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相場を知る

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株式市場とは世界の富を取ったリスクに応じて公平に分配するところ。あなたに為替や株式のリスクの取り方を伝授します。

創刊日:2004-01-17   最新号: 2008-10-07   発行周期:週刊   読んでる人:197人
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相場はあなたの夢をかなえる

発行日: 2008/10/07

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・私は過去2年半ほど、マネーのまぐまぐ( http://money.mag2.com/ )に
て、毎週更新で「トレードセンス養成講座」を行っています。

以下は今週号の問題ですが、このメルマガの読者の方々にも読んでいただき
たいので、ここに転載いたします。

同講座は、下のように3択問題から回答を選び、私の考える正解と解説とを
読むという段取りになっています。Webページ右側の ≫バックナンバー一覧 
からは、過去の百数十問題が閲覧できます。

また、「矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1」パンローリング刊
( http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=528&c=9784775990643 
では、考え方の基礎となるTPA理論とともに、各問題(同書では35問)を
より分かりやすく解説しています。

では、今週号のサブプライム・ローンについての問題をお読みください。



●その他の問題
米国住宅ローンを下敷きにしたサブプライム・ローン関連商品で、欧米の金
融機関は巨額の損失を計上し、百数十年(明治維新の頃から)の歴史を持つ
大手の米投資銀行がすべてその形態を変えてしまいました。ノーベル賞クラ
スの高度な数学を駆使しリスクを完璧に封じ込めていたはずのサブプライム・
ローン関連商品で、どうしてそのような巨額の損失が発生したのか不思議な
気がします。個人投資家にサブプライム・ローン関連商品は直接には関係あ
りませんが、あなたが金融機関の担当者になったと仮定すれば、今後、どう
すれば良いと思われますか?

(1)高度な数式に用いた基礎的な要因を分析し改善して、住宅関連商品へ
      の投資を続ける
(2)住宅市場はよく分からないので、関連商品には手を出さない
(3)住宅価格が値下がり始めた時に、損切りを忘れないようにする


正解:(3)住宅価格が値下がり始めた時に、損切りを忘れないようにする


解説:
投資物件が値下がり始めた時、損失の拡大を防ぐ最も効果的な方法は損切り
です。正解は(3)の「住宅価格が値下がり始めた時に、損切りを忘れない
ようにする」になります。


サブプライム問題を復習してみましょう。

アメリカの住宅市場は1990年代の初めから10数年間の上昇トレンドを保ちま
した。上昇トレンドが長く続くと、多くの人が買ってしまう、価格が上がる、
などから、買える人が減ってきます。一方で、トレンドがまだ続くと信じて
建て過ぎてしまうので、物件が余ってきます。業者としては何としてでも買
い手を見つける必要が出てきます。そこで業者が金融機関と組み、それまで
信用力がないために住宅価格の上昇を指をくわえて見ていた人たちに融資を
持ちかけて、新たな購買者層を作り上げたのがサブプライム・ローンなのです。

金融機関は、自分の家が欲しいという欲求だけでもともと資金力がない人に、
3倍近くに値上がりした物件を買わせるためにサブプライム・ローンを貸し
付けました。常識的に考えれば、宝くじにでも当たらない限りそのローンの
返済は不可能ですが、住宅価格が更に上昇すれば転売するなどして支払うこ
とができます。

一方で、金融機関はローンの残高を減らし新しい貸出に向かえるように、既
存のローンを債券化して他の金融機関に売り払うことにしました。そのサブ
プライム・ローン証券化商品は債務不履行の可能性リスクに応じてパッケー
ジ化され、保険会社や保証機関の債務保証なども付け加えて、世界中の金融
機関に販売されました。こうして、アメリカの資金力のない人がした大借金
が返済不能に至る(必然の)リスクが、保険会社などを含む世界中の金融機
関に分散されることになりました。

ところが、2005年後半から新築住宅販売件数が、2006年初頭をピークに住宅
着工件数が、急激に落ち始めました。とうとうアメリカの住宅市場は飽和状
態に至り、(住人は名目だけで実質的には金融機関が住宅を購入する)サブ
プライム・ローンをもってしても、新たな購買者を見つけることができなく
なりました。住宅需要が大幅に先食いされていた上に、価格が高すぎて誰も
買えなくなっていたのです。

これは典型的なバブルの末期的症状です。しかし、住宅着工件数が1年前の
6割ほどに減少した2007年初頭時点でも、まだ住宅価格は最高値圏にいまし
たので、バブルから無事に抜け出すことは可能なはずでした。日本の信託銀
行の中には、住宅価格が下げ始めた時点でサブプライム関連商品を売り払っ
たところがあったと聞きます。サブプライムが問題化する2007年夏以前のこ
とです。


ではなぜ、プロ中のプロと目されるアメリカの投資銀行やヘッジファンドが、
バブルにつかまってしまったのでしょうか? それは、バブルの生成過程で
の、彼らの社内でのパワーバランスに注目すると、案外簡単に答えが見つか
ります。

