小学校中退で大学卒業の創作舞踊家・花柳幻舟と仲間たちが、日常の出来事から内外の政治、経済、教育等々の小さな疑問や大きな矛盾について、自由でユニークな観点であれこれ考え語るメッセージマガジン。
- 最新号:2008-10-10
- 発行周期:月2回(10日、25日)
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花柳幻舟さんとあれこれ考えてみる(2004.4.25号)
発行日: 2004/4/25─────────── 幻舟の今日のひとりごと ─────────── 商業主義の奴隷の哀れ 「あの人は過去の人だから」 私のことをこう陰でいっていた人がいるという。しかもその人は、 今回、私が出版した著書『小学校中退、大学卒業』の販売促進に 対して力を貸してくれている、いわば私にとっての「支援者」の ひとりだった。 ここで、「あの人は過去の人だから」という言葉の定義を考え てみよう。 「過去の物になる。(一時もてはやされたが)今では誰の関心 も引かないものとなる」(岩波書店・広辞苑) 何冊かの辞典等を調べてみたが、おおむねこの言葉が表すよう なものであった。 私の「支援者」のひとりが発したこの言葉について、私の考え を述べてみたい。 「あの人は過去の人だから」と、ひとりの人間の歩んできた歴 史や業績を葬り去る思想は、歴史と哲学、人権を踏みにじる、商 業主義、市場経済に毒されたファシズムといわざるをえない。 ヨーロッパを土足で踏みにじったヒトラーは、歴史的価値のあ る絵画や彫刻、その国々の文化等々を、自己の趣味に合わないか らといって「過去の物」として無惨に焼却し破壊してしまった。 解放運動の父といわれる松本治一郎さんも過去の人なのか? 国家権力の理不尽きわまりない暴挙に立ち向かって、国会の正門 で警察権力により虐殺された樺美智子さんも過去の人なのか? いや、もっと身近なことで考えてみよう。 ご近所を手押し車を押しながら、ゆっくりゆっくり歩いている 年老いた人たちも、過去の人なのか? 彼らは国家のために戦争 の悲劇に遭遇させられ、敗戦の中から必死のおもいで国家復興に 努めた。過酷に働き、血税をしぼり取られ、年老いて、今日まで 生きてきたのである。これらの人たちも「過去の人」なのか? 市場経済の中で我を忘れ金儲けをし、メディアの波に乗り、メ ディアや商業主義に迎合し生きている人間をもてはやすのが今の 世の中である。 自説と思想、目的意識を持って生きる人間は「過去の人」なの か? 「過去の人だから」といわしめ、現象に翻弄され生きている金 の亡者と化した連中の中に、今日、世界で、グローバルスタンダ ードといわれている大国主義の本質が寄生していることを、私は 見たおもいだった。 しかも、彼らがいう「過去の人」の私と付き合っていたのでは 不当な金儲けはできないと愚かな認識をしているにもかかわらず、 私からトンズラする勇気も度胸すらないのもまた悲しく哀れな、 経済大国の奴隷のひとりというべきではないか。 <お知らせとあとがき> 幻舟さんの著書『小学校中退、大学卒業』(明石書店)が、は やくも再版になりました。読者の方からは「私は途中で挫折して しまい放送大学を卒業できませんでした。幻舟さんの頑張りには 頭が下がります」「やればできるんだということを、身をもって 教えてもらいました」等々、うれしい感想が数多く寄せられてい ます。 再版に当たって、幻舟さんが本著の中で絶賛されている放送大 学の講師の中のお一人で、『芸術の理論と歴史』の講義を担当さ れた宮川達先生に講義に関する記述部分についてお電話でご指導 を受けたところ、後日、「幻舟さんの著書は宗教の歴史に関わる 論文や教科書ではなく、学問や教育について感じ考えたことを訴 えていくことに眼目があるのだから、あれはこういう意味だとか、 これはこういうことだと書き記すのは余計かもしれないと思いつ つも、せっかくの本だから誤りのない方がよいだろうと細々と話 をさせてもらいました。