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■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第68号━■■
グリーンスパンFRB議長、5期目に突入へ
【2004年5月20日(木)】−FRB(米連邦準備制度理事会)のアラン・グリーンス
パン議長(78)が18日、ジョージ・W.・ブッシュ大統領から通算5期目となるFRB議
長、つまり、米国の中央銀行総裁に就任するよう正式に指名された。6月の第1、2週
には上院銀行委員会が開かれ、大統領の指名に基づき、グリーンスパン氏は米議会
から承認を受けるため、公聴会に出席、了承を受けるという段取りだ。
同氏は、1987年8月に当時のロナルド・レーガン大統領の指名を受け議長に就任し
てから、これまで17年近くをアメリカ経済の名舵取りとして、うるさ型の多い強力
な米議会や4代に渡る大統領からの政治圧力にも屈せず、また、アメリカ経済の屋台
骨であるウォールストリート街のマーケット相手に丁々発止でこの要職をこなして
きたことになる。
91年のFRBの歴史の中でも、過去の最長記録である19年というウィリアム・W・マ
ーチン議長(1951―1970)を抜いてトップになるといわれている。
同議長の功績を挙げると枚挙に暇がないわけだ、1987年8月3日にFRB議長となって
間もない同年10月19日、世に名高い“ブラックマンデー”と呼ばれた株の大暴落が
起きた。ダウ平均は22.6%、S&P500種も20.5%、ナスダック総合株価指数は11.3%
の急落だった。この窮地を同年11月には流動性供給と利下げで何とか切り抜け、さ
らに、興味深いことだが、今のブッシュ大統領の父親が大統領だった時代の1990年7
月から1991年までの8ヵ月間、また、その息子で現職のブッシュ大統領が就任した直
後の2001年3月から2002年11月までの8ヵ月間、アメリカは不況に直面し、2人とも、
グリーンスパン議長が“面倒”を見たということだ。
もっとも、父親のブッシュ大統領は、グリーンスパン議長に不況克服のため、利
下げを早く実施するよう政治圧力をかけたことでよく知られるが、グリーンスパン
氏自身も共和党支持者で、ブッシュ親子との奇遇さを感じせざるを得ない。歴史の
いたずらといえばそれまでなのだが・・・。今のブッシュ大統領とは、グリーンス
パン議長は副大統領のディック・チェイニー氏と太いパイプが出来ているので関係
は安定しているとも言われる。
もともと、今の任期は今年6月20日で満了となるのだが、ブッシュ大統領は非公式
ながら昨年4月時点で、同氏のFRB議長続投を公言していた経緯があるものの、なぜ
か正式指名が任期切れのわずか1ヵ月前の18日まで引き伸ばされた。それをめぐっ
て、米市場では、11月に大統領選挙を控えているブッシュ大統領がグリーンスパン
議長に低金利を継続させようとわざと正式指名を遅らせて、政治的な圧力をかけた
のではないかという憶測が広がっていた。
その真意のほどは分からないが、それだけ、グリーンスパン議長の市場に対する
影響が大きいことが分かるというものだろう。市場では早ければ6月29-30日に開か
れるFRBの次回の金融政策決定会合(FOMC)で利上げが実施されるという見方が強ま
っているが、たとえ6月利上げがなかったとしても、11月の大統領選前には利上げが
あるというのが一致した見方になっているようだ。
大統領選の対立候補である民主党のジョン・ケリー氏(マサチューセッツ州選出
の上院議員)は、今月初めにグリーンスパン氏の退任後は、「ボブ・ルービン氏
(元財務長官)のような人物を期待する」とマスコミとのインタビューで答えてい
たが、18日の指名を受けて、ケリー候補もすぐに「仮に11月の選挙で私が大統領に
なったとしても、グリーンスパン氏を支持する」と歓迎する意向を表明したこと
は、市場にとっても、経済問題に弱いと悪口を言われている同候補にとってもプラ
スだった。
問題は、グリーンスパン議長の任期だ。5期目(1期4年)に入っても、丸々4年は
議長の要職には就けないことだ。議長である前に、グリーンスパン氏はFRB理事でも
あるわけだが、もの任期は2006年1月で任期切れとなり、同氏の場合、それ以降は再
任が法律で禁じられているからだ。ただ、理論的には2006年2月以降に関しては、理
事代行という身分にすればそのまま議長も勤められるという抜け道もあるといわれ
るが、政治が絡んでくるのが面倒か。
それにしても、偉大な議長の後を誰が継ぐのかが先の話とはいえ、いずれ問題に
なってくるのは確かだ。今の時点ではケリー候補が挙げたルービン氏、また、ミス
ター円こと榊原英資財務官と1997年7月のタイ・バーツの管理フロート制移行によ
る実質切り下げに端を発した世界的な通貨危機を乗り切ったローレンス・サマーズ
元財務官(2001年から第27代ハーバード大学学長)、2002年8月にグリーンスパンの
懐刀としてFRB理事に就任したドナルド・コーン氏(62)などが言われているところ
だ。 (了)
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発 行 元 :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者 :編集主筆 増谷栄一
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