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『あふりかくじらの自由時間』【93】

発行日時: 2006/10/17


 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++




          『あふりかくじらの自由時間』

                           【93】

                         http://africanwhale.net/

 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★



作家ベッシー・ヘッドが繰り返し書いた「帰属意識」という感覚について、
わたしもまた執拗に考える。幾度でも追いかけながら。

いつも「故郷」となるものを探しているのだろう。
そして、ひとつところに長くいると、また移動しなくては、という焦燥感に
駆られるのである。

これだけはいつも確かなんだよなぁ、と思いつつ。
今日もまた、日常としてのパソコンに向かっている。


            ★         ★


いかがお過ごしでしょうか。
雨ですよ、雨が降りました。
もうすぐ本格的な雨季の到来ということなのでしょうか。

いまのところはっきりしないジンバブエのお天気です。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


レジナルドの妹が急病で病院に運ばれて、入院している。
しかも、ある専門医のいるブラワヨの病院に入っているとのことだ。
(レジナルドに関しては【42】他、参照。 ジンバブエ人ムビラ奏者であり、
 ダンサーでもある。ジンバブエ糖尿病協会で、糖尿病患者のためにいつも
 身を粉にして働いている)

ブラワヨは、ハラレから車で5時間から6時間程度。

プライバシーに関わるのであまり詳しくは書けないけれど、とりあえずは
診察を受けて落ち着いてはいるようだ。
当初はとても取り乱していたレジナルドも、落ち着いた様子。


            ★         ★

でも、思う。

薬や医者が圧倒的に足りないのだ。
こんなにインフラが整い、土壌が豊かな農業国で、識字率が群を抜いて高く
すぐれた人材が多くいたジンバブエという国は、いまや経済の崩壊でスキルある
人々は国外へ流出してしまい、医療機関が非常に苦しい状況にある。

そして、年率1,000%を越えるハイパーインフレは、人々の生活を苦しくさせる。
こんなに豊かな国が、人為的に生み出された社会経済的状況の中で、困窮している。


            ★         ★

薬自体、足りない。
しかも、そもそも医療費や交通費があまりにも高い。
ジンバブエドルは弱すぎるのだ。

いくら一気に三桁切り落としたとしても、その根本原因を解決しなければ
経済状況の悪化はますます進行するばかり。


            ★         ★


わたしのアイデンティティの半分は、「アフリカ」というところに帰属すると
勝手に思い込んでいるけれど、一方でわたしは外貨を持つ外国人だ。
結局、そういうことは大嫌いなのだけれど、わたしができることといえば
ブラワヨまでの交通費とか医療費とかを若干金銭的に支援するということだけだ。

いますぐにお金が出ない普通のジンバブエ人。
すぐお金を出すことができる外国人。

嫌だろうがなんだろうが。

そう思うと、何だか哀しかった。
お金を出すしかない自分が、とっても哀しかった。

彼らのためになるならば、よろこんでお金を出そう。
でも、それはほんとうにわたしがやりたいことではない。むしろやりたくないこと。
そして、ほんとうの意味で、何の助けにもならない行為なのだ。


わたしは、エリートの世界に片足を突っ込んでいる。
いや、両足なのかも。

            ★         ★


では、わたしのやりたいこととは何なのだろう。
わたしはどんなアイデンティティを持ち、何のためにアフリカにいるのだろう。

アフリカ研究者として生き、一方で個人的に人生のなかでアフリカに浸り。


            ★         ★


政府が海外送金機関をことごとく営業停止にした。
国外に散っていったジンバブエ人が、国の家族に送金するルートが断たれてしまう。
金が闇市場に流れるのを阻止する政府の意図がある。

そもそも、なぜ闇市場に流れるのかという点を解決しない限り、ますます困窮する
人々が増えてしまうだけなのに。
金がなく、色んな病気の十分な治療が受けられないまま死んでいく人間が。
ほんとうに、たくさんのひとが死んでいく。

そんななかで、しかしわたしは目の前の問題を解決することしか考えていないし、
むしろそうすることしかできない。
いま、彼の妹に支援の手を差し伸べること。
わたしがやろうとして、やりたいこととは、これだけなのだ。


国の政治とか経済とか、国際社会のなかでのジンバブエ政府の孤立化とか、
いくら大きなことを考えたところで、結局はひとつの「生命」。


わたしは、目の前のことだけを考えている。

そして、アイデンティティということについて考えている。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


きれいごとをいくら並べたところで、この問題の根は深いのだなと思い、
あれこれ考えて、結局小さな目の前のところにいきつくのです。

人間って、ほんとうは日常の小さなことをたくさん積み重ねて生きている
生き物なのであってね、というつまらない言い訳を考えながら。


読んでくださりありがとう。


                         あふりかくじら


 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★

     『あふりかくじらの自由時間』【93】2006年10月17日発行

 【発行者】 あふりかくじら
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*ずいぶん暖かくなってきたので、夜でも半袖でけっこう平気。






 
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