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フィオリーナ解任でヒューレット・パッカードは再び栄光を取り戻すか?
【2005年2月13日(日)】 ヒューレット・パッカードといえば、“フィオリーナ”と
いうぐらい、有名なカールトン・フィオリーナ会長兼CEO(最高経営責任者)が先週
の9日、突如、辞任した。辞任というより、正確には、同社の取締役会がCEOとして
の役職を十分に果たしていないとう理由で解任したのだ。それも1週間後の16日に同
社の第1四半期(2004年11月−2005年1月)の決算発表があるという微妙なタイミン
グでの解任発表劇だった。
フィオリーナと同じ女性幹部役員で、フィオリーナの辞任で会長代理に就任し
たパトリシア・ダン取締役は、「絶えず、会社の業績とトップとしてのリーダーシ
ップを評価しており、その評価の過程から出た結論だ」と冷静を装う。
一方のフィオリーナは「役員会と私との間で経営戦略を実践する方法をめぐっ
て、意見の対立があったのは残念だが、その決定は尊重する」とのコメントを発表
している。余談だが、会社からはフィオリーナには退職金2140万ドル(22.5億円)
と年金やストック・オプションなど株式関連で2110万ドル(22億円)の合計4200万
ドル(44億円)以上の解任費用が支払われる見通しだ。
市場関係者もビジネス戦略自体は解任の大きな原因ではなかったと見ているよ
うだ。ゴールドマンサックス証券が、フィオリーナ解任後の同社の投資判断を「イ
ンライン」のまま、据え置いたのもそういう見方による。つまり、フィオリーナと
他の役員とは、経営方法をめぐる確執があり、会社業績に対する不満も原因で、通
常の会社業績レビューの一環として、フィオリーナの解任に至ったというものだ。
解任の是非は数週間前から役員会の議題になっていたようで、少人数で役員幹
部が6日から7日にかけて、シカゴのホテルにカンヅメになって長時間議論したとい
う報道もある。業績に対する不満は、やはり、フィオリーナが2002年に190億ドル
(約2兆円)の巨額な投資までして、IMBやデルとの熾烈なシェア争いに打ち勝つた
め、パソコン大手のコンパックを他の役員の猛反対を押し切って買収したものの、
その後、パソコン部門の利益率は会社の全事業部門でも最も低い方になって、もう
からないお荷物になってしまったからだ。
フィオリーナが1999年7月にルーセント・テクノロジーズのグローバル・サービ
ス・プロバイダー事業部門の社長からヒューレット・パッカードのCEOに就任して以
来、在任の5年半で同社の株価が50%以上も下落した株主への責任は大きい。
今後の焦点は、フィオリーナに代わる新CEOがどう事業再編を行うかだ。9日の
ニューヨーク株式市場ではフィオリーナの解任発表を受けて、同社の株価は6.9%高
の21.53ドルに急伸した。これは、新CEOの下で好調プリンター事業や企業向けコン
ピューター事業の会社分割が行われ、業績が回復することへの期待からの買いだっ
た。実際、メリルリンチ証券は投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に引き上
げたほどだ。
ダン会長代理とCEO代理に急遽、就任したロバート・ワイスマンCFO(最高財務
責任者)も、異口同音に「前CEOが立てた戦略は維持する。ただし、戦略を実施する
方法は変える」と明言しているが、同社は、新CEOが就任後の数ヵ月後には会社分割
による特定分野への資源集中や採算性の低いPC部門の事業売却、あるいは、シナジ
ー効果を狙って、イーストマン・コダックやゼロックスの買収などへ戦略を転換す
る可能性があると見るアナリストも少なくない。
コダックの株式発行総額は98億ドル(1兆円)、ゼロックスは142億ドル(1.5兆
円)だが、ヒューレット・パッカードは両社のいずれかの買収を検討しているとも
いわれるが、買収資金についても同社は海外で稼いだ140億ドル(1.5兆円)以上の
利益を米国内に再投資すれば、非課税となるので資金的には問題がないようだ。と
くに、コダックについては、デジカメで撮影した画像処理をインターネットによる
オンライン発注やキオスクでの受注ネットワークを持っていることから、家庭での
プリンター印刷に特化している同社にとって、合併のシナジー効果は大きい。
ただ、会社分割については、同社は1月にプリンター・映像機器部門と統合し、
イメージング&パーソナル・システムズ・グループを新設、PCやテレビ、デジカ
メ、プリンター、iPodのHP版など携帯音楽プレーヤーなどデジタル家電、携帯端末
などが1つの部門で扱われるように組織変更し、「家庭エンターテインメントセンタ
ー」という戦略展開が期待されていることから、会社分割がない可能性もある。そ
の場合は、マイクロソフトのXBoxとソニーのプレステ3がライバルとなる。
もともと、人材や技術力、製品力など優れた経営資源を持ちながら、有機的に
結合し、効果を発揮していないと言われるだけに、新リーダーがどこまでヒューレ
ット・パッカードの真の実力を発揮できるかに同社の将来がかかっているといえよ
う。(了)
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発 行 元 :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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