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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 第6号
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米ブッシュ大統領、今週にも対EU、対日鉄鋼輸入製品関税の撤廃・縮小を発表へ
【2003年11月30日(日)】 - 米ブッシュ大統領は今週中(1日から始
まる週)にもEUや日本との間で続いている鉄鋼製品をめぐる“貿易戦争”に終止
符を打つ見通しとなった。
昨年3月、ブッシュ政権は疲弊著しい自国の鉄鋼業界を救済する目的で、EUをは
じめ、日本、韓国、ブラジル、中国、ノルウエーなど主要対米鉄鋼輸出国に対し
て、セーフガード(緊急輸入制限措置)条項を適用し、2005年3月までの3年
間、最高税率30%という制裁関税を外国からの輸入鉄鋼製品に課し、事実上、ア
メリカ国内市場から締め出している。
しかし、発動から1年近くたって、急展開を見せ始めてきた。背後には2004年
大統領選挙やEUや日本による“逆制裁関税”の発動の脅しが効いている。もとも
と、安い鉄鋼製品を買いたい自動車業界はこの制裁関税には反対だった。まして、
EUや日本、中国といった巨大な輸出市場から“逆制裁関税”を受けた場合の国内
中小輸出業者からの反発は大きく、このままでは大統領選挙で苦戦すると判断した
ブッシュ政権も無視できなくなってきている事情があるようだ。
欧州15カ国からなるEU(欧州連合)はアメリカの制裁関税発動に呼応して、早
くから違法性を唱えて、アメリカに猛烈に抗議し、その仲介に入った国際貿易問題
のトラブル・シューターである世界貿易機関(WTO)もアメリカの輸入鉄鋼に対
する制裁関税は自由貿易に対する違法行為であることを認めていた。
ただ、アメリカ側は納得せず、控訴して争っていたが、結局、今年11月10日、
WTOは控訴委員会を開いて、改めてアメリカの違法性を最終的に確認し、12月
1日にはWTO総会で正式採択する予定だった。それを受けて、EUはもちろん、
日本、ノルウエーなども自国に輸入されるアメリカ産品に対して、“逆制裁関税”
を課すと表明していたのである。
しかし、EUはギリギリの28日になって、窮地に立たされたブッシュ大統領が数
日中にも撤廃も視野に入れて声明を出す意向に変わったことから、正式採択を当初
の12月1日から9日間の猶予を与えて、12月10日に延期することに同意し
た。本来なら12月1日決定後、12月6日から制裁発動だったから土壇場での
“戦争回避”である。 (了)
以下にバックナンバーを掲載します。
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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 創刊号
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米株、調整局面長期化の様相に
【2003年11月18日(火)】 − 米株の下落が長期化する様相だ。18日の
ダウ35種平均株価は87ポイント(0.90%)安の9623.80、ハイテク
株が多く集まっているナスダック総合株価指数も27.86ポイント(1.4
6%)安の1881.75で引けた。
これで、ダウはこの2週間で実に約235ポイント(2.4%)も低下したこと
になり、アメリカの株式相場は調整局面に入り、それも長期化するという見方が広
がってきている。
アメリカの景気指標は依然、好調を維持しているし、この日も世界最大のホーム
センター・チェーンのホーム・デポが発表した7−9月期決算内容は、最終利益が
前年比22%増と好決算を証明した。また、 大手証券会社のメリルリンチはこの
日、消費の動きを見る上で重要なゼネラル・エレクトリック(GE)の投資格付けを
一段引き上げた。
GEが2005年から利益面でそれまでのゼロ成長から一気に二ケタ成長に入ると
いう強気の見通しに基づいて格上げしたものだが、そうした企業業績や全体の景気
の順調な回復にもかかわらず、株価は4営業日連続の下落となったのは、年初来、
株価がナスダックで約40%、S&P500種平均株価指数でみても 約20%も上昇
している、つまり、急ピッチで値上がりしたことへの揺れ戻しとして調整の売りが
出てきているのだ。
確かにブッシュ政権が最近、イラクで多発している旧サダム・フセイン勢力やア
ルカイダなどによる米軍や協力国の軍事拠点に対するテロに対抗するため、テロ掃
討作戦を展開し始めて、イラク情勢が混沌としてきたことを背景にドル安が進んだ
こと、 さらには原油価格の上昇を示唆するようなベネズエラ石油相のコメント、
米株式投資信託業界の不正取引の発覚と当局による事件解明の調査の開始などが株
の売りの理由にされている面はある。
しかし、株安は一時的ではなく、もっと進むという悲観的な見方が台頭してきて
いる。通常なら、急激な株価下落であればあるほど、回復も早いというのが相場の
常識だが、今回ばかりは事態は深刻なようだ。 (了)
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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 第2号
