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平成浮世草子第104号

発行日: 2006/2/8

     ◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆
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   ◆◆◆  ながい介護丞と とうなす屋の 平成浮世草子 ◆◆◆
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          平成18年2月8日  第104号


強欲代官と物知り商人との時空を超えた対話が、超高齢社会に突入した平成の
世相を鋭く抉る、時代劇メルマガ巨編!これからの20年、近未来のシニア・
ライフに役立つ情報も満載・・・かも?


           ◆◆◆  ニュース  ◆◆◆

   正月もあっという間に過ぎ去り、二月になりました。寒さと暖かさが入
   り混じった時候で、うっかりすると風邪を引いたりします。インフルエ
   ンザも流行っていますから、うがい、手洗いを励行して、健康な毎日を
   送りましょう。
  
   1月31日付の京都新聞朝刊の「提言」というコーナーで、京都「成年
   後見」支援センターを取り上げていただきました。成年後見制度の利用
   をもっと身近なものにしたいという思いで、意見をまとめています。同
   じ内容のものを、ホームページに記載していますので、ご覧いただけれ
   ばと思います。 URは http://www.kyoto-koken.net です。

                ◆◆◆


    ◆◇◆ 第104話 「唐茄子屋、恐喝を受ける」の巻 ◆◇◆


(唐)お代官さまに伺いますが、お武家さまの本分とは如何なるものにござい
   ましょうや?

(代)いったい何事じゃ? 其の方から武士の本分を問われるとは・・・ ま
   あ良かろう、教えて遣わそう。聞かれて即答が出来ぬようでは、武士と
   は言えぬからのう。

   武士の本分とはの、「君の馬前に一命を投げ出す」ということじゃ。そ
   の一言に尽きると、予は常々思うておる。

(唐)では、お役人さまの本分は、どのようにお考えでございます?

(代)何じゃ、その真剣な眼差しは? 見れば其の方、頭から湯気を立てて、
   手先も震えておるようじゃが・・・

   予は直参旗本の身分で、いまは御料地の代官職を拝命しておる故、予の
   本分は代官として与えられた職責を全うして、上様への忠勤に励むが、
   我本分と心得ておる。これで良いかの?

(唐)・・・ 恐れ入りましてございます。
   それを伺いまして、なにやら「ほっと」いたしました。

   突然に、ご無礼なことをお尋ねいたしましたのも、こ奴等の悪事に腸が
   煮えくり返ったからでございます。

(代)其の方をそこまで怒らせるとは、余程の不届き者であろうが・・ そ奴
   は何者じゃ?

(唐)はい、この防衛施設庁の大悪党どもでございます。河野某ほか三名の者、
   いずれも防衛施設庁の幹部と元幹部で・・

(代)あの一件のことか? 目付殿が作事奉行殿の配下の者どもを取り調べて
   おると聞いたが・・・

(唐)そのことでございます。こ奴等は出入りの業者と図って、お上のお指図
   による建設や土木工事の入札で談合を繰り返しておったのでございます。

   それがただの談合ではなく、おのれとその仲間の再就職先を確保するた
   めに行っておったと言うのでございますから、それはもう腹が立って、
   腹が立って・・・

(代)それは分からぬではないが・・ 先ほどの「武士の本分」やら「役人の
   本分」とは、どのような関わりになる? 

(唐)そのことでございます。こ奴等は、お上に仕える身でありながら、また
   公の仕事をするふりをしながら、莫大な公金を自分等の個人の利益のた
   めに、好き勝手に配分しておったのでございます。

   お代官さまでさえ、あのように「職責を全うして、お上への忠勤を」と
   仰せでございますのに、この馬鹿どもは、高額の俸給を貰いながら、国
   益でも、省益や庁益でもなく、ひたすら己の私益だけを図っておったと
   いうことで・・・
   
(代)予でさえ・・ とは?? なんでそこに予が出てくるのか分からぬが?

