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米市場、一段とインフレと利上げ懸念強める=米Q1労働生産性の改定受けて
−米長期金利、5%台に突入=海外金利先高感やFRB幹部発言も手伝って−
【2007年6月10日(日)】 − 先週、FRBの利上げバイアス(金融政策に対する姿勢)を
補強する内容の経済データが発表され、米国の長期金利が5%台に突入するという激震が
市場に走った。このデータは、米労働省が6日に発表した第1四半期(1-3月)の非農業部
門の労働生産性指数(季節調整済み、1992年=100)の改定値で、約1カ月前の5月3日に
発表された速報値では、生産性の伸び率は、前期比年率1.7%上昇と市場予想(0.8%上
昇)を大幅に上回る一方、インフレ圧力を見る上で重要な単位労働コスト(実質GDP1単
位の生産に必要な労働コスト)も同0.6%上昇と雇用市場のタイトさがインフレの上昇に
寄与していないことを示し、市場にとっては歓迎すべき内容だった。
しかし、今回の改定値では、そのムードも一変した。改定値では、生産性の伸び率
は、1%上昇に下方改定(悪化)され、市場予想の1.4%上昇を下回ったばかりか、単位
労働コストも前期比年率1.8%上昇と速報値の同0.6%上昇の3倍に改定(悪化)され、市
場予想の同1.3%上昇を大幅に上回った。つまり、景気の減速の一方で、インフレ上昇圧
力が高まるという結果となったのだ。
生産性伸び率の下方改定は、5月31日に発表された第1四半期(1-3月)GDP伸び率の
改定値が、速報値の前期比年率+1.3%から同+0.6%に下方改定され、2002年12月以来4
年ぶりの低水準となったことを受けたものだが、労働生産性は、1948-1970年は年間平均
2.7%上昇し、それ以降の1971-1995年は平均1.6%上昇に減速、それ以降は再び平均
2.5%上昇に戻り、直近の2006年は1.6%上昇に低下したが、それをさらに下回ったこと
になる。生産性の低下は、個人所得の低下を意味し、個人消費に悪影響を及ぼす。
6日のNY外為市場では、第1四半期労働生産性が下方改定されたことから、ユーロや
円に対し、ドルが売られる展開となった。特に、ドル/円は、NY株式市場で、同統計結
果を受けて、ダウ平均株価指数が急落したことから、円キャリートレード(低金利の円
で資金調達し、高金利の他国通貨に投資する手法)の巻き戻し(円買い)が起こり、1週
間ぶり安値となった前日NY終値121.33円から121.04円に下落(円の上昇)したが、ザラ
場で一時、120.85円にまで急落している。
NY株式市場では、労働生産性の伸び率よりも、単位労働コストが大幅に悪化したこ
とを重視したことに加え、FRBのクリーブランド地区連銀のサンドラ・ピアナルト総裁が
この日の講演で、インフレが急ピッチに上昇する可能性があると、同統計の改定結果を
裏付ける発言を行ったため、市場ではインフレや利上げ、さらには長期債の利回り上昇
に対する懸念が広がり、ダウ平均株価指数が前日比129.79ドル(1%)安の1万3465.67ド
ルに急落し、S&P500指数も同13.57ポイント(0.9%)安の1517.38に続落した。また、ハ
イテク株のウエートが高いナスダック総合株価指数も、同24.05ポイント(0.9%)安の
2587.18に急落した。ただ、一部のエコノミストは、今回の労働コスト1.8%上昇は、コ
アPCE(個人消費支出)物価指数の+2%とコアCPI(消費者物価指数)の+2.3%に相当
するので、インフレに対しては強気でも弱気でもない中立的な結果だとする見方もあ
る。
米長期金利の利回りが5%台に上昇=背景に海外金利先高感も
特に、今回の単位労働コストの悪化は、債券市場の急落を引き起こし、債券価格と
反対方向に動く利回りが、2年債や長期債の10年債で5%の大台を付けたことで、FRBによ
る利上げ懸念が一段と強まった。米債市場では、5日に、2年国債の利回りが一時、昨年8
月以来9カ月ぶりに5%台を付けていたが、6日には10年国債の利回りも、一時、約11カ月
ぶりの高水準5.14%を付け、7日の欧州時間帯では、約1年ぶりの高水準5.25%をつけ
た。ただ、先週末(8日)には、10年国債が売られ過ぎに対する警戒感から買い戻され、
利回りは5.116%に低下して引け、金利動向は安定してきている。しかし、市場の大方の
見方は、それまでの年内利下げの可能性から、一転して、FRBは、年内は利下げを行わ
ず、金利を据え置くというものに様変わりしており、加えて、海外金利には、各国の景
気の強さを背景とした先高感もあり、米債利回りの上昇傾向は今後3-5年にかけて、続く
と見る向きもある。(了)
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発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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