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米経済、アルカイダのテロ攻撃で窮地へ=株も調整局面長期化
【2003年11月21日(金)】−今週の18日創刊号でも指摘したように、米
株式市場の低迷が長期化する様相がますます鮮明になってきた。もともと年初から
見ると株価はかなり高くなっているので、ここにきて調整色が出てきたは事実だ。
19日のダウ35種平均株価は、4日営業日続落後、0.69%(66.30ポイ
ント)高の9690.40に戻したが続かない。翌20日には再び0.73%(7
1.0ポイント)下落している。
昨日、アメリカ経済の順調な回復を示すデータが2本(週間新規失業給付申請と
景気動向を見る先行指標がいずれも事前のマーケット予測を上回った)出て、マー
ケットは好感して一時は上げたものの長続きしなかった。
むしろ、経済以外の悪いニュースがアメリカの市場、しいては先行きの経済情勢
に暗い影を投げかけている。こういうときは、投資家はあえてリスクを取ってまで
積極的に投資しにくいものだ。
アメリカと同盟関係にある英国をターゲットにした国際テロ組織・アルカイダに
よる執拗なテロ攻撃だ。昨日はトルコの首都イスタンブールで先週の土曜日(15
日)に続いて2度目のテロ攻撃が起きた。大手銀行HSBC(香港上海銀行)のオフィ
スビルと英国領事館ビルが自爆テロ攻撃を受け、死者27人、負傷者450人以上
を出した。この事件でロジャー・ショート領事が死亡している。
そして、現地時間で今朝早朝にはイラクのバグダッド市内で、アメリカ人が多数
宿泊してパレスティンホテル(旧シェラトンホテル)が至近距離からのロケット砲
で攻撃された。
マーケットではこうしたテロ攻撃の拡大で、ドルの価値が低下し、海外投資家が
アメリカにお金を投資することが難しくなることを懸念している。ドルは今のとこ
ろ109円台前半で動いているが、日本の財務省・日銀が急激なドル安・円高にな
らないよう大規模な円売り介入の姿勢を維持していることもある。
いまのところ、アメリカ本土は2000年の9・11テロ以来、大きなテロ攻撃
を受けていないので安心感はあるようだが、これが現実のことになると、膨大な経
常収支の赤字を抱えて、これを吸収するためには外貨を必要としているアメリカに
とっては大打撃となる。アルカイダもテロ攻撃が経済混乱を引き起こすことは十分
計算している。アメリカはドルの信認が揺らぐことによる世界経済の混乱を何とし
ても食い止めなければならない。 (了)
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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 第3号
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米債市場、債券価格の下落(利回り上昇)へ方向転換するか?
【2003年11月23日(日)】−米国国債相場は11月初めからテロ脅威の高
まりの中で安全資産の国債が買われ、債券価格が一本調子で上昇(利回りは急落)
してきたが、先週金曜日(21日)はこの傾向に歯止めがかかった格好だ。
このまま相場が上昇から下落に方向転換するのかが注目点だ。21日の債券相場の
指標である10年国債がわずかだが下落した。利回りでいうと、前日の4.15%
に対して21日は4.16%と上昇して終わったのである。
この数字の比較だけを見ると別段どうということはないのだが、この日の前半まで
は一時、利回りは4.11%にまで急落していた。利回りと価格は反対方向に動く
のが債券相場の特徴だが、つまり、10年債は買われて価格が上昇し、利回りは反
対に急落していたのである。
10年債は10月に直近では高値を付けていた11月に入ると下がり始め、イラク
でのテロ脅威が懸念され始めた12日から再び上昇に転じ、15日に起きたトルコ
での自爆テロで上昇に拍車がかかった。
ちなみに11月初めは10年債の利回りが4.45%をつけていたものの、15日
は4.22%、17日には4.17%、20日は4.15%まで下がり、21日の
前半の取引ではさらに4,11%と7週間ぶりの低水準にまで下げていたことにな
る。価格でいえば7週間ぶりの高値ということになる。
これが反転して4.16%にまで戻した点が注目されるわけだ。一時4.11%ま
で利回りが低下した背景としては、テロ脅威の心理が市場を支配していたのであ
る。(了)
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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 第4号
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米老人医療保険制度「メディケア」改革法案、25日に成立=医薬品メーカーに打
撃
【2003年11月25日(火)】−24日の米株式市場では、ブッシュ大統領が
2000年大統領選で選挙公約していた、念願の「メディケア(Medicare)」(老
人や障害者を対象にした国の健康保険制度)を抜本的に改革する法案が25日に上
院を通過して成立、最後の大統領署名に持ち込まれることになった。
ところが、この改革案について、医薬品メーカーの業績にどんな影響が出るのか
をめぐって、解釈が分かれている。
当初、メディケアの改革について、株式市場では投資家は医薬品業界にとってプ
ラスに作用すると見ていたが、議会で賛否両論、特に改革に反対する民主党と賛成
