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「日本史なんて怖くない」

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「日本史なんて怖くない」村と百姓

発行日: 2006/12/8

☆                                 ★

 「日本史なんて怖くない」 2006年12月08日発行 第 719号

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■ 今回の内容 ■
┃村(農村)と百姓
┃本日のノート
○農村…幕藩体制の基盤
  農民−本百姓(五人組編成)、水呑百姓、隷属農民(名子・被官など)

  村の運営…村方三役(名主・組頭・百姓代)←郡代・代官の指示を受ける
                       本百姓から選ばれる
    入会地の利用、用水・山野管理、治安・防災に当たる
    結・もやい、村入用の負担、村請制
    村法に基づいて運営、違反者は村八分などの制裁

○農民の税負担
  本途物成…田畑・屋敷地にかかる。米納が原則。
       税率:四公六民→五公五民、検見法→定免法
  小物成…雑税の総称の総称
  高掛物…村高に応じて課された付加税の総称、高掛三役
  国 役…一国単位で課される。道中費用・河川工事の修理費
  助郷役…街道沿いの2〜3里の村に高100石に人足2人、馬2疋を徴発
      伝馬役の一種

○農民の生活安定策←原因:寛永の大飢饉
  田畑勝手作の禁…田畑での商品作物の栽培禁止
  田畑永代売買の禁…富農への土地集中と本百姓の解体を防ぐため
  分地制限令…農民の零細化を防ぐため
  慶安の御触書…存在は疑問視、1642年に農民生活に踏み込んだ法令がある


┃文章
 農村は、幕藩体制の基盤であり、政治・経済・社会的な単位でもある。農村
に住む農民は、本百姓{ほんびゃくしょう}、水呑百姓{みずのみびゃくしょ
う}、隷属{れいぞく}農民に分かれていた。本百姓は、検地帳に田畑・屋敷
地を登録し、年貢・諸役を負担する農民である。水呑百姓は、検地帳に記載さ
れる田畑を持たない農民で、小作などで生計を立てた。隷属農民は、名子{な
ご}や被官{ひかん}などと呼ばれ、本百姓に従属していた。

 村の運営は、郡代や代官の指示を受けて、本百姓から選ばれた村方三役{む
らかたさんやく}(地方{じかた}三役)を中心に行なわれた。村方三役は、
村長の名主{なぬし}<注1>、補佐役の組頭{くみがしら}、村民代表の百
姓代{ひゃくしょうだい}のことである。百姓代は、年貢や諸種の負担割合な
どに立ち会い、名主・組頭の不正監視も行なった。

  <注1>関西では庄屋{しょうや}、東北では肝煎{きもいり}などと呼
      んだ。

 農村では、共同で入会地{いりあいち:村共用の山野地}を利用し、用水や
山野を管理し、治安・防災に当たった。そして、田植えや稲刈り、屋根葺きな
ど一時的に多くの労力を必要とする時は、結{ゆい}(もやい)という共同労
働を行なった。村入用{むらいりよう:村を運営する費用}は共同で負担し、
年貢は村全体の責任で年貢を納めた。これを村請制{むらうけせい}といい、
名主が納入責任者で、納入は五人組{ごにんぐみ}の連帯責任となった。村政
は、村法{そんぽう}(村掟{むらおきて})に基づいて運営されたが、これ
に違反する者は村八分{むらはちぶ}<注2>などの制裁を受けた。

  <注2>村民との交際を断つこと。八分の意味ははっきりしない。村民の
      交際には冠(成人式)・結婚・葬式・建築・火事・病気・水害・
      旅行・出産・年忌{ねんき}の10種があり、葬式・火事以外は援
      助や見舞いのつき合いをしないところから来たといわれる。ま
      た、はじくという意味の「はっちる」から来たともいわれ、その
      際は「村ばね」「村はぶき」とも呼ばれる。

