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>> 2003/6/6
>> 加藤公一ジャーナル
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=======解雇ルール========
昨日、労働基準法の改正案が、衆議院で可決されまし
た。今回の改正案は、解雇ルール(どのような場合に労
働者を解雇できるのか)を、法律の明文ではっきりと定
めることによって、近時増加傾向にある解雇をめぐる紛
争を未然に防止し、またはそのスムーズな解決を促そう
というものでした。政府の出した原案に、民主党が主張
した修正を加え成立するという形になりました。
現在の法律では、解雇に関する規定が充分に整備され
ていません。通常の(期間の定めのない)雇用契約につ
いては何時でも解約できると民法で規定してあるだけで、
具体的にどのような場合に解雇ができるのかは、判例
の積み重ねで、事実上のルールが確立しているという状
態だったのです(いわゆる整理解雇4原則。ただし、最
高裁レベルでは、「使用者の解雇権の行使も、それが客
観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認す
ることができない場合には、権利の濫用として無効とな
る」という表現にとどまる)。これでは、解雇が適法か
違法かが曖昧になり、それが紛争の種となるおそれがあ
るので、労働基準法に判例法上の解雇ルールを書き、基
準を明確化することによって紛争を未然に防止する、
これが、当初の役所の説明でした。
ところが、実際に政府の提出した改正案では、「使用
者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する
労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、
労働者を解雇することができる」という書きぶりにな
っていたのです。これでは、経営者が自由に解雇できる
と誤解されかねません。また、実際の裁判の運用におい
ても、現在は、使用者側が解雇事由を積極的に主張立証
し、労働者側がこれに反論するという訴訟運用が定着し
ていますが(言い換えれば、使用者側が解雇事由を充分
に主張立証しない限り解雇された労働者側が勝訴する)、
政府案がそのまま通ってしまうと、労働基準法上も解
雇できるのが原則であるということになりますから、労
働者の側から解雇の不当性を主張立証しないかぎり解雇
が正当なものとして扱われるということになりかねませ
ん(なお、解雇に関する紛争では、証拠は使用者の側に
偏在していることが多いので、労働者に解雇権濫用の立
証を要求するのは、不可能を強いるに等しいのです)。
もちろん、政府が、「労働者を解雇しやすくするすべ
きだ」と考えているのであれば、堂々とそのように説明
して、国会で我々と議論を戦わせればよい話です。しか
し、そうではなくて、「法改正しても今までと全然変わ
りませんよ」と言いながら(そして、その点について国
会での十分な審議もせずに)、出来上がった法律が裁判
で紛争に適用されたら、いままでの判例とは異なる判断
がなされるようになっていたというのでは、お話になり
ません。この点については、私の所属する厚生労働委員
会で徹底的に議論しました(その中では、民主党の先輩
議員に問い詰められた厚生労働省の労働基準局長がこの
法案が通ったら解雇しやすくなる旨の発言をポロっとし
てしまう場面もありました)。そして、政府案のままで
は、現在の解雇ルールに重大な変更が生じかねないとい
うことが明らかになってきたので、法案の解雇権を明示
した部分の削除を要求したのです。その結果、「使用者
は…労働者を解雇できる」の文言が姿を消し、「解雇は
客観的、合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認
められない場合はその権利を濫用したものとして無効と
する」という内容で与野党の合意に漕ぎつけました。
このように、国会で徹底的に議論して問題点を明らか
にし、適切な修正案を打ち出してゆけば、制度のあり方
を正しい方向に導いていくことができるのです。
民主党 衆議院議員 加藤公一
http://www.katokoichi.com
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