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頂門の一針

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頂門の一針  645号 11・30

発行日: 2006/11/30

□■■□  ────────────────────────   □■
      渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針  第645号
□■■─────────────────────────── ■□ 
              平成18(2006)年11月30日(木)

 
                            宮崎県知事の進退:渡部亮次郎
                                参院選後の政局:花岡信昭
                         ハノイの喜怒哀楽(24):渡邉由喜
                                         話 の 福 袋
                         反    響
                       身 辺 雑 記


□■■□  ─────────────────────────── □■
第645号            発行周期 不定期(原則日曜日発行)
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宮崎県知事の進退
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        渡部亮次郎

土木部の談合汚職で揺れる宮崎県では、県議会が11月29日午後、全会一
致で安藤知事に対する辞職勧告決議可決したが、当の安藤知事は「知事
としての任期をまっとうしたい」などと述べ、辞職の意思がないことを
改めて強調した。さて行く末は。

<宮崎県議会は29日の本会議で安藤知事に対する辞職勧告決議を全会
一致で可決した。

決議は「県土木部幹部職員が逮捕されたうえ、出納長の事情聴取や家宅
捜索で重大な支障が生じている」と指摘。「政治的、道義的責任は極め
て重い」としている。>(宮崎日日新聞Web 2006年11月29日)

<これに先立ち安藤知事は29日午前、口頭で辞職を勧告した県議会の
坂元裕一議長らに対し、「私も事情聴取を受けるかもしれないが、まっ
たく身に覚えのないこと。少なくとも出納長に指示はしていない。私の
責任の取り方は入札制度の改善をしていくことだ。知事としての任期を
まっとうしたい」などと述べ、辞職の意思がないことを改めて強調した。

宮崎県庁が再び家宅捜索を受ける中、報道陣の取材に応じる安藤忠恕知
事は宮崎市の県庁で、出納長が事情聴取を受けたことについて「非常に
残念。管理監督者として責任を感じます」と語った。

官製談合への出納長の関与については「これまで本人に何度も確認した
が、『指示はしてませんし、談合にも関与してません』と言うから、私
は信じてるよ、と言っていた」。

知事から出納長への指示の有無を問われると、「そんなことするわけが
ない。機会あるごとに、談合はいかんよ、天の声なんて一切ないんだか
らね、とずっと言ってきた」と否定した。>(Asahi Com 2006年11月29
日14時09分

[宮崎談合]県出納長を逮捕 競売入札妨害容疑で

宮崎県発注の設計業務を巡る官製談合事件で、県警は29日午後7時、県
出納長、江藤隆容疑者(63)を競売入札妨害容疑で逮捕した。同容疑で
逮捕された県土木部長の藤本坦(ひろし)容疑者(59)の供述などから
江藤容疑者の談合への関与の疑いが浮上し、福島、和歌山両県に続く大
型談合事件に発展した。

宮崎県警は江藤容疑者が建設情報コンサルタント「ヤマト設計」(東京
都)に受注させるための「天の声」の伝達役だったとみており、安藤忠
恕(ただひろ)知事の関与についても捜査を進める。 

調べでは、江藤容疑者は藤本容疑者らと共謀し、05年11月16日に
指名競争方式で実施された鰐塚(わにつか)山(宮崎市)災害復旧関連
の橋りょう設計業務入札に際し、ヤマト設計が有利な価格で落札できる
ように談合した疑い。ヤマト設計と県内4社が指名され、同社が予定価
格の94・2%に当たる724万5000円で落札した。江藤容疑者は
「おおむね間違いありません」と話しているという。 

入札2日前にヤマト設計側が他の指名業者に「天の声が出た。うちが取
る」と通告し、これに反発した業者らが宮崎土木事務所長だった柴岡博
明容疑者(58)=現・土木部次長=に確認したところ、「今回はヤマ
トに取らせるように」と返答していたことが分かっている。 

一方、県警の調べで、江藤容疑者は05年5、6月ごろ、出納長室で藤本
容疑者に対し「05年度中に出来るだけ多くヤマトに仕事を取らせろ」
とヤマト設計のための受注調整を指示していたことが分かった。 