参考程度に思っていただければと思いま す」と書かれたお手紙をいただいたことを、宮川先生の相手を思 いやる心に感激しながら、幻舟さんは嬉しそうに私たちに話して くれました。 幻舟さんが初めて本を出版したとき、ある大学教授が文章の一 節を読みながら「これは文法的に間違っている」といわれたそう です。筆者が必死の思いで書いた文章の意を汲み取ろうとはせず に、あらさがしだけには熱心で、「どうだ、教えてやったぞ」と、 自分は大学教授であることを誇示したがる。「これは日本語の文 法の本ではありません」と幻舟さんがひとこと言うと、「まいっ たなあ。僕は、教授失格だな。教授をやめて、おでん屋でもやる か」と笑ったそうだ。「おでん屋でも」とは、真面目に一生懸命 やっているおでん屋さんに対して失礼きわまりない。この大学教 授の言葉の暴力を幻舟さんは決して忘れることはないと言います。 この話に限らず、幻舟さんにとって「学校の先生」とは、子供の 頃からずっと自分を見下し、卑しめ差別する、幻舟さんの「心」 をズタズタにする存在でしかなかった。けれど幻舟さんはここで 立ち止まらなかった。意を決し、放送大学に入学して学ぶ中で、 自分が発する言葉を、受け取る側の立場に立って想像し、あれこ れ自問自答しながら真摯にそして謙虚に相手と向き合う、本当の 教育者に出会えたことは、幻舟さんにとってこの上ない財産とな ったに違いないと思います。「再版にとどまらず、再々版、再々 々版…と、多くの人に読まれ、学問を志そうという人達の励みに、 また教壇に立つ者たちへのよき警鐘となることを祈念したいと思 います」手紙の最後に書かれた宮川先生のこの言葉は、幻舟さん の本著に対する思いが真っすぐに伝わった証でしょう。自らの体 験を通して真の教養とはなにかをわかりやすく語る本著は、学校 の先生に、とりわけ感受性の強い年代の子どもたちを受け持つ先 生方にぜひぜひ読んでいただきたいものです。 □5月28日から30日にかけて大分県湯布院町の中央公民館を主会 場として開催される、第7回ゆふいん文化・記録映画祭に、幻舟 さんのドキュメンタリー映画「EAT THE KIMONO(イート・ザ・キ モノ)」が出品・上映されることになりました。 この映画は、1989年にイギリス人の女性クルーによって撮影さ れ、イギリスのテレビ局・チャンネル4で放送された後、ニヨン 国際映画祭、シドニー映画祭、メルボルン映画祭等々に正式出品 され、アセン国際映画祭ではグランプリを獲得した作品です。 映画のタイトル「EAT THE KIMONO」すなわち「着物を食らう」 は、日本女性を縛る因習や家父長制の象徴である着物、その不自 由な着物を着て私の自由を表現したい、着物に食われてはいけな い、着物を食うという、映画の中での幻舟さんの言葉からつけら れたものです。 「私はなぜ刺したか、日本(あなた)を」 10数年前に書かれたパンフレットのコピーは、当時以上に日本 社会に対する痛烈なメッセージが込められているのではないかと 思います。この映画の上映は5月29日(土)夕方4時30分からで す。上映後には幻舟さんのトークタイムもありますので、この機 会にぜひご覧下さい。 □湯布院での映画祭にあわせて、幻舟さんは九州各地で講演会等 を開く予定です。 既に大分県では幻舟さんの永年の友人で、写真集も出されてい るカメラマンの石松健男さんとパートナーがマネージメントを引 き受けてくださり、お寺での講演会や小学校高学年のクラスを受 け持っての講師等々が決まっています。 また熊本県では、永年の支援者である女性が、6月11日、12日、 13日の3日間にわたって講演会を開催しようと仲間に呼びかけ、 たったひとりで準備に奔走してくださっています。皆さんの力強 い支援に心から感謝します。なお、大分、熊本での講演会の詳細 について、また準備等にご協力していただける方がいらっしゃい ましたら、下記メール宛てにご連絡ください。よろしくお願いい たします。【I】 感想などはgenshu-h@mail.goo.ne.jpまで。
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