、後にシルク印刷というものも知った。 本の印刷はほとんどが活版、新聞の印刷も活版で、当時は文選工といっ て、一つ一つ文字を拾って組み上げたものです。 現在はオフセット印刷が主流で、活版印刷は名刺印刷にかろうじて残っ ている。タイプ印刷はもう無い。 オフセットが主流といっても、その版下(印刷するための版を作る下地 作り、料理でいえば下ごしらえに当たる)の文字をとっても、活字から写 植に変わり、写植から電算写植、そして現在はマック、ウィンドウズとい うコンピューターによって組まれた文字をデータとして使うという時代。 一台200万〜400万円の写植機を購入して一生食っていけると思っていた 写植屋さんを何人も知っている。 彼らは今、他の職業に変わることのできた人は幸せな方で、奥さんや、 子供達の世話になっている人が多く、つぶしのきかない仕事であった。東 京には写植屋さんはもう無い。 機械の発展と共に文字も変わった。 この漢字はこの書体にはない、現在(いま)は使わない、とか。本来、 文字は意味を持っていたものだが、そんな事をいう人もいない。時間(と き)の流れというものは恐ろしいもので、IT革命とか、私自身がもう戸 惑っていて、コンピューターのことは頭で理解しても自分では何も出来な い。 ネット上での商売といわれても、相手も解らずに何を売り、何を買うの やら──。一瞬を争う情報とやらがそんなに必要な時代なのか? 昔は相 手の目を見て話せといったものだ。 15歳の頃、九州から上京した。 関門海峡を渡るとき、列車から海の方へ落ちる夕日を見た。胸が痛くな るような何とも表現の仕様のない切ない夕日であった。滅びゆく美しさを 見た思いである。 いよいよ老境、机の上に一冊の本がある。 化粧断ちをしない活版で文字を組んだ本。 昔は一度読んだら製本屋さんに持って行って、気に入りの布地等を使っ て製本表装し、一家の宝として代々の人が参考になるような秘蔵本にした ものだが……。 今の若い人には“価値観の違い”の一言で理解は不可能。可哀想にさえ 思える。 確かに一つの文章を100〜200枚でも同時に発信が出来、又、飛行機、列 車の切符の予約から乗り継ぎまでわかり便利になった。そういう便利さが あることは理解できるが、人と人とのふれあいから色々な事が生まれるこ とも事実である。その便利さを得るために、どれだけ大切なものを失って いるか。 沈む夕日と人生を重ねていまいちど考えてみたい。老いのたわごとであ ろうか。 暴言多謝 【『自操連』最高顧問・木戸 光】 <あとがき> □幻舟さんの九州連続講演会が、関係者の皆さんの尽力で大成功をおさめ、 無事終了いたしました。本当にありがとうございました。 今号の冒頭で幻舟さんが書かれているように、講演会場は熱気にあふれ、 観客の皆さんからの反響も大きなものがありました。 講演会の模様等を報じた地元の新聞記事の中から、その一部を紹介しま す。 「“定時制生徒にエール──湧心館高──花柳幻舟さんが講演” 創作舞踊家の花柳幻舟さんが十一日夜、熊本市出水の湧心館高 (飛松政明校長)で、定時制の生徒約二百人を前に『小学校中退、 大学卒業』と題して講演。『人生の選択肢は無限。いつでもやり 直せる』などと生徒にエールを送った。 講演は人権教育の一環。小学校を“中退”後、今年三月に放送 大学を卒業した花柳さんに『生き方を語ってもらい、生徒たちの 参考にしてもらおう』と、同高が依頼して実現した。 (中略) 生徒会長の田中英理菜さん(十九)は『花柳さんの強い気持ち に共感できた。私も何かやり遂げるまで頑張りたい』と、謝辞を 述べた。(後略)」(6月12日付・熊本日日新聞より) 彼女の言葉に表われているように、若者たちに幻舟さんの真摯な姿がま っすぐ伝わったことが何よりもうれしく思います。 