>> 記事トピックス一覧 
トップ > 地域情報 > 海外 > アフリカ > 『あふりかくじらの自由時間』

『あふりかくじらの自由時間』【81】

発行日時: 2006/3/2

 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++




          『あふりかくじらの自由時間』

                           【81】

                         http://africanwhale.net/

 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★



           〜【80】からの続きです〜

チコンバ地区、マササ。

何百人という子どもたちが、我々をじーっと見ている。
はにかんだり、ただただ食い入るように見つめていたり。
このひとたちは何をくれるの?といいながら。

子どもたちを目の前に座らせ、この日のためにやってきた複数の警察官が
群集を誘導し、そして村の人たちが、椅子を三脚正面に並べた。

ひとつは先代首長の息子、それから現首長、そして日本から来た教授のために。
その後ろに長椅子がいくつも並べられる。

地方当局の役人、与党ZANU-PFの人間、学校関係者、コミュニティーの役員たち。
総勢数十人が、いわゆるVIPとして並べられた。
わたしと、ジンバブエ人女子大生もそこに並べられた。
(彼女が、教授とわたしのために小声でショナ語通訳をした)

歓迎の式典が始まった。

            ★         ★


まず、女たちが水の入った壺を頭の上に乗せてやってきた。
そして、頭の上の壺にさらに大きな白い布をかけ、お祈りの言葉を唱える。

その後、その水を木彫りの大きなひしゃくでグラスに注ぎ、
もっとも大切なお客にうやうやしく手渡していくのである。
お客のほうは、丁重に水をいただくと、少しばかりのお金を盆の上にのせる。

わたしもまた、この水を頂戴した。
これで、「土地の水を飲んだ」ということになるのである。

            ★         ★


簡単な儀式が済むと人々は、ZANU-PF万歳、といった意味のことを叫ぶ。
このあたりは、与党ZANU-PF支持が非常に強い地域なのである。
伝統的に、田舎のほうは保守的であり、ここまで彼らの力が強ければ
反体制を叫べるはずがない。そして子どもは、与党しか知らずに育つ。

ひとりひとり、30人はいるVIPらの紹介が始まった。
日本人の教授もスピーチをさせられ、わたしも一言だけショナ語で挨拶をした。

偉い人たちのスピーチはすべて、この村がどれだけがんばっているか、
ということ。そしてどれだけたくさんの孤児がいて(ここに座っている
子たちの三分の二が孤児だ、と言っていたが、なんとなく疑わしい。
それではあまりにも多すぎる)、どれだけ援助を必要としているか
ということばかりであった。

うんざりするくらい、それは真摯なまなざしだった。
わたしには、教授には、ほとんど何もできないのに、そのことを
誰一人としてわかっている気配は無かった。

熱心に、ここぞとばかりに訴えかければ、お金が出るのだと信じていた。

            ★         ★


長い式典が終わると、それから歌と演劇、そしてダンスである。
子どもたちの演劇グループが登場し、なにやら面白い劇をやる。
(基本的に、テーマはお金が無い農村の暮らし。しかし、それを
 コミカルな感じに仕上げた劇なのである)

残念ながら台詞はすべてショナ語で、わたしにはわからない。
通訳の女子大生の子も、がんばってくれるがおいつかない。
しかし、あまりに子どもらがかわいくて、写真をたくさん撮ってしまった。

音楽やダンスは、やはりすばらしい。
アフリカって、ほんとうにそういう血ではないかと信じたくなる。

            ★         ★


最後まで終わったあと、我々を含めたVIPはセカンダリ・スクールに
招かれ、そこで昼食のお相伴に預かった。
それは、特別にこの日のためにつぶしたヤギの肉と内臓でつくった
シチュウ、それにメイズから作ったサザ、さらにミレットのサザ。
それから野菜やきのこなど、ほんとうに贅沢な食事であった。

この村で、これだけのものを用意するのは、相当なことである。
それはほんとうに、ご馳走であった。

村の女性が持ってきたフィンガーボウルで指を荒い、手でサザを練り、
ヤギのシチュウでほおばる。

それは田舎の味がして、美味しくて、心に染みた。

人々は、これほどまでに客人を温かく迎え、そして真摯なのである。
わたしの心の中に抱えた、この訪問の意味をまったく理解して
いなかった人々へのちいさな怒りや反感みたいなものが、
シチュウとともに消えていった。