藤本容疑者がヤマト設計に受注させる業務を選定し、部下の柴岡容疑者
にヤマト設計が落札できるように工作を指示していたとされる。 

また、ヤマト設計を巡っては、社長の二本木由文容疑者(56)が、安藤
知事に知事公舎で面会し、業績不振を訴え、受注依頼をしていた。一方、
江藤容疑者の出納長就任(03年11月)から間もないころ、二本木容
疑者が出納長室に営業に訪れ、知り合ったという。 

江藤容疑者は毎日新聞の取材に「設計業務の入札については一切知らな
い。指示もしていない」と関与を否定していた。江藤容疑者は67年に
県庁入り。県東京事務所長や企画調整部長を経て03年11月に出納長
に就任した。 (2006年11月29日20時02分毎日新聞 )

果たして出納長がすべてを被る(身を捨てる)覚悟が出来ているのか。出
来てなければ最悪の事態になる。

産経新聞(30日付〕の報道によると出納長はすいすいと自供をしている。
進退谷まったのが安藤知事である。既に事情ちょうしゅも覚悟は出来て
いるそうだ。

この事件の端緒は妙な事件であった。談合を思わせるものではなかった
のだ。以下地元紙「宮崎日日新聞」の記録で振り返る。

知事後援会 元幹部に5000万円提供(9/15)

安藤知事の後援会が2003年9月、後援会の元幹部に活動の謝礼として現
金5千万円を渡していたことが14日、関係者の話で分かった。元幹部
は3カ月後に安藤知事に現金を返したという。

謝礼としては多額の資金提供だったが、安藤知事は「直接関知していな
い。額も知らない」と関与を否定している。

元幹部とは元国会議員秘書だった。1ヵ月半、県警が懸命の謎解きの結果、
真相に近付いた。

元国会議員秘書を逮捕(11/1)

宮崎県警捜査2課と宮崎北署は10月31日、電磁的公正証書原本不実記録、
同供用の疑いで宮崎市生目台東3丁目、不動産関連会社「高崎リゾート」
社長で元国会議員秘書石川鎭雄容疑者(68)を逮捕した。

この逮捕でいきなり宮崎県庁による「官製談合」の概略が判明したので、
県警は一気に中心に迫った。

県土木部長ら10人を逮捕 官製談合の疑い(11/17)

県発注の橋設計業務入札をめぐって官製談合が行われたとして、県警捜
査2課は16日、競売入札妨害の疑いで県土木部長、藤本坦容疑者(59)
ら県幹部3人と東京都目黒区平町1丁目、設計コンサルタント会社「ヤ
マト設計」社長、二本木由文容疑者(56)ら業者など7人を逮捕した。

知事から直接要請 二本木容疑者が供述(11/18)

県発注の橋設計業務入札をめぐる官製談合事件で、落札した東京都の設
計コンサルタント会社「ヤマト設計」社長二本木由文容疑者(56)=競売
入札妨害容疑で逮捕、送検済み=が、石川鎭雄容疑者(68)=同、宮崎市
生目台東3丁目=の処遇について「安藤知事から『面倒を見てくれ』と
頼まれた」と供述していることが17日、分かった。県警捜査2課はこの
供述内容と官製談合事件の関連について調べている。

受注調整、知事の指示か 土木部長など供述(11/19付)

県発注の橋設計業務入札をめぐる官製談合事件で、県土木部長の藤本坦
容疑者(59)=競売入札妨害容疑で逮捕、送検、宮崎市生目台東5丁目=
と同部次長の柴岡博明容疑者(58)=同、同市佐土原町下那珂=が受注調
整の指示について「上から頼まれた」と県警の調べに対して供述してい
ることが18日、分かった。

県警捜査2課は安藤知事を含む県上層部から“天の声”が出された疑い
が強いと見て追及している。

かくて江藤出納長に逮捕状 宮崎北署で聴取(2006年11月29日)となっ
た。

<宮崎県発注の橋設計業務入札をめぐる官製談合事件で県警は29日、
受注調整を指示した競売入札妨害の疑いで県の江藤隆出納長(63)=宮
崎市学園木花台北1丁目=に出頭を求め、事情を聴いている。県警は逮
捕状を取っており、容疑が固まり次第、逮捕する。

