自転車旅行や歩き旅を旅先から紹介します。
東海道五十三次、伊豆一周ウォーキング、沖縄一周自転車旅行を終え、ゴールデンウィークは2巡目の四国お遍路です。
- 最新号:2008-08-06
- 発行周期:不定期
- 読んでる人:64人
- 創刊日:2003-12-07
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伊豆一周歩き旅 No.001
発行日: 2003/12/20【1日目・2003年12月14日】
2003年12月14日(日)、伊豆1周歩き旅のスタートだ。9時20分に自宅小田原を
出発し国道1号線に出る。この道は東海道五十三次の旅でも歩いた旧東海道だ。
雲一つない冬晴れの中、東海道の旅を思い出しながら歩く。
櫓(やぐら)をかたどった『ういろう』の店を過ぎると建物の間から小田原城
が見え隠れする。間もなく箱根方面と伊豆方面の分かれ道だ。次の信号で伊豆
方面に左折し旧東海道とお別れだと思ったら、1つ手前の交差点に『小田原さ
かなセンター左折』の案内板があった。小田原さかなセンターは数ヶ月前に小
田原の新名所として小田原漁港に誕生した。魚料理が苦手な私にとってさほど
興味はないが案内に誘われ左折する。
歩くこと数百メートルで小田原さかなセンターが見えてきた。が、意外に規
模が小さくて小田原市民としてちょっと残念。小田原駅から回遊バスが出るぐ
らいなので、小さな道の駅ぐらいの広さがあると想像していたが、間口はトラ
ック2台が縦に並んだ長さより少し短いかもしれない。まあ問題はリピーター
を取り込めるかどうかだから、広さより質で勝負か。
突然、小田原さかなセンターに立ち寄ったが、前回の東海道五十三次の旅や
その前の四国遍路と違って、今回は決まった道筋はないし、寄らなければいけ
ない場所もない。伊豆1周の定義などもちろんない。だから好き勝手に道を選
べるが、それがいいことなのか悪いことなのか今の時点では分からない。
目的のない旅はただ歩くだけになってしまいそうだ。そこで今回は2つのテ
ーマを持つことにした。伊豆と言えば、観光地でもあり、温泉地だ。観光地な
らば容易に観光マップなどの観光情報が手に入る。その観光マップを大いに活
用しようと考えた。ルートに関する持参物はオートバイ用の地図のみ。あまり
下調べせず、旅先で得た情報で歩き回る。それを1つのテーマにした。そうす
ることでそれぞれの観光地の特徴が見えてくるだろう。
もう1つの着目は温泉。伊豆を1周する間にいったいいくつの温泉地を通過す
るだろう。その数を数えるのがもう1つのテーマだ。伊豆全体では40ぐらいあ
るかなと思うが、修善寺温泉や湯ヶ島温泉などの伊豆中央部分には行かないの
で25ヶ所と予想した。みなさんはいくつあると予想するだろうか。これから一
緒に確かめに行こう。
小田原漁港を抜けると国道135号線に合流する。この国道を歩き続ければ熱
海、伊東、下田と海岸沿いを南伊豆まで連れて行ってくれる。
最初のうちは平坦な海岸沿いの道だが、源頼朝と平家が戦った石橋山古戦場
辺りからアップダウンが始まる。家を出たときは気温12度と寒かったが、手元
の温度計は20度を超えうっすらと汗をかき始めた。上着を脱ごうとリュックを
降ろし後ろを振り返ると、小さく小田原城が見えた。あまりにも地元過ぎて、
こんなところからじっくり小田原の町を見ることはなく、ここからの小田原城
に新鮮さを感じた。
やがて国道135号線は旧道と有料道路に分かれる。車や自転車のときは大抵
有料道路を進むが、歩きでは旧道を行くしかない。旧道に入ってすぐ根府川駅
に到着。時間は11時、トイレ休憩も兼ねて一休みする。
何キロぐらい歩いたのか知りたいところだが、オートバイ用の道路地図しか
持っていないので大まかな距離しかわからない。東海道の旅のときは1キロご
とにポイントが示された東海道五十三次用の地図があったから良かったが、今
回は万歩計に頼るしかない。11623歩だから約8キロだろう。まずまずのペース
である。
しかし、ここから先がつらかった。有料道路は多少アップダウンはあるもの
の海岸線に沿っている。一方、こちらはみかん山の中をアップダウンしながら
右に左にとカーブが続く。峠越えではないので急坂やつづら折りではないが、
入り組んだ地形のためかなりの遠回りを強いられる。海を背にして左側に窪地、
その先にはこれから行くであろう道が見える。直線距離にして100メートルか
ら200メートルぐらい。しかし道はいくら進んでも左手の窪地には向かわず直
進する。10分ぐらい歩いてようやく左にぐるっと回るヘアピンカーブがあり、
また同じくらい歩いてさっき見えた場所に到達する。すりばちの外周を半周し
た感じ、あるいは富士スピードウェイのヘアピンのような地形だ。こんなとき
海沿いにまっすぐ伸びる有料道路を見ると、「歩行者も通してくれ」と言いた
くなる。
しかも歩行者にとって危険な道でもあった。混雑する有料道路の抜け道とし
て多くの車が利用する。道幅が狭いのにそこそこのスピードで私を抜いて行く。
右腕すれすれに通過する車も何台かあり怖くてたまらない。もっとも私が車の
ときは歩行者のことなど考えず、半ばコーナーを攻める気持ちで走っていた。
危険な走行をしていた自分に反省。