幻舟さんの体験談は、生徒の皆さんの今後に、大きなヒントや希望とな ることでしょう。 □6月19日、映画監督の奥中惇夫さんの出版記念パーティーが東京・渋谷 のホテルで開かれました。 奥中監督は、3月に開かれた幻舟さんの「『小学校中退、大学卒業』出 版と放送大学卒業を祝う会」でも心温まる祝辞をいただいた、幻舟さんの 長年のご友人です。 パーティーは会場に入りきれないほどの出席者だったそうで、発起人の ひとりでもあった幻舟さんも自分のことのように盛会を喜んでいました。 このパーティーで久しぶりにお会いした俳優の桜木健一さん。 奥中監督の下で一緒に仕事をした思い出話をしている中で、幻舟さんが 東京に出てきて間もない頃、肝臓を悪くして入院していた時に、桜木さん が「東京の水道の水は絶対飲んじゃいけない」と、当時はまだ一般には売 られていなかったミネラルウォーターをどこからか手に入れて持ってきて くれたことを思い出し、幻舟さんが「どうしてそんなにやさしくしてくれ たの?」と聞くと、桜木さんは「ホレてたからなあ」と、はにかみながら ひとこと。 いつまでも変わらない旧友に会えて本当に楽しいひとときだったそうで す。 □幻舟さんが美容院に行ったときのこと。 講演の長旅と、このところの暑さで少々お疲れモードの幻舟さん。普段 なら相手が働いているのに失礼だからと、絶対に寝ることのない幻舟さん も、行きつけの美容院だったので安心したのか、睡魔には勝てず、椅子に 腰掛けるなりウトウト。気がついたときにはすべて終わっていたそうな。 鏡をみた幻舟さん、ややショートカットになりすぎた髪をなでながら、 「ちょっと短くないかしら?」 美容師さん、「夏ですから」 絶妙の間の答えに、なぜか納得。 幻舟さん、これからは気をつけて下さいね。 □CS衛星放送テレビ 256チャンネル「朝日ニュースター」に幻舟さんが 出演します。 放送日:7月1日(木)午後8時〜8時55分 番組名:「ニュースの深層」 ※幻舟さんが放送大学の卒業研究で論じた「メディアの犯罪──その光 と影」をテーマに、キャスターの東海大学教授・葉千栄氏との対談で す。 ぜひごらん下さい。 □講演会のおしらせ 日 時:7月10日(土) 午後1時30分より4時30分まで 場 所:千葉県四街道市 わろうべの里 多目的ホール 電話 043−433−6201 問合せ:ワーキング・ママのつどい E-mail:mama @promenade21.co.jp 四街道市総合政策部政策課 043−421−6162 ※いわゆる「不登校児」の支援などを行っているグループの主催による 講演会です。お近くの方はぜひお越し下さい。 【へんしゅう・昇】 ご感想などはgenshu-h@mail.goo.ne.jpまで。 ┌──────────────────────────────────────┐ ☆ 花柳幻舟、1975年のアルバム! 初CD化 ☆ ━━━━━━━━━━━━━━━ 残 ・ 曽 根 崎 心 中 ━━━━━━━━━━━━━━━ 演奏: ミッキー吉野グループ(ミッキー吉野,スティーブ・フォックス,浅野孝己,原田祐臣) (1)いも虫ごろごろ (2)淋しい鳩 (3)人形の唄〜赤い靴 (4)輪廻 (5)大正くるわ小唄 (6)暗い情念 (7)サラバ地球ヨ (8)口惜しいな (9)逃避行 (10)いも虫ごろごろ (11)燃焼そして昇華 (12)限りないやさしさ 2004年7月20日発売予定! ¥2500(税込み) 発売元:BRIDGE−INC(株・ブリッジ) └──────────────────────────────────────┘
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