県土木部と業者らによる談合事件は、県の3役が受注調整に直接関与し
た可能性が強まり、県政の停滞は避けられない見通し。県警は江藤出納
長が「天の声」の仲介役だった可能性もあるとみており、トップの安藤
知事の関与も含め慎重に捜査する。>

安藤知事は地元の大学を出た後すぐ県庁に入り、局長から知事選に出て
落選。4年後に与党抜きで当選。その時、元国会議員秘書の石川鎭雄容疑
者(68)との関係が出来た。選挙のあと5000万円が知事の後援会から石川
に渡った。それがばれて官製談合事件が見る間に暴露されていった。

一体、安藤知事は石川に如何なる痛みを握られ5000万円もの大金を渡し
たのか。石川の面倒を見させた東京都目黒区平町1丁目、設計コンサル
タント会社「ヤマト設計」社長、二本木由文容疑者(56)と知事は何処
で結びついたのか。野次馬としては興味津々(しんしん)だ。

一方、木村・和歌山県知事、談合関与認める。

和歌山県発注工事をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)容疑
で逮捕された同県知事の木村良樹容疑者(54)=辞職表明=が大阪地検
特捜部の調べに対し、容疑を認める供述を始めたことが29日、わかった。
 

木村知事は、県発注工事で談合があり、自ら談合に関与していた、と話
しているという。木村知事と同日午前に接見した弁護士は「知事は反省
しており、これまでの方針を転換する。あとは特捜部に聞いてほしい」
と語った。 
(Asahi Com 2006年11月29日15時50分)
執筆:2006.11.30



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参院選後の政局
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             花岡信昭

先週後半は台北で過ごした。中華欧亜基金会、アジア問題懇話会共催の
シンポジウム「日本の新政権と東アジア情勢」に招かれ、安倍政権の現
状と展望を報告した。

台湾側の関心はもっぱら安倍政権が長期政権となるのかどうかという点
にあった。筆者は来年7月の参院選の結果がすべてであり、自公与党が
過半数割れに終わると安倍首相退陣の可能性が高い、といった一般的な
永田町の観測を説明した。安倍首相が保守政権らしさを打ち出すのは参
院選後で、それまでは「あいまい戦術」で臨むだろうと予測したのであ
る。

帰国してたまった新聞を整理していて、日本経済新聞26日付の2面コラ
ム「風見鶏」にぎくりとした。「水鳥の羽音が怖い自民党」という見出
しで編集委員の伊奈久喜氏が書いている。趣旨は、参院選敗北だと安倍
首相退陣という見方が強いが、首相が辞める必要がないと考えれば辞め
させるのは難しい、というものだ。

自民党の青木幹雄参院議員会長は参院選敗北だと安倍政権は「死に体」
になるとしているが、これは論拠に乏しいとし、「水鳥の羽音で逃げた
平維盛を連想させる」というのである。

実はこの見方は、以前にも伊奈氏から直接聞いていた。伊奈氏は外交、
安全保障が専門で、その鋭い論評記事は定評がある。こういう表現はお
かしいかもしれないが「永田町どっぷり」の政治記者とはやや違った視
点で政局を見つめている。

その伊奈氏から「安倍首相が辞めない可能性」を指摘されて、そのとき
も目を見開かされる思いがしたのだが、改めてコラムを読むと、なるほ
ど説得力はある。

アメリカでは中間選挙で共和党敗北となったのに、ブッシュ政権は死に
体とはならなかった。自民党総裁選で66%の得票で選ばれた10ヵ月後
に、安倍氏に代わる党の顔が現れるか・・・。

さらに、「参院選の結果、首相を辞めさせるのは憲法が想定する事態で
はない」という指摘も鋭い。

この点はまさにその通りであって、衆院の優位性が定められている以上、
参院と政局を絡めてはいけない。昨年の郵政解散は参院が郵政民営化法
案を否決したために起きたが、参院自民党が政局に介入した点こそが最
も責められるべきポイントである。

