外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析します。
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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第245号です
発行日: 2007/9/2■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■
■■ ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆
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■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第245号 ━■■
バーナンキFRB議長、9月利下げを示唆=ブッシュ大統領は住宅ローン会社を痛烈批判
−ブッシュ政権、住宅ローン借り換え促進策を発表−
【2007年9月2日(日)】 − 8月31日、ベン・バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)
議長とブッシュ米大統領が相次いで、最近のサブプライム住宅ローン(信用度の低い顧
客への融資)の焦げ付き急増に端を発した金融市場の混乱について、対応策を明らかに
した。
ブッシュ政権は、悪賢い住宅ローン会社に利用され、ローン返済に困り、持ち家ま
で手離さなければならないほど経済的に困窮している低所得者を救済するとし、住宅ロ
ーン会社の救済策は示さなかった。むしろ、住宅ローン会社に対しては、「行き過ぎ
た」無謀な貸し出しをしていたと非難し、再発防止の観点から、貸し出し規制を強化す
る考えを示している。バーナンキ議長は講演という形で、具体的な対応策を示したわけ
ではないが、9月と10月の利下げの可能性を示唆したという点では、ともに市場に安心感
を与える効果があった。
ブッシュ米大統領はホワイトハウスでの会見で、最近のクレジット市場の混乱と住
宅市場の低迷について、「今の金融市場は、市場参加者がリスクを評価し、それを価格
に織り込む動きを進めている過程にあり、このプロセスが終わるまでには、まだ時間が
かかる」と述べたが、米経済のファンダメンタルズは依然、強固で、この問題は乗り切
れると自信を示し、やや楽観的な見方を示している。
この点では、バーナンキ議長の方が、問題の性質を深刻に受け止めており、両者に
は温度差がある。バーナンキ議長は、ワイオミング州ジャクソンホールで講演したが、
その中では、「クレジット市場での資金調達がますますタイト化し、そうした状況が長
引けば、住宅セクターが思っている以上に、ますます悪化し、低迷が長引くリスクが高
まり、その悪影響が個人消費や経済全体に広がっていく可能性がある」と指摘している
のだ。
また、同議長は、「金融市場で起きていることは、経済全体に波及する可能性があ
り、FRBは金融政策の決定に当たり、こうした影響を考慮しなければならない」と述べ、
さらに、「FRBは流動性を高めるための追加措置を実施する態勢を取っており、金融市場
の混乱が経済に及ぼす可能性がある悪影響を抑える必要があるときには、適切な措置を
取る」とも述べている。市場では、これらの議長の一連の発言を受けて、FRBは、現在、
起きているクレジット市場の混乱が短期的に終わらない場合には、利下げの可能性があ
ることを示唆したと見ている。また、同議長は、今後、FRBは経済データを「タイムリー
に」精査し、市場や企業と密接に連携していくことが、先行きを予想する上で重要だ、
とも述べている。
これに比べて、ブッシュ大統領は、「多くのアメリカの住宅所有者は、住宅ローン
会社が少し柔軟性を示すか、政府が少しの手助けでこの困難な時期を乗り越えられる」
と述べており、ブッシュ政権は、金市場の混乱はそれほど深刻ではなく、金融セクター
を対象にした大規模な救済策は必要ないと見ている。ブッシュ大統領は、8月初めの会見
で、米経済はソフトランディング(緩やかな調整)に向かっているとの認識を示した
が、今回の発表でも、ホワイトハウスのトニー・スノー報道官は、大統領のこの認識は
変わっていないと釘をさしているほどだ。しかし、FRBはそれほど楽観的ではない。とき
には、金融市場リスクに過剰反応するよりも鈍感力も必要だが、政府は金融の危機に対
しては、鈍感すぎるきらいがあるようだ。
ブッシュ大統領のサブプライム対策、住宅ローン返済の困窮者救済が目的
ブッシュ大統領の対応策は、住宅ローンの返済に困窮している低所得者の負担を減
らし、持ち家をフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)手続きで失わせ
ないようにするのを狙いとしている。一つは、住宅ローンの保証業務を担当している政
府のFHA(連邦住宅管理公団)の機能強化で、返済困窮者向けの債務保証を充実させると
いうものだ。政府では、2008年に8万世帯の新規保証を計画している。これは、返済能力
に見合った新しい住宅ローンに借り替えやすくするのが目的で、それにより、住宅ロー
ンを払いながら、持ち家を維持できやすくしようというのだ。
また、FHAと関連する民間の金融機関は、借り換えローンの頭金3%負担という制約
を撤廃し、さらに、融資限度額も41万7000ドル(約4800万円)に引き上げることも提案
している。もう一つの大きな対策の柱は、住宅ローンの借り換えに伴う税緩和措置だ。
これは、米国の現行税制では、住宅ローンを借り替えた場合、以前の住宅ローンの返済
がなくなったのは見なし所得として、課税の対象になっているからだ。いわば、借り換
えを抑制する要因を取り除くことで、一層、借り換えしやすくなることを政府は期待し
ているわけだ。(了)
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発 行 元 :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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