大相場が続くと、その相場で大きく張った人間が大儲けできます。相場観の
良い人というのは、大体において先見の明がありますので、相場の初期、中
期には乗ることができますが、末期が近付くと、その先見の明によっていち
早く相場を降りてしまいます。あるいは、リスク管理を徹底して、そこそこ
の利益で満足しようと考えるようになります。

ところが相場では、しばらく上げ相場が続いてから参入してくる人が多く、
また、それまでの収益を背景に、さらに大きく張る人が出てきますので、相
場は理論や需給などでは到底説明できないところまで上がるのが常です。そ
こで、相場の後期から末期にかけて大勝負をかけた人が大儲けできるように
なります。

ヘッジファンドなどでは、四半期毎の運用成績が評価として世間に知れ渡り
ますので、成績の良いファンドには急激に資金が集まるようになります。サ
ブプライムで儲けたファンドに大量のニューマネーが入ってきたなら、彼ら
は意を強くして、また出資者の期待に応えるためにも、サブプライムに追加
投資します。

同じことは、金融機関の内部にもいえて、サブプライムで儲けた人がより多
くの資金を扱えるようになるのです。彼らは社内でのいわゆる儲け頭ですか
ら、トップですら遠慮がちになるほど発言力が増すようになります。そして、
しばしば、中途半端にしか儲けることができない、したり顔のベテランを追
い出すようなことをするのです。

きちっとデータを押さえていた人は、早い人(住宅販売を見ていた人)でバ
ブルの最後の2年間、遅い人(住宅価格を見ていた人)でも最後の半年ほど
を逃してしまっています。ディーラーなら攻撃された場合に生き残れない期
間です。

いま株式会社の経営者は短期的な結果を出すことを求められています。彼が
経営者で居続けるためには、四半期毎にそれなりの増益を出し続けねばなり
ません。そうでなければ、いつ株主から三下り半を突きつけられるか分から
ないのです。そうした経営者は、とかくアグレッシブなディーラーを重用し
たくなります。上げ相場で大きく買えるディーラーやヘッジファンドを最後
の最後まで求め続けますので、バブルの最終局面でつかまるのです。

アメリカの経営者はバブルにつかまってもいいのです。彼が不正でもしてい
ない限り、バブルで上げた報酬はそのまま彼のもとに残ります。また、バブ
ル崩壊で職を追われても、不正がなければ退職金を受け取ることができます。
メリルリンチの経営者の退職金は1億6,000万ドル(168億円)だと言われて
います。大勝負した者が勝ちなのです。
(参照)Merrill’s departing chief to get $160m 
http://www.ft.com/cms/s/0/4fb6d18c-86eb-11dc-a3ff-0000779fd2ac.html 


つまり、経営者がサブプライムでのいけいけ担当者を重用し、慎重な担当者
やベテランの首を切り、あまり儲けていないセクションを縮小するのです。
そして、バブルが破たんした後には、骨のあるディーラーは誰も残っていな
いようになります。これでは、損切りなどできるはずもありません。

結果として、アメリカには投資銀行(日本の証券会社)というものがなくな
り、銀行が証券業務を兼ねるようになりました。当面は規制が強化されるこ
とになりますので、レバレッジ縮小の動きになるでしょうが、市場経済の仕
組みと彼らのメンタリティを鑑みれば、銀行そのものが歯止めを失って相場
にのめり込むのは時間の問題かと思います。

ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、メリルリンチ、リーマン・
ブラザーズ、ベアスターンズという5大証券は2003年から2007年の5年間に、
合わせて31億ドル(3,255億円)の報酬を経営者に支払っています。この金額
はJPモルガンがベアスターンズ買収につかった資金の約3倍にもなります。
(参照)Wall Street Executives Made $3 Billion Before Crisis 
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=aGL5l6xOPEHc&refer=exclusive 


サブプライム・ローン問題の要点は次の通りです。

1、米住宅価格が上がり続けるという前提があった。
2、パッケージ化されたローンの証券化商品にはもともと流動性に問題があ
    った。
3、個々の金融機関は残高調整などのリスク管理を行っていた。
4、しかし、その個々が世界の金融機関、多くの業種にわたり肥大していた。
5、それらをすべて熟知しているはずの経営者に問題があった。


ここで、ノーベル賞クラスの高度な数学が関わっているのが、2と3です。
つまり、金融商品の製作過程と、個々の金融機関でのリスクヘッジです。彼
らの計算は緻密ですから、一見完璧な金融商品、完璧なリスクヘッジが出来
上がります。しかし、私の知る限り彼らの計算に流動性が考慮されることは
なく、仮にされていたとしても、まったく見当はずれのものであったことは、
サブプライム・ローン関連商品が問題化したことでも明らかです。

完璧なリスクヘッジとは、買った商品を売り払うことです。その結果が利益
でも損失でも、それ以上の評価損益はなくなります。損切りをしたくない人
が、いろいろな理屈をつけて他の方法を考えます。その時に用いられるのが
ノーベル賞クラスの高度な数学なのですから、なんという貴重な才能の無駄
遣いでしょう。損切りしていれば、もうリスクはなかったのです。