そんなことを考えていたら、台湾での見聞と日本の政局見通しが絡み合
って、なにやら「政治の政治たる所以」とでもいうべき重いテーマに行
き当たった。

結論からいえば、政治展望を試みるときは、あらゆる制約から解き放た
れて、何があっても不思議ではないというぐらいの感覚にいったん立ち
戻らないと間違えることになる、という戒めである。その意味で伊奈氏
の指摘は興奮を禁じえないものであった。

筆者が台湾にいたのと同じ時期に森喜朗元首相が訪台、陳水扁総統から
「特種大綬景星勲章」を授与された。首相時代に李登輝前総統の訪日を
受け入れたこと、台湾から日本への観光客に対するノービザ措置の恒久
化を果たしたことなど日台関係強化への貢献による。

元首相の台湾訪問など、少し前までなら考えられなかったことだ。日本
のメディアは「中国の反発必至」と報じた。ここは訪台を決断した森氏
の政治センスを買わねばなるまい。

中国外務省の反応は、報道官が定例会見で、中国の重大な懸念を顧みな
かったことに「強い不満と遺憾」を表明するというコメントを出しただけ
で終わった。

森氏は自身の訪台をめぐる情勢分析を十分に行った上で敢行したのであ
ろう。これは安倍政権の台湾に対するスタンスを明瞭に示すシグナルと
もなる。安倍首相の訪中以後、日中関係は明らかに変化しつつある。中
国外務省が一片のコメントでとりあえずメンツを立てるだけにとどめた
ことをこそ注目すべきだ。

安倍首相はその著「美しい国へ」の中で、自由、民主主義、基本的人権、
法の支配といった「価値観の共有」を強調、その文脈の中で、「台湾も
視野に入れる必要がある」と日台関係の強化に言及している。

伊奈氏が指摘した「参院選敗北でも安倍首相退陣とはならない可能性」
と、森元首相の訪台をめぐるメディア報道。まったく違う次元の話のよ
うに見えるが、「政治のアヤ」とでもいうべき感覚は共通する。そこを
見据えていかないと、政治情勢の分析を誤ることになる。

もうひとつ、台湾政局は混迷の極みにあった。民進党・陳水扁政権はス
キャンダルにまみれ、危機に瀕している。機密費の私的流用の疑いで夫
人が起訴されるまでに至ったのだから深刻だ。

12月9日の台北、高雄市長選が当面の焦点で、国民党候補の勝利が確定
的とされ、その流れから2008年の総統選挙では「国民党主席・馬英九氏
が当確」とまで言われている。馬氏は「反日派」とされ、日本としては
歓迎しにくい展開だ。

だが、台湾政局に詳しい長老らからあれこれ取材してみると、「機密費
事件の展開にもよるが、『馬総統』確定と見るのは時期尚早。まだヤマ
はいくつもある」。つまりは、台湾メディアの一過性の激しい報道ぶり
に惑わされるな、というのである。民進党、国民党がそれぞれ割れて新
党ができる可能性にまで言及した人もいた。

筆者は台湾政治は専門外なので何とも判断しにくいのだが、前述してき
た「政治を見るにはあらゆる制約条件から解放された感覚が必要」とい
う点では、ここにも共通するものがある。

さて、参院選敗北なら安倍政権崩壊となるのかどうか。これまで政治を
見てきた感覚からすれば当然ながら退陣必至ということになるのだが、
この見極めは政治ウオッチャーの真価が問われるものとなりそうだ。

<日経BP社サイトSAFETY JAPAN連載コラム「我々の国家
はどこに向かっているのか」第36回・28日更新>再掲

【 「総幹分離」について 】

前回コラム「復党問題・再考」が政治記者の大先輩、渡部亮次郎氏のメ
ルマガ「頂門の一針」644号に再掲された。その中で、渡部氏から以
下の指摘を受けた。http://www.melma.com/backnumber_108241/

<本来、総裁と幹事長は別の派閥という「総幹分離」が自民党の伝統だ
った。>というのは間違い。時の党内情勢で変わる。池田内閣、佐藤内
閣、田中内閣ではほぼ同一派閥だった。福田密約内閣で初めて大平派が
取り、大平内閣で大平が自派から出そうとして党内抗争。それ以来もい
ろいろあって「伝統」とは言えない。

