外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析します。
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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第255号です
発行日: 2007/11/11■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■
■■ ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆
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■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第255号 ━■■
ドル安と原油高で金価格、急騰=1オンス1200ドルの可能性も
−バーナンキFRB議長発言でドル安に拍車−
【2007年11月11日(日)】 − 先週、COMEX(ニューヨーク商品先物取引所)の金先物価
格が6日から3日連続で過去最高値(終値ベース)を更新した。ただ、さすがに急ピッチ
で値を上げた反動で、週末の9日は利食い売りで小反落したものの、この1週間で、金12
月物は1オンス当たり26.20(3.2%)ドル上昇の834.70ドルとなり、依然、高値を維持し
ている。この金価格急騰の背景には、サブプライム住宅ローン(信用度の低い顧客への
融資)焦げ付き拡大に端を発したクレジット市場の収縮の中、シティグループやメリル
リンチ、モルガンスタンレーといった米国の主要金融機関が四半期決算で、将来のサブ
プライム関連の巨額損失見込み額を上方修正したことから、金融危機によるリセッショ
ン(景気失速)懸念が高まり、さらに、最近の原油急騰も景気の足を引っ張る恐れがあ
ること、さらには、ドル安の進行がある。つまり、投機資金がリスクヘッジとして“安
全資産”の金に流れたのだ。また、8日には、ベン・バーナンキ米FRB(連邦準備制度理
事会)議長の議会証言で、景気懸念が一層強まり、ドル安と金価格の上昇が一段と進ん
だ。
金価格は、先週の週明け早々から急ピッチで値を上げた。6日のCOMEX市場で、1オンス
当たり前日比12.6ドル(1.6%)高の823.40ドルに急騰、7日も同10.1ドル(1.2%)高の
833.50ドル、さらに、8日にはバーナンキ発言が飛び出し、同4ドル(0.5%)高の837.50
ドルの一段高で引けている。ザラ場での過去最高値は、1980年1月21日に付けた875ドル
だが、7日には瞬間風速で848ドルまで急伸している。この間のドルの対ユーロ相場を見
ると、6日のNY外為市場で、1ユーロ=1.4570ドルの過去最安値を更新し、NYMEXの標準油
種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)12月物も1バレル=97.10ドル
と約定最高値を記録している。
米FRB議長、ドル安と原油高騰の景気悪化懸念を示す
バーナンキ議長が8日に、米上下院合同経済委員会で発言した内容は、主に2点に集約
される。つまり、住宅市場の縮小で米経済が急速に鈍化する可能性と1バレル=100ドル
に接近している原油先物価格の高騰と急激なドル安進行により、インフレ上昇が加速し
景気に悪影響を及ぼす恐れがあるということだ。同議長は、自身だけでなく、他のFOMC
(公開市場委員会)メンバーも、米経済は第4四半期(10-12月)から「顕著に」鈍化
し、住宅市場は来年6月までに底を打つという見方を退けた上で、来年上期中はずっと鈍
化が続くと述べている。
また、インフレについては、同議長は、2008年を通して、全体のインフレ率とFRBと市
場が最も重視しているコアインフレ率(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたも
の)は、ともに、「物価安定といえるレンジ内に収まるとFOMCは予想している」と述べ
たが、こうした緩やかなインフレ上昇見通しには、インフレ上昇が加速するリスクがあ
るとも警告している。特に、同議長は原油高騰とドル安を引用し、「(10月31日のFOMC開
催時点で)これらの要因(原油高騰とドル安)が、短期的に、全体のインフレ率を高める
可能性が強く、長期的にもインフレ率を高める可能性があった」とした上で、「(FOMC
会合後も原油は急騰し)インフレ圧力を再び高め、一段と経済成長を抑制する可能性が
ある」と述べている。
しかし、これらの議長発言を受けて、為替市場では、インフレ懸念よりも、むしろ、
景気減速懸念に関心が集中し、追加利下げ観測が強まる中でドル売りが広がり、債券市
場は急騰、債券価格と反対方向に動く利回りは急低下した。他方、金市場は前述の通
り、ドル安と原油高騰による景気リスクを材料に、“安全資産”として買われ、価格が
上昇している。市場関係者は、むしろ、同議長発言の真意は、FRBとしては、インフレ懸
念もあり、利下げしにくいので、当面、少なくとも来年1月30日のFOMCまで、金利を据え
置きたいというメッセージを市場に伝えたいのではないかと受け止めている。
他方、先週末のCBT(シカゴ商品取引所)のFF(フェデラル・ファンド)金利先物で見
た12月FOMCで現行の4.5%から0.25%ポイントの利下げ確率は、クレジット市場懸念や株
安を反映して、100%となった。ただ、12月に4%まで引き下げる大幅利下げの確率は
10%を下回っている。ただ、1月29-30日のFOMCで、4%に利下げする確率は前日の4%か
ら62%に急上昇している。(了)
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