サブプライム問題では、2つの大きな流動性リスクがありました。1つは、
商品そのものに流動性リスクがあったこと。2つ目は、皆で同じ方向のディ
ールをしていたため、売りたい時にも売り手ばかりで、買い手が残っていな
かったことです。


さて、今回の問題に戻りましょう。

(1)の、「高度な数式に用いた基礎的な要因を分析し改善して、住宅関連
商品への投資を続ける」では、巨額な損失から逃れることはできません。数
学では、上にあげた5つのサブプライム・ローン問題の要点のどれも解決す
ることはできません。

(2)の、「住宅市場はよく分からないので、関連商品には手を出さない」
と、住宅金融そのものを否定することにもなってしまいます。角を矯めて牛
を殺してはいけません。

サブプライム・ローン関連商品だけではありません。相場が思惑とは逆に行
き始めたなら、速やかに損切りすることが生き残る術です。正解は、(3)
「住宅価格が値下がり始めた時に、損切りを忘れないようにする」なのです。



・以上が「マネーのまぐまぐ」掲載分です。

このメルマガの、以前からの読者の方々は、私が2006年辺りからアメリカの
住宅市場のバブル崩壊を警告していたことはご記憶のことと思います。また、
サブプライム問題が発生した後は、次に来るのは商品相場と新興国市場のバ
ブル崩壊だと申し上げました。

一方で、それらの崩壊により、主要国の株式市場が買われることになるとも
予測したこともご記憶でしょう。こちらは大外れしています。

バブルは買われ過ぎという市場の内部要因により崩壊します。市場は行く所
まで行くと、必ず反転するのです。ところが、現在の主要国の株式市場はま
だどちらにも行き過ぎてはいません。ここでの予測は難しいので、私などで
もよく外すのです。

いま、私が最も気にしているのは、OTCオプションなどのデリバティブ市
場です。ここは10年以上にもわたってゴールドマン・サックスの独壇場とも
言えました。ゴールドマン・サックスなどの投資銀行がすべて銀行持ち株会
社の傘下に変わったことで、今後の影響は必至でしょう。

レバレッジの縮小は、投機資金の減少を意味します。一方で、年金基金など
の投資資金はそれほど急激には減少しません。株式は売られたところを見極
めて、どこかで買いたいものです。



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・この1週間のメールマガジン「マーケット情報で学ぶ経済英語」より
(参照)http://www.mag2.com/m/0000142830.htm 

毎日発行している英語のメルマガ、まとめると1週間の流れが見えますの
で、ここに日本語訳だけを掲載します。



(10/1)
(Industrial Companies Can Thank Banks for Lower Rates より)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=aAHCiRX_cqUo&refer=exclusive 

銀行や証券会社、保険会社を苦しめている信用収縮まさにそのことが、メー
カーなどの短期借入金利コストが4年来の低水準に下がる恩恵を与えている。



(10/2)
(U.S. Auto Sales Fall 27%, Most Since 1991, on Credit より)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=amDNmzvIsnaM&refer=worldwide 

9月の米自動車販売は27%落ち込んだ。信用危機と景気減速とで、自動車業
界は1991年以来の最悪の月となった。時の大統領はジョージ・HW・(パパ)
ブッシュであった。



(10/3)
(Stock Market Extends Losses As Economic Concerns Persist より)
http://online.wsj.com/article/SB122294483713397869.html 

木曜日の市場はパニックの兆候を見せた。リセッションの深まりを示す手掛
かりが山積みされ、銀行は依然として貸出に慎重だ。それらは教科書的には
世界の金融システムが直面する危機の暗示だ。株式市場と商品市場は下落し
た。米国債や他の安全資産の価格は急騰した。また、欧州通貨は欧州大陸の
景気弱体化が深まるとの懸念で売り込まれた。



(10/4)
(Wall Street Executives Made $3 Billion Before Crisis より)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=aGL5l6xOPEHc&refer=exclusive 

米国の5大証券会社はその経営者たちに、過去5年間で30億ドル(3,150億円)
もの報酬を支払った。彼らはローンをパッケージ商品化し売り払うことで、
米国の証券業システムを崩壊させることに加担した。



(10/6)
(Historic Bailout Passes As Economy Slips Further より)
http://online.wsj.com/article/SB122304922742602533.html 

ジョージ・ブッシュ大統領は、前代未聞の7,000億ドルの米金融システム救済
法案に署名し成立させた。これはこの国の経済で、これまでに行った最も大
きな政府介入の1つであるが、まず間違いなく最後ではない。



(10/7)
(Dow Drops Under 10000 as Bank Woes Persist より)
http://online.wsj.com/article/SB122328868571207285.html 

ダウ・ジョーンズ工業株平均はザラ場で800ポイント下落した後、前日比
369.88ポイントダウン(?3.6%)の9,955.50ドルで取引を終えた。ダウ構成
銘柄である30優良企業株のすべてが値を下げた。ダウが10,000ドルを割り込
んで引けたのは、2004年10月下旬以来となる。また、リーマンブラザーズが
破綻し、ウォールストリートが危機に至った9月中旬からの下げは、12.8%
となった。



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