やがて眼下に2本の道路が見えてきた。有料道路は途中で分岐し、海に掛か
る橋を渡る新有料道路と入り組んだ地形にある程度遠回りさせられる旧有料道
路に分かれる。すぐ下を通る旧有料道路を漠然と見ながら歩いていると、左側
に歩行者しか通れそうにない急な下り坂が現れた。
この道は旧有料道路に続いているのかなと思いながら覗き込む。木に覆われ
ていてどこに通じているのか分からなかったが、そのまま旧有料道路に視線を
延ばすと民家が何軒か見えた。そのときやっと気がついた。旧有料道路沿いに
民家があるということは、旧道と旧有料道路を繋ぐ道が必ずあるはずだ。自信
を持って急坂を下ると思ったとおり旧有料道路につながった。もっと早く気付
けば無駄な遠回りをせずに済んだかもしれない。道を知っているばかりに歩行
者用道路など考えもしなかった。こういう発見が歩き旅の楽しさだ。
合流してすぐ真鶴駅に到着。もう12時50分だというのに、まだこんなところ
かと思ってしまう。万歩計を見ると23000歩になっており、約16キロ。3時間
30分で16キロだからまずまずのペースなのだが、土地勘があるだけにちっとも
進んでいない気になる。地元を歩くとこういう精神的苦痛を味わうようだ。
すぐ近くのコンビニでパンを買い昼食にする。旧道には食べ物を買える店が
全くなかったが、ここまで来ればコンビニがあることを知っていたので空腹の
不安はなかった。いつもの旅行だとカロリーメイトを持ち歩く用心が必要だが、
こういったところは土地勘があることの利点だ。
真鶴駅から1キロほど坂を下ると海が見え、新有料道路と合流する。ここは
夏になると海水浴客でにぎわう湯河原の海水浴場だ。サーファーにも人気で、
道沿いの駐車場では帰り支度をするサーファー達が目に付いた。
海水浴場を抜け、右に曲がると湯河原駅。今日最初の温泉地、湯河原温泉も
そっちの方角だ。私は右折せず直進し熱海に向かう。すぐに有料道路の熱海ビ
ーチラインとの分岐点。ここでももちろん有料道路には行けないので一般国道
を進む。そして登り坂。しかし真鶴までの道と違いアップダウンの連続ではな
い。登りきればあとは熱海まで下る丘越えだ。
丘を越え2つ目の温泉地、熱海までもうすぐと思っていたら、『伊豆山温泉
』の看板があった。伊豆山という地名は知っていたが温泉があるとは知らなか
った。右の山側に伊豆山神社、左の海側にある石段を降りると伊豆山温泉の公
衆浴場があった。温泉があることを確認したので国道に戻り熱海に向かう。
熱海の海が見え始めた頃、花火の音が何発か聞こえた。今日は何か催し物が
あるのだろうか、と顔を上げ辺りを見まわす。すると正面の山中からいくつか
煙が上がっていた。そして同じ視界に熱海城。城好きの私であるが熱海城には
行ったことがない。歴史上存在していないお城だと聞いたことがあるからだ。
あちこち旅をしているが、こういう歴史と無縁のお城に出会ったことはなく、
ある意味貴重なお城かもしれない。
お城を眺めながら温泉ホテル街まで下ってきた。有名な『お宮の松』で一休
み。万歩計を信じればここまで約26キロ。かかとがやや痛みだし、親指の付け
根辺りにまめができかかってきた。時間は3時10分。親戚の家がある網代まで
寄り道せずに行くことにする。
昔はにぎわったこのホテル街も一部で空き地になっている。だいぶ廃れてし
まったなと感じながら歩くとホテルの並びに分譲マンションができていた。人
気の程はどうだろうか。
ホテル街を抜けると再び山道。熱海城の下まで来ると国道はトンネルに突入
する。自転車でトンネルを通過するのも怖いが歩きだともっと怖い。ここはま
だいいが網代の先にセンターラインのない狭いトンネルがある。そこのことを
考えると憂鬱だ。
トンネルを抜けると断崖絶壁で民家などない道をひたすら歩くことになる。
日は傾き少し寒さを感じてきた。寒さを感じたのは私だけではないようだ。バ
イクを止め立小便している男性がいた。実は4人目の目撃である。東海道を歩
いたときはあまり立小便を見かけなかったが、今日はやけに目に付く。交通量
に比べて公衆トイレの数が少ないのだろうか。
山を下り海岸に出る。東伊豆の海岸線はだいたいこのパターンが多く、海岸
と山中を行ったり来たりする。この海岸で予期していなかった温泉の看板を見
つけた。『伊豆多賀温泉案内』と書かれた地図があり、どこに温泉街があるの
かと眺めたが、どこにも温泉マークがない。幼稚園や学校などが書かれた普通
の地図だ。首をかしげながら先へ進んだ。
正面に松並木が見えてくる。本数こそ少ないが幹の太さは東海道中のものと
見劣りしない。ここは海の家が並び、砂浜が広がった多賀海水浴場だったはず
だが、今は整備工事中で海の家の跡形もなく砂浜もだいぶ少なくなってしまっ
た。松並木が終わると秋葉山の灯篭があった。きっとここは昔から使われてい
た街道なのだろう。
伊豆多賀からは30分ほどで5つ目の温泉地、網代温泉に到着。日は暮れかな
り寒くなってきた。時計を見るともう5時。手元の温度計は10度を指している。
親戚の家に寄って暖かいお茶を飲んで今日の旅を終了にしよう。万歩計は5万
歩弱で、約34キロだった。
12月14日(日) 網代
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