   じゃが、まあ、建前としての本分と本音としての本分というものもある
   からのう。多少のことは大目にみてやらねば・・

(唐)いえそれが、とても目こぼしで済むような額ではございませぬ。
   防衛施設庁の建設、施設工事に係る予算は年間約二千億円・・ まあざ
   っと二百五十万両ほどになりましょうか。

   これを盗人役人と業者がつるんで談合入札で請負を決めるのでございま
   すが、落札率はいつも予定価格の九割八分。本気で業者が競い合えば、
   これが二割下がるといいますから、およそ五十万両もの大金が、お上の
   目を欺いて、こ奴等と悪徳業者に掠め取られていたのでございます。そ
   れも、毎年のことでございますぞ。

(代)ご、五十万両! それが毎年!! うーん・・
   予は、とりあえず五百両ほどもあれば良いのじゃが・・・

(唐)すべてこれは、民百姓が納めた税金でございます。こんなことをされれ
   ば、税を納めるのが馬鹿馬鹿しくなります。公僕の顔をした天下の大悪
   党どもで、厳罰を加えてやらねば、腹の虫が治まりませぬ。

   業者も業者でございます。鹿島、大成、五洋、三機など、一流企業たる
   者が公金を不正に盗み取って、平気な顔をして・・・

(代)左様な大金を掠め取る不埒者どもなれば、役人といえども切腹なぞは許
   されまい。打ち首であろうの。つるんだ業者どもは死罪。皆で仲良く小
   塚原にでも打ち捨てられる運命じゃ。

(唐)なにもそこまでは求めませぬが・・ 
   ただ、今の刑罰は軽すぎますな。やはり「談合の罪は恐ろしい。やって
   も絶対に引き合わない」と思わせるくらいの重罰を与えねばなりますま
   い。

   今回のようなものは、執行猶予なしの懲役10年くらいで。それに罰金
   を最低1千万円くらいは付けて。加担した業者には10億円単位の課徴
   金を払わせればよいのでございます。

(代)談合は団子に通じるものでの。我ら日本人が長年食い続けて癖になった
   旨い食い物ゆえ、ちっとやそっとの処罰では、すたるものではないぞ。

   それはそうと・・ 其の方も、少し気をつけたが良いの。

(唐)えっ! 何でございます?? 手前は談合なぞには一切手を染めており
   ませぬぞ。

   第一、そのようなことをお頼みしたことがないのは、お代官さまが一番
   よくご存知のはずではございませぬか!

(代)そうかもしれぬがの。果たして、世間がそのように思うてくれようかの?
   其の方は、予と一番に近しい間柄と思われておるのじゃぞ。

   予と其の方がつるんでおると思わぬ方がおかしかろう。
   予がひと言ほのめかせば、目付けが動き出すやもしれぬぞ、ふっ、ふっ、
   ふっ・・ 

(唐)ひ、ひえっ! まさかそのようなことは!!

(代)そこな悪党どものように、千両も万両もと申す訳ではない。当座は五百両
   ほどで良いのじゃ。

   ま、魚心あらば水心じゃ。其の方の良いようにいたせ。

(唐)また、そんなむちゃくちゃを!
   
   こ、これは官製談合よりたちの悪い官製恐喝じゃ。東京地検特捜部の方、
   この悪代官をすぐに逮捕してくだされー!!



         ☆☆☆ 今週の役立たず情報 ☆☆☆

 ○ 徳川幕府の建築行政

   徳川幕府の行政機構は、第三代将軍家光と四代家綱の時代にそのほとん
   どが整備されたもので、建設に関して直接関係する奉行には、小普請奉
   行普請奉行、作事奉行、町奉行、勘定奉行などがあり、これらの職責は
   下三奉行(したさんぶぎょう)と呼ばれた。