以上が渡部氏の指摘。

事実関係は以下の通りである。

・田中政権までは総裁と幹事長が同じ派閥というケースが多かった。例
外は、鳩山政権の岸信介(岸派)、石橋・岸政権、池田・佐藤政権の一
時期の三木武夫(三木派)など。

・1974年12月、椎名裁定により三木総裁選出のさい、条件として
総幹分離が打ち出され、三木政権下では中曽根康弘(中曽根)、内田常
雄(大平派)、次の福田政権では大平正芳(大平派)が幹事長を務めた。

・その後、78年12月、大平総裁は斎藤邦吉(大平派)を起用したが、
79年11月、桜内義雄(中曽根派)に交代する。

・以後、「総幹分離」が定着、2003年9月、小泉総裁が24年ぶり
に同じ出身派閥の安倍晋三(森派)を幹事長に起用する。

以上が歴史的経過だ。自民党の50年の歴史の中で最近のほぼ半分の期
間は「総幹分離」が行われてきたことになる。筆者は三木政権以後の政
治記者であり、これを「伝統」と受け止めた。渡部氏との見解の相違は
「世代」の違いということになるかもしれない。

★★花岡信昭メールマガジン★★
355号[2006・11・30]より転載。

★ブログ「はなさんのポリログ」 http://hanasan.iza.ne.jp/blog/
★メルマガバックナンバー http://www.melma.com/backnumber_142868/


主宰者より:伝統とは一貫していなければならない。せいぜい傾向ぐら
いだろう。



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ハノイの喜怒哀楽(24)
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          渡邉 由喜

私の家から5分ほど歩くとハノイ観光の目玉のひとつであるオペラハウ
スに辿り着く。フランス統治時代の名残のひとつである。パリのオペラ
座を模して造られた。建築年は1911年。オフホワイトともう少し黄色が
かったベージュの中間のような色に白と燻された金のアクセントが入る。

本家のオペラハウスの豪華絢爛な装飾のネオ・ゴシック様式と比べると、
彫刻も少なく地味ではあるが、雰囲気は割と近い。オペラハウスは通称
で正式名は大劇場。しかし名前ほどには広くない。

優雅な建物の横には椰子の木が立ち並ぶが、不思議と街にもここの空気
にもマッチしている。まさにベトナムらしい景観である。美しいオペラ
ハウスも歴史の一幕では、劇場でない任務を背負っていたこともある。

ベトナム戦争中はホー・チ・ミン率いる北ベトナム軍の作戦本拠地のひ
とつであり、収集した情報はここで分析され、建物に付属しているスピー
カーで市民に警報を出す役目を負っていたという。病院の役目を果たし
たこともあるらしい。現在でもその一部は一般人に開放されていないが、
今でも弾丸の残る部屋があるとどこかで読んだことがある。敢えてその
まま残してあるらしい。

一転、中に入ると煌びやかなフランス調の装飾でここはオペラハウスだ
と再度納得する。舞台は小さいしオーケストラが演奏する舞台前の一角
はない。これがないとオペラが上演できるのかとちょっと気になるのだ
が、両脇にバルコニー式の貴賓用席があり、やはりオペラハウスっぽい。

ここに座るとちょっと豪華な気分になる。黄色いフリンジの付いた真紅
のベルベットの幕は、小さい頃学校の体育館で見たものと似ているが、
これも元はフランスの劇場の装飾なのかもしれない。

椅子は重厚感ある濃い色の木製で、クッション部には幕と同じベルベッ
トが使われている。前後の列が半分ずれていて、前の人の頭の間から舞
台が見えるように工夫されている。天井にも華麗な装飾があるが天井画
はない。2色の濃淡な連続模様で雰囲気のみを伝えている。

3階の上にも席がある。歌舞伎で言う一幕のみ見るような簡易な席が壁
の上の方に貼り付いている。ヨーロッパの劇場で、学生用の安い席がちょ
うどそんな感じであるらしいが、ハノイのオペラハウスでもまだ試した
ことはない。