 本百姓は、5戸を基準に五人組を編成し、五人組帳に記載された。そして、
互いに助け合ったが、年貢未払いの際は連帯責任を負い、犯罪の相互防止作用
も果たした。


 農民は、封建経済を支える年貢負担者となり、多くの税負担があった。田畑
・屋敷地にかかる本途物成{ほんとものなり:本年貢}は、米納が原則で、税
率は初期に四公六民{しこうろくみん:40%}、幕領では享保頃から五公五民
{ごこうごみん:50%}となった。また、税率の決め方は検見法{けみほう}
を採用していた。これは、その年の作柄を調べてから税率を決める方法だが、
収入が不安定な上、手数{てかず}が煩雑{はんざつ}で、不正を誘発するた
め、享保以後は定免法{じょうめんほう}が採用された。これは、豊凶に関係
なく、過去数年の年貢高を基準に税率を一定にする方法である。

 小物成{こものなり}は雑税の総称で、種類は多種多様である。高掛物{た
かがかりもの}は、村高に応じて課された付加税の総称である。特に、伝馬宿
入用{てんましゅくにゅうよう:宿場経費}、六尺給米{ろくしゃくきゅうま
い:江戸城台所人夫費}、蔵前入用{くらまえいりよう:浅草米蔵人夫費}を
高掛三役{たかがかりさんやく}といった。

 さらに、幕府は所領に関係なく一国単位で国役{くにやく}(国役普請{ふ
しん})を課した。これには、朝鮮使節の道中費用や河川工事の修理費などが
ある。また、伝馬役{てんまやく}は、街道輸送のために課された人馬の夫役
{ぶやく:労役}で、助郷役{すけごうやく}はこの一種である。助郷役は、
街道沿いの2〜3里の村に高100石に人足2人、馬2疋を徴発するもので、そ
れを指定された村を助郷という。指定された村には高掛三役は免除されたが、
農民疲弊の原因にもなった。


 1641年に起こった寛永{かんえい}の大飢饉{だいききん}は、幕藩体制を
揺るがすようなものだったといわれる。この飢饉は、西日本での干ばつと虫害
{ちゅうがい}、東日本での長雨と冷害も重なって、翌年にかけて大凶作とな
り、5〜10万人の餓死者を出したという。そこで、幕府は諸大名・旗本に飢饉
対策を命じるとともに、本百姓の経営を安定させ、年貢の徴収を確実にする一
方、貨幣経済に巻き込まれないように、多くの政策を行なった。

 米作の減少を防ぐため、田畑勝手作{でんぱたかってさく}の禁(作付制限
令)を出し、勝手にたばこや菜種などの商品作物の栽培を禁止した。これは、
独立した法令ではなく、たばこは1615年、木綿や菜種などは1643年に禁止され
ている。ただ、本田畑での作付を禁止しているだけで、それ以外での作付は構
わなかった。

 ●田畑勝手作の禁(徳川禁令考)
  一、来年(1644年)より御料私領共ニ本田畑にたばこ作申間敷旨{つくり
   もうすまじきむね}、仰せ出され候。
  一、田方に木綿作り申す間敷事。
  一、田畑共に、油の用として菜種作り申す間敷事。

 1643年、富農{ふのう}への土地集中と本百姓の解体を防ぐため、田畑永代
売買の禁を出して、土地の売買を禁止した。しかし、実際は土地を質{しち}
に入れて、質流れする形で売買されていた。そして、1673年、農民の零細{れ
いさい}化を防ぐため、分地{ぶんち}制限令を出した。これは年貢を負担し
て、生活も維持できる最低限度を定めたもので、1713年改定のものによると、
すべての百姓は保有高・分地高とも面積が1町歩(約1ha)、石高10石以上な
ければならないとした。

 ●田畑永代売買禁令(御触書寛保集成)
  一、身上(資産)能き百姓は田地を買い取り、弥宜く成り、身体(家計)
   成らざる者は田畠沽却(売却)せしめ、猶々身上成るべからざるの間、
   向後田畠売買停止{ちょうじ:禁止}たるべき事。

 ●分地制限令(寛文13(1673)年令)(憲教類典)
  一、名主、百姓、畑持候大積り(おおよその見積もり)、名主弐拾石以
   上、百姓は拾石以上、それより内ニ持候者は石高猥りに分け申間敷旨、
   御公儀様より仰せ渡され候間、自今以後其旨堅く相守り申すべき旨、仰
   せ付けられ畏{かしこ}み奉り候。若相背き申し候ハバ、何様の曲事
   (処罰)ニも仰せ付けらるべく候事。