   小普請奉行は、幕府の城や建物が壊れたときの補修工事などを担当し、
   江戸城内の各種建物、大奥、御霊所、増上寺、浜御殿などの補修を行っ
   た。幕府は3千石以上の旗本、後家人で無役の者を小普請奉行の配下に
   組み入れ、諸工事の人夫賃をこれらの幕臣に負担させる「小普請入り」
   という制度を導入したが、その管理業務もあり、小普請奉行は大変に多
   忙な職責で、また権威もあったという。

   普請奉行は、城の石垣、堀普請、幕府管理下の屋敷の割り振りなどを担
   当したが、江戸中期からは神田川、玉川の上水や道路の管理が加わり、
   幕府の土木行政の最高職責となった。奉行は年に2回、領内を視察し、
   土木工事の進捗や管理を将軍および老中に報告した。大岡越前守忠相も
   この職責を経験した後に、町奉行に昇進している。

   作事奉行は三代将軍家光の時に置かれた幕府の建築行政の最高職責で、
   幕府の建物の工事を行い建築物の技術分野を統括した。配下には「作事
   下奉」、「畳奉行」の他に、建築技術官僚の長である「大工頭」、「京
   都大工頭」や大工頭の指揮の下で工事設計と職人たちの監督にあたる
   「被官」を置いた。

   町奉行は主に江戸市中の橋の管理、営繕を担当した。江戸を代表する日
   本橋をはじめ隅田川に架かる橋の建設と保全は幕府にとって重要な公共
   事業であり、町奉行は橋の工事に関わる、請負人の選定や監督等に関与
   した。なお、玉川上水開削は、時の町奉行神尾備前守元勝が、将軍家綱
   の命を受けて全工事を指揮したものであるという。

   これら下三奉行、町奉行の上位に君臨し、幕府の主な建設工事の決裁権
   と工事入札の決定権を持っていたのは勘定奉行である。勘定奉行の主要
   業務は、幕府の金庫である御金蔵、御蔵の監理、直轄地に配置した代官
   や郡代を通じて上がる租税の管理などであるが、同時に幕府領内におけ
   る建設土木工事の決裁と、工事入札の決定に絶対的権限を持っていた。
   普請・作事の両奉行は起案するだけで決定権はない。作事奉行などが起
   案した計画は、勘定奉行配下で老中直属の勘定吟味役の判断を経て、勘
   定奉行がこれを決裁し、工事にかかる費用は金奉行が御金蔵から支出し
   て支払った。また、入札は勘定奉行が行い、これに作事奉行が立ち会っ
   た。勘定吟味役は「監査役」であり、勘定奉行とその部下に不正があれ
   ば老中に報告する役割を担った。さらに、配下には「仮役」という奉行
   直属の役職が置かれ、工事材料購入の価格や品質を検査し、奉行に報告
   するという形で、不正を排除する監視体制が組まれていた。

 □ 工事の入札制度は豊臣秀吉の時代に始まったそうですが、江戸幕府の文
   書には、「入札に談合があり、何番札の者が抜けて、何番札が落札する
   らしいので注意せよ」という内容の記録があるとのこと。やはり日本の
   伝統文化なのでしょうか?


         ★★★ ためになるかも情報 ★★★

 ● 許しがたい防衛施設庁の幹部の犯罪行為

   防衛庁と防衛施設庁をめぐっては、これまでも何度か不正が繰り返され
   てきた。1994年には、防衛庁の調達実施本部への装備品納入に関連
   して経費の水増し請求が発覚し、また、その水増し請求を行った企業に
   対し、返還額を35億円も不当に減額して、その見返りに幹部の再就職
   を図った大規模な背任、贈収賄事件が摘発を受けた。1999年には防
   衛庁発注のジェット燃料に関する談合が行われ石油元売り会社など7社
   が有罪判決を受けている。これらの事件では、多くの幹部が起訴され、
   その中には防衛施設庁長官も含まれていたのである。