派の共和党の対立は激しく、両党間の議論が深まるにつれて、その内容が次第に鮮
明になってくると、むしろ、副作用の方が大きいという見方に変わってきた。
実際、この日の株式市場では、医薬品メーカー株が前半の取引で買われていた
が、その後は買いもしぼんで、急速に伸び悩んで引けたのである。
改革の狙いは、従来の政府直轄のメディケアとは別に、現在すでに行われている
民間企業や民間の健康保険会社による患者に対する医療費一部負担(支援)システ
ムを老人医療にも適用させること。
同時に競争条項を新法に取り入れ、政府は医薬品価格の決定交渉に参加しないこ
とで、事実上、売り手側の医薬品メーカーと買い手側の健康保険会社の交渉で決定
させ、それによって、競争原理が働き、これまで高いと批判されてきた医薬品価格
(薬価)の引き下げが実現すると政府は期待している。(了)
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◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 第5号
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米株式投信の違法取引疑惑、捜査に協力的な銀行の株価は上昇
【2003年11月28日(金)】 - 最近の一連の株式投信(mutual funds)
スキャンダルにもかかわらず、アメリカの銀行株の株価が大崩れするどころか、わ
ずかながらも上昇している。各銀行は子会社を通じて、401Kなど退職年金ファン
ドなどの資金を信託財産として受託・運用しているので、銀行に対する風当たりが
強いと見られていたが、市場は、むしろ、銀行側が自主的に社内調査を実施して、
投信の運用をめぐる違法取引の実態を公表する一方、証券監督当局に事情を説明
し、捜査に協力的な対応を示していることから、一応、歓迎の意向が示されている
ようだ。
この違法取引は「マーケット・タイミング(market timing)」という投信取引の
仕組みを悪用したもので、投資家が株式投信など証券の売り買いのタイミングを図
ることを指す。
通常、米東部時間で午後4時の市場取引終了時に投信の価格が決められるが、午
後4時以降に出された投信の売買注文は翌日の投信価格で決済されることになって
いる。しかし、もし、4時以降に出された買い注文がその日の価格で決済され、翌
日にその投信が10%値上がりすれば、その投資家は翌日にその投信を売却して1
0%の利益を手にすることが出来る。
これが法律禁じられているレイト・トレード(late trade)だ。アジアの株を組
み込んだ国際的な投信だと、何かのニュースで構成銘柄が急騰することが予想され
れば、ヘッジファンド(巨額のマネーを動かす国際投資グループ)のような投資家
はレイト・トレードで巨額な利益を上げることは簡単なのである。
そして、こうして得られた利益は長期保有している投信の株主の利益を事実上、
かすめ取っている行為になるのである。
この投信不正疑惑は投信受託会社にとどまらず、銀行業界を巻き込んで拡大する
傾向にあり、監督当局の米証券取引委員会とニューヨーク州検事局、通貨監督官事
務所は疑惑がもたれる投信会社や銀行に内偵捜査に入っている。
そして、ついに26日、検挙第1号となったのは、フェニックス市に本社を置く
証券業務代行会社、セュリティ・トラスト(Security Trust Company=STC)である。
この会社は401Kなどの退職年金基金や機関投資家、金融コンサルタントと投資受
託・運用会社の間に入って、投資の売買業務を代行する会社で、SECの調査では過去
3年間にわたって、ヘッジファンドのキャナリー・キャピタル・パートナーズで、
実に3年間で400以上の投資信託を対象に違法なレイト・トレードの短期売買を
繰り返して、8,500万ドル(約93億円)を荒稼ぎし、その見返りとして、STC
側に580万ドル(約6億3,000万円)のリベートを渡していたという。
NY州検事局はSTCの元会長や社長、投信担当部長らを重窃盗罪、文書偽造、証券詐
欺などの罪で起訴する方針で、有罪が確定すれば8−25年の実刑判決は避けられ
ないという。すでに、通貨監督官事務所は来年3月末までに同社を解散するよう命
じている。アメリカの投信業界は資産規模で7兆ドル(約763兆円)、それらの
投信に投資している株主数は9,500万人といわれ、違法行為は社会的にみても
重大な結果をもたらすことを意味している。 (了)
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◆「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」編集主筆 増谷栄一
(文責)
◆Emai : FL7E-MSTN@asahi-net.or.jp
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バックナンバーはhttp://www.asahi-net.or.jp/~fl7e-mstn/usfile.htmlでも公開
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Copyright c 2003 by Eiichi Masutani
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