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■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第133号━■■
中国石油大手CNOOCの米ユノカル買収、米中の新たな火種に発展か
【2005年6月26日(日)】 − 最近、米国では、中国との経済関係で、さまざまな問
題が一気に表面化し、ブッシュ政権の対中国政策の舵取りがますます難しくなって
きているが、中国3位の石油・ガス企業、CNOOC(中国海洋石油)による米9位の石
油・ガス会社、ユノカルの敵対的買収が米中両国間の新たな火種として登場してき
た。
ユノカル買収は、同じ米国の石油メジャーのシェブロンが4月4日に164億ドル
(約1.8兆円)で買収することで、会社の経営トップ同士では合意しているが、そこ
に、拡大一途の中国の石油需要に対応するため、世界中で石油・ガス資源の確保に
走り回っている中国のエネルギー業界の一翼を担う中国国営の石油会社CNOOCがユノ
カル買収に名乗りを挙げたのだ。CNOOCにとって、ユノカルは世界14ヵ国で天然ガス
を生産しており、アジア最大のLNG(液化天然ガス)生産企業である点が最大の魅力
なのだ。しかし、CNOOCに対する米国内の風当たりは強いことから、CNOOCはユノカ
ルの石油・ガス生産量は、米国の2004年の石油・ガス消費量全体のわずか1%に過ぎ
ず、買収しても米国のエネルギー市場には影響を与えないと主張、批判をかわそう
と懸命だ。
スノー米財務長官は23日にCNOOCのユノカル買収は、国家安全保障の観点から審
査されるとの見通しを明らかにしたほか、下院資源委員会のリチャード・ポンボ委
員長と下院軍事委員会のダンカン・ハンター委員長の2人は、ブッシュ大統領に書簡
を送り、その中で、CNOOCによるユノカル買収によって、米国の雇用と石油・ガスの
生産、エネルギー安全保障に多くの懸念が生じると指摘している。こうした、政府
や議会の反対色が鮮明化する中で、もし、それでもユノカルの取締役会や8月初めに
開催される予定の株主総会で、シェブロンとの合意を破棄し、CNOOCの買収提案を受
け入れた場合、米政府はCFIUS(対米外国投資委員会)による合併審査を行う見通し
だ。
CFIUS対策
CNOOCは、ユノカル買収を成功させるためには、CFIUSの審査をパスしなければ
ならないが、同社は着々と米国内での足固めに動き出している。すでに、金融アド
バイザーとして、米投資銀行大手のゴールドマン・サックスとJPモルガン、さら
に、NMロスチャイルドと契約したほか、1999年の米石油メジャーのエクソンが同業
のモービルの買収に成功したときの法律事務所、デービスポーク&ワードウェル、広
報担当幹部には、2004年のブッシュ大統領の選挙でメディア担当だったマーク・マ
ッキノン氏、また、米電力卸大手で、粉飾決算で経営破たんしたエンロンで広報を
担当していたマーク・パルマー氏を起用するなど万全の準備を取り始めている。
また、CNOOCの傳成玉会長は24日、自社のウエブサイトを通じて、コメントを発
表し、CNOOCによるユノカル買収が米国のエネルギー安全保障上の懸念にならないた
めのさまざまな提案を行っている。同会長は、ユノカルの石油・ガス生産は年間17
億5000万バレル相当だが、この約70%はアジア、特に、中国に近い東南アジアに集
中しているので、米国の石油・ガス市場には大きな影響が及ばないとした上で、米
国でユノカルが生産する石油・ガスについては、米国市場向けに供給するほか、ユ
ノカルのメキシコ湾沿岸地帯での石油・ガス生産をさらに拡大して、原油輸入に依
存している米国に配慮するとしている。また、米国の石油戦略備蓄基地につながっ
ているパイプラインへの権利と貯油施設も必要であれば売却するとし、雇用につい
てもシェブロンはレイオフを実施する計画だが、CNOOCはほとんどそのまま、継続し
て雇用することを提案している。
CFIUSは、1988年に発足し、現在はスノー財務長官が委員長を努め、これに国務
長官、国防長官、商務長官、国土安全長官、司法長官ら政府トップが加わり、計12
人で構成され、これまでに1560件の国家安全保障に関する合併案件を審査してきて
いる。最近では、2003年に香港の通信大手のハチソン・ワンポアによる同業でのち
に倒産したグローバル・クロッシングの買収案件が審査され、拒否されている。し
かし、今年初めには中国のパソコン最大手のレノボによるIBM買収が承認されてい
る。
一部のアナリストは、ユノカルの石油掘削と探索技術が中国の核兵器実験や実
験の事実を隠すことに利用されるかどうか、あるいは、中国の石油・ガス資源買占
めを助けることになり、米国の経済やエネルギー資源を危険にさらすかどうかなど
が審査されるのではないかと見ている。しかし、米国にとって、中国は北朝鮮の核
兵器開発問題の解決で大きな役割を担っている重要な国だけに、両国の戦略的な関
係がこのCNOOCのユノカル買収問題でどうなるかが注目されるところだ。 (了)
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発 行 元 :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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