   それにもかかわらず、今回は、防衛庁本庁舎などの空調工事や米軍基地
   施設の建設工事に関連して、防衛施設庁のナンバー3といわれた河野孝
   義容疑者ほか3名の技術審議官、さらに総務部施設調査官などが競売入
   札妨害の容疑で逮捕された。犯行の目的は施設庁OBの再就職先を確保
   するためで、施設庁側が談合を主導し、OBの受け入れ実績に基づいて
   発注先企業を割り振っていたというから驚きである。要するに、勤務中
   に本来の責務を放棄して、再就職先の確保に走り回っていたのと同じこ
   とであり、また、自分たちの個人的な利益確保のためには「税金がいく
   ら無駄使いされようが構わない」という態度なのである。

   自分達の利益と天下り先を確保するために雇用保険や年金の掛け金を湯
   水の如く浪費して、まったく恥じることのない旧労働省や社会保険庁な
   どと同じであるが、何度事件を起こしても懲りないところや、官製談合
   防止法が出来た後には、さらに巧妙な仕組みを作り上げているなどの点
   は、まさに組織的確信犯なのである。

   今回の逮捕容疑は、刑法第96条の3(競売等妨害)で、罰条は「2年
   以下の懲役又は250万円以下の罰金」となっているが、手を変え、品
   を変えて談合が繰り返されるのは、やはり刑罰が軽すぎるからではない
   か。1年間の公共調達の額は40兆円で、「官製談合」によって2割も
   高い買い物させられているとすれば、毎年8兆円もの税金が詐取されて
   いることになる。これは国家、国民に対する大罪である。少なくとも脱
   税と同様に「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金」を科する
   よう法改正を行ってもらいたい。さらに予算執行に関わる公務員につい
   ては、公務員特別背任罪も新設し、懲罰の加重を行うとともに、そのよ
   うな犯罪者には、国民が損害賠償請求を行えるような仕組みが、ぜひと
   も必要であろう。

 ■ 8億円じゃありませんよ、8兆円ですよ。本当はもっと多いかもしれま
   せんが、これを堂々と白昼に、しかも毎年盗み出しているというのです
   から、どんな大泥棒も、日本官製談合衛門にはかないっこありませんね。


          ◆◇◆ 編 集 後 記 ◆◇◆

唐茄子屋が、談合に一切関わっていないことは読者の皆さんが良くご存知のこ
とですが、こういうところにうまくつけ込んで金をせびり取るのが代官の悪辣
さ。談合と恐喝を見たら、すぐ警察に連絡を!

今週も、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
ご意見やご感想のメール、お待ちしています!

          ◇◆◇  感謝、感謝  ◇◆◇



□ ■ □        「登場人物紹介」         ■ □ ■

永井介護之丞(ながい かいごのすけ) 年齢: 53歳
金と色が人生のすべてという、強欲で知られた悪代官
弱い者には強いが、娘と茶屋の女将にはめっぽう弱い、生活習慣病はほとんど
経験済み。自分のことは棚に上げて、他人の悪事は鋭く追及する。

唐茄子屋徳三郎(とうなすや とくさぶろう) 年齢: 62歳
若いころ放蕩をして親に勘当されたが、唐茄子の「担ぎ商い」から出直して成
功し、いまや押しも押されもせぬ豪商となった。人助けが大好きで他人の健康
管理にも、やたらと口をはさむ。

話に出てくる人物・名称に関しては、全てフィクションであり、実在の人物、
団体とは、何ら関わりはありません。ご了承下さい。

■ □ ■                         □ ■ □


  発行元:NPO法人ユニバーサル・ケア http://www.kyoto-koken.net
  管理人:のほほん茶      E-mail: postmaster@kyoto-koken.net


◇◇◇----------------------------------------------------------◇◇◇

□ 購読中止・変更: 京都「成年後見」支援センター
                    http://bokenahsi.com/magazine/index.html

□ 発行システム: まぐまぐ   http://www.mag2.com/    ID:0000126034
        : Melma!     http://www.melma.com/    ID:m00109136
        : めろんぱん http://www.melonpan.net/  ID:006052
        : Macky!   http://macky.nifty.com/  ID:nohohon

□ 記載内容の無断転載はお断りします。

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