このオペラハウスでは国内外のアーティストによるクラシックのコンサ
ートやバレエ、オペラや演劇が催される。ベトナム国立交響楽団は年に
4回の定期公演にプラス、日本を始めとする各国からバイオリンやピア
ノ、ソプラノ歌手を招いて演奏会を行っている。

何故日本からの演奏者が多いかというと、この交響楽団の指揮者であり
指導者が日本人のためである。

本名徹次氏。芸術家に見るステレオタイプの神経質さは見せない。柔和
な笑顔と希望に燃える目が印象的な音楽家である。ベトナム国立交響楽
団と10年の長期に亘る契約を結び、この楽団の指導を行っている。ちょ
うど半ばにかかったところだ。

彼が指導するようになってから楽団の進歩は目覚しい。以前、たまに聴
きに行ってはいたが、はっきり言って、日本でいうちょっと上手な高校
生音楽部レベルであった。いつ誰が間違えるかそれを楽しみにしていた
ほどである。

それがいつの間にか社会人同好会レベルになり、今ではちょっとした地
方都市のオーケストラレベルまでにはなっている。最近ではミスを探す
方が難しい。音も一体化してきた。短期間でここまで上手になるのは珍
しい。

本名氏指揮の演奏会で、休憩に楽屋を訪ねる機会もあるのだが、いつも
大勢の友人・知人が彼を訪問している。汗だくの本名氏は、まるでビア
ホールにいるような気軽さで、世間話をしながらご自身のデジカメで写
真を何枚も撮っている。

「並んでー!」の声が何度も響く。記念写真だそうだ。そんな中に幸運
にも入れてもらえると、私もしばらくはハッピーな気分でいられる。

彼の音楽に対するスタンスは「楽しむこと」だと思う。直接ご本人に確
認したことはないのだが、私にはそう見えて仕方がない。彼の指揮する
後姿からは人の温かみがそのまま伝わってくるのだ。

多分、完璧には思うようには動いてくれない楽団でも、何かそこに動的
なエネルギーを見い出し、そこに魔法をかけていく、そんな一部始終を
彼の後姿から感じることが出来る。

だから常に眉間に皺を寄せているような芸術家の姿が見えないのかもし
れない。彼という音楽家に出会って私は、クラシック音楽をより身近に
感じることが出来たし、楽しむことが出来るようになった。

本名氏は今も日本で日本フィルを初めとする名だたるオーケストラを実
際指揮しておられる。そんな著名な現役の指揮者が、何故ベトナムで交
響楽団の指導しているのか一度お聞きしてみたいところだが、伝え聞く
ところによると、ご自身の前世はベトナム人だったと信じているとか。
その辺、いつかお話が聞けたらと楽しみにしている。

年に何度か、日本から有名な音楽家を招待して演奏会を行っているが、
それは「ハノイに行かない?」という誘い文句で、考えられないような
ギャラでお願いしているのだと伺った。

2日の演奏会を含む1週間弱の滞在後、いらっしゃった方たちはどなた
も皆、「あぁ楽しかった」とニコニコお帰りになるそうだ。来年もまた
と実際にリピートされる演奏者もいらっしゃる。これもまた前世ベトナ
ム人の本名氏の魅力に違いない。

一方でベトナム国立交響楽団の常に前向きな歩みが好感を呼ぶのも間違
いないだろう。演奏会が終わった後、タキシード姿で楽器を背中に背負っ
た男性や、黒いロングドレス姿のまま足にバイオリンを挟んだ女性がバ
イクに跨って、颯爽とオペラハウスを後にする風景は私の好きなハノイ
のひとつである。

日本では決して見ることの出来ない風景。その時の楽団員の顔は達成感
に満たされている。誰もが希望に溢れた目をしている。より生活に近い
ところに音楽が存在しているのが私はある意味、羨ましくもある。



━━━━━━
話 の 福 袋
━━━━━━


 1)夕張 「歴史村」が自己破産 負債74億円、全社員解雇   

【夕張】財政再建団体となる北海道夕張市の第3セクター「石炭の歴史
村観光」(社長・後藤健二市長)は29日、札幌地裁に自己破産を申請し
た。同社などによると、負債総額は74億円。従業員38人は全員解雇する
予定。

