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2004-12-27
NYニッチ激コラム
http://www.nyniche.com
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NO.193 今週の記事
◎NYのストリート新聞が生んだ、アメリカ現代文学とソーシャルエンタープライズ
◎ウェブマガジン www.nyniche.com のお知らせ
◎渡辺啓子さん個展案内
◎編集長から 年末のご挨拶
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◎NYのストリート新聞が生んだ、アメリカ現代文学とソーシャルエンタープライズ
崔ちえ
NYの名物とも言えるものに、ホームレス自立支援団体が発行するストリート新聞が
ある。
無職の人やホームレスの人がそれを売って、細々と収入を得られるようになっている
のだが、チャリティ精神ゆえだけでなく、斬新なデザインが目を引き、世知辛いNYの
街をたくましく生きるストリートからの率直な声が、読み物としてニューヨーカー達
に受けているようだ。
それなら試しに買ってみようかと思われたなら、NYの街角で人々に支えられているさ
さやかなこの活動が、思わぬ夢のような話を生み出したことも、知っておいて損はな
いだろう。
アメリカ現代文学を少しかじったことのある人なら、リー・ストリンガーという黒人
作家の名を聞いたことがあると思う。彼は現代アメリカを象徴する「ホームレス作家」
の第一人者である。
ストリンガーは、かつては成功したビジネスマンであったのに、兄の死をきっかけに
ドラッグにはまり、仕事を失ってからたった9ヶ月でホームレスになってしまった。
しかしあるときお金がなくて手持ち無沙汰だった彼は、自分のホームレスの体験を書
いて、ストリート新聞に持ち込んだ。それが評判をよび、やがて編集にまで携わるよ
うになり、10年後には作家として社会への復帰を果たしたのだ。
彼はマイノリティ文学の一つとして「ホームレス文学」を確立させた。
そして彼の経歴が語るように、中流(社会的勝者)とホームレス(社会的落伍者)の
もつ背景に大きな違いはない、つまり、誰もが小さなきっかけ一つでホームレスにな
りえるという事実を見せつけた。
彼のストリートからの鋭い視点で大都市NYのありのままを浮き彫りにした、
1998年の著書「グランド・セントラル駅・冬」は、静かな衝撃と多大な関心をよびベ
ストセラーになった。2002年には日本語にも翻訳されている。
NYの街が、彼のようなホームレスを生んだが、また彼の才能を認め、カート・ヴォネ
ガットも推賞する本格的な「ホームレス作家」を生み出したのだ。
1980年代後半の話だ。
時を同じくして、同じNYで同じストリート新聞に出会った人物がもう一人いる。
国際的な化粧品会社ボディショップの創設者であるゴードン.ロディック氏である。
彼は、NYの街でホームレスの人から買った「ストリート・ニュース」という新聞に感
銘を受けた。そして誰もが買い続けたくなる魅力的な雑誌をつくり、ホームレスの人
達に販売員としての仕事を供与できる、ホームレス自立支援のビジネスを始めようと、
古い友人のジョン.バード氏にもちかけた。
慈善事業などやらないと断ったバード氏だが、調査をしてみたところ、ビジネスとし
て成り立つとわかった。そこで二人は、若者を対象としたポスト・エンターテイメン
ト雑誌「ビッグイシュー」を創刊した。1991年ロンドンでのことである。
二人の始めたこの活動は、社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)「ビジネスの戦
略を用いて社会的な病弊と戦う、新しい種類のダイナミックな起業家による組織」の
先駆的モデルとして成功を収め、イギリス各地はもとより、オーストラリア、南アフ
リカ、世界(24の国、50の都市.地域)に広がっていった。
創設者のジョン・バード氏はこう語る。
「ビッグイシュー社が提供するのは仕事であって救済ではない。ホームレスの人々は
質の高い雑誌を売る仕事で収入を得るべきであり、『同情による購入』の売り上げで
あってはならない」
(http://www.bigissuejapan.com/Aboutus/foundation/index.html)
そして、「ビッグイシューの基本アイディアは、セルフヘルプだ。人は自分で成し遂
げたという達成感によって自信を得、前向きに生きる力を得る、仕事は人々に平等を
与える一番のツールだ。」とも言う。
(http://www.bigissuejapan.com/Aboutus/index.html)
ポケットの小銭をねだる物乞いをするのではない。仕事の報酬として収入を得ること。
そして社会活動の一部を共有すること。それが背筋をしゃんとのばして生きていくこ
つなんだよ。と、厳しいが優しい励ましが伝わってくるようだ。
今、「ビッグイシュー」は、現代の若者達に、ファッショナブルでメッセージ性の高
い新しいエンターテイメント雑誌を作り続ける一方、ホームレスの人達の自立支援を
通じ、支えられる側、支える側双方に 生きる強い意志と尊厳を与えている。
そしてロディック氏 がNYで受けた 感銘は、日本にも伝わってきた。
2003年秋、彼らの理想を引き継ぎ、ホームレス問題研究講のメンバーである水越洋子
氏の発起で「ビッグイシュー日本版」が創刊された。
次は、大阪、京都、神戸、東京、横浜の都市部で試みられている「ビッグイシュー日
本」の活動と雑誌「ビッグイシュー日本版」の魅力について、発起人の一人である佐野
章二氏のお話を紹介したい。
時事ジャーナル ニッチ通信 No.55
http://www.nyniche.com/features/jiji/
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◎ 今週のおニュー記事! 月曜日更新!
○「ニッチな私たちの年末年始の過ごし方」
TEXT:NYニッチ・コラボレーション 監修: 高田みどり
ニッチもサッチも
http://www.nyniche.com/extra/staff/
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ニッチの寄稿ライターで、サイトの更新も担当している上山仁子さんのHPが新しく
なりました。
従来の「from hitoko」に写真が添えられて、より盛りだくさんに更新しています。
どうぞお立ち寄りください。
http://hitoko.com
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◎ 渡辺啓子さん個展案内
"NYCooギャラリー美術評論" でおなじみの、ギャラリーディレクター&絵描きとして
ニッチのメンバーでもある渡辺啓子の個展が開催中です。
ニューヨークでの不思議な出会いをテーマにした絵は、何か心の奥まで届くメッセージ
を感じます。是非お出かけ下さい。
渡辺啓子/油絵など
Keico Watanabe
個展タイトル "An Encounter in the City"
場所:NYCooギャラリー http://www.nycoo.com/
408 W46th St. 1st Floor, New York, NY 10036
電話:212-489-0461
期間:12月14日2004年〜1月8日2005年
(日/月曜日・12月31日、1月1日・休画廊)
開廊時間:火曜日ー土曜日・午後12時〜6時
中里 斉による評論はこちらからご覧になれます。
http://www.nyniche.com/power/nycoo/5_index_msg.html
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◎NYニッチ 読者のみなさま
今年もNYニッチのご愛読をいただきまして、どうもありがとうございました。
日本で、アメリカで、世界で、本当にいろいろなことが起こった1年でした。
2004年はみなさんにとってどのような1年でしたでしょうか?
NYニッチでも新しいメンバーを迎えて、よい変化を迎えた1年となりました。
来年も、ニッチならではの、鋭く楽しいコラムをお届けしてきたいと思いますので、
どうぞ変わらぬご支援をお願い申し上げます。
来る2005年が、みなさんにとって健やかで幸せに満ちた1年となりますように。
2004年12月27日 ブルックリンにて
塚田桂子 NYニッチ編集長
Peace & Love
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発行責任者:NY Niche (info@nyniche.com)
編集:黒部エリ 詩乃コバント 中鉢由紀子
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