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『あふりかくじらの自由時間』【92】

発行日時: 2006/10/5


 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++




          『あふりかくじらの自由時間』

                           【92】

                         http://africanwhale.net/

 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★


ハラレは治安が悪い。
日々、強盗だのひったくりだのカージャックだの、交差点で停まった瞬間に
車の窓ガラスを割り荷物を盗るスマッシュ・アンド・グラブだのが起きている。
経済状況は最悪でインフレも1,200%超。
多くの人は、働いてもその収入では暮らせない。

犯罪は日常茶飯事だ。そして、どんどん悪化している。


            ★         ★


いかがお過ごしでしょう。
東京も、ハラレに比べたら治安が良いのでしょうが。

もう10月になりましたね。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


治安が悪い。
でも、なんとなく考えた。

土曜日、日も落ちてしまった午後6時半。
普段なら絶対に外を歩かない時間帯に、わたしはやむを得ず街の中心部を歩いた。

それは、わたしのショナ語の先生で、かつとても良い友人で仲良くしている
ジンバブエ人女性の家へご招待にあずかり、待ち合わせ場所から彼女の家へ
向かうバスの出るバスターミナルへ向かう、徒歩15分ほどの道のりであった。

そのとき、変な恐怖は湧いてくることがなかった。


            ★         ★


もちろん、日が落ちてから外国人が街を歩くことはとても危険である。
でも、決して無謀なことをしたわけではない。

仕事とは違って、きれいな格好をしていないし、荷物もまぁ、安っぽい
布のかばんなどを下げている。早足で歩き、そして何よりもひとりではなく
女性とはいえジンバブエ人と一緒である。
目的地も、よくわかっている。

当然、安全であるとはいいきれないが、それでもひとつのことに気づいた。

わたしのオフィスがある街のビジネス街は、人通りがなんとなく少ない。
一方、いくつかのバスターミナルが集まっているハラレの中心部は、
いつもたくさんのひとでごった返していて、にぎやかである。
逆にこのようなところのほうが、わたしがいつも昼間に歩いているところほど
「怖さ」を感じることがなかった。

一歩踏み出してみなければ、このような肌で感じる感覚がわからなかった。
なんというか、「これが自分住んでいる街」であるというあの慣れの感じ。

外国人であるわたしは目立つ。
外国人は目立つから襲われることが多い。
でも、逆に目立つから比較的安全というケースもある。
少なくとも、せいぜい夜7時よりも前であれば、だが。

しかし、怖がっている人間ほど襲われやすいというのは、ほんとうだと思う。
無謀さではなくて、ひとつの自信を持っていれば、案外平気なこともある。
決して、「無謀さ」ではないというところが大事だが。


            ★         ★


ターミナルにあふれかえる人にまぎれて、わたしと彼女はコンビではなくて
大きな長距離用のぼろバスに乗った。ポンコツを絵に描いたような古さで、
とっても味があってわたしは子どもみたいにうれしくなってしまった。

向かう先は、ハラレ南西部のグレンビューというハイデンシティ・エリア。
パン工場やタバコ工場などが立ち並ぶ工業地帯を越えた向こう側にある。
そちらの方向へ家路を急ぐ人のなんと多いことか。バスは超満員である。

小さな子どもが、肌の白いわたしを珍しがって触ってくる。


            ★         ★


友人の彼女はシングルマザー。
普段、娘たちは親戚に預けているが、小学生の娘は一緒にいる。

グレンビューは、小さな家々が立ち並ぶ、典型的なハラレのハイデンシティだ。
彼女の家も、いくつかに区切られていて、何人だかわからないがお互い
シェアをしている。行水ができるようなスペースがあり、きれいとは言えないが、
いちおう水洗トイレもある。電気が通っていて、灯りもつく。

いつも隣の部屋の声や物音、音楽が聞こえる。


            ★         ★


彼女が教会に行くからというので、グレンビューに到着後、すぐに夜のなかを
ふたりで歩いていった。
街の中心部とは全く違い、こちらはよほど変なところに入り込まない限り
危険だということはない。少なくとも、地元の人間と一緒にいるからだ。

何よりもわたしは、この空気がとても好きだ。
子どもたちがたくさんいたり、夜なのに何だか人がたくさん歩いていたり。
道行く人が、ほとんど顔見知りだったり。

こういうコミュニティ性が、何となく地域を守っているような気もする。
要は、空気を感じることと、慣れの問題なのだ。
そして、変な気の緩め方をしなければ良い。

ここも、昨年のクリーンアップ作戦で被害にあった場所のひとつである。


            ★         ★


夜は、サザとチキン、それにムリオ(ホウレン草のような野菜)を頂戴した。
同居している女の子たちとおしゃべりをしながら、ベッドをシェアして休む。

次の日の朝早くから、教会に行った。
クワイヤーのコンテストがある日なのである。


            ★         ★


まずは、大掛かりな礼拝。ローマカソリック教会で、1,000人は余裕で越している
のではないかと思われるくらいの人がたくさん集まって、長い長い礼拝を行う。

歌、そして歌。
ここのローマカソリック教会の礼拝では、他のアフリカでも見られることは
あるだろうが、オリジナルの歌と踊りがたくさん入っている。

わたしは高校・大学とプロテスタント系の学校だったが、もちろんそのような
なじみの賛美歌なんかではなくて、ショナ語の歌。それからお祈り。
そして、少女たちが踊っている。

祈りが終わったら、また歌。しかも、何の合図もなしに突然始まる。
そのタイミングが絶妙なのである。


            ★         ★


それから、地元の料理が出され、その売り上げが寄付される。
わたしは、相変わらずその場所でとても目立ち、また子どもたちに囲まれて
しまった。
たくさん写真を撮る。

ひとり三十秒ほどじっとわたしを無言で見つめるなど、あまりに目立ちすぎて
ときどきイラついてしまうことすらあるが、しかし、それがアフリカである。


            ★         ★


ただ、ひとつだけ確信したことがある。

わたしは、こういうハイデンシティ・エリアにいるとき、自分の精神状態が
いちばん「しっくり」きているように思う。
「正しい場所」にいるような気がする。「アフリカ」にいるのだなという
感じがするのである。


            ★         ★


日曜の午後、帰ろうとすると、空から水滴が降ってきた。
空気に含まれた水分が多くなり、やがてそれは地面を少しずつ濡らしていった。
グレンビューに満ちていく、雨のにおい。
乾いた大地に、水がしみ込んでいくその圧倒的な気配。

雨季の始まりの瞬間であった。

約半年振りの雨。
一滴も降らなかった雨は、今度は毎日のスコールと雷に変わる。
そうして季節が巡る。

ハラレの、ハイデンシティ・エリアにも、またひとつ新しい季節が。

この風景を、いつかわたしは心が締め付けられるくらいに懐かしく思うだろう。
わたしの新しい故郷。


 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


グレンビューは、二回目。
でも、何だか自分がここに住んでいるような気がして、何度も歩きながら
後ろを振り返りました。

自分の家は、あれだったかしら。これだったかしら、と。

奇妙なものです。
でもそれが、わたしの中の「アフリカ」を揺り動かすものだったのかも
しれません。


            ★         ★


読んでくださりありがとう。

写真もたくさんとりました。お祈りのときのすてきな写真も!(自慢)
ブログに載せられたら載せます。 http://blog.livedoor.jp/africanwhale 



                         あふりかくじら


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     『あふりかくじらの自由時間』【92】2006年10月5日発行

 【発行者】 あふりかくじら
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 誰かに届けばよいなと思います。

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*いろんなことがあって、書ききれないな。今度は遠出する予定。






 
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