同社は1980年7月に設立。夕張市の「炭鉱から観光へ」の象徴として、
石炭博物館や遊園地などがある「石炭の歴史村」などを運営してきた。

2006年3月期決算は黒字だったが、実際は市から委託金を預かり、売上
金で返還する方法で赤字を計上していない。05年度の委託料は約26億5
千万円で、売り上げは13億6千万円。 

解雇者のうち、希望者は「夕張観光開発」が運営するマウントレースイ
スキー場と同ホテルで再雇用する考えだが、来年4月以降の雇用は保証
できないという。 

主要施設の「石炭の歴史村」内の遊園地の遊具は同社の所有だが、自己
破産により、来春以降の遊園地の運営も事実上不可能となった。
(北海道新聞 2006/11/29 12:46)


 2)花咲港 サンマ水揚げ日本一、9年連続ほぼ確実  

【根室】水産庁などによると、今年のサンマ漁は28日までに終了した。
港別の水揚げ量では花咲港(根室)が唯一、5万トンを超え、9年連続
の日本一となることが確実だ。 

全国さんま漁業協会(全さんま、東京)のまとめでは、全国の水揚げ量
は11日の時点で前年同期比6%増の22万4千トンと、漁獲可能量(10ト
ン以上の漁船対象、21万3千トン)を超えた。水揚げ額は同12%増の
158億8千万円。 

港別では、花咲港の水揚げ量が11日現在で前年同期比11%増の5万6
千トン、金額が同40%増の51億円。2位の女川(宮城県)の2万9千
トン、16億9千万円を大きく引き離している。

以下、釧路(2万7千トン、20億5千万円)、厚岸(2万5千トン、19
億3千万円)の順。 

今年は、魚体を大きさで選別するイワシ分離機を撤去したほか、魚価対
策として漁期を約1週間遅らせた。ただ、豊漁期の魚価は、供給過剰な
どから、低迷した前年並みの1キロ40−50円台にとどまった。 

花咲港の水揚げ量、金額の伸びについて、根室の関係者は「高値が付く
はしりのころ、道東沖の漁場が例年より遠かったため、最も近い花咲港
に水揚げが集中したためではないか」とみている。 (同  2006/11/29
09:57 )


 3)世界遺産に縄文を/文化庁に提案 

青森市の三内丸山遺跡を中心とする県内の縄文遺跡群の世界文化遺産登
録を目指す県は二十八日、文化庁に対し、国内暫定リストへの掲載を、
関係市町村とともに文化庁に提案した。

対象とする縄文遺跡群は、同遺跡のほか小牧野遺跡(青森市)、是川遺
跡、長七谷地貝塚(以上八戸市)、亀ケ岡遺跡、田小屋野貝塚(以上つ
がる市)、二ツ森貝塚(七戸町)の計7遺跡となっている。

提案書の内容は、12月1日から、県教委や、関係自治体のホームページ
上に掲載されるという。(東奥日報 29日)


 4)教会群など計20件 世界文化遺産に提案

長崎県などは28日、世界文化遺産登録を目指し、国宝の大浦天主堂(長
崎市)や国史跡の原城跡(南島原市)など県内5市2町にまたがる計20
の教会や史跡を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」としてまとめた。
29日に文化庁に提案書を出す。

国に推薦するのは、教会12件と関連遺産8件。世界文化遺産の全6項目
の登録基準のうち5項目を満たしており、専門家もその全体的な価値を
認めているという。

文化庁は今月末を期限に各自治体から文化遺産候補を募集中で、来年1
月中に世界文化遺産の候補となる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
暫定リストに追加申請するかどうかを決める。

唐沢裕之県教委学芸文化課長は「世界遺産への登録はハードルが高いが、
文化庁に積極的に働き掛ける」と話した。(長崎新聞Web 29日)


 5)養殖上海ガニ、水揚げがピーク 山形・山辺

秋から冬にかけて旬を迎える中華料理の高級食材、上海ガニ(チュウゴ
クモクズガニ)の養殖場、山形県山辺町で水揚げのピークが始まってい
る。夜行性の習性を利用し、夜、池の土手に上がってくるところを手で
捕まえる。年末にかけて、約2000匹を出荷する。 

