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No.107:パートさんだって仕事にやりがいが欲しい!
【 INTRODUCTION 】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
夜、会社で仕事をしていると、どこか遠くでお祭りの音楽が聞こえてきました。
もう夏祭りのシーズンなんですね。
祭りの音を聞いているうちに、昔のなつかしい風景を思い出すことがあります。
今回はちょっと昔の私自身のお話が中心です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆はじめての配属先
私の最初の就職先は卸売業でした。
配属先は都内の営業所で、そこは大手コンビニエンスストアの配送センターでもあっ
たのです。
当時はコンビニエンスストア出店の全盛期でもあり、その営業所が管轄するエリアだ
けでも年間200店舗から250店舗の新店がオープンされる勢いでした。
当然、センターの仕事は日増しに多くなり、業務が終る時間も遅くなっていました。
営業として配属された私でしたが、よほど自分の仕事が忙しくない限り、夕方5時を
過ぎるとセンターに入り、パートさんたちに混じってピッキングをするようになって
いました。
私自身、ピッキングをする事はそれほど嫌いではなく、むしろ楽しんでいた記憶があ
ります。
当時のピッキング方法は店別のリストピッキングで、デジタルピッキングシステムは
導入されていません。私はリストと棚を追いかけながら必死にピッキングするのです
が、パートさんたちにどんどん追い抜かれていきました。
「最初にリストを眺めて、歩き方をイメージしてからピッキングした方が早いよ。」
こんな助言をしてくれたパートさんがいました。
効率を上げるための最初の指導です。
新米の私は遅いだけではありませんでした。
1店舗のピッキングが終わったら、検品所で待ち構えているベテランパートさん。彼
女は私がピッキングをしてきた店舗のオリコンをあけると、「まぁ!」と感嘆。「よ
くこんな入れかたできるわねぇ。」と。これは決して褒め言葉ではありません。
そのパートさんは私の目の前でオリコンの中の商品をいじります。すると8個あった
オリコンは6個になっていました。
「オリコンの数が少なくなると少ないトラックで配送できるのよ。」
積載効率について教えられたのは、この時が初めてでした。
☆「私ががんばったら社員さんが早く帰れるじゃない。」
店舗数の増加によって残業が常態化していました。特に出荷量の多い月曜日と火曜日
は夜10時を過ぎるまでピッキングをしていることが多くなり、月に1回は12時を
超えていました。
パートさんの契約時間は5時まででしたが、6時くらいまでは多くのパートさんが残
って仕事をしていました。
時間が過ぎると共にパートさんの数はどんどん減っていきます。昼間は50人くらい
いるパートさんが8時には10人、9時を過ぎると5人となります。
最後まで残るパートさんはだいたい決まっていました。
彼女たちは5時を過ぎて今日は遅くなりそうだと判断すると一度家に戻り、ご主人や
お子さんの晩ごはんの支度をして再びセンターに戻ってくるのです。
どうしてこんなに遅くまで手伝ってくれるのか、いつも遅くまで残ってくれるパート
さんに聞いたことがあります。
「だって、私ががんばったら社員さんが早く帰れるじゃない。自分も最後の店のピッ
キングが終わるのを見届けてやっと仕事が終わった気になれるもん。」
パートさんはなぜ働くのか。興味がわいて他のパートさん達から聞いて回ると、彼女
達は決してお金だけのために働いているわけではないことがわかりました。収入以外
にも達成感や、充実感を味わうことも働く目的の1つだったのです。
☆聞いてわかるヤル気があるパートさんの意外な多さ
私が転職してからは職業柄、いろいろなセンターのパートさん達と話す機会が多くな
りました。
また、パートさんを含む全従業員との面接を行うことも多く、面接ではパートさん達
が働く目的を必ず聞いています。
パートさんとの面接を進めていくと、物流担当者の方はたいがい「ウチのパートさん
達って思った以上にヤル気があるんですね。」といいます。
パートさんのヤル気をうまく活用する方法のひとつに、パートさんによるミーティン
グがあります。
「仕事の問題点を出し合って改善しましょう。」と言っても、ミーティングをするよ
うになってしばらくは、「社員の指示が具体的でない。」とか、「誰々さんのトイレ
に行く回数が多い。」といったようなまるで学級会かホームルームのような状態です
が、しばらく続けるうちに、自分たちの身の回りで改善できる意見が出るようになり
ます。やがては身の回りの話からセンター全体の改善に対する意見となり、ミーティ
ングはますます活性化していきます。
「パートさんにヤル気を持たせるのではなく、もともと持っているヤル気を引き出す
ことがパートさんをうまく活用する方法。」これが私の体験による持論であり、私自
身はそう思ってセンター運営を行ってきました。
☆祭りの音を聞きながら
冒頭に紹介した私のはじめて配属された営業所は、今はもうありません。
そこは拠点の統廃合によって閉鎖された営業所のひとつとなったのです。
跡地には、立派なマンションが建っていると聞きます。
「あそこで働いていたパートさんたちは元気にしているのかなぁ?」祭りの音を聞き
ながら、そんなことを考えていました。
(文責:吉原 和彦)
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