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『あふりかくじらの自由時間』【98】

発行日時: 2007/3/22


 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++




          『あふりかくじらの自由時間』

                           【98】

                         http://africanwhale.net/

 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★


ある教授が、口にした言葉を思い出す。
去年か、もっと前だったか。ジンバブエ大学の教授だ。


・・・たとえば、誰かひとりが警察に撃たれて死んだりすれば、それをきっかけに
暴動は始まるだろう・・・。


3月11日、活動家がひとり、警官に撃たれて死んだ。
ハラレのハイデンシティ・エリアでの出来事である。

大勢の活動家が逮捕され、暴力が振るわれた。
世界中で、ニュースになっている。

もう、「火蓋は切って落とされた」のかもしれない。
いまジンバブエは、誰もが想像していた「非常事態」に入りつつあるのかもしれない。


            ★         ★


その日曜日、教会組織が中心となった「セーブ・ジンバブエ・キャンペーン」が
集会を行った。

完全に両極化してしまったジンバブエの政治社会状況のなかで、いわゆる「中立」を
うたいながら出てきた教会組織主導の運動はしかし、野党や市民団体を巻き込んで
どんどん政治化していった。

与党ZANU−PFと野党MDC。
そして市民団体と欧米を中心とした国際社会。

この国で目立つ行動を起こせばそれはすでに政治的であり、政府か反政府かの
どちらかということになってしまう。
ハイパーインフレーションは政府の発表では年率1,700%あまりとなっているが、
実際はそれ以上に達しているとの見方が強い。
人々は、働いてもとてもではないが生活ができない給料しかもらっていないのである。


10日間職場にコンビ(バス)で通えば、それだけで給料がぜんぶなくなるのである。
口を開けば、人々はこの経済状況の悪さと生活の大変さについて話す。
全国で、医者や医療従事者がストライキを起こし、教師もストライキを起こす。
政府が発表する貧困生活線の、わずか数分の一にも満たない給料しか
もらっていないのだ。

想像もつかないようなストレスが、この国を覆う空気に沈殿しているのである。

あと少し、何かがあれば。
ほんのすこしのきっかけで。それは爆発する。

実際、多くの人がそう言っていた。


            ★         ★


セーブ・ジンバブエ・キャンペーンを主導するクリスチャン・アライアンスは
こう述べた。

「平和的な祈りの集会(Prayer's Meeting)であったにもかかわらず警察が襲撃した」

そして、政府側はこう述べた。

「野党MDCの暴力的な集会を警察が取り締まり、逮捕し懲罰を加えた」


            ★         ★


実際、野党MDCの党員や支持者を始め、多くの人間が逮捕された。
分裂したMDCの党首チャンギライ氏と、ムタンバラ派代表のムタンバラ氏。
そしてNCA(National Constitutional Assembly)の代表マドゥク氏。

政府が目の敵にしている「大物」をはじめ、数十人が逮捕され警察の暴行を
受けている。暴行を受けたチャンギライの写真などは、BBC等に掲載され
世界中に報道された。
頭を殴られ、骨にひびが入り、顔は全体的に腫れあがり大きな青あざとなっている。
まるで別人のような顔になるほど、恐ろしい暴力を受けたのだ。
チャンギライは壁に頭をぶつけられ、三度気絶したとされている。
集団リンチである。
脳にダメージを負っている危険性があるひともいるらしい。

また、マドゥク氏も腕を怪我して包帯で吊っている。
個人的にお会いしたことのあるひとだったので、この姿を見るのはショックだった。


            ★         ★


警察による執拗で異常なまでの暴力は、以前ZCTU(労働組合)の人間が
デモ未遂で逮捕されたときも同様であった。
大怪我を負わせ、満足な治療も受けさせなかった。
国際社会は、これを激しく非難した。

今回は、そのときよりも規模が大きいのかもしれない。


メディアは両極に走っている。

独立系新聞には、警察による暴力がどれほどのものかが書き連ねてある。
怪我をしたMDC党員の写真が掲載され、政府のやり方を徹底的に非難している。

 インディペンデント紙 http://www.thezimbabweindependent.com/
 フィナンシャル・ガゼット紙 http://www.fingaz.co.zw/ 

国際社会、とくに英米やスウェーデンなどといった国々は、警察によるこのような
暴力を非難する声明文を相次いで発出している。


            ★         ★


一方で政府系のプロパガンダ紙には、野党MDCが暴力的なデモンストレーションを
行ったので警察が「バイオレント」な人間を逮捕したと書かれてある。
また、MDC党員が警察官に対して暴力を振るい、罪もない彼らに怪我をさせた
といったことが書かれてある。

 ヘラルド紙 http://www.herald.co.zw/

またムガベ大統領は、警察による逮捕者への暴力を強く批判する欧米に対して、
この件を欧米がジンバブエに対する「違法な制裁」を正当化するために利用している
として非難した。
かつ、欧米の発出した声明文は、MDCによる暴力には全く言及がされていない
として激しく糾弾する姿勢をとった。

警察は、犯罪者に対し制裁を加えただけで、MDCは罪もない人(警察)に暴力を
行使したのだとさえ述べている。


では、あれほどまでに怪我をしたチャンギライやMDC関係者はなんだというのだ。


            ★         ★


先月から、野党MDCの逮捕者が増えていた。
この国では、POSA(治安維持法)があり、警察の許可を得ずに数名以上で集会を
行うことは違法になっている。

「違法」なデモンストレーションを企てたとして、多くの人が逮捕され、
そして警察は都市部のハイデンシティ・エリアで警戒態勢をとっている。


            ★         ★


これは、ただの始まりにすぎないような気がする。
このままで暴力が果たして終わるのであろうか。
ますます強硬な態度をとる政府なのだ。

しかしまた一方で、与党ZANU−PF内でもムガベ大統領の後継者問題をめぐり、
分裂が起きている。よく考えると彼らは、ムガベ大統領の退任を求める上では
野党MDCとも利害関係が一致する部分がある。
そして、政府が頼っている軍や警察。
彼らは給料が低いのだ。つまり働いていても食べていけないのだ。
ストレスをためているのである。

果たしてどれほどまで、政府に忠誠を誓えるのであろう。


ただ、ムガベ大統領が退任したところで、どれほどのことが変わるのか。
そこにも疑問を持つべきであろう。



これ以上、血が流れないことを望む。

そして、何かが大きく激しく変わることを望む。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


もうひとり、亡くなっていたことがわかったという話をききました。
遺体が病院に安置されたまま、その死は隠されていたのだとか。

もう、国民を刺激して爆発させないように押さえつけるのは、無理なのでは
ないでしょうか。


どう思いますか?
今この国は、大きな転機を迎えようとしているのかもしれません。


読んでくださりありがとう。
         

                         あふりかくじら


 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★

     『あふりかくじらの自由時間』【98】2007年3月22日発行

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