走れ!歩け!挑戦の旅 |
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
--------------------------------------------------------
【6日目・2008年7月31日】
今日は標高740mの知床峠越え。坂がきついと話に聞いていたのでい
つもより少しだけ早い8時45分に出発した。
最初から緩やかに登っている。道と平行して左手に羅臼川が流れて
いる。そこに2頭の鹿がいた。昨日も町から数キロ離れたところで見か
けた。この辺りでは普通に現れるようだ。
宿を出たときは曇りだったが、2〜3Km走って羅臼温泉を過ぎ本格的
な登りが始まると「じり」が降ってきた。というより霧の中に突入し
たようだ。標高が上がるに従い霧はどんどん濃くなっていく。
右の斜面でガサガサと音がした。鹿か、それとも熊か。熊は出ない
と思うが姿が見えないのは怖い。登り始めのこの辺りは斜度がきつか
ったが、スノーシェードをいくつか潜ると多少はきつさが和らいでき
た。
霧が濃いので車はかなりスピードを落としている。なにせ60m先が全
く見えない。後ろから来る車が私を確認してくれるのか不安になるが、
視界良好でコーナーを攻めてくるよりは安全かもしれない。
斜度にあまり変化がなく一定の負荷で登れるので登り易い。そうは
言ってももちろん苦しい。苦しいからこそ充実感がある。これが旅を
続ける理由かもしれない。
霧がさらに濃くなってきた。道路標識がうっすら見えてくる距離は50
m、標識の絵を判別できるのは30m。景色が全く見えないので標高計だ
けが私を励ましてくれる。
もう少しで峠だと思ったころ緩やかに下り始めてしまった。標高を
10m落としてから再度登り始める。そして峠の標高に達したのに峠を示
すものが見当たらない。霧で見えないだけなのか。そうしているうち
にまた下り始めてしまった。
もう峠を越えているようなので下りに備えて着替えたいがどうしよ
う。どんどん体が冷えていく。しかしレストハウスとかが全くないこ
ともないだろう。ぶるぶるに震えながら標高を16m下ったところで「知
床峠」の看板がでてきた。10時55分到着で約2時間10分かかった。
せっかくの峠だが視界なし。天気が良ければ羅臼岳や国後島が見え
るらしい。それにしても寂しい峠だ。レストハウスも自販機もない。
峠の説明とか地図とかないのかと思い駐車場を歩いて行くと、霧の中
から観光バスが見えた。バスから乗客がぞろぞろ降りて行き、ガイド
に連れられて道を渡っていった。
渡ると歩道があり、証明写真を撮るための「知床峠」の文字が入っ
た石もあった。バスがいなければ霧で見えなかった反対車線側のこと
は気づかなかっただろう。
峠は風の通り道になっていて寒くて長居できない。気温は15度だが
体感温度はもっと低い。乗客は5分ぐらいでバスに戻り、トイレ休憩も
せず走り去っていった。トイレが唯一風を遮る場所なので、そこで着
替え下る準備を整えた。
下りはかっ飛びたいがこの霧では無理。しかし標高を落としていく
と徐々に霧が晴れ、空気が暖かくなっていく。そしてうそのように前
方には青空が広がる。日差しも暑くなってきた。かっ飛ぶぞ。
右側にすごくきれいに山が見えたが、そんなのおかまいなく最高速
度63.6Km/hを記録し、30分足らずで海沿いのウトロ温泉まで下りた。
さっきとは別世界で気温28度、真夏だ。
さあ、これからが夏の旅行だ。1回の旅行で2回旅行したような得な
気分だ。
海沿いの国道334号線を南西に向かって走る。きつい登りはないが、
風が強く、向かい風になることが多い。
ウトロ温泉から40Km弱走って斜里に着く。峠越えがあったからどの
辺りまで進めるか計算できず、斜里に着いたら行き先と本日のゴール
地点を決めるつもりだった。
今、14時30分。今回の旅のゴールである網走までは50Kmぐらい。こ
のまま進むと今日着いてしまい、予定より2日早い。当初、知床に行く
体力と時間がなければ、ショートカットして摩周湖・屈斜路湖経由で
網走へ行くことも考えていた。ならば摩周湖を目指してみよう。
摩周湖付近までは50Kmほど。観光地なので近くに行けば泊まれるだ
ろう。
向かう前にコンビニで腹ごしらえしていると、40歳ぐらいの自転車
旅行者がやってきた。話しかけたら、なんと台湾人だった。
英語でなんとかコミュニケーションすると、釧路辺りから私とほと
んど同じルートを走ってきたようだ。厚床では宿がなく駅で寝たらし
い。日本語がわからないのに自転車旅行するなんて、すごい勇気だ。
北海道の道は実にすばらしいと彼は言っていた。台湾人はサイクリ
ングする人が多いが、日本人は少ないね、とも言っていた。
彼と別れて摩周湖方面に向けて走りだしたが、向かい風の強さは海
沿いとは比べ物にならないくらい強烈だ。山から吹きおろす風が真正
面からくる。走っても走っても残り距離がなかなか減っていかない。
耐えて走り続ければ必ず着く、そう思いながら走り続けた。もう暑さ
はなく、むしろ体は冷え始めてきた。
今日2つめの峠、標高320mの野上峠を通過し、川湯温泉の案内が出
てきた。そろそろ18時なので川湯温泉で宿を探そう。
川湯温泉の観光案内所はもう閉まっており、案内所の前でぶらぶら
していると、向かいのホテルの呼び込みが近寄ってきた。
「どこを探しているんですか」
「宿を探しているんです」
「予算はいくらぐらいですか」
「朝食のみで8,000円」
「ちょっと待って、部屋が空いていれば聞いてみますから」と言って
ホテルの中へ入っていった。「呼び込みをしているのだから空いてい
るに決まっているだろ」と心の中でつぶやいた。数分待たされて、
「道路側の部屋になりますけど、8,000円でなんとかできますけどいか
がでしょうか」
建物がきれいで、かけ流しの温泉なので値段は申し分なし、あとは
コインランドリーがあれば、ここで決まりだ。
「コインランドリーは館内にありますか」
「館内にはございませんが、200m離れたあそこにあります。」と言っ
て指さした先は、妙に古く営業していなそうな建物だった。「ちょっ
と見てきます」と言い、そこへ向かったが、もう断る方へ気持ちは傾
いた。戻ってきて、「館内にあったほうがいいので」とお断りした。
みやげものやに入り「宿の一覧表みたいのありますか。ここの相場
がわからなくて、さっきは朝食のみで8,000円と言われたんだけど」と
いうと、そこのおじさんが「それは高いね」と言いながら宿リストが
載っているパンフレットを見せてくれた。そのリストによると、2食付
きで8,000〜9,000円が相場のようだ。もちろん2人1部屋の場合だろう。
リストの中に国民宿舎があった。ここならコインランドリーは間違
いなくある。ここに決めた。宿に着いたらもう18時30分になっていた。
ちなみに朝食のみで4,500円、格安だ。
7月31日(木) 川湯温泉 本日の走行距離 113.3Km
--------------------------------------------------------
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