休耕田を利用して02年に始めた。だが、軌道に乗りかけた今年2月、
生態系に被害を与える外来種として外来生物法で繁殖が規制された。 

事業継続も危ぶまれたが、養殖場の周りにさくを張るなど逃走防止策を
取り、8月に環境省の許可を得て再開した。4つの池があり、同省によ
ると、全国14カ所の養殖池で最大規模という。養殖場の日詰勉代表
(65)は「許可が遅れて今年は大きく育たなかったが、何とか旬に間
に合った」とほっとした表情だった。 (Asahi Com 2006年11月29日15
時10分)


 6)「NYにも水戸納豆ある」と松井がエール

井川とヤンキースで同僚となる松井は「交渉が順調にいって一緒にプレー
するのを楽しみにしています。井川君が力を最大限に発揮してくれれば、
必ずやヤンキースが世界一になれると思います」とまずはエール。そし
て「ニューヨークにも水戸納豆は売っていますからご心配なく」と水戸
商出身の井川を、兄貴分らしく気遣ったジョークを飛ばしていた。 
2006年11月29日(水) 12時50分 日刊スポーツ



━━━━━━
反       響
━━━━━━


 1)演歌は日本の文化に根ざしている。ご維新から昭和まで突っ走っ
た歴史の裏で泣いた庶民の哀歓が日本の歌調を生んだ。

ワインも日本酒もそれぞれの土壌、文化から生まれており、ブレンドす
る事は考えない。それぞれに味わうことがふつうだろう。

最近、外国の歌手でも日本の歌曲をすばらしく歌う人がいるが(ロスチ
ャイルド一族の女性)、さすがに演歌は歌わない、いや歌えない。

ワグナーに「夕星の歌」という哀切きわまりないアリアがあるが、小節
を利かせて歌っても感動は呼ばない。

演歌を音吐朗々とバリトンで歌うことは罰せられはしないがそれは1回
だけでお許し願う「座興」に過ぎない。分類すれば「げてもの」に入る。
(長岡新太) 


 2)年末が迫っているのになんだか変な雰囲気ではないですか 復党
問題が大きな政治テーマになっているのが不思議です どうでもいいと
考えるのは少数なのでしょうか

民営化そのものがこの1年でどういうことになっているのか 郵便局の
冷えた雰囲気が何かを象徴してませんか 11人の顔ぶれはよく知りませ
んが 所詮選挙目当て

いじめ問題を大声上げてしゃべっている先生 否商売人の横柄さに共通
しているものがありませんか 少なくとも抱負経綸を語ってほしいもの
です 

話の福袋にたどり着くと なにかほっとします ああここには人が生き
ていると思うからです 社会全体がドボーンと落ち込んでいる時こそ 
ひとりひとりを思い浮かべることができるのがいいですね 話題のひと
つひとつに温かなものを感じ 今夜も熟睡できそうです (一)



━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━


呼びかけに応えて30日、久々に夜の新宿へ繰り出す。1年ぶりぐらいでは
ないか。学生時代はよくたむろしたが、大人になってからはおっかなく
て行かないようにしている。

学生というのは大学生のこと。中学・高校は生徒、小学生は児童。それなの
に最近の新聞では高校生の就職特集で「学生を待つハローワーク係員」
と出ていた。記者の乱れが国語を乱す。なお専門学校生は学生。

もう一つ。花街をはなまちと昔は読まなかった。いろまちと読んだ。へ
んな歌が出来てから妙な街が出来た。今の記者は三業界を知らない。料
理屋は知っていても待合を知らない。占領軍が禁じたから。その頃生ま
れた記者たちも定年だ。

<演歌を音吐朗々とバリトンで歌うことは罰せられはしないがそれは1
回だけでお許し願う「座興」に過ぎない。分類すれば「げてもの」に入
る>という長岡新太(仮名〕さんのご指摘にヒザを打った。従ってそうい
うことを企画することは一流の芸術家ならしないことだろう。 

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