 ●分地制限令(正徳3(1713)年令)(新選憲法秘録)
   田畑配分の儀御書付
   高拾石 地面壱町
  右の定めより少く分ケ候儀、停止たり。尤{もっとも}分方{わけかた}
  ニ限らず、残り高も此定より少し残{のこす}べからず。…

 そして、寛永の飢饉後の1642年、農民の生活にも踏み込んだ法令が出されて
いる。1649年に出された「慶安の御触書」の存在は疑問視されているが、農民
の生活にまで、踏み込んでいることが分かる。

 ●慶安の御触書(徳川禁令考)
  一、朝おきを致し、朝草を苅り、昼ハ田畑耕作にかゝり、晩にハ縄をな
    ひ、たはらをあみ、何にてもそれぞれの仕事油断なく仕るべき事。
  一、酒・茶を買ひ、のみ申す間敷候。妻子同前の事。…
  一、百姓ハ分別もなく末の考もなき者ニ候故、秋に成候得ば、米雑穀をむ
    ざと妻子ニもくハせ候。いつも正月二月三月時分の心をもち、食物を
    大切ニ仕るべく候ニ付、…米を多く喰つぶし候ハぬ様に仕るべく候。
    …
  一、男ハ作をかせぎ、女房ハおはたをかせぎ、夕なべを仕り、夫婦共にか
    せぎ申すべし。然ハ、みめかたちよき女房成共、夫の事をおろかに存
    じ、大茶をのみ、物まいり遊山ずきする女房を離別すべし、…
  一、百姓ハ、衣類の儀、布・木綿より外ハ、帯・衣裏ニも仕る間敷事。
  一、たば粉のみ申す間敷候。是ハ食にも成らず、…

   右の如くニ物毎念を入れ、身持をかせぎ申すべく候。…年貢さへすまし
  候得ハ、百姓程心易きものは之れ無く、よくよく此趣を心がけ、子々孫々
  迄申伝へ、能々身持をかせぎ申すべきもの也。

 百姓は、麻や木綿の筒袖{つつ}を着、麦や粟などの雑穀主体の食事を取っ
た。米は食べることはまれである。住宅はかや、わらぶきの家屋に住んだ。


■ コーヒー・ブレイク ■
 今朝、家の前で交通死亡事故がありました。起きる1時間前だったので、目
が覚めてからはずっと起きていました。単車と自動車の追突事件で、単車を運
転していた新聞配達員が亡くなりました。救急車、消防車、パトカーが相次い
でやってきて、色々調べていました。仕事に行くために家を出たところ、病院
の駐車場に左前が壊れた車がレッカーされていました。その後、警官が家に来
て、「(道路についた)血を流すので、バケツを貸してほしい」と来たそうで
す。なお、夕刊には追突した車の運転手が一時いなくなったため、飲酒運転
か?ともされています。

 家の前の通りは交通事故が多いんです。年末気ぜわしい時期ですので、事故
には注意したいものです。発行者の地元は運転マナーがよくないことで有名で
すし(自慢にならんけど)、10万人以上の都市での交通事故死亡率も高いこと
でも有名です(これも自慢にならんけど)。気を引き締めていかないといけま
せん。


■ 「その時歴史が動いた」の要約 ■ お休みです。


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「日本史なんて怖くない」(毎週火曜・金曜日配送)
 発 行 者:村田圭(kei-mu30_his2@nifty.com)
 ホームページ:http://homepage1.nifty.com/keimurata/
               (バックナンバーは「日本史」にあります)
    掲示板:http://8526.teacup.com/keimurata/bbs2

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            <発行者からのお願い>


次回は?
 内容は、「町と町人」です。
 「その時歴史が動いた」は、「シリーズ真珠湾への道<後編>
           〜山本五十六 運命の作戦決行〜」(再放送)です。

最後にひとこと:控室は暖かい、教室は寒い。

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