            ★         ★


小学校の校長先生が、わたしのお連れした教授に、用意していた手紙を
手渡した。それはそれは丁寧に書かれた、寄付を願いたいという趣旨の
手紙であった。
わたしたちの学校の規模はこれくらいで、足りないものは以下の通りです、
教科書、先生たちの宿舎、ブレア・トイレ…、どのような形の援助でも
感謝いたします、と書かれていた。丁寧な判子も押されていた。

宛名は、日本大使になっていた。

            ★         ★


結局、あまりにVIP待遇をされすぎてしまったおかげで、役人などではなく
ごく普通の村人たちにインタビューをしたいと考えていた教授の希望は、
かなえられなくなってしまった。
肝心のズンデラマンボは、ほとんど見るものも無かった。

こういうアフリカを誰よりもよくご存知の教授は、面白かったですねと
笑ってくれた。

わたしには、反省すべき点が色々とあったように思う。
お金を期待されることは予想していたが、まさかこれほどまでとは
思いもよらなかった。こんな、村の歴史に残るようなイベントとは。

それだけに、この村を訪れたことはわたしに多くを気づかせてくれた。
さらに、心の中に忘れられない重要なことを刻み付けた。
それは、重たくて、それでも確実に積み重なっているアフリカの横顔である。

物をもらうことに慣れすぎてしまっているひとびと。それをただ待っている。
あまりにも純粋な人々。
あまりにも、客人を温かく迎えるこころ。

それから、なんだかわからないけれど、心の中の熱いもの。
色んなものが混ざり合って、複雑な気持ちで胸がいっぱいになった。

帰りの車の中から、激しい雨が降ったあとのまぶしい大地を、
ただ静かにじっと見つめていた。

            ★         ★


これが、またわたしをディープなアフリカにつれていく。



 ☆ ○o.+・゜○o..+・。☆


この村は、セカンダリ・スクールもあり、けっこう恵まれているところだと
思います。
しかし、やっぱり日本は遠く、日本人はお金をくれるひとたち、なのです。
わたしなんかの甘い見通しは、劇的に打ち砕かれてしまうくらい。
アフリカは、ディープで強烈です。



いつも読んでくださり、ありがとう。
長いのを、最後まで。


                         あふりかくじら


 追伸:写真あります。 http://africanwhale.net/masasa.htm


 +++++++++++++・。+★・。・゜゜・☆ ○o.・..+・。★

     『あふりかくじらの自由時間』【81】2006年3月2日発行

 【発行者】 あふりかくじら
 【メール】 africanwhale@mail.goo.ne.jp
 【URL】 http://africanwhale.net/
 【ブログ】 http://blog.livedoor.jp/africanwhale 

 ★バックナンバー★ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000058315

【あふりかくじら★カフェ】メールマガジン(週3回程度、軽く短め)
 http://africanwhale.net/cafe.htm
 ジンバブエ共和国より発行。日々の風景、思ったことなどを
 短く短くつづった15秒だけのお昼休みマガジン。ふとしたことばが
 誰かに届けばよいなと思います。
 ぜひご登録ください。

 ☆★登録・解除★☆

 『まぐまぐ』http://www.mag2.com/m/0000058315.htm
 『melma!』http://www.melma.com/mag/36/m00103336/
 『Ransta』http://www.ransta.jp/backnumber_397/
 『めろんぱん』http://www.melonpan.net/mag.php?005603

 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++

*いや、すごかったです。またひとつアフリカを知ったような気がします。
 ほんと、目が覚めた感じです。








 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします
ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
Africa Now!
アフリカの生活を覗いてみよう!アフリカの田舎町に住む唯一の日本人ツアーガイド ちはるが、アフリカの人々、食べ物、生活などを写真つきで紹介します。南ア...
虹の国・南アフリカ情報・2008
南アフリカは1994年に新政権が誕生しました。2010年にサッカーWカップが開催されます。最近の南アフリカの情報をお伝えします
グローバル・エイズ・アップデート
地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

利息、払いすぎ?
オリックスVIPローンカードなら<<年率5.9%〜、利用可能枠最高500万円>>
ゆとりのカードローンです。


比べてみれば、こんなにお得→

メルマガデータ

  • メルマガID : 103336
  • 創刊日 : 2003-11-12
  • 最新号 : 2008-04-21
  • 発行周期 : 月2回程度
  • バックナンバー: 全て公開
  • 発行者サイト: あり
  • 読んでる人 : 54人
  • コメント数 : 1
  • Score! : - 点
  • >> 月間ランキング

発行者プロフィール

ペンネーム :


このメルマガの読者になる

規約に同意する





このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


このメルマガのバックナンバー


注目情報


新着記事トピックス