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バーナンキFRB理事:原油高騰の中、インフレ率許容範囲の下限なら金融引締め不
要、緩和も
【2004年10月24日(日)】「FRB(米連邦準備制度理事会)の原油高騰に伴うインフレ
上昇リスクへの対応は、ある程度、経済状況を考慮すべきだ。もし、インフレ率が
望ましい範囲の下限にあり、同様にインフレ期待も弱く、しっかりと落ち着いてい
れば、インフレへの対応は緊急を要しない。金融を引き締める必要もなく、石油シ
ョックのあとを受けて、金融が緩和されることもありうる」。
ベン・バーナンキFRB理事は先週の21日、ジョージア州の大学での講演でこう述
べた。原油の高騰は止まるところを知らない状況になってきている。先週末(22
日)、ついにニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、米国標準油種で
あるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の12月渡し価格が前日比70
セント高の1バレル=55.17ドルと15日に付けた54.93ドルをあっさり抜いて、過去最
高値を更新した。冬場の暖房油在庫が減少している中、今年は北半球の寒波の恐れ
も加わって、原油先物が急騰したのだ。
実際、民間の経済調査機関はこのところ相次いで、原油高騰による米経済の実
質GDP成長率を下方修正する一方、原油高騰がガソリンや暖房油など石油製品に直接
的な影響を与えるファースト・ラウンド効果の段階から、石油以外の他の製品やサ
ービスに間接的に影響を与えるセカンド・ラウンド効果へと進み始め、インフレ上
昇リスクが現実化すると予想し、インフレ率予想を上方修正し始めている。
米ゴールドマン・サックス証券では、原油高騰で米景気の減速は必至と悲観的
だ。同証券は9−12ヵ月間ベースで原油価格が平均で10%低下し続ければ、米国の実
質GDP伸び率は最初の1年間で0.20%ポイント、また、2年目は0.39%ポイント低下す
る予想。また、インフレ率も最初の1年間は0.27%ポイント上昇、2年目は0.48%ポ
イント上昇すると見ている。
また、ドレスナー・クラインオート・ワーッサースタイン証券も今年10−12月
期のGDP成長率は、7−9月期の年率4.0%程度から同1.5−2.0%に急速に鈍化し、
2005年の成長率は9月時点の予想の2.5%から2.2%に下方修正している。
こうした原油高騰が深刻化し、米経済の減速化が懸念される中、FRBの次回の金
融政策決定会合であるFOMC(米連邦公開市場委員会)が11月4日に開かれるが、市場
関係者の多くは、11月のFOMCでFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を
0.25%ポイント引き上げ2%にするのを最後に当面の利上げを打ち切ると見ている
が、バーナンキ理事はこの見方を支持しているのである。
FRBにとっての望ましいインフレ率の範囲は、年率で+1.75−2%といわれる。
アラン・グリーンスパンFRB議長が好んで使うインフレ率の尺度は、食料品とエネル
ギーを除いたコアPCE(個人消費支出)価格指数で、7月末の4−6月期GDP発表時でコ
アPCEは+1.8%と許容範囲の下限に近い水準にある。
バーナンキ理事はまた、「もし、インフレ率が許容範囲の上限に近ければ、金
融引き締めは必要になる」とも釘を刺しているが、景気下振れリスクとインフレ上
昇リスクの両方のバランスを考えて、金融政策の舵取りをすべきというのがバーナ
ンキ理事の立場だ。原油高騰による景気への悪影響が予想されるときだけに、同理
事は7日の講演の中でも「景気減速は利上げ休止を正当化する」と発言しているよう
に、インフレが低いときには景気リスクに配慮し、むしろ、利上げを急ぐ必要がな
いという考え方だ。
同理事は、今年に入ってからこれまでの輸入原油価格の上昇によるコスト増は
GDPの75%に相当する年率換算で750億ドル(約8兆2000億円)に達し、これに天然ガ
スのコスト増を加えると、その金額は実に850億ドル(約9兆3000億円)にも達する
と指摘。
バーナンキ理事は「これだけの金額が一種の税金として外国のエネルギー生産
者に米国民が支払ったことを意味し、国内個人消費はその金額よりも小さい額とし
ても減少する」とし、原油の高止まりが長期化すれば、企業は省エネ投資を行うの
で、多少、設備投資額の減少を相殺するとしても、「2004年の実質経済成長率を
0.5%−0.75%ポイント押し下げる」と予想する。市場のコンセンサス予想は2004年
が実質4.3%成長なので、3.55%−3.8%の成長率になるというわけだ。ちなみに
2005年のコンセンサス予想は実質3.5%である。 (了)
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発 行 元 :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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